仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア   作:玄武Σ

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本編開始となりますが、注意点があります。
本作はアイズオブヘブンの再構成という要素を入れているため、ライダーとジャンプの双方に時系列の調整があります。
ジオウに力を継承されたライダーも普通に変身しますし、ジャンプも既に死んだ敵の再登場とか普通にあります。また、先の展開を予想入れた展開や、アニメオリジナルで終わった作品の後日談ということもあるので、そういったものが苦手な方は不快に感じるかもしれません。
それでも構わないという方は、どうぞ。


第1話「接触・破壊者と白金と召喚士」

エトワリア

緑豊かで魔法や魔物が存在する、所謂ファンタジーの世界。この世界はソラという女神が統治し、彼女の書き綴った聖書を読むことで人々はクリエと呼ばれる力を得て生きている。この世界の魔法もこのクリエを源に使用している。

 

しかしその女神ソラは現在、魂を封印されてしまっている。

その犯人は女神ソラの補佐でもある筆頭神官アルシーヴ。アルシーヴは女神の封印後、聖典の登場人物でクリエを生み出せる異世界の住人「クリエメイト」を無理やり召喚する禁呪オーダーを行使した。

その事実を知った一人の少女は、神殿を抜け出してそれを阻止すべく、ある存在を探すことにしたのだった。

 

オーダーと対を成す伝説の召喚魔法コールを使える、召喚士を。

 

 

 

とある町を訪れている、二人の少女がいた。

少女はそれぞれ、白を基調とした服に一冊の本を携えた幼い少女と、星形の髪留めに黒いマントと大きな杖という魔法使いのようないで立ちの少女だ。

この二人の少女がそれぞれ、アルシーヴの謀反を知ったランプと、コールを発現させた召喚士のきららであった。

 

「きららさん、ここがそうなんですか?」

「うん。この町の周辺でパスのような不思議な感覚がしたんだ」

「明確にパスと言えない何かか……警戒した方がいいかもしれないね」

 

きららの言葉に対して忠告したのは、白い猫のようなヘンテコな生物だった。この生物はマッチといい、ランプの保護者を自称する謎の存在である。

しかし保護者を名乗るだけあって良識や思慮はあるため、行っていることはまともだ。そんなマッチの言葉に注意しつつ、一行は街を見て回る。

そんな中、きららはあるものを見てそのまま立ち止まってしまう。

 

「きららさん、どうかしましたか?」

「うん。あの人が気になって……」

 

そういうきららの視線の先には、一人でカメラを片手に佇む青年の姿があった。門矢士である。

 

(今まで感じたことのないタイプのパス……なんだろ、この人?)

 

きららが先程から口にしているパスという言葉だが、これは彼女の生まれつきの能力に起因する。彼女には人同士の繋がりを感覚で感じ取るという不思議な力があり、コールを発現させたのもそれが原因ではないかとマッチは推察している。その繋がりこそがパスで、それが士からは奇妙な感覚として感じられたそうだ。

その感覚が何なのか気になってしまい、きららは士に近寄っていく。そしてそんな彼女にランプもついていく。

 

「あの、何をしているんですか?」

「ん? 見たことない景色だからな、写真に撮って納めておこうと思っただけだ。って、何だガキか」

「が、ガキって!? いきなり失礼ですねあなた!?」

 

いきなりの士の発言に、当然ながらランプも文句を言う。

 

「なんだ、どっからどう見てもまだケツの青いガキだろ。それとも、最近流行りのロリババアってやつか? 見た目に反して何百年も生きてるとか」

「私は人間で、見たまんまの年齢です! 私が言いたいのは、言葉使いが汚いとかそういう意味で言ったんです!!」

「まあまあ、ランプ抑えて。お兄さんもあんまり煽らないでください」

 

士の遠慮のない物言いにランプもつい憤慨してしまうため、きららは仲裁に入る。すると今度はマッチが士の前に出てきた。

 

「君、ランプがすまなかったね。保護者として代わりに謝罪するよ」

「……」

 

マッチを静かに見つめ、そのまま無言で写真を撮り出す士。

 

「君、いきなりどうしたんだい?」

「いや、この世界にはヘンテコな生き物がいるんだと思ってな。写真に残しておこうと思った。光栄に思いな」

「謝罪の直後であれだけど、君偉そうだし結構失礼なこと言うよね」

 

士の物言いに前言撤回するマッチだったが、きららは士の口にしたあるワードに反応、会話に割って入りそれに対して言及する。

 

「あのすみません。"この世界"ってことは、貴方は異世界からいらっしゃったんですか?」

「なんだ、この世界は異世界について認知されてるのか。ああ、俺は様々な世界を巡る旅をしている。尤も、行き先は自分で決められんがな」

「そうだったんですか。あ、私きららって言います。少しこの町で調べ物をしていて、良ければ話を聞かせてもらっても……」

 

そしてきららは士の素性と彼の不思議なパスから何か知っているかと思い、彼に聞き込みをしようとしたのだが……

 

 

 

 

 

 

 

「おい、そこの野郎。ちょっといいか?」

 

また新たにこちらに声をかける人物が現れた。2メートル近い高身長に長ランを着た高校生ほどの男、空条承太郎であった。

 

「野郎ってことは俺か。急に出てきて威圧的な態度、気に入らんな」

「テメェみてぇな奴に礼儀なんてもんいらねぇだろ。こんな世界に俺を引きずり込んで、何が目的だ?」

「引きずり込んだ? お前も日本人っぽいが、いきなり何言ってんだ?」

 

威圧的な態度で士に突っかかる承太郎。当然身に覚えもないので問いかけるのだが、理由はすぐに彼の口から語られた。

 

「とぼけんな。この町の住人はドラクエみたいな典型的なファンタジーの服装してやがるが、てめぇだけは日本人丸出しの顔に現代的な服装……となればてめぇが、俺をこの世界に引きずり込んだスタンド使いってこと以外考えられねぇ!」

 

承太郎は自分がいるファンタジー丸出しなこの世界に対して、当然警戒していた。そんな中で承太郎は自分の常識に当てはめて、士を敵スタンド使いと断定したようだ。

宿敵DIOのスタンドは時を止め、他にもスタンドそのものが擬似太陽だったり、夢への侵入能力があったり、など強力かつ奇怪な能力が多いスタンド能力。故に空間転移の類もあるのだろうと解釈した。そしてそんな中で士を発見し、彼がそのスタンド使いと判断したというわけである。

 

「何だスタンド使いって? それにドラクエもいいが例えにするには古すぎやしないか? 21世紀なっても続いている人気のシリーズなのは認めるが……」

「あ? 何言ってんだてめぇ、まだ20世紀の真っただ中だろ。21世紀なんざ10年以上は先の話だぞ!」

 

士が旅してきたライダーの世界はどれも2000年代〜2010年代と、21世紀に入って数年は年は経過している。しかし承太郎は1987年、つまり昭和の末と士のいた時代からかなり離れていたのだ。

その食い違いのせいで、二人の問答が熱を帯びてしまい、互いの印象を悪くしてしまう。見かねたきらら達は仲裁に入ろうとする。

 

「あ、あの……少し落ち着いて欲しいんですが…」

「そうですよ! こんな往来で喧嘩なんて……」

 

 

 

 

 

 

 

 

やかましい! うっとおしいぞこのアマ!

「あ、アマ!?」

「も、もっと口の悪い人が……」

「俺は女が騒ぐとムカつくんだ! 少し黙ってろ」

 

いきなりの承太郎の暴言に、きらら一行も驚愕。その後は彼女たちを無視して、再び士に向き合う承太郎。

 

「そこまでシラを切るなら仕方ねえ……武力行使だ」

「聞く耳なしか……まあいい。喧嘩を売る気なら買ってやる」

 

直後に承太郎の周囲の空気が張り詰めていき、その様子に士も奇妙な形状の機械を取り出し、腹部に当てようとする。

士は承太郎の言動から、彼が少なくとも一般人では無く何か特殊な力を持っていると察したため、手加減なしという判断であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃああああ!?」

「みんな逃げろ! 奇妙な集団が街を襲ってきたぞ!!」

「魔物みたいなのを連れていたわ! 急いで逃げて!」

 

突然上がる悲鳴に、士も承太郎も気を取られてしまい、戦闘態勢を解く。

 

「何だ? 魔物だと?」

「少なくとも人外の敵がいる世界のようだな…おい、喧嘩は後だ。様子を見に行くぞ」

「な……てめぇ待ちやがれ!」

「ランプ、私たちも行くよ!」

「わかりました!」

「気をつけたほうがいいよ。町中に魔物が堂々と入り込むなんて、異常だからね」

 

そのまま士は戦闘を放棄して人々が逃げる方向と逆の方へと進んでいく。そしてそれを追う承太郎と、更にそれを追うきらら一行。

その先に見たものは……

 

 

 

 

 

 

 

 

「行け、あのお方の忠実なる僕、オーバーヘブンショッカーの戦闘員達よ! まずはあれを探すための拠点を築くべく、この町の住民どもを捕らえて奴隷にするのだ!!」

「ガウ!」

「「「イー! イー! イー!」」」

「「「イー! イー! イー!」」」

「はっはははははは! 泣き叫べ、そして恐怖せよ! 命が惜しくば我らのいいなりになるのだ!!」

 

骸骨を思わせる模様の入った全身黒タイツの集団が、人々を襲っている光景だった。集団は片手にグルカナイフを持ち、逃げ惑う町の住民を、老若男女問わず追いかけては暴行を加えている。

そしてそれを率いるのは、見た目からして普通じゃなかった。褐色肌に赤い中東風の衣服を纏った男、一匹のボストンテリア、そしてカタツムリの殻を背負った二足歩行するチーターという1人と2匹である。

 

「な、何ですかあれ!? あんな魔物、見たことない…」

「人を、襲っているんですか?」

「大多数は人間みたいだけど、あまり穏やかな雰囲気じゃないね……」

 

きらら一行は予想だにしない光景に戦慄するも、この集団に見覚えのある士はその正体について簡単に説明してやることにする。

 

「ショッカーの怪人と戦闘員だ。ショッカーは俺がいろんな世界で仲間と戦ってきた、いわゆる悪の組織って奴だ。何度壊滅させても復活して、時には名前も変えてきたりしたが……こんなところにまで出てくるとはな」

「……」

 

士がショッカーについて説明している横で、承太郎は明らかに動揺している。その視線は戦闘員達を率いる男と犬に向いているようだった。

 

「どうした? あいつらに何かあったのか?」

「ああ。アイツらはモハメド・アヴドゥルとイギーっつってな……死んだはずの俺の仲間だ」

 

承太郎はDIOの本拠地に乗り込んだ際、自身を含めた五人と一匹のスタンド使いでチームを組んで乗り込んだ。しかし二手に分かれて乗り込んだ際に、DIOと彼の側近ヴァニラ・アイスと交戦。結果、目の前のアヴドゥルとイギー、そしてDIOとの対決時に花京院典明という仲間が戦死することとなった。

その筈が、その死んだ仲間が悪の手先を率いているという事態に、流石の承太郎も驚きを隠せずにいた。

 

「「イー!」」

「おらよっ!」

「ふん!」

「「イー!?」」

 

承太郎が驚いていると戦闘員がこちらにも近寄ってきたため、士の回し蹴りと承太郎の鉄拳で撃退する。

 

「あ、危なかった……」

「ありがとうございます」

「ん? 戦闘員達よ、一旦止まれ!」

 

きらら達が士達に礼を言うと、アヴドゥルがこちらに気づいて戦闘員達を止める。

 

「貴様らはディケイドと空条承太郎……あのお方が最優先に抹殺せよと仰っていた危険分子!」

「ガウ!」

 

そのアヴドゥルの言葉と同時に、彼はイギーとともに凄まじい殺気と紫の不気味なオーラを放ち臨戦態勢に入る。

 

「アヴドゥル、イギー……無事に再会できたってのに、その殺気と今の発言はどういう了見だ?」

「再会? 何を言ってるんだ、貴様は? 貴様とそこの男、門矢士こと"世界の破壊者ディケイド"はあのお方が率いられる、オーバーヘブンショッカーの障害、それも最大の危険分子だ! 今この場で、まとめて始末してやる!!」

「ちっ。聞く耳なしか」

 

アブドゥルの反応に悪態をつく承太郎。しかしその一方、きらら達はアヴドゥルの口にした士の呼び方が引っかかってしまう。

 

(世界の、破壊者? 何言ってるの、この人)

(門矢士というのが名前みたいですけど、ディケイドって何でしょう?)

 

しかし2人の思案など気にすることなく、アブドゥルとイギーは自身の能力を発動する。

 

「ここで果てるがいい、空条承太郎とディケイドよ!

マジシャンズレッド!」

「ガーウ(ザ・フール)!!」

 

その叫びと共に、アブドゥルとイギーの背後から何かが現れた。

アヴドゥルの背後から現れたそれは赤い体に鳥の頭をした人間が、炎を纏うという異形の姿である。対するイギーも、仮面を被った後ろ足がタイヤになっている四足獣という奇怪な姿の何かを呼び出した。

 

「な、なんですかあれ……あれも魔物? まさか、あの人もコールかオーダーを」

「ランプ、違うよ」

 

呼び出された何かを目の当たりにしたランプはそれを召喚された存在と勘違いしていたが、きららはパスを感じ取る力ゆえか、その正体に感づいたようだ。

 

「あの男の人達と呼び出された何かからはパスを感じない、というよりも呼び出された方もあの人達の一部というか、同一人物みたいな感じがするよ。分身とか、そういうものなんじゃないかな?」

 

そう。きららの指摘した内容、これこそがスタンド能力。魂のヴィジョンとも称され、能力者自身の魂が守護者の形をとって実体化したもの。そして超能力が形を持った様な存在である。

故に本来、スタンドはスタンド能力を持つ生物にしか視認できないはずなのだ。なのにきららやランプにも普通に見えているので異常である。

 

「……ほう、どうやらそいつらがスタンドとやららしいな」

 

士にも普通に見えていたが、特に驚いている様子はない。士も様々な世界を旅してきたのだから、異質な存在には慣れているといったところだろう。

 

「……やれやれ、どうやらこの場にいる全員に見えてるらしいな。全員がスタンド使いってのは考えにくいし、ここが異世界だからって方がありえそうだ」

「そうらしい。この俺様ですらこの世界に来てから、急にスタンドが見え始めたからな」

「チーターカタツムリ、無駄話はするな。今はディケイドと空条承太郎を抹殺することだけを考えろ」

 

アヴドゥルに諌められ、二足歩行するチーター=怪人チーターカタツムリも戦闘態勢に入る。そして士も承太郎も、その様子から戦闘態勢を取るのだった。

 

「状況はいまだに把握できてはいないが、今あの二人が敵でてめぇも俺も狙われているのはわかった。ひとまず共闘するが、まだ完全には信用してねぇとだけ、忠告しておく」

「ああ問題ねぇ。俺もお前のことはまだ信用してないからな」

 

ひとまず共通の敵ができたため、共闘を了承する二人。そして最初に動いたのは、承太郎であった。

 

「スタープラチナ!」

 

承太郎が叫ぶと同時に、彼のスタンドが現れた。屈強な肉体の長髪の男の姿で、深紅のマフラーに肩アーマー、そしてサークレットを装備という出で立ちだ。承太郎自身のオーラも相まって、仮面ライダーのそれとは異なる「神話のヒーロー」とでもいうべき姿をしていた。

 

タロットカードの星を暗示する、まさに無敵のスタンドというべき強大な力が今ここに降臨した。

 

「ほぉ、それがお前のスタンドとやらか。戦力としては申し分なさそうだな」

「まあ、殴る蹴るしか能のない力だが、強力ではあるな。戦うなら、てめぇもそろそろスタンドを出せ」

 

どうやら承太郎はまだ士をスタンド使いだと思っているらしく、それを強要してくる。

 

「俺に関してそっちが納得するかはわからんが、俺はスタンド使いじゃない。俺は…」

 

そして士は少し間をおいて、慣れた様子で告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ」

 

そう言い士は腹に先程の奇妙な形状の装置を腹部に充てると、それからベルトが伸びる。変身ベルト"ディケイドライバー"だ。そしてカードホルダー、正式名称".ライドブッカー"から一枚のカードを取り出す。それは最初にエトワリアに来た時に見ていたカードであった。

 

「仮面ライダーだぁ? やれやれ……てめぇ、確かにショッカーが出てきたが、テレビのヒーローの名前出してふざけてんじゃ…」

「変身!」

 

承太郎の言葉を遮り、士はそのワードを声高々と告げた。そして取り出したカードをディケイドライバーのバックルに挿入する。

 

【Kamen Ride DECADE!!】

 

ベルトから電子音声が流れると、士の周囲に九つの紋章が現れ、そこから発せられた光の玉が士を包む。するとその体は全身を黒い甲冑に覆われ、 やがて顔にバーコードを彷彿とさせる線状のパーツが付けられると、黒かった体はトイカメラと同じマゼンダに変わったのだ。

 

「な、何ですかこれ?」

「見た目が変わりました……」

「わぉ、すごいもの見ちゃったね…」

「……確かに、仮面ライダーに見えなくもねぇな、こりゃ」

「さっきの物言いからして、お前は仮面ライダーが創作物になってる世界から来たのか。で、少しは信じる気になったか?」

 

士の変身にきらら一行も承太郎も驚きを隠せない。

その姿は変身に使うベルト、全身を覆う甲冑、目の部分が複眼になっているマスク。1号がバッタの能力が付与された改造人間という出自故か、一部の例外を除いて皆が一様に複眼付きのマスクというフォルムをしている。まさに仮面ライダーの特徴を兼ね備えていたのだ。

 

これこそがかつて「世界の破壊者」と呼ばれし"仮面ライダーディケイド"の姿であった。

 

「まあ、異世界なんてものがあるなら仮面ライダーがいてもおかしくねぇのかもな。ともかく、いくぞ」

「あぁ、こっちも問題ねぇぜ」

「「いけ、総攻撃だ!」」

『『『イー!』』』

 

ディケイドと承太郎が駆け出すと同時に、アヴドゥルとチーターカタツムリが戦闘員達に号令をかけて突撃してくる。

 

「てや! はぁ! おりゃ!!」

 

ディケイドは迫って来た戦闘員の一人にパンチを叩き込み、吹き飛ばして次の戦闘員に蹴りを叩き込む。そしてそいつが吹き飛べば、また次の戦闘員にハイキックを放つ。

高い格闘能力とt単位の破壊力のパンチやキックは、生身の人間には必殺の破壊力だ。それを生身の人間より強靭とはいえ、数で攻めるために力を比較弱くして作り出された戦闘員では歯が立たなかったのだ。

 

『オラ! オラオラ! オラ!!』

 

一方の承太郎も、スタープラチナの屈強な拳から放つパンチラッシュで戦闘員達を蹴散らしていく。

スタープラチナのパンチ速度はプロボクサーの倍以上、しかも超高速かつ超精密な動作で繰り出す攻撃は直接戦闘用のスタンドとしては桁違いである。かつては乗っていた車が衝突しそうになったトラックをパンチ一発で吹き飛ばしたこともあるため、下手をすればライダーの攻撃力にも匹敵しある力である。

 

【Attack Ride Slash!】

「てやぁあ!」

「「「「イー!?」」」」

 

ディケイドはライドブッカーを剣に変形させ、いつの間にか取り出したカードをベルトに挿入。刀身にエネルギーを纏わせ、複数の戦闘員をまとめて斬り伏せた。

ライドブッカーはディケイドの力の源であるカードを格納すると同時に、剣と銃に変形する万能武器でもある。しかも銃は、三次元空間に存在しないとされるクラインの壺から無限に供給されるエネルギーのおかげで、弾切れしないのだ。

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!』

「「「「イー!?」」」」

 

そしてスタープラチナもさらにラッシュの勢いを増し、一瞬にして数十発のパンチを戦闘員達に叩き込む。しかもその全てが命中した。撃ち漏らしが無かったのだ。

スタンドにはステータスパラメーターが存在し、射程が短い物は破壊力とスピードが高く、逆に射程の長いスタンドは低くなる傾向だ。スタープラチナは前者でパワーとスピードは勿論だが、同時に高い精密性も合わせているのだ。それは肉眼では見えない大きさの敵スタンドを、潰さないようにして指でつまむと言うと芸当をやってのけるほどである。

尤も、スタンドには特殊能力を持つものが多いため遠距離型でも攻撃が得意なものは存在するため、一概に弱いとは言い難い。

 

「中々のパワーだな。スピードと手数も桁違いってとこだ」

「てめぇこそ素手でも剣でもやれるあたり、かなり戦い慣れてるようだ。で、雑魚はそろそろ終わり…」

「クロスファイヤーハリケーン!」

 

戦闘員をあらかた片付けたところで互いの実力を認め合っていると、アヴドゥルがスタンドで攻撃して来た。

マジシャンズレッドは炎を操る能力のスタンドらしく、それによって十字架の形をした炎の塊をこちらへ撃ち出して来たのだ。

 

「って、危ねぇな! 喰らえ!」

 

しかし咄嗟に二人は回避し、ディケイドはライドブッカーを銃に変形させてマジシャンズレッドに発砲する。しかしなんと、マジシャンズレッドに銃撃が効かない、というか攻撃自体がすり抜けてしまっていた。

けっこう異質な力になれていたディケイドも、これには流石に驚いた!

 

「な、嘘だろ⁉︎」

「マジで知らねぇのか、おい! スタンドは魂のヴィジョンだから、同じスタンドでの攻撃でしか倒せねぇ! てめぇがスタンドを倒すには、能力者本人を直接叩くしかねぇぞ!」

「おい、そういうことは先に言え‼︎」

 

承太郎から成されたスタンドの説明に、思わず悪態を吐くディケイド。そんな中、今の攻撃で出来てしまった隙を突き、イギーとチーターカタツムリがきらら達に迫り来ることとなる。

 

「イギー、今のうちにあの小娘を人質にしてディケイドどもを袋叩きにしてやるぞ!」

「(ああ、正攻法じゃ勝てそうもねぇからな。それでいくぞ!)」

 

動物型の怪人ゆえか、イギーと意思疎通して作戦を練るチーターカタツムリ。そしてその牙がきらら達に向けられようとしていた。

 

「おい、早く逃げろ!」

「大丈夫、私も戦えます!」

 

直後、きららが手にした杖を振りかざすと、そこから光が発せられて何かが現れる。

 

「……は?」

「な、なんだソイツら……?」

 

ディケイドも承太郎も困惑してしまう。何故ならきららは召喚と思しき技を使ったのだが、それによって召喚されたのは中学〜高校生と思しき少女達だったのだ。

赤、青、黄色と信号機を彷彿とさせる髪色の三人組と、小学生ほどの身長の小柄な少女、そしてどこか天然なオーラを放っている少女であった。いすれも軽装の鎧やらフリル付きの服やら聖女風のドレスやらと、ファンタジーな衣装を纏っている。

 

「うぉっと! いきなりすごいのが来たね‼︎」

「何にしても、るんちゃんたちに手を出すなら許さない」

「ぐへぇ!?」

「ガゥア!?」

 

赤髪の少女が猫耳の付いたハンマーでチーターカタツムリを、小柄な少女がバットでイギーを殴り飛ばす。

 

「きらら、呼ばれて早々あれだけど、何あの化け物と犬?」

「あそこのピンクっぽい全身鎧の人によると、異世界から来た悪者だそうです! あとあの犬の背後にいる怪物は直接は攻撃できないそうなので、呼び出している犬を直接倒してください!」

「トオルは普通に吹っ飛ばしてたけど、なんかやりづらいな……まあ、悪者なら遠慮しないでいいか」

「オッケーだよ、きららちゃん。唯ちゃん、私たちも行くよー」

「じゃあ、私はいつも通り回復に回るね」

 

そのまま唯と呼ばれた黄色い髪の少女が槍を手にチーターカタツムリに向かっていき、残る青髪の少女も目の前に浮かべているオーブからエネルギー弾を発射し、イギーを牽制する。

予想だにしない光景に、ディケイドも承太郎も呆然とする。

 

「な、何だ今の? いわゆる召喚魔法って奴か?」

「それにしても、女しかいねぇぞ。戦力として大丈夫なのか?」

「何を言うんですか⁉︎ あの方達は、この世界の聖典に記されている異世界人"クリエメイト"なんですよ! あなた達なんかよりずっと凄いお方なんですから‼︎」

 

ディケイド達の物言いに憤慨しながら反論するランプ。

女神ソラの記す聖典。これに記されている物語はいずれも実在する異世界の出来事であり、そのため聖典の登場人物はクリエを生み出す者としてクリエメイトと呼ばれている。そしてきららの行使する召喚魔法コールは、このクリエメイト達に呼びかけて異世界から召喚し、その力を借りる魔法なのだった。

しかしクリエメイトはその大多数を女性、それも10代後半の若い少女やその周りの大人(姉妹や学校の先生)が占めている。なのでコールで呼ばれるのも必然的に女性ということなのであった。

 

「クリエメイト?……そうか、あの小娘が伝説の召喚士! ディケイド と承太郎に並ぶ危険分子か!!」

 

しかしランプの言葉を聞いたアヴドゥルは何かを思い出し、それできららに視線を向ける。今の言動から、彼女にも攻撃を仕掛ける気のがわかった。

 

「クロスファイヤーハリケーン・スペシャル! 召喚士を焼き尽くせ!!」

「「まずい‼︎」」

 

先ほどマジシャンズレッドの放った十字架型の炎、それが連発してきららへと発射される。流石にマズイとディケイドも承太郎も感じ、二人はそれぞれ行動を起こした。

 

【Kamen ride KIVA‼︎】

【Form ride KIVA Basher‼︎】

 

別の仮面ライダー、コウモリを彷彿とさせるマスクのライダーが描かれたカードをディケイドライバーに挿入すると、電子音声が流れるとともにディケイドの姿もカードに描かれたライダーに変化する。

そして立て続けに別のカードを挿入すると、右腕が緑色でヒレのような意匠のある形状に変化、そしてその手には緑色の銃が握られている。

ライドブッカーに保管されているカードの中には、他の世界の仮面ライダーの姿と力を借りる物が存在し、ディケイドはそれでファンガイアと呼ばれる吸血鬼種族の王"仮面ライダーキバ"の姿と力を借りたのだ。

 

「炎には水ってな!」

 

そしてディケイドは銃から水の塊を連射して、炎を次々と撃ち落としていく。しかし攻撃が激しかったためか、撃ち漏らしもあった。

しかしそこに承太郎が次の行動へと入った。

 

「スタープラチナ・ザ・ワールド!」

 

承太郎が叫ぶと同時に、なんとディケイドを含めた周囲にある人物の動きが止まった。というより、マジシャンズレッドの放った炎までが静止しているのだ。

 

DIOとの決着時に承太郎が発現したスタープラチナの最後の力、時間停止だ。元々時間停止はDIOのスタンドであるザ・ワールドがその力を使っていた。ザ・ワールドはタロットカードの世界を暗示し、世界を支配する力としてこの力を発現したのに対し、スタープラチナはその超スピードが光の速度を超えることで時間を停止するのだ。

 

そして静止した時間の中を承太郎は走り、ディケイドの撃ち漏らした炎の前に立ちはだかる。

 

「てめぇがいくらか撃ち落としてくれたおかげで、少し楽になった。感謝する」

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」

 

聞こえていないディケイドに対して礼を言うと、そのままスタープラチナのパンチラッシュを残りの炎に叩き込んだ。

 

「そして時は動き出す」

 

最後に承太郎のその一言で時間停止の限界が訪れ、周囲が再び動き出した。

 

「な!? いつの間にそんなところへ…」

流星指刺(スターフィンガー)!」

「うぐっ!?」

 

アヴドゥルが動揺した隙をついた承太郎は、スタープラチナの人差し指と中指に力を集中し、その二本の指を伸ばして刺突を放った。それは瞬間的に何メートルも伸び、マジシャンズレッドの肩に突き刺さる。魂のヴィジョンであるスタンドはダメージが本体にも直結するため、アヴドゥルも肩を負傷することとなった。

 

「(あの様子、まさか時間を止めたか?)そのブ男は任せた。俺はショッカー怪人を叩いてくる」

【Form rider KIVA Garuru‼︎】

 

ディケイドは仮面ライダーの中にも時間停止を使う存在がいたため、承太郎の行動の正体に気づいたようだ。しかし今は敵を倒すことに専念し、新たなカードをディケイドライバーに挿入し、別の姿になる。

今度は左腕が青く、武器は狼の顔の意匠のある曲刀だ。そしてその姿になったディケイドは、俊敏な動きできらら達の元へと駆けつける。

 

「よし、ここからは俺も加勢する。ありがたく思え」

「あ、どうも。さっきの攻撃も含めて、ありがとうございます」

「あんた何者? テレビの変身ヒーローみたいな見た目だと思ったら別のヒーローになったし…」

「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ」

 

素直に礼を言うきららと疑問に感じて問い尋ねてくる唯に対して、ディケイドは先ほど承太郎に告げたことと同じことだけ言ってチーターカタツムリに斬りかかる。

 

「くそ、アヴドゥルめ。偉そうなことを言っておいてあのざまか。やはりいくら能力を持とうと生身の人間には荷が重いと言うわけか」

「お前味方のくせに、辛辣なこと言うんだな」

「ガゥア!」

 

チーターカタツムリと斬り合っていると、イギーがザ・フールを出したままディケイドに飛びかかる。するとザ・フールの体が砂と化して槍の形状を作り出して落ちてくるので、咄嗟に回避した。

 

「砂になるのがそのスタンドの力ってわけか。なら、砂は音に弱いってな!」

ガァアアアアアアアアアアアアア!

「グゥァアウ!?」

「うごぉおお!?」

 

直後に手にした剣ガルルセイバーの狼の意匠から、咆哮の様な音を立てて衝撃波が放たれる。イギーとチーターカタツムリをまとめて吹っ飛ばし、大きなダメージを受けたことでイギーもザ・フールを解除してしまう。

 

「すごいよ縁ちゃん‼︎ 本当に砂って音に弱かったんだ‼︎」

「みたいだね〜。ゆずちゃん、今度の部活のテーマにいいかも〜」

 

その横で何やら楽しげに話す赤髪と青髪の少女。唯の友人の様だが、彼女共々名前の様子や部活などと言うワードから、どうやら現代人の様だ。

しかしなにやら勘違いしたまま緩い空気が出ていたため、ディケイドは飲まれない様にスルーを決めることにする。

 

「じゃあ、このままトドメと行くか」

 

 

更にディケイドはコウモリを模した紋章の描かれたカードを挿入する。

 

【Final Attack ride KKKKIVA‼︎】

 

するとディケイドのマスクの口部が開き、そこでガルルセイバーを咥えた。そして駆け出してチーターカタツムリへと飛びかかる。そして一気に体を捻って、咥えたままのガルルセイバーで横一閃を放つ。これによってチーターカタツムリは倒され……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「WRYYYYYYYYYYYYYYYY‼︎」

「ぐわぁあ⁉︎」

 

なかった。何者かが奇抜な掛け声とともに横からディケイドを攻撃し、妨害したのだ。そのまま必殺技が阻止されると同時に、キバから元のディケイドの姿に戻ってしまった。

 

一方承太郎は

 

『オラァァ‼︎』

「ぐぉお⁉︎」

 

スタープラチナの圧倒的なパワーと精密さはマジシャンズレッドを正攻法の殴り合いで下し、的確にアヴドゥルへとダメージを与えていた。

 

「凄まじいスタンドパワーだ……あのお方がディケイド 共々危険分子と見なすだけはある」

「さて、一旦お前にはノビてもらうぜ。後でそのあのお方とやらについても、詳しく説明してもらうか」

 

そう言って承太郎はアヴドゥルにとどめを刺そうとするが……

 

 

 

 

「おっと。お前に勝たれるとおれの都合も悪くなるんでな!」

「なっ!?」

 

ディケイド同様に何者かが妨害に入ってきたため、攻撃を阻止されてしまう。割って入ってきたのは人間の男の様だが、そいつの放った引っ掻きを避けるも、承太郎の服の袖が大きく引き裂かれることとなったのだ。

 

(なんだ? こいつも何かスタンドを……って、てめぇは!?」

 

男の攻撃について思案しようとした承太郎だが、そいつの顔を見てつい声を上げてしまう。

果たして、突如として現れた二人の乱入者の正体は?




12/22(日)、20:06追記
『』:ベルトの音声やスタンドの声など、人物のセリフ以外の音声
「「」」(カギカッコ複数人):複数キャラが同時に発したセリフ
"":強調したい単語
で統一します。
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