仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア   作:玄武Σ

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令和ライダー1号のゼロワンがカッコいい。Dr.stoneに彼方のアストラ、まちカドまぞくとジャンプ&きらら作品が面白かった。そんないいニュースがある一方、京アニ放火事件なんてバッドニュースが……
犯人には法の裁きを受けてもらわないと困りますね。

本編では終わりがけでようやくゲスト参戦。お楽しみに。
P.S.きらファンっぽさは明らかに霧散して完全にジャンプのノリになっています。ご注意を。


第21話「ランプの恐れと刺客襲来」

仮面ライダー達を信用できない。ランプはそう言った。そしてランプはそのまま、敵意の籠った眼で士を睨みながら続ける。それは渡達超越者組と対面した時に士へと向けられた、あの言葉だった。

 

「あの紅渡という方も言ってました。『この世界の全てを破壊し、全てを繋いでください』と。それって破壊は比喩だとしても、例の敵たちとは別でこの世界を手に入れようとか、そういう風にしか受け取れません」

「そんな!? 士君は確かに破壊者とか悪魔だなんて呼ばれていましたけど、それは世界を救うために…」

「そのために全く違う世界を攻撃したとか、ですか? だとしたら、いい迷惑です」

 

夏海がフォローしようにも、ランプは聞き入れようとはしなかったし、夏海もこれに対して反論できなかった。

実際、士はかつての旅で崩壊していく世界を救うため、その世界で戦っていた仮面ライダーを倒して回っていたことがある。ともに旅をしている、小野寺ユウスケも含めてだ。最終的に彼らは復活したものの、一度は完全にその命を奪っていたのだ。

 

「別にお前が俺を信用しないのは、構わねえ。だが、そこの承太郎はそれを承知の上で、俺の協力を求めてきたんだ。清濁併せ呑む必要、あるんじゃねえか」

「私情で申し訳ないですが、その承太郎さんも正義の味方とは到底思えない口の悪さじゃないですか。ご先祖様だというジョナサンさんの方が信用できます。だからって、信用はしませんが」

「……屁理屈だらけのガキだな、やっぱり」

「……!」ブチッ

 

士とランプでそのまま問答になるが、またガキ呼ばわりされたことでランプの怒りが頂点に達した。

 

「兎に角、私は今はそこの皆さんを信用はできません! ひとまず、今日は放っておいてください!!」

「ランプ、待って!!」

 

そしてそのままランプは会話を打ち切ってしまい、きららの制止も聞かずに部屋を出て行ってしまう。

 

「なんだアイツ? さっきからわがままばっかりだな」

「同感だな。おれだって、流石に全員を信用できねぇけど協力は必要だと思っているんだが」

「ルフィさん、遊真君…」

 

去っていったランプに対して、遠慮なく思ったことを口にするルフィと遊真に、思わずゆのも冷や汗をかいて二人を見てしまう。

 

「なんだよ、わざわざ助けに来てやったのに文句ばっかり言いやがって…」

「ソルトはあなた方に助けられたから信用はしてますが…正直、あなたの方が悪人然とした面構えで一番怪しいです」

「んだと、この狸!!」

「モモタロス、落ち着いて」

「そうですよ、ソルトちゃんも悪気はないんだし」

「まあ、仮面ライダーや他のみんなも聖典ってのに載ってないらしいし、混乱するのも仕方ないんじゃ…」

 

モモタロスもソルトからの指摘で怒り出すも、良太郎と青葉が宥めようとしてくる。

夢路のようにフォローする者も含めて、思い思いのことを口にする一同。そんな中、一人考え事をする人物が。

 

「う~ん……」

「出久君、どうしたの?」

 

その人物である出久の様子が気になり、ココアが声をかけてきた。そして意を決したように、口を開き始めた。

 

「皆さん。僕が思うに、ランプちゃんは怖いんだと思います」

「怖い? おれ達がか?」

「ハオの件は聞いたけど、オイラ別に怖がらせることやってねぇけど…」

 

その言葉にルフィと葉が反応するので出久は返すのだが…

 

「僕達が、というより……ココアさんや千矢ちゃんや青葉さん、そんなクリエメイトの皆さんに起こりえる今後のことに対して、かな?」

「わ、私たちに?」

「はい……僕のお母さんが、前に思ったことをランプちゃんも感じているんじゃないかって」

 

そんな中、出久は語り出した。

 

オールマイト

出久のいた世界の日本で、平和の象徴と呼ばれた最強のヒーロー。現在は引退して雄英高校の教師として赴任している。個性は単純な身体強化だが、そのパワーは拳の一振りで竜巻などの自然災害すらねじ伏せてしまう程なのだ。

しかし実は、今から数年前に個性を犯罪に用いる(ヴィラン)、その中でもとりわけ強大な相手との戦いで負傷、雄英への赴任は後継者の発見と育成が目的であった。だがそれを察してか、件の敵であるオール・フォー・ワンとその後継者・死柄木弔(しがらきとむら)の率いる敵連合による雄英の生徒への襲撃が何度か発生。そして今年の夏にオールマイトは、オール・フォー・ワンとの死闘の果てに彼を検挙することに成功するも、負傷の件が明るみに出て引退を余儀なくされたのだった。

この一件は多くの職業ヒーローが負傷し、戦闘の現場となった地区も壊滅状態となった。そのことから、地区名からとって”神野区の悪夢”と呼ばれている。

 

「僕の個性、実は受験シーズンの最中にようやく発現して、それもあって上手く使いこなせてなかったんです。そんな中でその敵の襲撃に何度も遭遇して、怪我もいっぱいして……お母さんを心配させてしまいました」

 

オールマイトの話を終えた出久は、自分の個性についても明かしながら暗い表情で告げた。

 

「そこに僕の憧れのヒーローでもあるオールマイトの一件が重なって、僕の進む未来も彼みたいに血みどろになりそうだって。だからそんなオールマイトに僕を預けられないって……雄英をやめさせられそうにもなりました」

 

言いながら袖をめくる出久の右腕は、全体に生々しい傷跡があった。今でこそ出久はそれなりに筋肉はついているが、もともと華奢でそこまで背も高くない。そんな彼が身体強化能力を急に身に着け、ごり押しで戦っていれば周囲は心配するのは明白だ。

 

「だから、ランプちゃんも同じなんじゃないかって思ったんです。クリエメイトのみんなが暮らしていた世界の大多数は、超常の発生やスタンドみたいに影からある特殊能力、仮面ライダーの皆さんが戦ったような明確な悪意、そういったものと無縁だから……僕らの血生臭い世界に巻き込まれてしまうんじゃないかって」

 

メリーと夢路のいた世界は戦いがあったものの、他はそうではない。里の外に出ているクリエメイトにもう一チーム例外がいるが、基本的には異常も異能も世界の危機も訪れていない。きわめて平和な世界だ。

そんな世界での暖かな日常が聖典に記され、それがクリエを生み出しているのかもしれない。そんな世界とつながっているエトワリアにとって、仮面ライダーもスタンド使いも、他の戦士たちも異質な存在であった。ランプが怯えるのも必然だった。

 

「出久、でもこの世界には魔物だっているしあの魔術師みたいな悪人だって、他にもいるんじゃないか?」

「でしょうね。でも他で襲撃をしている例の、オーバーヘブンショッカーみたいな過剰な攻撃意識や支配欲があるわけでは、無いんですよね? ろくろ君達の敵みたく負の念を食らって強くなるとか、ガイアメモリのように使い手の悪意の増長する道具も…おそらく、まだ見ぬ敵もそんな奴らが多いから、あげたらきりが無いですよ」

 

戦兎からも話を振られるが、それを踏まえても自分たちのほうが異質だという指摘が上がる。その話を聞いて、色々と思うところがあった一同であった。

そして最初に口を開いたのは、ゆのだ。

 

「そういえば、私が初めに襲われた時にいたンドゥールって人、私達のことを本気で殺そうとして……しかも、その為ならって、自分の攻撃で死んじゃって……」

「ゆの、落ち着け。おれ達で、なんとかしてやるから」

「そうですよ! 私だって怖いけど、こんなに味方がいるんだし…」

 

彼女の脳裏に浮かんだのは、ンドゥールが死郎を呼び寄せるために自爆したあの瞬間だ。明確な悪意を持った敵、使命と主のためなら己の命さえ捨てる狂信ぶり、一般人のゆのからしたら常軌を逸していた。

その時を思い出して、恐怖で震え出すゆの。その様子を見て、チョッパーと乃莉がなだめ始める。

そしてその次に打ち明けたのが、修だった。

 

「血生臭い…僕も身近に体感しましたね。僕も近界最大の軍事国家”神の国アフトクラトル”の襲撃に応戦して…」

 

修が話したアフトクラトルの襲撃。曰く、近界は宇宙空間のような暗闇に惑星のように浮かぶ国家が一定の軌道を動いているのだが、それらの惑星は(マザー)トリガーと呼ばれる、特殊なトリガーで国土を形成しているという。

アフトクラトルが神の国と呼ばれる所以は、その母トリガーに特定の高いトリオン能力者を”神という名の人柱”として拘束、それによって軍備に人材を回していた為だ。そして件の襲撃の理由は、その神の寿命が尽きそうだったから新しい神を見つけに、修のいた世界の地球を含めた周辺の国々に、国防が疎かになるまで兵力を投入したというのが真相だ。

 

「その神にするために千佳が狙われたので、あの手この手で守り通したんですが、僕も負傷して一週間は意識不明に…」

「え!? 修君、トリガーを使っている間は生身にダメージはいかないんじゃ…」

「それに、トリガーには緊急脱出機能も付いているって…」

「はい。僕、その時は生身だったので…」

 

青葉と永夢の疑問に答える修。

アフトクラトルの司令官ハイレインは黒トリガーを使っており、それはトリオンで出来た物質を圧縮してキューブに閉じ込める弾丸を放つという、トリガー使い最大の天敵という代物だった。トリガー使用時の戦闘体にも適用され、千佳がそれを食らってしまったのだ。

しかし弱点として、トリオン以外の物質には一切効果が無いことから、千佳を圧縮したキューブを生身の修が担いで撤退するという手段を取った。結果、千佳は守れたが他の攻撃能力があるトリガー使いがいたために負傷してしまった。

 

「同時に、空閑の相棒兼お目付け役として、空閑の親父さんが作ったレプリカというトリオン兵もやられてしまって…」

「まあレプリカはアフトの船を緊急発進させた後、向こうに回収されたのか生きてるらしいからな。また会うために向こうへ乗り込む準備してるんだ」

「……遊真君、そういえば君のお父さんについて気になったことなんだけど」

 

そんな中、話を聞いていた永夢は意を決してあの事を尋ねた。

 

「例の黒トリガーなんだけど、作った後の遊真君のお父さんがどうなったか話してなかったよね。まさか、もう……」

「隠しても仕方ねえし、話しておくか。親父は黒トリガー作ったときに死んだ」

 

永夢の推測は当たり、やはり遊真の父は死んでいた。そして、そこに迅を交えて事の詳細を語る。

 

「そもそも黒トリガーは、高いトリオン能力を持った人間が全トリオンと自分の命を注ぎ込んで初めて作れるんだ。親父はこいつを作って、俺の代わりに死んだ」

「俺も今は本部に返還してるけど、俺の師匠がボーダーが公になる前にあった戦いで黒トリガー残して死んで、しばらく使ってたんだ。空閑も元々、親父さんの親友だったその師匠に会いに来たそうでな」

「うわぁ……聞いてると、結構きついですね」

 

色々と重い話が飛び出て、青葉も心なしか顔色が悪い。そして次に口を開いたのは、戦兎だった。

 

「俺と万丈のライダーシステムも、実は戦争に利用された代物でな。そしてこいつの開発者は、俺の父さんだ」

「「え?」」

 

その言葉に、出久もココアも反応。声にこそ出ていないが他のクリエメイトやライダーたちも驚いている。そして続ける戦兎。

 

「で、その戦争やら裏で糸を引く悪の組織やらとの戦いに巻き込まれて……万丈のやつも恋人を亡くした」

 

万丈が別室で休んでいたが、本人に思い出させたくないと配慮したのか、戦兎は彼の過去についても軽く触れた。その言葉に、また一同は驚愕と旋律を感じることとなった。

 

「どこの世界でも悪意やらなにやらってのはあるものだと思ってたが……すまねぇ、配慮ミスだ。まさか、そこまでここが平和な世界だったなんて。俺を含めて、誰かがもっとあの子を上手くフォローできれば…」

「いえいえ! 何にしても、私たちやこの世界のために戦ってくれるんですから。ランプも落ち着けば、話を聞いてくれるかもしれないので…」

 

そして戦兎からの謝罪と、それに対して驚きながらもきららが応対。しかしそんな中、いきなりルフィが床を大きく踏み鳴らし、告げた。

 

「たしかに色々やべぇのかもしれねぇけど……おれ等がやることなんて一つしかねぇだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここにいる全員で強くなって、敵は全員ぶっ飛ばす! 仲間なんだから、互いに守り合えばそれで済むじゃねぇか!!

 

そして力のこもった眼で叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ。こいつ、バカそうに見えていきなり確信つきやがったな」

「同感だ。まさか、こう来るとは…」

「まあ、ルフィはこういうやつなんだ。悪く思わないでくれ」

 

しかしこのルフィの言動が予想外だったため、士も承太郎も結構失礼なことを告げる。そこに思わず、ウソップがフォローを入れる。

しかし、そのルフィの言葉が一同に火をつけることになる。

 

「だけど、これぐらいシンプルな動機で戦う方がやりやすそうだけどな」

「だな。オイラもそういう方が、めんどくなくていいや」

「だね。みんな、それなら気兼ねなく戦えるかも」

「そうだな。俺も守りたい物のために戦ってんだ。それくらいシンプルな方がやりやすい」

「うん。仲間、友達、それなら助け合わないと! 悪い人たちが狙ってるなら、なおさらだよ!!」

「正直怖いけど、うん。そうですね」

 

ろくろに葉、良太郎に翔太郎、千矢にゆの、次々にルフィの言葉に反応。そしてそれがほかの面々にも伝播していく。

 

「……すごいですね、ルフィさん」

「ああ。奴が数百万に一人しか使えない王の資質を持ってるって、言ってたが…」

「だな。リーダーの素質は、間違いなく持ち合わせてやがる」

 

きららもそのルフィの資質に驚き、士と承太郎は彼の持つ覇王色の覇気も、だから持ち合わせたのだろうと冷静に分析する。

そんな中、部屋の隅で見ていたローは一人物思いにふける。

 

(コラさんはDの血族は神の天敵と言っていたが……それを踏まえても麦わら屋のアレは、大したもんだ)

「トラ男さん、どったの?」

「なんでもねぇよ、猫屋」

 

ルフィ達に明かしていないロー自身の過去。その時の恩人の残した言葉を思い出して、ルフィに照らし合わせていた。そんなローは話しかけてきた宮子に素っ気なく返すが、最初はどの困惑は見られず、嫌悪も特にしていない様子だった。

ロー自身がこういった穏やかな様子なのも、クリエメイト所以なのかもしれない。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

その日の晩、ランプは里の外の河原でポツンと座っていた。

 

「ランプ、こんな所にいたんだね。探したよ」

 

呼びかける声がしたので振り返ると、そこにはマッチの姿があった。

 

「部屋の外でこっそり聞いてたよ。せっかく助けに来てくれた彼らを、信用できないってはねつけて」

「……だってそうでしょ。世界の破壊者なんて、おっかない呼ばれ方してるんだし」

 

相変わらず警戒している言動を見せていたランプだったが、マッチの返答は意外なものだ。

 

「そうは言いつつ、頭の何処かではわかってるんだろう? 彼らは味方で、信用できるって」

「……まあ、全部が全部信じられないわけじゃないけど」

 

マッチの推察にも似た言葉は、ドンピシャだったようだ。しかし、それでもやはり受け入れられないといった様子で語り出した。

 

「でも、聖典に載ってない未知の異世界の方々を、私は信用したくない。クリエメイトの皆様が、あの人達みたいに大きな絶望の渦中に飲まれるんじゃないかって。私の知っている聖典が、汚れてしまうんじゃないかって……」

「成る程。知っている世界が壊れるのが怖い、そこに住むクリエメイト達の身に起こることも心配ってことだね」

 

出久の推察は当たっていたようで、話を聞いてマッチも納得した。

 

「でもさ、もし彼らが来ないまま例の敵・オーバーヘブンショッカーが現れてたら、確実にこの世界は壊滅してたって考えられない?」

「え?」

 

まさかのマッチからの切り返しに、ランプは困惑気味な声を漏らしてしまう。

 

「ランプから見たら、彼らが厄介ごとを持ってきたようにも感じられるかもしれないけど、逆に厄介ごとの為に駆けつけてくれた。そういう風には見れないかな?」

「考えたこともなかった……でも、もうしばらく考えさせて」

「うん。ゆっくりでいいよ」

 

マッチの言葉のおかげで少しだが、受け入れる準備のできたランプ。

しかし、そんな彼女達に近づく怪しげな影が……

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

〜翌朝〜

里の周辺で見回りついでにジョギングをしていたリゼとうみこが、ある人物と遭遇する。

 

「あ、木崎さんに千佳。おはようございます」

「リゼさんにうみこさん、おはようございます」

「おはよう、天々座。うみこさんも、おはようございます」

「みなさん、おはようございます」

 

レイジと千佳の二人であった。事前にこの二人が師弟だとは聞いていたが、筋肉質で大柄なレイジと、チノよりも背の低い千佳の二人が並ぶと、色々と不思議なものを感じた。そんな二人だが、どうやらリゼ達と同じくジョギング中のようだ。

 

「二人でトレーニングとは、関心ですね」

「はい。レイジさんから、スナイパーは場所を特定されると危ないから、常に走れるように体力をつけておけと」

「俺も亡くなった親父が、レスキュー隊員でな。その受け売りでガキの頃から体は鍛え続けている」

 

走りながら談笑を始めると、レイジの口から衝撃のカミングアウトが為されて思わずギョッとしてしまう。

 

「涼風さんから色々と聞きましたが、まさか木崎さんも親族を……」

「ええ。九年ほど前に、何もないところで子供を庇うようにして、胸に穴を開けられていたそうで。推察になりますが、公の存在になる前に近界民が仕掛けてきたのかと」

 

うみこがまさかと思い問いかけると、やはりレイジも近界民の被害者だったようだ。しかし、彼は強い意志のこもった目で告げた。

 

「ですが、俺はあくまで人を助ける為にボーダーに入ったので、親父の仇を討つ気は別にありません」

「え? じゃあ、普通にレスキューをすれば……」

「これも親父の受け売りだが、生きて帰れないレスキューは失格。死なない為に戦う力を欲したからだ」

 

リゼの疑問に対しても迷いなく告げるレイジ。

 

「だから、その為にも体は鍛える、強くもなる。俺の行動理念は、それで十分です」

「……まだ大学生だそうですが、立派ですね。桜さんに爪の垢を飲ませたい位には」

「あはは…」

「ほ、程々にお願いしますね」

 

レイジの立派さに感心する一方で、ねねを引き合いにしてしまううみこ。そんな様子に、リゼと千佳は思わず苦笑してしまうのだった。

 

〜その頃、ラビットハウス・エトワリア店〜

「「「おおお!!」」」

「凄いな…これ君が作ったんだって?」

「まあね。設計は別の人間だけど、組み立てとかは僕が」

「フィリップ君も凄いんだね…」

「まあな。相棒は並みの天才じゃないんだぜ」

 

出久とろくろ、そして夢路の男子組が目を輝かせながら見つめ、戦兎とココアも感心する物があった。ガラケーから変形したクワガタムシ、カメラから変形したコウモリ、といった具合に道具が変形した小動物型メカが室内を飛び回っている。

これらはメモリガジェットと呼ばれ、ガイアメモリを模したツール・ギジメモリを使うことで起動するサポートメカである。普段の探偵業務でも役立つ上に、W変身時は武器にセットしてマキシマムドライブが撃てたりする優れものだ。

そんな中、フィリップはあることを切り出すのだが……

 

「さて。里周辺の偵察のためにガジェットを出したはいいけど、一つ問題を思い出した」

「「「「「「?」」」」」」

「実は僕達の持つガイアメモリはこの6本以外にも、これらのガジェットのように変形して自立メカになるメモリが二つある。そしてそれらは、僕達の切り札だ」

 

フィリップが話題にあげたメモリ、ファングとエクストリーム。それらは手持ちのガイアメモリ6本を用いた基本形態を凌駕する存在だ。

しかし……

 

「しかし残念なことにそのメモリは現在、行方不明だ。この世界に来た時にオーバーヘブンショッカーの張った結界のせいか、到着した時に座標がずれてどこかに飛ばされてしまった」

はぁあ!?

 

そのフィリップの言葉に、思わず大声で驚いてしまう翔太郎。予想外の大声に、全員が耳を塞いでしまう。

 

「というわけで、今後僕達は例のメモリ二つを探すのも目的になる。けど、それらが見つかったら僕達コンビは百人力だと保証しよう」

「おいおい、相棒。それまで、保つのか? 昨日の婆娑羅みたいに特定の攻撃しか効かない奴らが来たら、どうするんだ?」

「いや、そういうのが来たら俺らが対応すんだろ? その為にも紘汰や渡って人が、あちこちに声かけたんじゃねえか?」

 

フィリップからのカミングアウトから、ずっと狼狽っぱなしな翔太郎。そんな彼を一緒に話を聞いていたろくろが落ち着かせようとする。

その様を見ていた全員は、思った。

 

『全然ハードボイルドじゃない』と。

するとそんな中、メリーが店を訪ねてきた。

 

「夢路、ライネが朝ごはん出来たって。行きましょう」

「お、もうか。じゃあみんな、行くか」

「天才も脳に栄養やらないと、動けないからね」

「僕も腹ペコ」

「さて、今日のメニューは何かな? チノちゃん、コーヒー入れにいってたみたいだけど」

 

そのまま続いていき、翔太郎とフィリップ、ろくろが取り残される。

 

「……」

「翔太郎さん、一旦食事にして落ち着こう。紅緒もそろそろ訓練上がるだろうし」

「焔魔堂ろくろに賛成だ。行こう」

「ちくしょー……ハードボイルドはまだ遠いか」

 

結果、一同はライネが里で経営している食堂に集まった。既に士や承太郎は到着済みだ。

 

「ひとまず、朝食にしましょうか。戦うにしろ、食べて力をつけないと」

「私も手伝いました。ハーブティーも入れてみたんで、よければ」

 

そう言いながら、ライネは大量の料理を並べた机の横に立っている。するとシャロがティーセットを準備しながら、厨房から出てきた。

 

「シャロちゃんは元の世界じゃ、ハーブティーの専門喫茶でバイトしてたんだよ」

「へぇ~。紅茶なら僕のクラスに詳しい人がいたけど、ハーブティーは未経験かな?」

 

ココアからの解説を聞き、出久も感心する。ちなみに出久の言う紅茶に詳しいクラスメイトは、八百万百(やおよろずもも)といい、ベタなお嬢様キャラだったりする。

 

「さて。いつ戦闘になってもいいように、食べてコンディションを上げておくぞ」

「昨日、軽く軽食をつまんだがとても美味だった。この分ならライネさんの本格的な料理は、フランス人の俺の口にも合う飛びっきりの料理だろうぜ」

 

そして士に続いてテーブルに着く一同。その際、ポルナレフがライネの料理に食べる前から称賛するのだが……

 

(ポルナレフが言うと、あまり美味そうに聞こえんが…)

(ですね。便所トラブル担当ですし…)

やれやれだぜ……

 

ジョセフと花京院がそろって、失礼なことを言っていたりする。承太郎もそんな様子に小声で呆れていた。

 

「あれ? そういえば、ランプがいない?」

 

そんな中、ランプがまだこの場にいないことに気づいたきらら。

 

「どうせ、まだ拗ねてんだろ。あの見た目だ、小学生かそこら程度の年齢に違いねぇ」

「ランプは本当、お子ちゃまだからねぇ」

「シュガーも人のことは言えないかと」

「な、なにをぉおお!!」

 

士の遠慮ない物言いと、それに同意するシュガー。しかしシュガーのほうはソルトに同レベルと見なされて、憤慨していた。

その一方、シュガーとソルトが普通にこの場で食事を共にしようとする様に、困惑していた人物が一人。

 

「(おれ、こいつら捕虜にするって提案したと思うんだが……なんで一緒に飯食うことになってるんだ?)言っておくが、おれはパンが嫌いだからな」

「トラ男さん、好き嫌いはよくないですぞ」

 

困惑する一方でスキキライについて言及するローに、宮子が諫めに入る。

そして食事をとろうとするのだが…

 

「うむ、実に美味ですね」

「そっすね」

 

なんと、いつの間にか見知らぬ二人組が食堂に入ってきており、朝食に手を付けているのだ。

片方はタキシード姿の金髪男性、もう片方は眠たげな眼のロン毛の男性だ。

 

「え!? だ、誰?」

「てめぇ、いつの間に入ってきやがった!!」

 

ゆのが驚愕し、モモタロスも突然の不審者二人組に怒号を飛ばす。しかし、タキシードの男はロン毛の男が入れた紅茶を啜りながら、そのまま立ち上がる。

 

「突然お邪魔し、しかも食事に手を付けて失礼しました。後、普通に入口から入らせてもらいましたが」

(気配を全く感じなかった……こいつ、まさかショッカーの送り込んだ殺し屋か?)

(かもしれねえな。怪人かスタンド使いか、はたまた別の能力者か?)

(何にしても、気を付けないといけませんね)

 

タキシードの男の言葉を聞き、警戒してこっそりと話をする士、承太郎、きららの三人。

 

「そして自己紹介も遅れてしまい、申し訳ありません。私、こういう者です」

 

そして男はそのまま警戒する三人、真ん中に立っている士に名刺を渡す。だが、書いていたのは…

 

 

 

 

 

 

紳士

その単語だけが、ドンと書かれているだけだった。

 

「てめぇ、ふざけてんのか?」

 

その様子にふざけているとしか思えず士も青筋を立てそうになるが、男はそのまま自己紹介に入りだす。

 

「立てばジェントル座れば紳士、歩く姿はマジ紳士。

初めまして、私は財団Xに雇われた傭兵"紳士ウィルバー"と申します。こちらは部下の、ローライズ・ロンリー・ロン毛」

「どもっす」

 

名乗ったタキシードの男ウィルバーと、見た目まんまの呼ばれ方をされたロン毛。しかし名乗った際に、聞き捨てならない単語があった。

 

「財団X!? 私たちを襲った、カイって人と同じ!?」

「ここを勘付かれたっていうのか!?」

 

実際に財団Xと相対した青葉と修が、とっさに警戒態勢に入る。

 

「しかし、まさかボーダーの方々がこちらにいて、しかも仮面ライダーの方と共闘するとは思いもしませんでした」

「え? 僕たちを知っているんですか?」

「ええ。我々、三門市の隣町である蓮乃部に住んでおりますから」

 

ウィルバーが意外にもボーダーを知っているという事実に驚く修だが、同じ世界の町にいるということまで判明する。しかしその町の名前に、修は気づいた。

 

「蓮乃部……僕の実家だ」

「え、マジ?」

「はい。僕、隣町から三門の中学に通ってて、通うのも不便だから今度から玉狛支部に寝泊まりすることに…って、今はそんな身の上話してる場合じゃ!?」

 

まさかの修の返答にねねが反応、思わず自分の身の上話をしてしまうが、すぐにそんな場合じゃないとウィルバーに視線を向ける。すると、とんでもない事実をウィルバーから告げられてしまう。

 

「それと遅くなりましたが、あなた方のお知り合い……ランプさんと言いましたか? 彼女ならペット共々、我々が預かっております」

「あの喋る猫みたいなヤツ、君らのペットでいいんすよね?」

「! あなた、ランプとマッチに何を!?」

 

ウィルバーがランプを攫ったという事実に、きららも思わず激昂してしまう。

 

「我々の目的、門矢士と空条承太郎と戦うための人質ですよ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「えっと……マッチ、これどういう状況かな?」

「閉じ込められてはいるんだけど……」

 

その頃、当のランプとマッチは閉じ込められている場所で困惑していた。何故なら……

 

 

 

 

 

「何でこんな豪華な部屋に閉じ込めたんだろう?」

「この手紙の通りなら、僕たちは誘拐されたんだね。でも、これは…」

 

見た感じどこかの小屋なのだが、天井に吊ったシャンデリアや高そうな花瓶などの調度品で飾られてそれなりにゴージャスだったからだ。今座ってい折るソファも、超フッカフカである。

そして机の上には、モーニングセットと一緒に手紙が置いてあった。

 

『この度は私どもの都合であなた方を誘拐させていただきました。大したおもてなしもできませんが、どうぞごゆっくりおくつろぎください』

そう書かれた手紙の横に「私どもがまごころを込めて誘拐しました」という表記とともに、ウィルバーとロン毛のツーショット写真が載せてある。

 

「なんかご飯の用意がしてあるけど、食べていいのかな?」

「毒入ってない、って露骨に書いてあるけど……逆に怪しいな」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

そしてそのランプ達の様子を、ウィルバーの持っていたタブレットで見せられる一同であった。

 

「見ての通り、ランプさんとペットの方は私どもが誘拐しました。しかしご安心を! 紳士は決して、命を奪いません!」

「てめぇ、そんなことが信じられるわけが…」

 

ウィルバーのその言葉に承太郎は疑いを隠せずにいたが…

 

「いや、こいつはウソは言ってねえよ」

 

遊真の能力もあって、それは真実だと明かされるのだった。

 

「承太郎さん、空閑には相手のウソを見抜く能力があります。そんな空閑が言うなら、間違いないでしょう」

「なに? すると、てめぇ心が読めるのか?」

 

修からの解説を聞き、思わずそんな感想を漏らす承太郎。しかしすぐに否定の言葉が返ってきた。

 

「いや、相手の言っていることが漠然とウソか本当かわかるだけだ。そこまではわかんねえよ」

「そもそも俺たちの持っている能力”サイドエフェクト”は感覚の延長線だからな。おそらく、息遣いとか顔色とかによるものだろう」

「……なるほど、わかった」

 

遊真と迅の言葉に、ひとまず納得する承太郎。するとそんな中、再びウィルバーは語り出した。

 

「私、元はとある裏組織にそちらのローライズ・ロンリー・ロン毛と属していたのですが、色々あって組織を追われる身になりましてね。その後は、組織の仕事関係で交流のあった一家に厄介になってたのですが、いい加減自分の食い扶持くらい稼げとそこの長女に追い出されたのですよ。そこを財団Xに拾われましてね」

「解説どうも。で、人質までとって何をする気だ?」

 

身の上話を書き終えた士は、ウィルバーに問いかける。

 

「門矢士さんに空条承太郎さん。あなた方二人を戦って倒せとのことです。本当なら紳士らしく、チェスで対決と行きたいのですが、財団は直接戦えとのご所望でして」

「まあ、そういうわけなんでお願いするっす」

 

そして二人は頭を下げて頼み込んでくる。財団Xはなんでこんな奴らを雇ったのか、不思議でならない。

しかし、二人の返答は決まっていた。

 

「わかった。あのガキには説教してやんねぇといけないから、とりあえず助けてやる」

「同感だ。とっととケリつけて、あのガキ助けて文句言うか」

 

口ではこう言いつつ、ちゃんとランプを助けることを前提とするのだった。そして、朝食後に決闘が始まる。




賢い犬リリエンタールがワートリと世界観共有してるらしいので、今回の案を考えついた次第です。
もう一つ、ダービーvs千矢のポーカー対決という案もあったんですが、作者がポーカーを文章にできる自信がなくて取りやめました。
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