仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア   作:玄武Σ

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ようやくかけましたが、まずはこの一言。
先日、ヒロシこと藤原啓治さんの訃報がありました。ガンらしいです。
新型コロナで志村けんが亡くなったニュースを聞いて以降、漫画家や声優、俳優といった方々の安否が不安でしたが、まさかの……
ご冥福をお祈りいたします。

P.S.あとがきはアランカル大百科後編になります。ちょっとしたゲストも追加するので、お楽しみに。


第31話「精霊の劔」

「変な髪形のあんたから、スライスしてやるわ!!」

「うぉお!?」

 

突如として真の姿を披露したチルッチ。まずは最優先でポルナレフを潰そうと、その巨大な翼を振り回して切りかかってくる。

 

「だったら、先にその羽をぶった切ってやるよ!」

 

そして攻撃を避けたポルナレフは、チャリオッツの剣でチルッチの羽を切り落とそうとする。しかし切っ先がその羽に触れた瞬間、「攻撃をやめないといけない」考えに至った。

 

「!?」

「え、いきなりどうしたんですか?」

 

咄嗟にスタンドを解除し、距離をとるポルナレフ。その様子に紺は困惑するも、すぐにその理由を説明した。

 

「あの羽なんだが、剣が触れた瞬間になって初めてわかった。ものすげぇ速さで細かく振動している。触れた物に斬撃と一緒にその振動を直に叩き込む攻撃のようだが、下手すりゃ触ったそばから破壊さえれかねねぇ」

「え?」

 

紺はポルナレフの話を聞き、それを反芻して少しずつ理解していく。

 

(つまずいて怪我したところを触ると痛いからそこを触るなんてもってのほかだけど……だとしたらアレで斬られたら!?)

 

チルッチの攻撃の余りにも残忍で攻撃的な力に、紺は青ざめる。幽霊や妖怪の類が苦手な彼女だが、殺意や暴威など自らを害するものへの強すぎる恐怖に当てられてしまったようだ。

昨日のマライアと交戦した際もそうだったが、今回チルッチの攻撃による痛みがポルナレフの解説と相まって、より鮮明に感じ取れたのだろう。

だからだろうか。それは起こってしまった。

 

「嬢ちゃん、一旦距離を……って、なんか震えてねぇか?」

「あ、あぁ…」

 

ポルナレフの問い掛けにも答えられず、ひたすら青白い顔で震え続ける紺。相手が本気で自分たちの命を奪おうとしている、そうはっきりと認識してしまった所為だろう。

 

「……紺は今、動けんようじゃ! 妾がしばらく主導権を取ろう!」

「みたいだな。頼むぜ、キツネの姐さん」

 

咄嗟に憑依したお狐様が肉体の主導権を取り、どうにか退避に成功する。そしてそのままお狐様はポルナレフに自身の読み取った紺の感情を語る。

 

「ポルナレフといったか? 今、紺はあやつの羽で切られた痛みを想像して怯えておる様じゃ。お主が安易にあやつの能力を明かした所為かの?」

「ちょ、それは流石に……いや、確かにデリカシーなさすぎたな。すまない」

「喋っている暇なんかないだろ、人間!!」

 

二人が話している間も御構い無しに、チルッチは攻撃を仕掛ける。放たれた刃の羽が再びポルナレフたちに迫ろうとしていた。

 

「紺から離れなさい!!」

「あだ!?」

 

しかし不意に、小梅がチルッチに魔法を放つ。不意を突かれた攻撃で羽の制御が出来ず、放たれた羽も明後日の方向へと飛んで行った。

 

「くそ、ヘンテコ頭の始末に失敗か……で、その原因は」

「ひぃ!?」

 

攻撃を妨害され、額に青筋を浮かべるチルッチ。そして振り返った彼女に睨まれ、小梅は短く悲鳴をあげた。

しかも先ほど飛ばした羽の再装填も完了してしまった。

 

「小梅、危ない!」

(な!? 紺、急に立ち直った!)

「させてたまるか!」

 

その時、不意に紺が復活してお狐様も驚愕、主導権を反射的に返してしまう。どうやら、友の危機から反射的に恐怖を乗り越えたようだ。それに合わせるようにポルナレフも突撃していく。

 

「鬱陶しいんだよ!」

「ひゃあ!?」

「うぉお!」

 

しかしチルッチは再度羽を放ち、二人を妨害してしまう。牽制目的の なのか当たる様子の無いことから、もう狙いは小梅一筋のようだ。

 

「ガキ……どうやらあんたから死にたいらしいわね。上等じゃない」

「あ、あんたみたい性格悪そうな女に、み、未来の魔女王が、まま、負けるわけが……」

 

チルッチはそのまま小梅に迫っていく。それに対して啖呵を切ろうとする小梅だが、声も足も震えており、明らかに無理をしている。

するとその時、ノノが小梅の前に躍り出てチルッチの進路を遮りろうとする。

 

「こ、小梅ちゃんに近づかないで!」

「ちょ、ノノ! バカなことはやめて逃げなさい!」

「いや……友達を置いてなんて、出来ないよ。逃げるなら、小梅ちゃんも一緒じゃないとやだ!」

「これ相手に二人で逃げるなんて無理よ! ノノ、私は放っておいて!!」

 

小梅とノノの、互いを心配しての遠ざけ合う言葉。げに美しきは友情だが、目の前の敵はそれで止まる聖人ではない。

 

「それじゃあ、お望み通り纏めて細切れにしてやるわ!」

「「ひっ!?」」

 

そして再び巨大な翼を構え、二人を切り裂こうとした。

 

 

 

 

 

「う!? 砂が目に……」

 

いきなり砂嵐が生じ、チルッチの目にも砂が入って攻撃を中断してしまう。しかし、いきなり砂嵐が固まってそれは現れた。

 

「ガァアアウ!!」

「な!?」

 

その直後、固まった砂嵐は仮面と車輪の後ろ足の四足獣へと変貌、チルッチを殴り飛ばした。先ほど敵として迫ってきた、ザ・フールである。

 

「あれって……さっきの子犬が呼び出していた?」

「つーことは、まさか!?」

 

紺が困惑気味に呟くと、ポルナレフはそれに対してあることを確信した。愚者を名乗る勇者イギーの復活である。

 

「ガウ!」

「イギー! 葉達が洗脳を解いてくれたのか!」

「みたいですね! 千矢が遺体を持っていましたけど、まさかここで……」

 

ポルナレフも紺も、このタイミングでの増援に思わず笑みがこぼれる。特にポルナレフは、ヴァニラ・アイスとの決戦時に惨殺されたイギーと、生きて再会できたので喜びもひとしおだろう。

 

「ふぅ〜……ガウ!」

 

ポルナレフ達の反応をよそに、イギーは呆れたような鳴き声を上げる。そしてチルッチに狙いを定めて、再びザ・フールを発動した。

 

「洗脳が解けちゃったわけか……まあ、スタンドなんて私らにとって未知の能力、最初っから信用してないけど!」

 

一方のチルッチは特に悔しそうな様子はなく、そのまま体制を整えなおしてイギーに向き合う。しかし、それはポルナレフ達も同じだった。

 

「戦闘要員が増えたなら、反撃のチャンスだぜ!」

「はい。このまま切り抜けましょう!」

「さっきは怖かったけど、今度はそうはいかないわ!」

「うん。みんな、頑張ろう」

「ガウ、ガウ!」

 

こうして、ポルナレフ組は反撃に入るのだった。

~その頃、葉達~

「上手くいったみたいだな」

「だね。あとはこの人をどうにかしないと…」

「そうね。あとはこの大男をどうにかすれば…」

 

葉達はヒトダマ豪速球作戦が上手くいき、イギーの洗脳が解けてポルナレフ達の救援に向かったのを見送った後だった。そして千矢と臣の言う通り、ポウをどうにかしようと向き合う。

のだが……

 

 

 

 

 

 

ポハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!

 

しかしいきなり大声で爆笑するポウ。急な事態に面食らう一同を気にせず、ポウは続ける。

 

味方ガ、増エタカラト…言ッテ、オ前ラノ……ヨウナ、雑魚ガ…バラガン陛下ノ忠実、ナル僕……デアル、私ニ敵ウモノカ!

(((変な笑い方している、この人……)))

 

ポウの口から彼の上官らしき人物の名が飛び出すも、臣を含めて全員がポウの笑い方に気を取られてしまう。

しかしその間にポウは3人のバックに一瞬で移動し、再び拳の一撃を叩き込む。

 

「おっと!」

「危ない!」

 

しかし葉は臣を抱えて飛び上がる千矢とともに、上手く攻撃を避けることができた。

 

「真空仏陀斬り!!」

「うりゃああ!」

 

ついでに、葉も一撃を叩き込み、千矢もその隙をついて斬りかかった。

 

「ムグッ……虚閃!」

 

しかしポウは今の攻撃を耐え抜き、口にエネルギーを収束。それによって着地した瞬間を狙い、虚閃を放ってきた。

 

「マジか!?」

「これマズい!?」

 

あまりにも派手な一撃、それも遠距離攻撃を放ってきたため3人ともギョッとするが、どうにか回避に成功する。

 

「今の、隙がでかいのが幸いだったか……でも威力がとんでもねぇから、食らわねぇようにしないと」

「うん。あれは、流石に防げないかな?」

「回復は……食らった時点で消し飛んじゃいそうね」

 

ポウの放った虚閃のあまりの威力に、戦慄する一同。それは歌舞鬼とヒート・ドーパントを相手取っていた響鬼も、同様であった。

 

「おいおい、あれは流石にとんでもないな…」

「よそ見している場合じゃねえだろ!!」

 

しかしその隙をついて歌舞鬼は音撃棒に灯した火炎を、響鬼の攻撃と同じ要領で放って来た。

 

「うぉっと!」

「私もいるんだっての!」

 

どうにか回避するも、更にヒート・ドーパントが飛び蹴りを放ってくる。しかし響鬼は着地と同時に地面に倒れ伏し、そのまま転がって攻撃を回避した。

 

「早くに倒して、若人達の救援に行かねぇと…」

 

攻撃を捌きながら、響鬼は葉やポルナレフらの救援に向かうことをまず考えている。

先刻、最初に対面した破面のノイトラ。奴は長身痩躯の体格でありながら、身の丈以上の巨大な武器を振るう膂力に加えて虚閃という広域殲滅向きの攻撃技、主食となる魂を周囲から吸い尽くす技まで持っている。この場にいるチルッチとポウは流石にノイトラに劣るであろうが、破面という常軌を逸した戦闘力を保有する存在が二体もいる時点で、響鬼は警戒レベルを最大まで引き上げているのだ。

 

「「てゃああ!!」」

「やべ!?」

 

しかし響鬼の思案もよそに、歌舞鬼とヒート・ドーパントは攻撃の手を緩めない。

そんな中、響鬼は脳裏に今朝の特訓の記憶がよぎる。

 

〜回想〜

「そういや、この世界っていろんな時間軸と繋がってる的なことを渡達から聞いたっけ?」

 

夜明け前に特訓に出たヒビキは、太鼓を背負いながら里の裏山を登る中でふと思い出した。

渡や紘汰、ハオといった超越者達から聞いた、このエトワリアと繋がる世界の数々。これらの時間軸は幾つもの時間軸を持っているという。

例えば、ゆの達の世界は2000年代なのに対し、青葉や夢路達の世界は2010年代、自分が関わった千矢は大正時代の出身でココア達の世界に至っては日本なのに西洋風の街並がごく当たり前なのだという。同じ地球がベースながら、非常に多様な時代背景、文化体系なのである。

 

「ライダー以外の戦士の世界と合わせても、スゲェ色々な世界があったな。確かマルチバース、だったか? 平行世界よりそっちの方がしっくり来るとかなんとか」

 

多元宇宙論とも称される、異なる世界、または宇宙が壁を挟んで無数に存在するという理論。仮面ライダー達やその他の戦士達の全く異なる種類の力。同じ地球でもファンタジー寄りや科学寄りで様々な力があり、ハオ達シャーマンの世界の様に死後の世界の有無という極端な違いまである。更にルフィ達の世界や近界(ネイバーフッド)という完全な異世界及びそれらと繋がる地球まである。

これを考えると「もしもの世界」である平行世界よりもしっくり来るかもしれないと、渡達は考えているようだ。

 

「だから時空が入り混じっているらしいから、夏限定のアレが使えるかもな」

 

響鬼の呟くアレ。現在は強化アイテムのおかげで強力な変身形態を使えるが、それが完成するまでは特定の時期限定で出現する魔化魍に有効な特殊強化形態を、己の特訓だけで発現させていたのだ。それも、その時期が来るたびに特訓し直してだ。マルチバースの交差するエトワリアなら、その形態及び特訓が出来るのではと思いついたのである。

そして、開けた場所を発見するヒビキ。

 

「ここなら良さそうだ」

 

そして背負っていた太鼓をそこに置き、腰に差していたバチを抜いて構える。

構えると同時に目を瞑り、深呼吸。夜明けは近いが、まだ山の動物達も魔物達も眠ったままで、辺りには他に物音は無い。

 

 

 

 

 

「はぁあ!!」

ドン!!

 

目をカット見開くと同時に、勢い良く太鼓を叩き始めるヒビキ。そしてそれと同時に、山に住む生き物達は一斉にざわめき始める。

その後、アルシーヴ襲来の時までひたすら太鼓を叩き続けていたヒビキであった。

〜回想了〜

「ぶっつけ本番、やらせてもらうか!」

 

思い返していた響鬼は、そのまま叫んで歌舞鬼とヒート・ドーパントから一気に飛び退く。そして音撃棒を構えながら力み始める。

 

「はぁああああああ……」

「な、何?」

 

突如として響鬼の体に炎が灯り、ヒート・ドーパントと歌舞鬼が警戒を始める。いつも変身時に体に纏う紫の炎では無く、赤い炎であった。

 

「はぁあ!!」

「「な!?」」

 

掛け声とともに炎が弾け飛び、歌舞鬼達が驚愕した。そこにいた響鬼の姿は、先ほどまでの黒と紫を基調としたもので無く、赤を基調とした派手な外観へと変じていたのである。

これこそが、夏に現れる特定の魔化魍に有効かつ、通常の響鬼を上回る戦闘力を持つ強化形態。その名を……

 

 

響鬼紅(ひびきくれない)

 

赤く染まったこの姿は持続時間は一時間が限界だが、今回は短期間の特訓かつ特殊な環境で無理やり変身したため、更に短い時間しか維持できない。しかし、それでもこの場を乗り切るだけの戦闘力は発揮可能だ。

 

「行くぜ!」

 

叫ぶと同時に、響鬼は残像が見えるスピードで一気に歌舞鬼の懐へと飛び込む。

 

「うぉお!? 速い…」

「はぁあ!!」

「ぐはっ!?」

 

余りのスピードに歌舞鬼が驚愕し、その隙をついて鋭い拳を叩き込む。その余りのパワーに、歌舞鬼は大きく吹き飛んだ。

 

「舐めんじゃないわよ!!」

 

するとヒート・ドーパントはその隙をついて、響鬼の延髄を目掛けて鋭いハイキックを叩き込もうとする。

 

「てゃああ!!」

「きゃあ!?」

 

しかし響鬼は振り返りざまにハイキックを放ち、ヒート・ドーパントのキックを相殺した。いや、大きく体勢を崩す様子から、パワーの大きな差により逆にヒート・ドーパントが足を痛める結果になったようだ。

 

「くそがぁあ!」

 

その時、歌舞鬼の投げたディスクが再び消炭鴉へと変形。これで一矢報いようとするようだが…

 

「おっと!」

 

腰に掠った程度で、大したダメージにはなっていなかった。

 

「ぐふっ!?」

 

そしてそのまま響鬼は、歌舞鬼の懐に飛び込んで膝蹴りを叩き込み、怯ませる。

 

「そんでもって!」

「ぐわぁあ!?」

 

そして歌舞鬼の腹を蹴って、その勢いで態勢を立て直していたヒート・ドーパントに急接近する。そしてベルトの巴紋を彼女の体に取り付け、続けざまにヒート・ドーパントの胸を蹴る。

 

「うわ!? マズい……」

 

そしてその勢いでバック転を披露。響鬼が宙を舞う最中にヒート・ドーパントの腹部に付けられた紋章は肥大化し、音撃鼓と化す。そして着地と共に響鬼はそこを目掛けて音撃棒を振るった。ヒート・ドーパント自身もその様子から危険だと判断するが、咄嗟の蹴りで動きを封じられ、防御も回避も間に合わない。

 

「音撃打・爆裂真紅の型ぁああ!!」

ドドンッ!!

「う!?」

 

重い一撃が入り、一気に怯むヒート・ドーパント。しかし、これだけでは終わらない。

 

「はぁあああああああああ………」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!

「あ、ぁ…あ゛ぁあ!?」

反撃の隙を与えない、凄まじい数の連撃を一気に叩き込んだのだ。ヒート・ドーパントは成すすべなく、苦悶の声をあげるしかなかった。そして……

 

「はぁあ!!」

ドドン!!

「うわぁああああああ!?」

 

トドメの一撃を喰らい、ヒート・ドーパントは大きく吹き飛ぶ。そして体の各所が爆発していき……

 

「きゃああああああああああああ!」

 

最後に全身を爆発させながら、断末魔を挙げた。爆炎が晴れたその先には、変身が解除されて元の姿に戻ったレイカの姿があった。しかし、やはりこの攻撃に耐えきれずにその体を崩壊させていく。

 

「悪いな、お嬢ちゃん。屍人は本来は生き返っちゃいけねぇんだ。俺の仲間の斬鬼さんも、弟子のために一時的に生き返ってたけど、最後にはまたその分の命も尽きて消えてしまったから……まあ、来世はきっといい事あるさ」

「言ってくれるじゃない。でも、気をつけることね……」

 

消滅していくレイカに響鬼は言葉を送るも、最後に一つだけ忠告を残していくレイカ。そしてそれは、自分たちのリーダーである克己に関するものだった。

 

「克己は、仮面ライダーエターナルは本当の怪物。私達、他のNEVERとは比較にならない憎悪と悪意に揉まれ、圧倒的な強さを得たわ。まさに、究極の悪の仮面ライダーよ。破面もスタンド使いも、寄せ付けはしないから……」

「成る程……忠告、ありがとうな。でも、俺達は負けないからさ。だって毎日…

 

 

 

 

 

鍛えてますから」シュッ

 

そしてお馴染みのポーズを決め、消滅するレイカを見送るのだった。一瞬、彼女が穏やかな笑みを浮かべたような気もした。

そしてそのまま、他のメンバーの救援に向かおうとする響鬼。しかし、ここである疑問が生じる。

 

「あれ? あの歌舞鬼ってやつ、どうした?」

 

 

~ポルナレフチーム&チームなつみやVSチルッチ・サンダーウィッチ~

 

「オラァァ!!」

 

チルッチは再び羽を飛ばしてこちらを攻撃していく。

 

「ガウ!」

「ちっ」

 

しかしイギーがザ・フールを変形させて防壁を作り、チルッチの攻撃を防ぐ。変幻自在の砂のスタンド、当然ながら攻防一体の利便性を有している。さらに、かつてはDIOの忠臣であるヴァニラ・アイスの目を欺くためにDIOの姿をまねたこともある。搦手も使えるその万能さに、隙は無かった。

 

「こんにゃろ!」

「やぁああ!」

「ぐっ!?」

 

そこにすかさずポルナレフと紺が飛び掛かり、斬りかかる。咄嗟のことで羽ではなく、腕で防いでしまう。そのため、ダメージが通っているような様子だ。

 

「食らいなさい!」

「ちっ!」

 

そしてその隙をついて、小梅が魔法で追撃する。だがチルッチは咄嗟に飛びのき、攻撃を回避することに成功した。

 

「はぁ……せっかく首領が再生させたっていうのに、動きづらいわね」

 

その時、ため息とともに独り言を呟いたかと思いきや、突如それは起こった。いきなりチルッチが翼や前足などのパーツを切り離したのだ。結果、彼女は連獅子のような白髪と長い尾を除いて、元の人型に近い容姿へと変わる。

 

「え? 取り外した?」

「俺のスタンドも甲冑を剥がして高速戦闘モードになれるからな。パーツを捨てるのも、恐らくは能力のうちだ」

 

紺達が困惑する横で、ポルナレフは似たことがチャリオッツでできるため、警戒を強める。しかしそんな中、チルッチ自身の告げた真実は予想外のものだった。

 

「取り外したんじゃなくて切り捨てたの。もう元に戻らないわ」

「え?」

 

まさかのチルッチの言葉に、面食らう一同。しかし当の本人はそのまま続ける。

 

「言ったでしょ、帰刃は破面としての真の姿と能力の開放だって。それを解除して再び武器に真の姿を封印、そのプロセスを踏まずに人型に無理やり戻るのは、あんた達風に言えば自分の手足を焼き切るようなものよ。超速再生能力でも持っていたら話は別だけど、それが無いからもう戻らないって言ったのよ」

「え? じゃあなんで、そんなことしたの?貴女、武器になる羽まで捨ててたら、戦えないんじゃ……」

「うん。それに、痛くないの……」

「別に? それと私の攻撃、霊力の消耗が激しいから燃費が悪くてね。だから、さっきまでみたいに羽を使ってチマチマ攻撃するくらいなら……

 

 

 

 

 

 

 

 

一纏めにして威力を上げた(・・・・・・・・・・・・)方がマシ」

 

言いながらチルッチは残った尾に霊力を集め、先端から扇状の大きな光の塊を生成する。その様に皆が警戒を強めるも、紺がわからないといった様子で問いかける。

 

「あ、あなた……なんで自分の体を傷つけてまで戦うんですか? そこまでして、勝たないとダメなんですか?」

「当たり前よ! 勝たないでいい戦いがあったら、戦争なんて起きないわよ。私達破面は戦士、もしくは兵士。つまりは戦うための存在よ! 戦って勝つことだけが、私たちの存在意義よ!!」

 

紺の問いかけに激昂しながら叫ぶチルッチ。その尾の先の光を巨大な光の剣に変形させ、こちらへと飛び掛かる。

 

「イギー、頼む!!」

「ガウ!!」

 

ポルナレフが危機を感じ、イギーに呼びかける。イギーもそれに応えてザ・フールを再び防壁に変化させ、攻撃を封じようとする。

 

「さっきまでと一緒にするんじゃ、ないわよ!!」

「「え!?」」

「ワウ!?」

 

しかしその防御を、チルッチはたやすく切り裂いてしまう。そしてそのままこちらへと突撃していく。

 

「みんな、散って!!」

 

危機を察知し、紺が周りに呼びかける。そしてそれに合わせて、全員が散っていく。

 

「きゃあ!?」

「小梅ちゃん!!」

 

その時、小梅が逃げる途中で躓いてしまった。ノノが思わず声を上げてしまうが、それが拙かった。

 

「ナイスタイミング。さっきの不意打ち小娘、今この場で始末しちゃってもいいかもね!」

「ひぃ!?」

 

チルッチが先ほどの攻撃を思い出して、小梅に狙いを定めてしまう。そしてそのまま、再び尻尾の剣を構えて飛び掛かる。

 

「小梅!」

「ガウ!!」

 

チルッチを止めようと、紺とイギーが一緒に駆け出す。しかし……

 

響転(ソニード)

「え!?」

「キャウ!?」

 

チルットは高速移動で一気に距離を離し、そのまま小梅の背後に回ってしまう。そして、また尻尾の剣を構えて小梅目掛けて振りかぶる。

 

「え?」

「それじゃ、さようなら」

 

無慈悲に、巨大な光の剣は小梅へと振るわれてしまう。そこに恐怖し、小梅は思わず目を瞑ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嬢ちゃん、小梅だっけか? 怪我はねぇか?」

 

いきなり聞こえたポルナレフの声に目を開けると、肩から血を流したポルナレフの姿が目の前にあった。

 

「え? なんで…」

「シルバーチャリオッツは高速移動形態があるって言ったろ。それを咄嗟に発動して、嬢ちゃんをこっちに引き寄せたってわけだ」

 

見てみると、確かにシルバーチャリオッツは装甲を剥がして身軽になっていた。しかしチャリオッツは左肩に傷を負っており、ポルナレフにダメージが伝播してしまったため出血しているようだ。

 

「傷の方は大丈夫だ。確かに痛ぇけど、掠っただけで骨にも別状はねぇ」

「それもそうだけど、なんで貴方のことを勝手に嫌っていた私を…」

 

思わず疑問を口にしてしまう小梅に、ポルナレフは語り始めた。

 

「一つは嬢ちゃん、小梅がフランスを好きでいてくれること。俺は天涯孤独だが、思い出のおかげで今でも故郷を愛していられる。だから、世界は違えど故郷を好きでいてくれるお前が放っておけなかったわけさ。そしてもう一つは……ちと恥ずかしいが、俺の唯一の肉親だった妹を殺されたときを思い出しちまうからなんだな」

 

その返答に小梅は驚きの表情を浮かべる。傍で聞いていた紺やノノも驚いていた様子で、チルッチもなぜか静観を決めている。

 

「三年前、嬢ちゃんたちくらいの歳だった妹のシェリーが、スタンド使いの殺人鬼に襲われて亡くなってな。そいつはもう倒して仇は打ったんだが、偶に思い出しちまうんだよ。シェリーが死んだ時の悲しみ、殺した奴への怒りや恨みをな。そこを別の敵スタンド使いに付け込まれて、シェリーの偽物を嗾けられた事もあった……」

 

DIOの忠臣の一人で彼がスタンドを知ったきっかけのエンヤ婆、その息子J・ガイルが件の殺人鬼だ。シェリーは辱めを受けたうえで胸を切り裂かれて死亡、一緒にいた友人も重傷を負わされている。目の前で小梅に命の危機が迫ったことから、その時を思い出してしまった、というのが今回無茶をして原因らしい。

そして話し終えたところで、ポルナレフは再びチルッチと向き合う。

 

「チルッチ・サンダーウィッチ。テメェもテメェ自身の誇りや本能、そういったものに従っているだけなら、こんなことを言うのも筋違いだ。だが、それでも俺の譲れないものがある……よって、未来ある少女に手をかける、ド低俗な行為を見逃せねぇんだよ!」

「そうかい。けど、それは勝ってからいいな!!」

 

そしてポルナレフは右手でチルッチを指さすと、それに合わせてチャリオッツも剣の切っ先を向ける。チルッチも負けじと啖呵を切った。

 

 

「俺は大事な妹を守れなかった。だが、戦う力はいつも手にある……ならばやることは一つ、シェリーの分も若人達の未来を守るために、この力を振るうだけだ!!」

 

そこからのポルナレフの動きは早かった。脱兎の如き速度でチルッチの懐へと駆け込み、シルバーチャリオッツを発動。そして狙いを定め、チルッチの左腕の付け根に超高速の刺突を放った。

 

「グゥウ!? てめぇえ!」

 

すぐさま激昂し、右腕にエネルギーを収束して虚閃を放とうとするチルッチ。しかしチャリオッツは剣を素早く抜き取り、右腕を斬り飛ばす。それによって、虚閃は強制解除されることとなった。

 

「ぎゃああ!?(速い……何、このスピードは!?)」

「本来、女を斬るなんて騎士にとってはご法度だがよ。テメェ相手なら心も痛まねぇ。このジャン・ピエール=ポルナレフが、アンタを倒させてもらう!」

 

直後、チャリオッツは高速移動によって残像を作り出す。その様子に、チルッチも動揺してしまう。

そこから、ポルナレフの行動は早かった。

 

「ぎゃあ!? 速すぎ……う゛!?」

 

チルッチはそのまま、四方八方からのチャリオッツの攻撃に一切の反撃のチャンスを与えられずにいた。そして…

 

「こいつで、とどめだ!!」

「ぐぅ!?」

 

そして剣はチルッチの胸を貫通し、ついに倒れ伏したのだ。ポルナレフの、完全勝利である。

 

「テメェのやろうとしたことを考えたら、針串刺しの刑でもと考えた……けど、やめておこう。後ろのレディ達にあまりスプラッタなものは見せたくねぇし、テメェの命こそ奪えど尊厳まで奪うのは心苦しいものがあるんでな」

「……敵にそんなこと言われるなんて、アタシも…まだ、まだ……ね……」

 

ポルナレフのその言葉と同時に、チルッチは言いながら倒れ伏す。そしてその体は光の粒子となって消滅した。

すると紺達は安全になったのを察して、ポルナレフに近寄っていく。

 

「見苦しいもんを見せて、すまない。敵対者とはいえ流石に命を奪ったからな、軽蔑しても構わねぇぜ」

 

紺達に、自嘲気味な様子で告げるポルナレフ。

しかし…

 

 

 

 

 

「か、かっこいい……」

「「「え?」」」

「わう?」

 

まさかの返答に思わず、ポルナレフを含めた全員がきょとんとしてしまう。

 

「いや、流石に異性として見るのはアレですけど…さっきの騎士道精神云々については、訂正するわ」

「あ、そうか。そいつは、なにより…」

 

そのまま小梅からの言葉にいい顔をするポルナレフだが、直後に肩からの出血が勢いを増し、その場で崩れ落ちる。

 

「つ、疲れた…」

「きゃあああああああああ!! ポルナレフさんがぁあああ!!」

「ノノ! 早く、早く治療して!!」

「わわわわわ分かった、小梅ちゃん!」

「ノノ、落チツイテ」

「わぅ…」

 

顔色が真っ青になるポルナレフの姿に、全員が大慌て。イギーもあきれた様子であった。大事なところで閉まらない男、それがポルナレフである。

 

 

~葉&千矢&臣VSポウ~

「おりゃあ!」

「うりゃあ!」

「ぬん!」

 

相も変わらず、葉と千矢が二人がかりでポウに斬りかかるのが繰り返されるが、ポウは腕でそれを防ぐ。チルッチと違って大柄、かつ頑強な体をしているため防御力は上のようだ。

 

「力だけじゃなくって、体も硬いみたいね」

「うん。どうしよう?」

 

大したダメージもない様子から、臣も推察できたようだ。千矢もどうしようかと思案すると、葉が何かを思いついて二人に語り掛ける。

 

「千矢、臣。オイラは今こいつの倒し方ふた通り思いついたんだけど、どっちがいいか迷ってるんよ。占いで決めてくんねぇか?」

「倒し方? 葉、どうするの?」

「とりあえず聞かせて。どんな手か知らないと、占えないから」

 

そんな葉の提案について臣が早速問い尋ねるのだが…….

 

「一つ目は切り札を使って全力の一撃を叩き込む。これならすぐに決着がつくけど、巫力っていうシャーマンの持つ力の消耗が激しいからしんどい。もう一つは今のまま地道に削り倒す。これなら消耗を抑えられるけど、ぶっちゃけ時間がかかってめんどい」

「しんどいとめんどい、どっちを取るか………悩ましいわね」

「え、えぇ……」

 

葉が迷っている理由を聞いて、それに同意する臣。その様子に、千矢も思わず困惑してしまう。

 

「モウ、面倒クサイ……本気、出ス」

 

そのとき、ポウの方から動きがあった。ついに斬魄刀を抜き、奴が帰刃を発動する時が来たのだ。

 

「気吹け、巨腕鯨(カルデロン)

 

ポウが帰刃を発動した直後、斬魄刀は光と化して桜の花のように散っていく。そして、いきなり頭が膨れ出した(・・・・・・・)

 

「「「え゛っ」」」

 

三人は声を揃えて驚くが、ポウの肉体の膨張は続く。そしてドンドン膨れ上がっていき……

 

 

 

 

 

 

 

 

鯨のような胴体に腕が生えた、超巨大な体へと変じたのだ。

 

「ええええええええええええ!?」

「「でか!?」」

 

千矢は声を上げて驚き、葉と臣も思わずハモってしまう。

 

モウ、潰スノモ……面倒ダ…

 

そして巨大化したそのポウが腕を振り下ろそうとする。これで更に鈍重になったが、その質量から繰り出される攻撃はけた違いだろう。

 

「逃げるぞ!」

「う、うん!」

 

そしてここから来る攻撃を予測し、その場で高く跳躍する葉と千矢。当然、臣を抱えて飛ぶのを忘れずに。

 

「ぬぅうん!!」

ズゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン…

 

やはりというか、拳が振り下ろされると同時に辺り一帯に激しい地響きが生じる。

 

「こりゃ、長いこと暴れさせるとマズいぞ」

「うん。ヒビキさんや紺達も危ないかも」

 

ポウの巨体からなる攻撃に、今後の被害を想定する一同。そして着地後、葉は意を決してあることを決めた。

 

「しゃーない、切り札の使用を余儀なくされちまった。阿弥陀丸、行くぞ」

「葉殿、こちらはいつでも行けます。危険なので、千矢殿と臣殿は後ろに下がってくだされ」

 

言いながら葉と阿弥陀丸はオーバーソウルを解除。そしてバトルコスチュームのホルダーにつけてあった、切り札だという赤い石造りの短剣を抜き取る。

春雨と違い実戦用の武器ではないため、いざ使うとなって千矢は彼の正体について疑問を抱くこととなった。

 

「その剣なんなの? 切り札って言ってたけど……」

「ああ、フツノミタマノツルギって言ってな。神話に出てくる伝説の刀と同じ名前した、神器なんよ。爺ちゃん曰く国宝級の代物らしくてな、強いオーバーソウルを使うための媒介にはもってこいなんよ」

「国宝級!? いくら位するのかしら?

 

切り札の詳細を聞いて臣が俗っぽい発言をするも、それを他所に葉と阿弥陀丸は戦闘準備を終えたようだ。

 

「葉殿、拙者はいつでもいいでござるよ」

「わかった。阿弥陀丸・ヒトダマモード」

 

阿弥陀丸からの呼びかけに、葉も彼をヒトダマモードに変化させて、ついにそれを発動させた。

 

「いくぞ! 憑依合体!!」

 

そして葉最強のオーバーソウルが、ここに顕現しようとする。のだが……

 

「阿弥陀丸in春雨!!」

 

何故か、また春雨に阿弥陀丸を憑依させる。これには千矢と臣は揃って抗議することとなる。

 

「え!? 葉、さっき言ってた剣使ってないよ!!」

「そうよ! こんな時にそう言うボケはいらな……」

 

 

 

 

 

 

 

「inフツノミタマノツルギ!!」

 

かと思いきや、更にフツノミタマノツルギも使用。つまり、媒介を二つ使用したオーバーソウルを発動したのだ。そしてそれによってあふれ出した膨大な巫力が、一つの形を作り出していく。

 

 

「阿弥陀丸・精霊進化!!」

「えぇええええええええええええ!?」

「な、何これ……」

 

そして生まれたオーバーソウルに、二人は仰天する。

そこにあったのは、天を衝くような巨大な刀へと変じた阿弥陀丸の姿であった。その中心には春雨が核のように浮いており、葉の手に持つフツノミタマの剣と巫力で接続しているようだ。

これこそ、阿弥陀丸が二つの媒介と麻倉葉王の残した秘伝書、超・占事略決の秘術により刀の精霊へと進化した姿。その名を……

 

オーバーソウル! スピリット・オブ・ソード!!

 

その巨大な刀を手にした葉の姿を見て、ポウの様子が変わった。

 

「な、ナン、だ……それ、……」

 

まるで何かにおびえるように声が震え、顔から汗が止まらなくなった。葉達は知る由もなかったが、彼も一度倒された後、狩猟によって再生させられた破面の一人である。そしてポウは自身を倒した人物を思い出したのだが……

 

 

 

 

『卍解』

 

侍のような黒い着物の上から白い羽織を着た、狼の頭を持つ大柄な男。

 

『黒縄天遣明王!!!!』

 

その男が使役する、解放状態のポウと同サイズの巨大な鎧武者であった。当然、その武者も手に巨大な刀を握っており、スピリット・オブ・ソードがそれを彷彿とさせていたのだ。

 

「ナンなんだおマエハァアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

恐怖に溺れ、ポウは絶叫しながら虚閃を放つためのエネルギーを口に収束する。ポウの頭には、すでに目の前の恐怖の根源=葉を取り除くことしかなかった。

 

「そういや、自己紹介してなかったな」

 

しかしそうとは知らず、葉は律義に自己紹介を始める。

 

「あの世とこの世を結ぶ者、シャーマンの麻倉葉だ!」

 

そして葉は跳躍し、スピリット・オブ・ソードを構える。そして、一気に振り下ろした。

 

「阿弥陀流……

 

 

 

 

 

 

大 後 光 刃 ! ! 

 

その一太刀と同時に、無数の斬撃がポウの体に叩き込まれる。それによって全身がバラバラになり、ポウはそのまま消滅していった。

 

「や、やった!」

「彼が味方で、本当に良かったわね…」

 

千矢は葉の勝利した様子に歓喜し、臣はその葉の出鱈目な強さに戦慄、同時に彼が味方であることに心底安心した様子だった。

 

「よぉ、そっちも片付いたみたいだな」

「お、おっちゃん」

 

すると響鬼が声をかけながら近寄ってくるのが見えた。

 

「しかし見てたけどよ、随分でっかい剣だったな」

「ああ。さっきのがデカかったからアレにしたけど、もう一段階上の奴があんだよな」

「え? あれより強いのがあるの??」

 

遠巻きでスピリット・オブ・ソードを見ていた響鬼からの言葉に答える葉だが、聞き捨てならないものを聞いてしまう臣。

 

「ああ。もう一段階上のやつは甲縛式オーバーソウルっていうんだけど…」

 

告げた直後、何かがこちらに着地してきた。何事かと思い一同は警戒するが…

 

「葉、迎えに来たわよ」

 

そこには、前鬼と後鬼を引き連れたアンナの姿があった。

 

「アンナ! どうやって向こうに戻ろうかも考えてたから、助かったよ」

「口寄せで適当な霊を呼び寄せて、ここを探らせたのよ。さて、向こうでポルナレフが怪我してるみたいだから、回収するわよ」

「え? 大変、早く助けなきゃ!!」

 

アンナからポルナレフの状況を聞かされ、大慌てで彼と一緒にいる紺達のもとへと向かう。

 

「そういえば、あの歌舞鬼ってのどうなったんだ?」

「それが、いつの間にかいなくなっててな」

「逃げられたのかしら……でも、あんまりしんどいのも考え物だし、ちょうどいいかもね」

 

歌舞鬼についての話を聞き、そのまま一同はこの場を後にする。しかし響鬼はこの時、あるものを歌舞鬼に奪われていたのだ。しかし、それについて知るのは、もう少し先の話。




アランカル大百科・エトワリア出張_後篇
ギン「ほな、今回は破面の能力について紹介していこうかと思います。ちなみに今回は、前回のゲスト達と一緒にランプちゃんとマッチくんも参加することになりました」
一同『わー!』パチパチパチパチ

拍手に合わせて、ランプとマッチ入場。

ランプ「不肖ランプ、クリエメイトの皆様のお力になるべく、未知の敵である破面の能力を学んでいこうと思います!」
マッチ「心意気はいいんだけど……ランプのサボリ魔と聖典以外の勉強に意欲的になれない気質で果たしてうまくいくのかな?」
ギン「さすがは保護者、手厳しい評価やね。そしてもう一人、解説のために助っ人を紹介させてもらうんやけど…」

モニターに突如、顔中に黒いメイクをした不気味な男が映る。

マユリ『はじめまして、護廷十三隊・十二番隊隊長の涅マユリだ。技術開発局局長も兼任しているので、確かに破面どもに関しても詳しいヨ。故に奴らの能力を紹介する際の解説を担おう』
一同(なんかホラーな見た目の人出てきた!?)

マユリの姿に、クリエメイト一同驚愕&戦慄。

夢路「ん? 護廷十三隊って……死神にも組織的なものがあるのか?」
ギン「お、夢路くんも結構鋭いね。その通り、尸魂界の死神は護廷十三隊の名前どおりに、十三の戦闘部隊を持っているんや。涅隊長もその一つで隊長をやってて、俺も昔は三番隊隊長やってました」
きらら「じゃあ、ギンさんって所謂エリートさんだったんですね」
ギン「きららちゃん、褒めてもなんも出ぇへんで」

きららの言葉と同時に、ギンに対して感心する一同。

マユリ『君達、今回は破面の話をするのであって我々の話ではなかったはずだが?』ギロッ
ゆの「ひぃ!? ご、ごめんなさい……」
ギン「ゴメンな、涅隊長は結構気難しい人やから。それじゃあまり脱線させるのもいかんし、紹介いくで」

モニター切り替わり。

ギン「まずはゴンズイ。周囲の魂魄、つまり魂を根こそぎ吸引する。破面は人間の魂が主食やからね」
マユリ『破面は虚同士の食い合いで進化する上位種のメノスが変異するものが殆どだからネ。それだけ食らいたいという本能が強い故、こうなったと推察しているヨ』
きらら「あ、野クルの皆さんを襲った技ですね」
青葉「魂が主食……魂が食べられるってことは、死後の世界でもさらに死んじゃうってことじゃ……」

青葉の言葉にハッとして、青ざめる一同。

ギン「周辺の霊圧をまとめて察知するペスキス。レーダー能力みたいなものやね」
マユリ『我々死神や破面、あと滅却師(クインシー)と呼ばれる人間の身で虚を狩る集団の持つ、強さの指標ダネ。霊力との違いは、体の内にある力が霊力で、外に放出する力が霊圧ダヨ』
マッチ「え? この状態で続けるのかい?」

しかし紹介を続けるギンとマユリ。とんだドSである。

ギン「霊圧を圧縮して破壊光線にするセロ」
マユリ『破壊力、射程、範囲の三拍子揃っているがいかんせん弾速が遅いのであまり命中してないのが実サ』
千矢「うん。これ、もっと速かったら避けられなかったかも……」

ギン「セロの威力を落として、弾速と連射性に重きを置いたバラ」
マユリ『弾速が速い分、セロより当てやすい。しかしあまり使う個体がいないあたりこだわりでもあるのかもしれんネ』
ランプ「こんなの危なすぎです、怖すぎです……」

ギン「瞬間高速移動技のソニード。めっちゃ速いよ」
マユリ『我々死神も舜歩、滅却師も飛廉脚という高速移動用の歩法を持っている。速さは戦闘の基本の様なものだからネ」
ココア「私これ使いたい! これがあればチノちゃんや他の妹達にも一瞬でそばに…」

ギン「表皮が丸ごと鎧となっているイエロ。これも超硬いで」
マユリ『霊圧の高いものほど硬くなる傾向にあるヨ」
ゆの「ルフィさんのパンチも効きにくかったんだよね、確か……」

ギン「ちなみに、順番に漢字を当てるとこんな感じ」

魂吸、探査神経、虚閃、虚弾、響転、鋼皮
モニターに以上の感じが表記される。

千矢「え、えぇ……」
青葉「なんか、超当て字っていうか……いわゆる中二っぽい名前なんですね…」
ココア「私文系苦手だから、これだめだよ…」
夢路「あの、たぶん文系とか関係ないと思うんだけど…」

困惑するクリエメイト一同。

ギン「そして此処からが破面最大の特徴である帰刃(レスレクシオン)の紹介や」
マユリ『まず、我々死神は斬魄刀という刀を武器にしている。破面は虚が死神の能力を得た存在だから、当然武器も斬魄刀なわけだ』
ギン「そして斬魄刀はね……」

脇差の様な短い刀を天井に向けるギン。

ギン「射殺せ、神鎗(しんそう)
一同『え!?』

勢いよく刀身が伸びる刀に、一同仰天。

ギン「こんな風に名前を呼ぶと、斬魄刀の固有能力が発動するんや。刀以外の武器に変形したり、炎や冷気を操る力があったり。俺の昔の部下は切りつけた回数だけ相手の重さを倍にする能力で、昔の上司は完全催眠なんておっかない力使ってたな」
夢路「うわぁ……物にもよるけど、エルクレスが可愛く見える力だな」
マユリ『ちなみに私の斬魄刀の名は疋殺地蔵(あしそぎじぞう)、斬った対象の手足の動きを封じる能力だ。身体能力に自信が無いので、これで動きを封じて嬲らせてもらうのが基本だネ』

赤子の顔が浮かんだ気味の悪い刀を持つマユリ。怯えるクリエメイト一同。

ギン「続きに入るけど、これに対して破面の斬魄刀は虚としての姿と能力を刀に封じ込めているから、開放すると本人の姿に変化が生じるんよ」

直後、モニターに開放状態の破面が次々と映る。

蔦嬢:背中から八本の触手を生やしたルピ
車輪鉄燕:蛾の様な前足と刃の翼を備えたチルッチ
巨碗鯨:山の様な巨大のポウ
龍拳:両肩にアルマジロの様な装甲を纏った、アフロの破面
百刺毒娼:ムカデの胴体の様な両腕の、少女の破面
宮廷薔薇園ノ美女王:魔法少女の様な露出の多い格好のシャルロッテ

一同『え、ええ……(最後のって……)』

シャルロッテにドン引きする一同。

ゆの「あれ? あのチルッチって人、あの状態じゃスカートの下丸見えじゃ……」カァッ

顔を赤くするゆの。しかし直後

チルッチ『ああ、大丈夫。帰刃使うと、スカートの下に装甲増えるから』

マユリのそばに、消滅したはずなチルッチが出現。

千矢「あれ? その人、ポルナレフさんにやっつけられて消えちゃったんじゃ…」
マユリ『こいつらはすでに戦死した破面を、私の部下のゾンビ兵士に改造した代物だ。例のオーバーヘブンショッカーに強奪されたんだが、倒されたら私の所に戻るよう仕込んでおいたのさ』
シャルロッテ『まあ見た目は美しくないけど、頭脳は目を張る物があるわね』

更にシャルロッテ登場。さらにマユリは告げる。

マユリ『このゾンビ破面なのだが、あと一人そちらから帰ってきてないのがいてネ。君達がそちらで戦っている時に見つけたら、倒してくれたまえ。そうすれば、こいつらと同じく私の所で再構成されるから』
きらら「そ、そうなんですか……ちなみに、その人って名前なんて言うんですか?」
マユリ『覚えてない。コイツらは道具として都合がいいから置いているだけだ、個々人に興味はないヨ』
一同(ひ、ひどい……)

画面越しに考える破面達。ルピもやってくる。

シャルロッテ『確か、美味しそうな名前のナイスミドルって感じだったわよね……』
ルピ『うんうん。確か……ドンパニーニだっけ?』
チルッチ『ああ、だいたいそんな感じだったわね』


ゆの「ドンパニーニ? パニーニってなんだっけ?」
ココア「フォカッチャってパンを使ったサンドウィッチのことだよ。日本だとトマトソースとチーズとベーコンを挟んで、ホットプレスにしたヤツが有名だよ」
ゆの「あ、すごいイタリアンっぽい料理だね」
千矢「なにそれ、美味しそう……ココア、今度作って!」
ココア「いいよ、千矢ちゃん。お姉ちゃんに任せなさい」テッテレー

盛り上がる三人をよそに、残り三人がギンに耳打ち。

きらら「この様子、絶対にドンパニーニが名前じゃないですよね」
ギン「うん。ドルドーニが本名やね」
青葉「ドの二しか合ってない……」
夢路「そのおっさん、なんか不憫だな……」

ギン「さて。それじゃあアランカル大百科のエトワリア出張は以上になるで。みんなありがとうな」
一同『ギンさんとマユリさん、ありがとうございました』


~翌朝~
きらら「昨日、変な夢見たんですけど…あの破面って人達の能力について説明してくれる内容で」
ゆの「え? きららちゃんも見たの?」
青葉「ちょっと、私も見たんだけど…」
千矢「あ、私も見たよ」
夢路「実は俺もなんだが…」
ココア「あ、私も。なんか、運命みたいだね」
ランプ「まさか、きららさんとクリエメイトの皆様と同じ夢を見れるなんて…すごいです! 尊いです!! 奇跡です!!」
マッチ「ランプ、落ち着いて」




~尸魂界にて~
マユリ「さて。ゾンビ兵どもの逆探知で割り出した世界に、破面の情報を送れたが…上手くいけばオーバーヘブンショッカーとやらに一泡吹かせられる。せいぜい、役に立ってもらうよ」
ギンの残留思念(久しぶりに出番貰えて、ありがたいわぁ)
マユリ「しかし、何故市丸ギンのやつがいたのだ? 装置を調べなおしてみるか…」
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