仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア   作:玄武Σ

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久しぶりの投稿ですが、まずは幸腹グラフィティ参戦イベントの後で思いついた小ネタを。
あとがきにも小ネタ挟むので、お楽しみいただければ幸いです。

誰かが言った……

通りがかりの船に、旬の海鮮を持ってけと言わんばかりに投げつけて攻撃するイカ、持ってけ大イカがいると。

堅い殻を破ると、中にぎっしりとモッツァレラチーズが詰まった、チーズの実がなる木があると。

濃厚な卵を無尽蔵に産み、それを賭けの景品にした力比べが大好きなドラゴン、タマゴカケドラゴンがいると。

世はグルメ時代、未知なる美味を探求する時代……



第30話「歌舞く鬼」

「さて、どんなのが来るか気を付けねぇとな」

「千矢、遺体はお前が持ってるからさ。あんまり無茶はすんなよ」

「大丈夫。私も例の悪い人達が許せないから」

 

一方、こちらは響鬼と葉、千矢と仲間達が転移させられたエリア。ヒビキ、葉、千矢がそれぞれで敵の襲来に警戒にあたる。そんな中、小梅はあることに対して不満を募らせていた。

 

「みんな、こんな時にワガママ言うけど…」

「何? どうしたの小梅?」

 

紺が気になって問い尋ねると、一緒に転移させられたある人物を睨むようにして見る小梅。

 

「なんであの似非仏蘭西人が一緒なの?」

「え? 俺?」

 

そこにいたのは、ポルナレフだった。先日の初対面でのショックが、未だに引きずられているらしい。大正浪漫な世界から来た彼女からしたら、西洋文化=お洒落で綺麗な物のイメージが強い。財閥令嬢という立場で触れる機会は多く、且つ憧れの人がその出身なのだ。そんなところに、その出身者だという無骨な見た目で頭と下半身が完全に分離した男が出てきたら、当然ショックを受けるわけだ。

しかしポルナレフも負けじと、反論して見る。

 

「おいおいお嬢ちゃん、似非フランス人は心外だな。俺ほどに騎士道精神溢れるナイスガイなフランス人は、そうそういねぇと思うぜ?」

「騎士道精神溢れる人が、パンツ丸見えなんて暗号でハイタッチするのかしら?」

「うぐ、痛い所を突くなぁ…」

「小梅、確かにこの人はアレだけど、その……」

 

否定できないところを突かれ、ポルナレフも思わずうなだれる。紺はなんとかフォローしようとするが…

 

「ごめんなさい、思いつきません」

「な、なんかすまねぇな…」

 

結局は紺も思いつかず、ポルナレフも申し訳なさそうな様子だ。しかし直後にその空気は、払拭されることとなる。林の向こうから激しいエンジン音が響いてきたのだ。

 

「ぴぃい!?」

「なんか出てきた!」

 

林から飛び出してきたものを見て、ノノが甲高い声で叫んだ。なんとバイクに乗って疾走する女性がこちらに迫ってきたのだ。女性の服装が克己のジャケットとお揃いだったことから、NEVERであることは一目瞭然だ。

 

「はぁあ!」

「うぉっと!?」

 

バイクから飛び降りた女性は、そのまま飛び蹴りをヒビキに向けて放つ。しかしヒビキも咄嗟に、横に大きく飛んで回避する。この中で一番実戦経験のあるベテランなので、これ位は容易かったようだ。

 

「ふっ!」

「やべ!?」

「葉、任せて!」

 

すると女性は標的を葉に変更し、すかさず鋭い蹴りを彼に目掛けて放つ。そこに千矢が割って入り、エトワリウム製の盾でそれを防ごうとした。

 

「はっ!」

「きゃあ!?」

「「千矢!?」」

 

しかし女性の蹴りが盾に当たった瞬間、激しい衝撃とともに痛みが千矢の腕に伝わる。それにより盾を手放してしまい、葉と紺は同時に彼女の名を叫ぶ。

 

「悪いけど、死んでもらうから」

 

そのまま女性は、無慈悲に千矢への死刑宣告をして彼女の頭を潰す勢いの蹴りを放とうとした。

 

「させないぜ!」

「う!?」

 

だがそれも、ヒビキの放ったディスクアニマルに阻まれることとなった。鳥のディスクアニマル・アカネタカか千矢に放たれた蹴りを阻みみ、女性の体勢を崩す。

そしてその隙をついて紺が駆け寄り、どうにか助け出す。

 

「千矢、大丈夫?」

「大丈夫じゃないかも。うまく防いだつもりだったけど、まだ手がジンジンする…」

 

その言葉が指すように、NEVERの強化された身体能力がすさまじい威力をたたき出したようだ。それを抜きにしても高い格闘センスが伺えるため、重い一撃をどう効率よく叩き出すかがわかるようだ。

 

「だったら、そっちから!」

「ひっ」

 

するといつの間にか女性が小梅の背後に回っており、今度は彼女の頭をめがけて蹴りを放とうとしている。

 

「シルバーチャリオッツ!」

 

しかしそこにポルナレフが割って入り、スタンドを発動。タロットの戦車を暗示する騎士のスタンドが、レイピアを振るい女性へと切りかかった。

女性は並外れた反射神経で回避しようとしたが、チャリオッツの超スピードがそれを許しはしなかった。

 

 

 

 

 

 

ピィイイイイイイイイイイイイイ!

「うおっ!?」

 

その時、いきなり何かが高い鳴き声とともにポルナレフを襲撃してきた。その所為でチャリオッツの動きが止まり、女に攻撃を避けられてしまう。見たところ襲ってきたものは鳥のようだが……

 

「ディスクアニマル? なんで?」

 

ヒビキは確かに見た。黒をベースにした、アカネタカに似たディスクアニマルが飛んでいる。

 

「こいつは消炭鴉(ケシズミカラス)、俺の使っている音式神だ。しかし、ディスクアニマルっていい名前だな。使わせてもらうか」

 

ふと聞き覚えのない声が聞こえたと思いきや、声のした方から野武士のような格好の男が歩いてきた。紫のオーラを纏っている様から、首領の洗脳を受けているようだ。しかも今のディスクアニマルの所有者らしく、男が消炭鴉と呼んだそのディスクアニマルが手に収まる。

 

「俺はカブキ、お前より過去の時代の鬼だ。よろしく」

「鬼? つまり、あんた仮面ライダーなのか?」

「仮面ライダー、確か鬼以外にも異形化して戦う戦士をそう呼ぶんだっけか」

 

カブキと名乗る男、まさかの仮面ライダー襲来に苦戦が必至となる。するとそんなカブキを尻目に、最初の女はヘルメットを脱ぎ去る。その時にヘルメット内に収まっていた長い茶髪が翻って、大人の女の色気が醸し出されている。

 

「こいつは羽原レイカ、ネバーとかいう普通より強い人間だとか」

「勝手に紹介すんな、色ボケ鬼」

 

勝手に名前を告げられ、そのNEVERの女レイカはカブキに悪態をつく。

 

「それじゃあ、そのまま消させてもらうから」

「うぇえ!?」

 

そのまま葉に迫り、蹴倒そうと再び襲い来る。だがそこは実戦経験の高い葉だ。攻撃の回避は割と容易くできるようで、すぐに春雨を抜刀して応戦する。

 

「ちょっと、急すぎだろ姉ちゃん!」

「私はあんたらの始末が仕事なの。NEVERも研究テストの一環で、傭兵してるから」

 

レイカの蹴りを捌きながら文句を言うと、そのまま応対しつつも蹴りを続けるレイカ。

 

「葉、手伝うよ!」

「私も手伝うわ! 恐怖を克服する、それで強くなれるってツェペリさんも言ってたわ!」

 

そして千矢と紺も得物を手にレイカを止めようとする。紺も、最初の共闘でツェペリが話していたことを復唱し、繊維は強いようだ。すると不意に、千矢の赤い瞳が輝いたと思いきや…

 

「紺、危ない!」

「え…きゃああ!?」

「ぬぅううん!」

 

その時、空から何かが落ちてきて、その落下の勢いで殴り掛かってきたのだ。とっさに千矢が気づいたので回避できたが、そいつの拳は地面を大きく粉砕してしまう。落ちてきたそいつは、のっぺりした顔と顎に仮面のようなものがある大男だった。

 

「な、なんなのこの人…」

「破面№25、チーノン・ポウ……オ前ラ、消ス」

 

現れた破面・ポウは鈍いようで、間延びした片言口調が特徴的だった。そしてゆっくりと右腕を振り上げ、こちらへと攻撃準備に入る。

 

「みんな、来るよ!」

「ひぃ!」

 

千矢が周りに呼びかけると、一斉にその場を離れる。だがポウ自身はかなり鈍重で、パンチの動作が超スロウだった。故に回避そのものは、そこまで運動が得意でないノノや臣でもすぐにできた。

 

「ぬぅん!」

「きゃあ!」

「うぉお!?」

「ヤベ!」

「マジか、これ……!」

 

しかし先ほどの一撃からもわかる通りパワーが凄まじく、またも地面は粉砕。地震と間違えそうな巨大な衝撃があたりを襲う。ヒビキ達男衆も体勢を崩してしまう。

 

「なら、その隙を!」

「狙うまでだ!」

 

だがそんな中、状況を読んでいたのかレイカはカブキと二人で大きく跳躍しており、聖なる遺体を奪取すべく千矢に蹴りを放つ。

 

「そうは問屋が卸さないっと!」

 

するとヒビキが新たなディスクアニマルを投擲する。青と緑のディスクが変形、”ルリオオカミ”と”リョクオオザル”となってアカネタカと供にレイカとカブキに飛び掛かる。

 

「く…あぁあ!?」

「うぉお!?」

「「今がチャンス!」」

 

空中でアカネタカの攻撃を受けて落下、ルリオオカミがレイカに噛み付き、リョクオオザルもカブキに顔を殴られる。そしてそこに、ポルナレフと葉が切りかかる。しかし、ここで新たに妨害が入る。

 

「うわぁ!?」

「ザ・フール!? まさか…うぉ!?」

 

仮面を被り、後ろ足が車輪になっている異形の四足獣が現れて飛び掛かったのだ。ポルナレフもよく知る、スタンド”ザ・フール”である。つまり、ポルナレフがよく知るあいつがいる。ポルナレフがかつての仲間であるイギーの出現に大きく動揺、その隙を突かれてチャリオッツは攻撃を受けてしまう。

 

「イギィィァアアアアアア!」

「いてぇ!」

「イギー、お前まで!」

 

どこからが飛び出してきた、スタンド持ちのボストンテリア”イギー”。イギーは自身の名前を叫びながら、葉の腕に噛み付く。幸い、左腕だったので愛刀の春雨を落とすことはなかったが、攻撃は中断されてしまう。

 

「ちっ、やってくれたわね。イギー、とりあえず助かったわ」

 

悪態をつきつつイギーに礼を言いながら、ルリオオカミに噛まれて出血した腕を見る。忌々しそうにしながら、レイカは懐から注射器を取り出してそれを体に打ち込む。すると、急激に傷が塞がっていった。

 

「な、なんだ? あんた、回復薬みたいなの持ってるのか?」

「回復薬? これはNEVERの体を維持する酵素、それを強化した細胞増殖剤よ。これで代謝を一時的に加速させて治しただけ」

 

急な事態に問いかけると、レイカは律義に説明し始める。しかしその内容は、屍人兵士たるNEVERの宿命を打ち付けるものであった。

 

「私たちNEVERは聞いたように、死体を改造して蘇生した兵士。でも、生き返ったわけじゃない。この酵素を定期的に投与しないと元の死体に戻ってしまうし、時間とともに人間時代の記憶や感情が消えていく」

 

レイカから語られた、NEVERの凄まじい宿命。全員が青ざめている様子だ。克己の自身を悪だと語り、その内に凶暴性を秘めた様子は、レイカの言う記憶や感情の摩耗に由来すると思われる。

 

「それだけなら良いわ。でも、私には一つだけ許せないことがある。体温よ」

「た、体温だぁ?」

 

レイカが忌々しそうにしながら告げる、彼女のたった一つの不満。それに思わず聞き返してしまうポルナレフ。

 

「私たちNEVERは死んでないだけで生物とは言えない。だから死体と同じで体温が無い。これが私にとっては、たまらないコンプレックスなのよ」

「ひっ」

 

まさかの真実を聞いた紺が短く悲鳴を上げ、聞いていたレイカ自身はうんざりした様子だった。するとそれを払拭するように、赤いガイアメモリを懐から取り出す。

 

「そしてそんなあたしに最も適合したメモリが……」

【ヒート!】

 

起動したメモリは、これまた翔太郎たちの持つ物と同じ記憶を無い風していた。そしてメモリを投げると同時にあることをする。

 

「ひゃあ!?」

「おう、セクシーだぜ…」

 

レイカの鎖骨に差込口が浮き出てきたため、ジャケットをはだけたのだ。紺が顔を赤らめ、横でポルナレフがウットリしている。そしてその様をジト目で見る小梅の姿があった。

しかしレイカは気にせず、そのまま鎖骨にメモリが刺さると体内に吸い込まれ、炎そのものを擬人化したような女性型怪人”ヒート・ドーパント”となった。

 

「そいじゃあ、俺も行かせてもらうか」

 

直後、カブキも音叉を取り出してそれを鳴らす。直後、それを草履裏でたたいて鳴らすと同時に、桜の花びらが彼らの周りを舞う。

 

「シャア!」

 

現れたカブキ改め仮面ライダー歌舞鬼の姿は、緑を基調とした体に隈取のような赤い淵の仮面、金の肩当といった具合に今までの仮面ライダーに比べて派手な外見をしている。

 

「カブキだけに歌舞伎役者の鬼なんか……おっちゃん、鬼って駄洒落っぽい名前の人ばっかなのか?」

「俺の知り合いだと伊吹鬼(イブキ)轟鬼(トドロキ)、もう亡くなっているけど斬鬼(ザンキ)ってのがいるな。で、猛士(たけし)って鬼の組織の支部が関東とか関西って具合に地方ごとにあるからまだたくさん…」

「談笑してる場合じゃねぇだろよ!!」

 

その時の葉とヒビキの和気藹々とした様子に、思わずポルナレフも論して臨戦態勢に入る。

 

「さて。じゃあ克己に倣って、死神のパーティータイムといきましょう!」

「パーティーよりフェスティバル、祭りのほうがいいな俺は!」

 

そしてヒート・ドーパントと歌舞鬼は、二人がかりでこちらに飛び掛かって来る。しかし、こちらも迎撃準備は万端だ。

 

「俺達も行くぞ」

「よし、いくか。阿弥陀丸!」

「承知しました、葉殿!」

「二人とも、そっちは任せた! 俺はイギーを…」

 

対するヒビキは音叉を叩き、葉も阿弥陀丸を位牌から呼び出すと同時に人魂へと変換。ポルナレフもスタンドを発動しながらイギーに狙いを定めて戦闘を始めようとする。

 

ブゥウンッ

「ぎゃは!?」

「な、なんだ!?」

 

何か車輪のようなものが飛んで来て、ポルナレフを吹き飛ばした。葉が飛んできたそれを見ると、ロープか何かで繋がれているのが見える。しかもそれだけでは終わらなかった。

 

「え、ちょ!?」

「なんかこっちに来た!」

「ピィイイイ!?」

 

そのまま千矢達チームなつみやの面々へとその何かが飛んでいき紺、小梅、ノノの三人がポルナレフと同じ方向に吹き飛ばされる。チームが分断されてしまった。

そんな中、ヒート・ドーパントは今の攻撃に見当がついたのか、攻撃の入ってきた方向を見てみる。

 

「あんた、待機命令出てなかったかしら? 上に消されるわよ」

「うっさいわね。あたしは破面の本能に従ってるの。仮にも元十刃、戦いがあるのに駆り出されない位なら、好き勝手に戦って死ぬ方が本望よ」

 

そこにいたのは女性型の破面で、虫の羽のような意匠が背にある白いゴスロリっぽい服装をしている。しかもヒート・ドーパントの言動から、本来は出撃が無い予定の相手だったようだ。しかも、本人の口から元十刃という、

手には新体操のリボンのような物を持っており、これが先ほどポルナレフらを襲った車輪と繋がってヨーヨーの様になっているようだ。

 

「まあ、いいわ。とりあえず今ぶっ飛ばした連中、あたしが貰っていくから。そこんところよろしく」

 

そしてそのまま、女破面はポルナレフ達の方へと向かっていく。

 

「十刃落ちノ…分際デ……余計ナコトヲ!」

「臣、ちょっとごめん!」

「ていうか、任せたわ」

 

女破面の出現と独断行動に憤慨、ポウはその苛立ちをぶつけるように千矢達を本格的に潰そうとする。しかしただでやられる気はなく、持ち前の身体能力で臣を連れてポウの拳を回避する。

 

「……水を差されたけど、戦闘再開とさせてもらういますか!」

「だな! 喧嘩祭りだ!!」

「がう!」

 

それに続いて、ヒート・ドーパントと歌舞鬼、イギーも揃って襲い来る。

 

「2対3か……少年、気合入れていくぞ!」

「わかった、おっちゃん。阿弥陀丸も行くぞ!」

「あいわかった、葉殿!」

 

これに対して、響鬼も葉に呼び掛けてオーバーソウルを発動させる。不利な状態の中、彼らの戦いは始まった。真っ先にヒート・ドーパントと歌舞鬼は響鬼に襲い掛かり、イギーは葉に狙いを定める。

 

「はぁあ!」

「シャア!」

「おっと」

 

ヒート・ドーパントの炎を纏った蹴りと、歌舞鬼のパンチを響鬼は意外と余裕に回避する。そして反撃しようと、響鬼はとんでもないことを始めた。

 

鬼闘術(きとうじゅつ)鬼爪(おにづめ)!」

 

響鬼が技名を叫ぶと同時に、手の甲から鋭い爪が生えたのだ。そしてその状態で構えを取り、二人の敵に立ち向かっていく。

 

「ほぅ、鬼闘術まで使えるか。やるじゃねぇの」

「なるほど。鬼ってのも、私らとも負けない人外魔境な連中なのね」

 

対して歌舞鬼も音撃棒を構えて迎え撃ちにかかる。ヒート・ドーパントも今度は両腕に炎を纏わせ、殴りにかかってきた。

 

「おっし、行くぜ…「真空仏陀斬り!!」うぉお!?」

 

しかしそれを葉も黙ってみているわけにいかず、必殺技による妨害を入れる。そしてそれはうまくいき、歌舞伎は攻撃を阻止されてしまう。

 

「ナイス少年! はぁあ!!」

「く!? ちぃ、鬱陶しい」

 

そして反撃に乗り込み、爪による一撃をヒート・ドーパントに叩き込む。それを食らったヒート・ドーパントは、距離を取って火の玉を投擲してきた。

 

「はぁ…………はぁああ!!」

 

すると響鬼は口から紫の炎を吐き出し、それで火炎弾を相殺してしまった。仮面ライダーらしからぬ、おどろおどろしい技である。

 

「ほげぇ……おっちゃん、スゲェ攻撃すんだな」

「ガウ!」

「う!? やったな、おい!」

 

だが葉が呆然としながらその様を見ていると、イギーのザ・フールが攻撃を仕掛けてきたのだ。隙だらけの所を突かれ、会費もできなかった。そしてそれに対し、オーバーソウルによる一撃をザ・フールに叩き込んだ。

 

「はぁ…やっぱだめか」

 

しかし体を砂化できるスタンドのため、同じ魂由来の力でならスタンドを攻撃できるという法則も通じなかった。どうしたものかと思っているその時…

 

「「きゃあ!?」」

「うわぁあ!」

 

千矢と臣が大きく吹っ飛んで来て、それにぶつかって葉も倒れてしまう。

 

「コレガ…本物ノ…パンチダ!」

 

二人が飛んできた先に視線をやると、そこには拳を構えたポウの姿があった。どうやら奴の攻撃を受けたらしく、ポウの構えている拳から煙が上がっているのが見えた。

 

「ガウ!」

「やべ!」

「あ、任せて!」

 

すかさずイギーが攻撃を仕掛けてくるも、すぐに立ち上がった千矢が盾を構えてギリギリで防げた。

 

「…盾、傷一ツ…無イ?」

 

その時の様子を見たポウは遠目ながら、千矢の持つエトワリウム製の盾が全くの無傷であったことに驚いた様子だ。あまりの頑丈さに、パワーに自身のあったポウは、次第に怒りを見せるようになる。

 

「ユ…ユル……許サン!!

 

激昂して大きな声を上げるポウは、響転で一瞬にして葉達の背後に回ってしまう。

 

「速っ!?」

「ヌゥウン!!」

 

そしてそのまま、ポウはパンチを放つ動作に入る。咄嗟のことで会費も防御も間に合わず、ポウの攻撃を許してしまう。しかし、そうは問屋が卸さないといったところか。

 

「はぁあああ!」

「ウグッ!?」

 

響鬼が飛び蹴りをポウの顔面に叩き込んだのだ。それにより攻撃動作を解除、大きく地面に倒れこむこととなった。

 

「ついでに、もういっちょ!」

「ガウ!?」

 

そして響鬼は空中で音撃棒を構え、灯した炎を放ってイギーの足元を爆破する。スタンドに攻撃が効かず、本体が小型犬なうえに洗脳されているため直接攻撃はできない。けん制する分には、上出来なものだろう。

 

「おっちゃん、助かった…」

「いいってことよ。でも、数の優位もあって戦いづれぇな」

「ヒビキさん、あの二人はどうなったの?」

「ディスクアニマル達に足止めしてもらってる。しばらくは大丈夫かもな」

 

千矢の質問に答える響鬼が指さすほうには、十数体のディスクアニマルの群れがヒート・ドーパントと歌舞鬼を妨害している様子が見えた。確かに、大丈夫そうだ。

 

「けど、早めに数を減らさないとまた不利になっちまうぞ。どうすっかな…」

「あの犬も操られてるんだっけ? なら千矢の持ってる遺体で、味方に引き込めないかしら?」

 

しかしやはり懸念も響鬼にはあり、臣もどうにかするための提案をするも不利は変わらない。するとその時、葉がある作戦を思いつく。

 

「みんな、オイラに作戦がある。阿弥陀丸も、聞いてほしい」

「「「え?」」」

「拙者にも? 葉殿、どういうことでござるか?」

 

面倒くさいのが嫌いが信条な葉の発言に全員が口をそろえて困惑し、阿弥陀丸もオーバーソウル状態のまま疑問を口にした。そして作戦を聞いたのだが…

 

「……葉殿、本気でやるのでござるか?」

「うん。なんか、阿弥陀丸さんがかわいそう……」

「すまん。オイラ、頭脳労働は苦手だから、こんなのしか浮かばんのよ」

 

阿弥陀丸も千矢も乗り気ではなかった。当の葉本人も申し訳なさそうな辺り、阿弥陀丸に負担がかかるようである。

 

「でも、確実だろうな。実行するかは別で、あのでかいのが起きそうだから俺が足止めしてくる」

 

言いながら響鬼は、再びポウのもとへと駆け出していく。しかもその間にイギーが再びザ・フールを発動。こちらに狙いを定めてきた。

 

「悩んでる暇はなさそうだ。すまん、阿弥陀丸」

「葉殿、拙者も覚悟を決めた。思う存分やってくれ」

「こうなったら、私も行くよ」

 

結果、その作戦を実行することとなった一同。そしてそのための第一段階として、なんとオーバーソウルを解除、ヒトダマモードの阿弥陀丸を手に持ち始めた。

 

「ワウ?」

 

突然のことにイギーも困惑するが、直後にそれは実行された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒトダマ豪速球!!

うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!

「イギャアア!?」

 

なんと、葉はヒトダマモードの阿弥陀丸を全力投球したのだ。流石にこれは予想外で、イギーも仰天している様だ。

 

「うりゃああああああ!!」

 

そこにすかさず千矢が飛びかかり、手にした聖なる遺体の光をイギーに当てようとする。果たして、作戦はうまく行くのか?

 

~ポルナレフと紺達うらら3名VS女破面~

「そらそらそらぁあああ!」

 

女破面は先程と同じくヨーヨーのような武器を投擲し、ポルナレフ達を狙う。巨大な車輪による質量攻撃で、かつ軌道の読みにくい動きをするのだ。苦戦は必至である。

 

「ピャア!?」

「ノノ、危ない!」

 

そんな中でノノが躓いてしまい、車輪攻撃が迫ろうとしている。しかしそれを黙った見過ごすポルナレフではなかった。

 

「チャリオッツ、あの嬢ちゃんを助けろ!」

 

すかさずチャリオッツのスピードでノノのすぐそばまで到達、そのまま抱き上げて距離をとる。

 

「くそぉ、けったいな武器を使うねーちゃんだと思ったら、ものすげぇ避けづらいな。軌道が全然読めねぇ」

「ど、どうしようマツコさん?」

「ゴメン、ノノ。マツコモ、ワカンナイ」

 

ポルナレフが悪態をつく横でノノが人形占いでマツコに問いかけるも、いい結果は得られなった。しかしそんな中、意を決して行動を起こした少女が1人。

 

「男の人がいるから恥ずかしいと思ってたけど、背に腹は変えられないわ。ポルナレフさん、今からやることは戻った後でみなさんには言わないでください」

「? 何する気だ?」

 

するとその人物、紺はポルナレフに一つだけ忠告をして行動を起こした。いきなり両手で狐のポーズを取ったかと思うと、祝詞を唱え始める紺。

 

「奇々も怪々お招きします

こっくりこっくりおいでませ

この身を差し出す御代わりに、どうか答えてくださいな

いざ、憑依!!」

(憑依? 葉と違って、自分に何かの霊を取り憑かせるってことか?)

 

ポルナレフがその行動と祝詞の内容に困惑していると、それは起こった。

 

「よし、久々の出番じゃ……ありゃ? 千矢がおらんぞ」

 

紺に憑依したと思しきその何者かが、偉そうな年寄り口調で辺りを見回す。そしてポルナレフの顔が視線に入る。

 

「で、代わりにむさ苦しい西洋人がおるが、こいつは?」

「俺はポルナレフというのだが、むさ苦しいって、手厳しいな……で、紺の嬢ちゃんに取り憑いたアンタは何者なんだ?」

「妾はこっくり占いで呼び出される狐の霊。本来のこっくり占いは硬貨を依り代にするんじゃがこの娘、紺は自分の体を依り代にする術を会得しての」

「え、ええそうです。ただ、お狐様がついている間は偶にはしたないことしてしまうんで、周りには秘密に…」

 

紺に乗り移ったお狐様はそのままポルナレフに自己紹介し、紺が行使した術の概要を簡単に説明する。すると紺に人格が切り替わり、そのまま説明を引き継ぎながら恥ずかしそうにする。

 

「あ、ああ……なるほどな(言った傍からこれか……確かに隠したくもなるな)」

 

困惑しながらも納得するポルナレフの視線には、再びお狐様に人格が切り替わり、犬のように足で首を掻き始めた紺の姿があった。

しかし行動はともかく、このお狐様は有能だった。

 

「で、あのへんちきりんな小娘がお主等を襲ってきて、どうにかする手段が欲しいと言ったところじゃろう」

「お、やっぱりお狐様すごいわね」

「なるほどな、任せたぜ」

 

そしてそのまま、お狐様に打開策の発見を任せる。結果、それはそのまますぐ打開策は見つかった。

 

「うむ。あの小娘、次はノノを狙ってくる。それにあの武器と繋がっている紐のようなもの、普通に剣でも斬れそうじゃから、思い切り叩き切ってしまえ」

「よし、任せた」

「うん。私も、がんばってみる」

「ノノ、私も手伝うわ」

 

そしてその回答を聞き、ポルナレフとノノが動き出した。そしてまず、小梅は待機しながら箒を準備する。

 

「見つけた、一番弱そうなの!!」

 

そしてノノとポルナレフが二手に分かれると、女破面が真っ先にノノを狙う。しかしその直後、

 

「わかってたわよ、あんたの考え!」

「何!?」

 

小梅が箒で飛びながらノノを救出、女破面の巨大ヨーヨーは地面にめり込む。

 

「行くぜ、シルバーチャリオッツ!!」

 

そしてすかさず、ポルナレフとチャリオッツの攻撃でヨーヨーを繋ぐ紐が切り裂かれた。さらにお狐様が前に出てくるのだが、ここで彼女にも動きが。

 

「狐の恐ろしさ、舐めるでないぞ小娘!

 

 

そぅれ♡」

 

可愛らしい声音と供にポーズを決めた直後、なんと地面にめり込んだヨーヨーが浮き上がる。

 

「からの、そりゃあ!」

「んな!?」

 

さらにそのまま吹っ飛び、女破面にヨーヨーが衝突して大きく吹き飛んだ。紺に憑依したお狐様は、念力を使ったのだ。

 

「ひょえ~……スゲェじゃないの」

「どうじゃ、すごかろう? 妾の力はこんなものではないぞ!」

「お? 外にどんなことが出来んだ?」

 

ポルナレフが感心すると、お狐様も調子づいてそんなことを言う。思わず気になったポルナレフも、そのまま質問に入ってしまった。

 

「んまぁ、そうじゃな……紺が今すぐ油揚げをお供えしてくれるなら、すぐにでも見せられるんじゃがの」

「ちょっと、お狐様! 今戦闘中だから後にして! 私が知っている範囲なら、あと金縛りが使えたはずですけど…」

「紺、流石にネタバラシはやめて欲しいんじゃが…」

「あ、ごめんなさい…」

「申し訳ないと思うのなら、油揚げのお供えやっぱり増やしてもらおうかの?」

「ちょ!?」

 

紺が肉体の主導権を取り戻してお狐様に話しかけ、そのままポルナレフの質問に代わりに答える。すると再びお狐様が主導権を奪い、その次に紺に戻って…を繰り返す光景が一同の目の前で広がっていた。

それを見たポルナレフの感想は…

 

「なんか、人格破綻者なうえに情緒不安定な感じだな」

「うん、本当に……」

「ですよね……」

 

まさにその通りだった。小梅とノノも同じ感想らしい。

 

 

 

「くそ、コケにしやがって……

 

 

 

 

 

 

 

掻っ切れ……車輪鉄燕(ゴロンドリーナ)ぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!!

 

女破面が叫ぶと、その姿が白い煙に包まれる。

 

「な、なんだぁあ!?」

「! お主ら、逃げろ!!」

 

その様子にポルナレフらも動揺を隠せずにいたが、紺に乗り移ったままのお狐様が叫ぶ。そのすぐに煙の中から刃のようなものが飛んできた。咄嗟の叫びもあって全員が回避に成功するも、煙が晴れた先を見て全員が戦慄した。

 

「随分と、舐めてくれたじゃないの。この私に帰刃(レスレクシオン)、真の姿の開放を使わせるなんて…」

 

現れた女破面は、虫の前足を思わせる長い両腕、連獅子のような白いと長髪同じく白い毛に覆われた両足、背中には先ほど飛ばした刃が連なっている巨大な翼。

人型の姿に、それらのパーツが付随され巨大な姿となっていた。

 

「全員ぶっ潰す! この破面№104チルッチ・サンダーウィッチがね!」

「おいおいおいおい! こんなごついの来るって、聞いてねぇぞ!!」

 

女破面改めチルッチの姿に、スタンド使いとして歴戦の猛者となったポルナレフですら、動揺を隠せずにいた。

強敵の襲来、果たして彼らはどう立ち向かうのか?




アランカル大百科・エトワリア出張_前篇

ギン「どうも、市丸ギンいいます。今回、エトワリアのみなさんに破面について知ってもらおうと思い、参上しました。まあ尺と描写の都合もあるんで、今回は代表者としてきららちゃんと聖なる遺体に選ばれた五人だけに来てもらいましたけど。よろしゅうな」
一同『よろしくお願いします』
きらら「それで、挨拶までしたはいいものの……誰ですか?」
ギン「さっき自己紹介したでしょ、市丸ギンって? とりあえず元死神で破面、ひいてはその前身の虚を倒す仕事してた身です。なので、彼らのことは専門家みたいなものなんで、よろしく」
ゆの「そ、それはありがとうございます。でも本当、急に出てきて何者なんですか?」
ギン「細かいこと、気にせん方がええよ。メタな話、俺もう死んでるはずやのに出て来とるしボソッ」
一同『え?」
ギン「あ、なんでもないよ。それじゃあ、まずは虚と破面についてから」

モニターに鎖が胸についた人間が映る。

ギン「まず、俺らのいた世界では生き物の魂の胸に”因果の鎖”て呼ばれる鎖がついててな。それが肉体と魂をつないで、千切れてまうと肉体と魂の繋がりが消えて、生き物は死ぬ」
青葉「なるほど。虚が悪霊っていうのは、この後で成仏できないで変化してしまうんですね?」
ギン「お、青葉ちゃんゆうたっけ? 鋭いね。普通は俺ら死神が死後の世界”尸魂界”に連れて行く、君ら風に言う成仏があるんやけど、それが出来ないまま放置されると鎖が侵食していって、胸に穴が空く。この穴は”心を失くした”って意味で、それによってその魂は異形の化け物の姿へと変じる。これが虚や」

映像が骸骨のような白い仮面の怪物に代わる。

夢路「悪霊っていうか、マジに化け物だな。これが仮面を剥いだら、人型に戻るってことか?」
ココア「みたいだね。元が人間の幽霊なら、むしろ当たり前なのかも」
ギン「まあね。でも、仮面剥いで完全な人型になるんは、メノスっていう上位種、その更に最上位だけなんよ」

モニターが切り替わり、黒いローブの巨人虚、其れよりいくらか白い虚、小さな人型虚が映る

ギン「虚は人間の魂を捕食するんやけど、中には共食いする個体もおってな。他の虚を食らって幾百、幾千の虚が混じり合った大虚に進化する。それで大虚にも進化の段階があって、でかい順にギリアン、アジューカス、ヴァストローデになっていく。一番小さいヴァストローデが一番強くて、これが破面になると確実に人型になるわけや」
千矢「じゃあ、私が戦っている人、すっごく大きかったよね?じゃあ、その一番強いやつじゃないってことかな?」
ギン「そうやね。でも、運よくアジューカスかギリアンで人型になるやつもおって、そういうのは大体が真の姿を開放すると原型留めんほどゴツくなったりするもんやし。見た目だけで強さが図れんから、気ぃ付けるように」

そして放送時間終了間近に。

ギン「それじゃあ、次回は破面の能力について解説するからお楽しみに」
きらら(さっきの呟き……まさかギンさん幽霊か何かなんですかね?)
青葉(でもそれだと、さっきの説明と矛盾しないかな?)
夢路(たぶん、これは知らない方が幸せなたぐいの話だと思うぞ)
ゆの&ココア&千矢「?」

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