仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア   作:玄武Σ

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VS七賢者とアルシーヴ、思いのほか難産でしたがどうにか完成。ラストで急展開になります。
ゼロワンが想像以上の面白さで、令和ライダーは好スタートを切った予感です。

p.s.鬼滅の刃がアニメ最終回近いのでずっと気になってたことを暴露します。
善逸が雷に打たれて金髪になったのをもしシノが聞いたら、マジで打たれに行きそうなんだが、どうでしょう?


第24話「強き力と黄金の精神」

突如として勃発した、アルシーヴと七賢者たちとの戦闘。果たして勝者は、誰だ?

 

~セサミVSエグゼイド~

「食らいなさい!」

 

セサミ最初と同様に杖を振り、エグゼイドへと水の弾丸を打ち出して攻撃する。それをエグゼイドはガシャコンブレイカーで捌いていく。

 

「へへ。こんなもんじゃ威力は足りねぇぜ」

「その様ですね……ならば、アクアスプレッド!!」

 

エグゼイドの余裕な様から、セサミは更に強力な攻撃を繰り出す。空高く打ち出された水の塊が、エグゼイドをめがけて落下していく。

 

「おっと、アブねぇ!」

 

しかしエグゼイドの強化された身体能力は、その攻撃をたやすく回避する。

 

「それなら…ディープレイン!!」

 

そしてセサミも負けじと攻撃を続け、無数の水の塊をエグゼイドに向けて落としていく。ただ早いだけでは避けられると危惧し、手数でお好きのようだ。

 

「おっと! それにしても、攻撃激しいな!!」

 

激しくなっていく攻撃に、エグゼイドも回避がどんどん難しくなっていく。

 

「アイテム取ってくる余裕ねぇな……

 

 

 

 

 

それじゃあ、こいつでパワーアップさせてもらうぜ」

【シャカリキスポーツ!!】

 

危機を感じたエグゼイドが新たなガシャットを取り出し、起動する。すると自走する自転車が表れてエグエイドの周囲を駆け回る。

 

「な、なんですかこれは?」

「いくぜ……

 

 

大・大・大変身!!

 

そして先ほど起動したガシャットを持った右腕を、大きく3回転させる。そしてマイティアクションXを差し込んでいるスロットの隣になる空きスロットへと差し込んだ。

 

【ガッチャーン! レベルアップ!!】

【マイティジャンプ!

マイティキック!

マイティ! マイティアクションX!!】

 

そしてそれにより、再びレベル2へ変身した音声が発生した。それにより、変身時と同じ音声がなるのだが、今回はそこでは終わらなかった。

 

【アガッチャ!!

シャカリキ!シャカリキ!バッドバッド!

シャカっと

リキっと

シャカリキスポーツ!】

 

結果、エグゼイドは新たな姿となった。自転車の車輪が両肩に装着され、頭部には自転車用ヘルメットを被ったようなフォルムと化している。

仮面ライダーエグゼイドレベル3・スポーツアクションゲーマーの誕生だ。

 

「そんでもって、コイツを喰らいな!!」

 

そして肩に付いている車輪を片方外し、ブーメランのように勢いよく投擲するエグゼイド。すると車輪は高速回転し、不規則な軌道で飛行。セサミの放った水の塊を、次々と破壊していったのだ。

 

「また奇妙な姿になったと思えば、まさかこんな力を……」

「他にも、パワー特化のゲキトツロボッツにローラースケートで走るジュージューバーガー、複数人でパーツを分割使用するドラゴナイトハンターZ、って具合に色々あるぜ。今回は対人戦だからパワー出せねぇし、あんたの攻撃に対応できるよう飛び道具の使えるコイツでいかせてもらった!」

 

そしてエグゼイドはそのまま手持ちガシャットの説明の後、再び車輪を構えてセサミと向き合うエグゼイド。

 

「そんじゃ改めて……ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!!」

 

そしてお決まりのセリフを叫び、セサミに突撃していくエグゼイド。

 

「でしたら……物量戦で行かせてもらいます!!」

「「「「「く~!!」」」」」

 

直後にセサミが叫ぶと、どこからともなく無数のクロモンが湧いてきた。今回は以前戦った種類だけでなく、コウモリのような翼を持つ大型種”ド・クロモン”もいる。

 

「なるほどボスラッシュ……いや、ゲームアプリのWaveみたいなものか。上等だ!!」

 

しかし、むしろ闘志を滾らせるエグゼイド。再び車輪を投擲し、ガシャコンブレイカーを片手に敵の大群に突撃していく。

小型のクロモンが次々と投擲した車輪に撃破されていき、ガシャコンブレイカーでクロモンナイトやド・クロモンをぶった切っていく。

エグゼイドは終始優勢なままであった。

 

~迅悠一VSカルダモン~

「それじゃあ、悪いけど切り刻まれてもらうよ」

「おっと、こいつは手荒いナンパだな」

 

ナイフの二刀流で迅に駆け寄るカルダモン。そのスピードは魔法で強化でもしているのか、生身の人間とは思えないレベルだ。

 

「残念、読めてたぜ」

 

しかし今、迅が宣言したとおりに突如地面からエスクードによる盾がせり上がって、カルダモンの進路を阻む。そして盾を飛び越えて迅が斬りかかった。

彼の予知のサイドエフェクト。能力の対象は迅が名前と顔、どちらか片方でも知っていることである。カルダモンが迅と対面して、自ら名乗った時点で、その行動はすべて予知され対策される。一対一の面と向かった対決では、圧倒的なアドバンテージである。

 

「やっぱりお兄さん、すごいね。それじゃあ、私もそろそろ本気出そうか」

 

そしてカルダモンはその言葉の直後、走力を跳ね上げて一気に回避した。そのスピードは、常人の動体視力でギリギリ目視可能、なレベルである。

 

「お、こりゃ厄介だな。なら、こうすりゃ…」

 

しかし迅は落ち着いた様子で先ほど出した盾に飛び乗り、それを足場に大ジャンプした。

 

「へぇ、そのまま残せるんだ。なら、私も!」

 

しかしカルダモンも同様に盾を足場にして宙を舞ってしまう。そしてその際、迅を超える跳躍力を発揮し、すぐに追いついてしまった。

 

「残念だったね、お兄さん」

 

そしてカルダモンは手にしたナイフを、無慈悲に迅の胸に突き刺す。

 

 

 

 

「残念、今のおれにナイフは効かないぜ」

「え!?」

「というか、このトリガーって武器を使っている間、おれはそのエネルギー源になるトリオンって力で作った仮の肉体と入れ替わってんだ。そしてこのトリオンには、同じトリオンによる攻撃以外は効かないとされる。まあ、魔法とかは食らってみないとわかんねぇけどな」

「なるほど、私には絶対勝てないってそういうことか……」

 

カルダモンはトリガー使いの、戦闘でのアドバンテージを知らないまま迅に立ち向かってしまった。それに気づいた彼女は、とっさにナイフを引き抜いて迅の体を蹴り、その勢いで地上へと戻っていった。

そして同じく地上に戻ってきた迅に、あることを告げる。

 

「けど、そのトリオンって力も使えば減っていくんでしょ? なら、無くなるまで待てば私の勝ちってことだね」

「お、極論だが勝ち目を見出したか。やるねぇ」

 

そして再び、戦いを開始することとなる。

 

~ルフィVSジンジャー~

「ゴムゴムの槍!」

「うぉっと!?」

 

ルフィは両足の裏を合わせて、その状態で武装色の覇気をまとわせる。そしてゴムゴムの能力で突き刺すように伸ばした。ジンジャーは驚きつつも、どうにか回避。

 

「そらよ!」

 

そしてその足にバットを叩きつけるが、ルフィには大したダメージにはならない。その理由は…

 

「効かねぇよ、ゴムだからな」

「なるほど、衝撃を吸収しちまうわけか…なら!」

 

ルフィの言葉からバットでの打撃は効かないと知ったジンジャー。すると距離を取って、魔力の球を生成する。

 

「食らいやがれ!!」

 

そしてそれをバットで打ち、ルフィへと放ったのだ。しかし、それすらも無駄に終わる。

 

「遅ぇ」

「何!?」

 

ルフィは三つある覇気の内、未使用だった気配を読む”見聞色”の力を発揮。それによって紙一重で回避してしまう。そしてすかさず、ジンジャーの目の前に飛び込んできた。

 

「おらぁああ!!」

「ぐおらぁああああああああ!!」

 

そして再び武装色で硬化した拳で殴り掛かる。ジンジャーも魔力で拳をコーティングし、迎え撃とうとその拳を放った。

 

「うっ!?」

「いっ!?」

 

するとすさまじい衝撃が走り、なんとルフィとジンジャー双方の拳から、血が噴き出したのだ。

実はジンジャーは神殿がある言の葉の樹の麓にある街で、領主を務めている。そして過去にその街で起こった火災を止める際、なんと拳圧のみで火災現場とその付近の家を吹き飛ばす、というでたらめな膂力を発揮したという。

そこに覇気に対抗可能な力が手に入れば、ルフィにも対抗可能というわけだった。

 

「はぁ…はぁ…おめぇ、すっげぇパワーだな。それに覇気にも対抗できる力も持ってやがる」

「私も、そのパワーには目を張るものがあるよ。でも、ちょっと足りねぇかな?」

「みてぇだ。おれのゴムの腕も、ダメージがいってやがる」

 

事態からルフィは自身の方が不利を察する。そして、切り札の一つを使うことを決意した。

 

「だったら見せてやるよ。進化するおれの技をな」

 

言いながらルフィは、左腕を後ろへと伸ばした状態のまま、右手の親指を噛む。

 

「ギア3(サード)……

 

 

 

 

 

 

 

 

骨風船!+武装色・硬化!!

 

そして勢いよく息を吹き込み、体に空気を流していく。そしてその空気が体内を伝っていき、左腕を巨大化させてしまう。そしてその巨大化した拳に覇気を纏わせ、ルフィは構えた。

 

「骨から骨へ移動する空気(パワー)! そして今のおれの腕は、巨人族の腕だ!!」

「空気入れてデカくした腕が、力なんてあるわけねぇだろ!!」

 

しかしジンジャーは見掛け倒しと判断して、迎え撃とうと準備する。覇気に対抗するために、手にしたバットに魔力を纏わせて強度を跳ね上げ、拳圧で火事の街を吹き飛ばす程の筋力を限界まで跳ね上げた。

 

「ゴムゴムの……」

「ぶっ飛べやぁあああああああああ!!」

 

そして両者の拳が激突し……

 

 

 

 

 

象銃(エレファントガン)!!

「な……ぐぇえ!?」

 

しかしその空気の注入で巨大化した拳が、ジンジャーの振るうバットを砕き、そのままジンジャー本人に激突。

その衝撃にジンジャーは遥か彼方へと、吹き飛ばされてしまった。

 

「はぁ…はぁ…悪りぃな。おれ、もっと強え奴に勝たねえといけねぇ。だから、ここで負けてられねえんだ」

 

大技を放ったルフィは、息を切らしながらも己の胸の内を曝け出す。

 

~電王VSフェンネル~

「行くぜ行くぜ行くぜぇえええ!」

「喧しいですわ!!」

 

電王はフェンネルとチャンバラを演じていたが、電王の喧嘩殺法のような型の無い剣技に対して、フェンネルはフェンシング風の素早い剣技。そのため、攻撃は掻い潜られて電王が一方的に斬られていく。

 

「へ。そんな軽い攻撃じゃ、俺は倒せねぇぜ」

「そのようですね。そちらは全身鎧だから、当然かと」

 

しかし普段から人外の膂力を発揮するイマジンと戦っている彼らからすると、フェンネルのスピード主体かつ人間の範疇の筋力から来る攻撃は決定打とはならなかった。

 

「ですが、手数で勝負させてもらいます!」

 

そしてフェンネルは更に攻撃速度を上げ、電王を滅多斬りにしようとするのだが……

 

パシッ

「な!?」

 

一太刀入った瞬間、電王がフェンネルの腕を掴んだ。

 

「これぞ肉を……肉を…………

 

 

 

良太郎、なんて言うんだっけ?」

『肉を切らせて骨を断つ、だよ。モモタロス』

「そうそれだ! というわけで、俺が勝たせてもらうぜ!!」

 

締まらない様子のモモタロスだが、それでもこのチャンスは無駄にしまいと、フェンネルに斬りかかる。

しかし、直後にフェンネルの体が魔力障壁でコーティングされて剣が防がれてしまった。

 

「なにぃいい!?」

「私はアルシーヴ様の盾。故に本質は守りにこそあります」

「てめぇ、卑怯なことしやがって!」

 

まさかの事態に、フェンネルへ不満をぶちまけながら距離を取る電王。そしてすかさす、フェンネルが追撃に入る。

 

「アルシーヴ様のお力になれるのなら、卑怯者上等。例えアルシーヴ様に見限られようと、あの方を守れるのなら構いませんわ!」

 

そして攻撃しながらも、自らのアルシーヴへの敬愛を語るフェンネル。愛の深さとそこから来る力に、電王は徐々に追い詰められていく。

 

 

 

 

 

 

しかし、ここで事態を好転させるまさかの出来事が起こった。

 

『モモタロスばっかりずるい! 僕もそろそろ戦いたいよ!!』

 

どこからかリュウタロスの声が響いたかと思いきや、電王の体に紫の光が降り注ぐ。

 

「うぉお!?」

 

そしてそのまま、モモタロスは電王の体から弾き出され、電王もアーマーが解除されてしまう。電王の素体・プラットフォームへと劣化してしまった。

 

(先程入り込んでいた、赤い魔物が飛び出てきた? まさか、他にもいた?)

『リュウタロス、急にどうしたの?』

「僕も亀ちゃんもクマちゃんも、ずっとデンライナーで留守番ばっかりして、飽きちゃったよ! そろそろ僕も出番が欲しい!」

「おい、小僧! いきなり出しゃばってんじゃねぇぞ!」

 

フェンネルがいきなりの事態に思案している横で、良太郎と彼に憑依したリュウタロス、そして弾き出されたモモタロスが騒ぎ出す。いきなりの事態に困惑するも、すぐに良太郎は決断した。

 

『あの人、たぶん接近戦じゃ不利だと思う。モモタロス、一回リュウタロスに代わってあげて』

「な!? 良太郎、ちょっと待ってくれ!」

『実際、そろそろみんなの力が必要だからさ。わかって?』

「……しょうがねえな。小僧、代わりにちゃんと勝てよ」

「わーい、やったー!!」

 

そしてリュウタロスは歓喜の声を上げ、電王プラットフォームに変じたままの良太郎の体で、ベルトの紫のボタンを押した。するとモモタロスの変身形態・ソードフォームとは違う音楽、どこかダンスミュージックの要素を取り入れた音楽がなった。

 

【Gun Form!】

 

そしてパスをベルトにかざすと、新たなアーマーと電仮面が装着される。

アーマーは装甲が展開して玉を持った龍の両手のようなパーツがつき、電仮面もリュウタロスに因んで髭の生えた東洋龍を思わせる形状となっている。

リュウタロスの憑依形態・ガンフォームだ。

 

「お姉さんのことやっつけるけどいいよね?」

 

そして電王はリュウタロスの声で言いながら、デンガッシャーを組み直しながらダンスのステップを踏み、デンガッシャーはやがて銃へと組み上がった。

 

「答えは聞いてない!」

 

そしてその発言と同時に、無慈悲にフェンネルへと発砲したのだ。

 

「飛び道具!?(姿だけでなく、攻撃手段まで変わるというのですか!?)」

 

まさかの事態にフェンネルは驚愕、攻撃を警戒して防御ではなく回避を取った。

 

「よし、お姉さんをこのままやっつけちゃおう!」

 

そして電王はそのままハイテンションになり、軽快にステップを踏みながらフェンネルを追撃していく。子供っぽい性格のリュウタロスが主人格の形態のため、無邪気な様子で一切の容赦がない辺りが恐ろしかった。

 

~出久VSハッカ~

「ちょ、待って……なんなのこれぇえええええええ!?」

「へむー」

「へむー」

「「「へむむー」」」

「……」

 

ハッカの夢幻魔法に囚われた出久は、学校の校庭のような場所でヘンテコな生き物の大群に追われていた。ペンギンとムー◯ンに出てくるモ◯ンを足して割ったような生き物と、楕円形の体に蛙のような手足の生えた紫の生き物だ。

奇怪な生物に襲われ、出久は恐怖と困惑の入り混じった妙な感情に支配されて逃げ続ける。

 

「これは日向縁というクリエメイトの想像から生まれた存在で、それぞれ砂肝うま太郎と"めんどうくさいという魔物"。聖典に記されてない異世界から来た貴殿の過去を知らぬ故、夢想に捕らえるのでなくこのような手法を取らせてもらった」

 

どこからか聞こえるハッカの声での解説が入り、おかげで生物達の正体はわかった。余談だが、縁達情報処理部がオーダーで呼び出された時、めんどうくさいという魔物が大量発生したそうだ。

 

「そして砂肝うま太郎の最大の特徴は……」

「へ? ……って、うわ!?」

 

直後、出久の目の前にもう一匹砂肝うま太郎が現れるのだが……

『あんまり無理するなよ』

「実は寄ると怖い」

「うわ、ビックリした!?」

 

近寄ってわかったのだが、目はシュメール人のように瞳が異様に大きく、かつ嘴は無駄にリアルだった。加えてこちらに喋りかけてきたような気がしたため、確かに『寄ると怖かった』。

あまりの驚きに出久は尻餅をついてしまう。

 

「いてて……え、地震?」

 

直後に地面が振動したので身構えていると、なんと巨人の姿が目の前に現れた。

古墳時代みたいな髪型にジーパンと上半身裸の、老人のような姿だ。

 

「ワシは、ふくの神じゃ」

「ふ、福の神?」

 

神を名乗る謎の巨人の出現。幸い、それに合わせて砂肝うま太郎もめんどうくさいという魔物も消えたが、あまりの事態に身動きが取れずにいた出久。そんな彼に対してふくの神は……

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前にロンTを百枚やろう」

 

そういった。意味がわからず、出久は混乱する。

 

(福の神がロンT、ロングTシャツ… 福の神がなんで服を……福、いや……ふく?)

 

しかし持ち前の分析能力のおかげで、少しずつ理解していき、そして察した。

 

福の神じゃなくて、服の神だ!!

「正解。しかし油断大敵」

 

叫んだ直後、ハッカが服の神の頭の上から飛び降りながら、札を放って攻撃してきた。

 

「うわ!?」

 

着弾した札は爆発し、出久もダメージを受けてしまう。完全に不意を突かれた攻撃は回避できず、出久に大きなダメージを与えてしまう。完全に向こうのペースに呑まれていた。

そして倒れた出久にハッカは近寄り、突然告げてくる。

 

「そしてもうじき、貴殿は我に敗北する」

「なんで、そんな………あれ? 力が…」

 

ハッカの宣言した直後、出久は突然の倦怠感と睡魔に襲われる。どうにか立ち上がろうとするも、上手く体を動かせない。

そんな彼に、ハッカは律儀に説明してくる。

 

「今回の夢幻魔法は特別性。召喚士以上の脅威を排除すべく、空間内の我以外の人間は徐々に睡魔に呑まれていくようなっている。そして完全な眠りにつけば従来の夢幻魔法同様、死ぬまで目覚めない」

「そ……そん、な………」

 

つまりは夢幻魔法を食らった時点で出久の敗北は決まっていたも同然だったということだ。もっと早く彼女を見つけ、ノシてしまえば出久の脱出はかなったかもしれないが、超人社会の観点から見ても異質なこの状況では、かなりの困難であった。

 

(かっちゃん、麗日さん、飯田くん、轟くん…みんな…お母さん………オール……マイ…ト……ごめ……)

 

薄れゆく意識の中、一緒にエトワリアへ飛ばされた仲間達や同級生達や故郷の母、そして恩師にして最も愛するヒーローたるオールマイトの顔が、走馬灯のように脳裏に浮かんできた。

出久の運命は、風前の灯だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドクンッ

直後、その風前の灯が燃え盛る業火へと変じた。

 

『俺たちが付いているぞ』

『負けるんじゃない』

『希望を捨てるんじゃない』

『お前がワン・フォー・オールを完遂させるんだ』

『君は一人じゃない』

『『『………』』』

 

直後、暗闇の中から複数人の人影が現れた。影なっている二人と揺らめく炎のようなイメージの一人、姿がはっきりわかる人間が五人の、計八人が出久の脳裏に現れた。

それぞれが目元に傷のある青年、口元を隠した黒髪の青年、スキンヘッドにゴーグルの男、凛とした表情にヒーロー風マントの女性、そして白髪で目元の隠れた華奢な青年だ。

出久の個性ワン・フォー・オールに隠された秘密。今現れた面々はそれに関わる人物達だ。

 

「ぐ……うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

「な!? 急に力が増幅……何故!?」

 

それにより出久は目を覚まし、全身に力が溢れる感覚も同時に感じた。それにハッカが驚愕して距離を取ると、いきなり出久は腕を突き出した。

 

黒鞭(クロムチ)!!」

「な、動けぬ!?」

 

直後、出久の腕から黒いエネルギーのようなものが伸び、ハッカが逃げきる前に体を拘束した。そして勢いよく引き寄せ……

 

「ごめん、僕も負けられない理由があるんだ」

「がはぁあ!?」

 

引き寄せられたハッカの鳩尾に、左拳を叩き込んで意識を刈る。その直後、空間が振動を始めた。

 

「たぶん、これで現実に戻れる筈……先代継承者の個性、今使えた? ライネさんに頼んで、ちゃんと訓練してみるかな」

 

意味深なことを言いつつ、結果は出久の逆転勝利となった。

 

~承太郎VSアルシーヴ~

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!』

 

魔力による弾幕を張るアルシーヴに対し、スタープラチナのラッシュでそれを撃ち落としながら突撃する承太郎。

 

「ならば、これでどうだ!!」

 

すると今度は、空から雷撃が放たれた。どうやらアルシーヴは、全力で承太郎を潰すつもりのようだ。

 

『オラァアアア!!』

 

しかしいきなりスタープラチナがパンチを放ったと思いきや、なんとその雷撃が相殺された。

 

「ふむ。確かそのスタンドとやら、己の魂を守護者の姿で実体化させた存在だそうだな…それだけ強靭な魂なら、魔力による攻撃も相殺可能ということか」

「まあ、そういうことだろうな。正攻法でやり合うには、そっちが不利なんじゃねえか?」

 

アルシーヴの推察を肯定する発言をした承太郎。しかしそれを聞いても彼女は折れる様子を見せない。

 

「ならば、いくらでも攻撃する手段はある」

 

その時、なんと承太郎を中心に辺り一帯の地面から黒い魔力があふれ出した。

 

「承太郎さん、それはアルシーヴさんのとっておきの魔法です! 早く逃げてください!!」

「もう遅い。このまま塵となれ、空条承太郎!!」

 

きららが必死に呼びかけるが、あっという間に魔法の発動準備ができてしまう。回復して全盛期の力を取り戻したの彼女は、大規模な攻撃魔法の発動も容易なようだ。

 

ダークマター!!

スタープラチナ・ザ・ワールド!!

 

しかし、アルシーヴが技名を叫ぶと同時に、承太郎も叫んだ。

彼の切り札、時間停止の発動キーを。

 

 

 

その時、確かに時は止まった。アルシーヴだけでなく、きららもランプも、士も。この場にいる人間で、唯一承太郎だけが動けていた。

そして承太郎は、そのまま一気に走り抜けて安全圏=アルシーヴの懐へと飛び込んだ。

 

「そして、時は動き出す」

 

そしてその言葉と同時に、時間停止のリミットが経過。動き出すと同時に、アルシーヴのダークマターも攻撃対象のいないまま発動してしまった。

 

「!? なぜ、お前が私の傍に…」

「確かにてめぇは強い。だが、俺も負けるわけにいかねぇんでな」

『オラァアアア!!』

 

流石に動揺を隠せなかったアルシーヴだが、承太郎はそれでも容赦なく、彼女の首根っこをスタープラチナの左腕で掴もうとする。

 

「舐めるなぁああ!!」

 

しかしゼロ距離で魔力を暴発させ、その爆風に乗ってアルシーヴは離脱する。

 

(強い……彼らの力、我々よりも遥かに攻撃力……いや殺傷力が高い。どんな環境になれば、人間はあんな能力や技術を身につけられるというのだ?)

(今のはヤバかったが……こいつ、おれ達の世界に比べたら比較的軟弱なこのエトワリアで生まれ育ちながら、戦闘力はかなり高え。曲がりなりにも世界の統治者を補佐していただけはあるな)

 

互いに予想外の戦闘力に、アルシーヴも承太郎も警戒モードに入る。その様子に思わず、士もきららもランプも、見入ってしまう。

 

「あいつ、人間の強さを見せるとは思っていたが……これは想像以上だな」

「アルシーヴさんと一対一で互角だなんて……」

「す、凄すぎます」

「承太郎は黄金の精神を宿してあるんじゃから、まあ当然じゃろうな」

 

するとそんな三人に、いつの間にかジョセフが近寄ってきて声をかけてくる。戦闘の真っ只中で、この場所まで突っ切ってきたらしい。

しかしその一方、きららはジョセフの口にしたワードが気になった。

 

「黄金の精神? ジョセフさん、それって一体?」

「儂の持論じゃが、どんな逆境にも屈さず立ち向かう、"正義の輝きの中にある偉大なる精神"とでもいうのかの。儂達はDIOを倒すための旅の最中、それを自分の中に見出したんじゃ」

 

そしてきららに説明した後、今度は士に視線を向けて告げた。

 

「士君、実は儂も君たち仮面ライダーや他の異世界の戦士達の話を聞いて、その黄金の精神を感じてあったのじゃ。だから、仮にランプちゃんやクリエメイトの嬢ちゃん達があのまま認めんでも、儂は君たちを認め、絶対に見限らんつもりでおった。そこだけは信じてくれ」

 

そう、強い意志の篭った目で告げるジョセフ。それに対して、高さは返すのだが……

 

「お褒めに預かり光栄だが、一つ訂正することがある」

「なんじゃ?」

「俺達仮面ライダーが戦う理由は、正義じゃない」

「え? じゃあなんで……」

 

まさかの返しに、士達を信じようとしていたランプが問いかけるが、士も強い意志の篭った目で告げた。

 

「俺達は"人間の自由と平和を守る為"に戦っている。これは仮面ライダー1号・本郷猛が戦いの初めからずっと言っていることだ」

 

そしてそれに対し、

 

「ふはははははは! 正義じゃなく自由と平和をか! こりゃ、一本取られたわい!」

「すごい……これが、気高さっていう物なんですね…」

「なんだろう……皆さんを疑ってた昨日の自分にお説教したいです……」

 

ジョセフは気に入り、きららは感心、ランプも昨日の自分を思い出して自己嫌悪に陥る、という事態に。いずれにしても好感触なようだ。

 

しかしそんな中、この空気とアルシーヴ達との戦いは、中断せざるを得なくなった。

 

「ぎぎゃおおおおおおおおお!!」

「な!?」

「魔物か? だが、これは……」

 

突如、承太郎とアルシーヴに向かって巨大な二足歩行するカブトムシのような魔物が現れたのだ。承太郎は超巨大な敵に、アルシーヴは見たことない種類の魔物に驚愕。しかしそんな二人に対し、魔物はその腕を振り下ろそうとしていた。




ハッカの魔法は、ブラッククローバーで出てきた夢魔法・幻惑の世界(グラマーワールド)を参考にしました。幻に囚われるストーリーって、どう書けばいいかわからず、ついやってしまいました……
しかし砂肝うま太郎と服の神が書けたのでこれで行こうと決めました!

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