仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア   作:玄武Σ

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戦兎「天っ才物理学者の桐生戦兎とヒーロー養成学校雄英高校の緑谷出久、そしてクリエメイトの保登心愛は敵の転移能力によって仲間と分断させられてしまう。果たして、その先にどんな敵が待っているのか?」
出久「転移系の能力、僕らの世界の個性としても希少ですけど、かなり強力でしたね」
勝己「仮面ライダー……無個性の人間が道具で無理やり強くなっただけかと思ったが、油断ならねぇみてえだ」
戦兎「……なあ、名前呼んでてふと思ったんだけど、ココアのフルネームって当て字みたいじゃねえか? ホットココアって…」
ココア「あはは、流石に自覚ありますよ。千夜ちゃんから暖かそうな名前って、お墨付きだし」
出久「そうですか? 僕らの世界の感覚じゃ割と普通なんですけど……寧ろ僕みたいな名前の方が珍しいくらいですし」
戦兎「マジか? そういえば、轟なんか下の名前が焦凍で炎と氷の二重属性だったな…」
リゼ「それ、私も思ったな。爆豪が名前まんま爆破能力持ちだから、"個性"がそのまんま名前になりそうな感じでいいのか?」
出久「はい、だいたいそんな感じですね。クラスメイトだと放電能力の上鳴電気(かみなりでんき)くん、カエルの能力がだいたい使える蛙吹梅雨(あすいつゆ)さん、自分の影をスタンドみたいにして操る常闇踏陰(とこやみふみかげ)くん。隣のクラスだと五分だけ他の人の個性をコピーできる物間寧人(ものまねいと)くんに、拳を巨大化する拳藤一佳(けんどういつか)さん、まだまだ居ますけど長くなるんでまた後日ってことで……あれ?」
勝己とココア以外全員「え、えぇ……(へ、変な名前……)」
ココア「みんな、どうしたの? 変わった名前だけど、みんな覚えやすくていいと思うよ」
勝己(こいつはこいつで、何も考えてなさそうだな……)
花名(どうしよう……ココアちゃん達が心配でついてきたら、変な空気に巻き込まれちゃった)


第32話「昨日の友は今日の敵・昨日の敵は今日も敵」

「チノちゃんとリゼちゃんはいるけど……千夜ちゃんとシャロちゃんがいない」

 

転移させられた直後、ココアは周囲を見回してこの場にいるメンバーを把握する。自分と同じ世界のクリエメイトに欠員がいることを気にしている。

 

「おそらく、分断させられたんだろう。万丈の筋肉バカがいないのが、いい証拠だ」

「ですね。僕とかっちゃん以外に雄英組もいませんし」

「まあ、アランカルだか何だか知らんが俺がぶっ倒してやる。だが一つ問題がある……」

 

戦兎の推察を肯定する出久。実際に、彼と勝己以外に雄英のメンバーがいないのだった。しかしそんな中、勝己は自信満々に告げると、直後に不機嫌そうな様子を見せる。そんな彼の視線の先にいたのは……

 

「なんで例の遺体と関係ねぇ奴がこんなところに紛れ込んでるんだ?」

「ひぃ!?」

 

いつの間にかついて来ていた花名であった。勝己に睨まれて怯えた様子の花名は萎縮、しかしそのまま勝己は迫っていく。

 

「てめぇ、本当なら大人しく留守番してるか向こうの守りに専念するべきだろ。それをなんで勝手についてきやがった?」

「そ、それは…ココアちゃん達が、心配で…」

 

勝己の凄味に押されながらも、付いてきた理由を告げる花名。しかしそれが勝己に火を注ぐことになってしまった。

 

「てめぇみたいなトロそうな女、居ても足手纏いなんだよ! お前は云わば要救助者、つまり助けられる側の人間だ!! そこのツインテ軍人女とこのクソナード一人いりゃ、戦力は事足りんだよ!!! それにこの自称天才物理学者も、戦力としても申し分ねぇから、なおさらお荷物だってんだ!!!」

「かっちゃん、それ言いすぎだよ! 一ノ瀬さんも、自分なりに考えて決心したのに…」

「そうだぞ! 戦闘慣れしてる人間のお墨付きを貰えたのはありがたいが、だからって友達にそんな言われ様だと…」

 

勝己の言動に涙目で縮こまる花名、そんな彼女を見ていられずに出久とリゼは当然反論する。しかし、その時に戦兎は何かに気づく。

 

「全員そこを離れろ!!」

『え?』

 

危機を察して叫んだ直後、何者かが出現して出久に斬りかかってくる。

 

「おらぁあああ!!」

「やば!?」

 

反射的にフルカウルを発動、一気に距離を離して回避する。

 

「やぁあああああ!!」

「おっと!」

 

その隙をついてココアが襲ってきた相手に斬りかかると、そのまま鍔迫り合いに入る。それによって判明した相手の姿は、虎の頭骨を頭に被った出久やココアと同年代の少年剣士、恐らく破面だ。刀を忍者のように逆手で持っているが、これが得物のようだ。

 

「それなりに戦闘慣れしているみたいだ、反応はいい。だが、お前の膂力で俺に勝てるかな!」

「う!?(何この人、すごい力…)」

 

相手は僅差だが出久よりも背が低い少年。そんな見た目にも関わらず、凄まじいパワーを発揮していく。このままでは押し切られそうだが……

 

「すっこんでろ、パン屋女!!」

「きゃあ!?」

 

そこに勝己が割って入り、ココアは弾き飛ばされる。しかし、それは勝己の爆破の力で巻き添えを出さないためだ。

 

爆破式(エクス)カタパルト!!」

「うおぉお!?」

 

爆破の推進力を活かした投げ技で、襲ってきた少年を勢いよく吹き飛ばす勝己。そして投げ飛ばした瞬間、腕に着けていた装備を構えて少年剣士に狙いを定める。それは手榴弾を模した籠手で、彼の爆破の力の源である「掌の汗腺から分泌されるニトロのような物質」を溜め込む機構があった。

 

徹甲弾(A・Pショット)!!」

 

ヴァレンタイン大統領が嗾けてきた合体ガーディアンを撃破した技。その単発仕様版が、射程も威力も更に上の物として放たれた。しかしその直後、それは起こった。

 

響転(ソニード)

「あ゛ぁあ!?」

 

瞬間高速移動で、勝己の攻撃を回避してしまったのだ。そしてそのまま勝己の背後に回り、再び手にした刀を振るう。

 

「させるか!!」

 

しかし寸でのところでリゼが割って入り、盾でそれを防いだ。そしてその隙を突き、戦兎とチノ、出久が動く。

 

「ちょっと、大人しくしてろ!!」

「「やぁあああああ!!」」

 

戦兎はラビットフルボトル、出久は自身の個性で高速移動を始め少年剣士に飛び掛かる。チノも追撃で魔法を放つが、少年剣士はまた高速移動で離脱してしまう。

そんな中、破面の少年に戦兎は問いかける。

 

「その頭の骨みたいな仮面と人間離れした身体能力……さしずめ、あのノイトラとかいう男と同じ破面ってところか」

「ああ。俺は破面No.24、ジオ=ヴェガ。十刃の一人にして虚の世界・虚圏(ウェコムンド)の王、バラガン・ルイゼンバーン陛下に仕える従属官(フラシオン)の一人だ」

「ふら、しおん? えっと、何それ?」

 

現れた破面、ジオの名乗りには固有名詞が多すぎて困惑するココア。するとジオは誇らしげな様子でその説明を始めた。

 

「俺達破面には数字が振られる。1から10が最強の十人・十刃(エスパーダ)、11からの二桁数字が破面に進化した順の数字持ち(ヌメロス)、三桁数字は十刃から降格した十刃落ち(プリバロン・エスパーダ)。従属官は数字持ちの中から、現十刃が直属の配下として選出した、忠臣ってところだ」

「へぇ……つまり、自分が一番上になれないからって一番強い奴に尻尾を振る負け犬ってことか」

 

しかしそこに割って入る勝己の身も蓋もない物言い。突然のことで一同が困惑するも、ジオは勝己に侮蔑の目を向けながら返す。

 

「戯言を。バラガン陛下は先ほど話したように、虚圏の王。そしてそれにふさわしい、神の如き圧倒的な力を有している。相対すればわかるだろうが、超えるなんておこがましいんだよ」

「あ゛あ゛ぁあ!? 俺は世界最強のヒーローを超えるのが目標だ、仮にそいつが神だろうが超えてやるつもりなんだよ!!」

 

ジオにキレ気味で飛び掛かる勝己だったが、再び響転で消えるジオ。

 

「らぁああ!」

「な…ぐわぁあ!?」

 

ジオは勝己を抑え込み、そのまま刀を首筋に充ててくる。そしてそれに真っ先に反応したのは戦兎だった。

 

「爆豪、今助けるぞ…」

「俺にも獲物、寄越しやがれぇえええ!!」

「え!?」

 

直後、鉄棍を振るうバンダナにライダージャケット姿の大男が割って入る。男にギョッとしてその場を飛びのくと、男は戦兎と対峙して構える。

 

「お前も仮面ライダーなんだってな。俺はNEVERの堂本剛三(どうもとごうぞう)、てめぇを殺す男だ!」

「ダブルが戦ってた相手で、仮面ライダーが狙いか……みんな、こいつは俺が引き付けるからそっちは任せた……」

「お前の相手はNEVERだけじゃねぇぞ」

 

直後、聞き覚えのない男の声が聞こえたと思いきや、空から鉄塊が戦兎を目掛けて落ちてくる。

 

「な、なんだ!?」

 

驚きつつも、戦兎はラビットフルボトルを振って高速移動。どうにか避けると、一人の男がこちらに殴りかかってきた。

 

「や、やべぇ!?」

 

どうにか回避して、カウンターパンチを顔面に叩き込む。しかし……

 

「硬!?」

「科学者って聞いたが、思いのほか間抜けだな。鋼鉄製の仮面を殴るとは」

 

戦兎は拳を痛めながら男の顔を見ると、金属を継ぎ接ぎしたような仮面を被ったガタイのいい成人男性であった。服装も防弾チョッキの上から白いコートを羽織った、まるでテロリストのような風貌の男である。しかしそいつを見た瞬間、反応を示したのは出久と勝己の二人であった。

 

「お前……ウォルフラム!!」

「I・エキスポの時の(ヴィラン)野郎か!」

 

出久が名を呼び、勝己が関与した事件を思い出す。

かつて出久が巻き込まれた敵襲撃事件。世界中の科学者が個性の研究やヒーロー用の装備の開発のために集まった巨大人工島「I・アイランド」で開かれた技術博覧会『I・エキスポ』を襲撃した敵が、このウォルフラムである。彼はオールマイトの友人の科学者デヴィット・シールドの開発した個性増幅装置を狙って、I・エキスポを襲撃したのである。

イベントに招待されたオールマイトに付き添っていた出久をはじめとした雄英高校のメンバーが立ち向かい、出久とオールマイトの共闘の末にウォルフラムは倒され、逮捕されたのである。

 

「ヴィラン……確か、出久さん達の世界の犯罪者じゃ」

「え? ……じゃあ、冗談抜きの悪い人?」

 

チノが出久達から聞いた話を思い出して口に出すと、ココアが思わず顔を青くする。ココア自身は仮面ライダー達との会合にオーバーヘブンショッカーの関係者と交戦しておらず、度を越した悪意には初めて遭遇することになる。

 

「雄英の小僧どもにも借りはあるが、今俺は仮面ライダーとやらに興味がある。超常が発生していない、無個性の人間しかいない世界のヒーロー、にも拘わらず俺達の世界のヒーローにも匹敵しうる力を持つ……あのお方の開放や、噂の後継者の覇道に役立ちそうと思ってな」

「あのお方……まさか!?」

 

言いながら、ウォルフラムは戦兎に視線を集中、出久もそれを聞いて反応した。実は彼、本来持つ個性とは別にオール・フォー・ワンに筋力強化の個性を与えられている。

というのも、オール・フォー・ワンの敵名は彼の個性名をそのまま取っており、「これは他者の個性を奪い自ら使用する、奪った個性を別の人間に付与する」という能力なのだ。その力によってオール・フォー・ワンは、超常黎明期の頃から何らかの個性で延命して今も生きているらしい。故に複数の個性の同時使用による強大な力と、何百年と生きたことによる知識と経験から来る老猾さを併せ持った最強の敵とされている。

それによってオール・フォー・ワンは敵としては圧倒的なカリスマ性も持っており、ウォルフラムのような忠臣達があちこちにいるとされている。

 

「戦兎さん、今加勢に…」

「させねぇよ!!」

 

出久が加勢しようとした直後、ウォルフラムが地面に手を当てながら叫ぶ。すると地面から金属の柱が生えてきて出久を妨害した。ウォルフラム本来の個性"金属操作"によるものだ。

 

「これは…」

「言い忘れていたが、俺の個性はオーバーヘブンショッカーのおかげで強化されている。地面を伝って、地中の鉱石にすら干渉可能になったのさ」

 

出久に告げた後、戦兎と向き合うウォルフラム。

 

「さて、俺も力を使わせてもらうか!!」

【メタル!】

 

するとそれを見て剛三もガイアメモリを起動。内包している記憶はこれまたダブルの有するメモリと同じ「メタル」であった。剛三は起動したメモリを放り投げると、ジャケットを脱ぎ捨てる。そして背中の差込口にメモリが吸い込まれた。

 

「うがぁああああああああああ!!」

 

そして変じたのは金属質なボディに仮面ライダーのような大きく赤い目をした、"メタル・ドーパント"だった。手にした紺は先端がハンマー上に変化しており、左腕に鉤爪が備わっている。見た目からもわかる完全戦闘特化のドーパントだ。

 

「こいつは厄介そうだな」

 

そして戦兎もビルドに変身すべく、ビルドドライバーを装着してフルボトルの準備に入る。

 

【ラビット! タンク! ベストマッチ!!】

「変身はさせてやるよ。仮面ライダーの力そのものに興味があるんでな」

「そいつはどうも」

 

ウォルフラムが変身のチャンスを寄越してきたので、ありがたく乗らせてもらうことにする戦兎。ビルドドライバーのハンドルを回して、アーマーを形成する。

 

【Are You Ready!?】

「変身」

【ラビットタンク! イェーイ!】

 

 

さっそくビルド・ラビットタンクフォームに変身した戦兎は、ドリルクラッシャーを手にメタル・ドーパントとウォルフラムに突撃していく。

 

「さて、いくか」

「了解したぜ」

 

直後、ウォルフラムがメタル・ドーパントの肩に触れると同時に、メタル・ドーパントの体から棘が生えてくる。鋼鉄ボディのドーパントも、金属操作で自在に変形させられるようだ。

 

「そう来るか。でも、俺も負けられないからな!」

 

しかしビルドは怯まず、ドーパントと敵1(ヴィラン)という未知の敵に立ち向かっていく。全ては彼の理想、ラブ&ピースをこのエトワリアでも体現するため。

そして出久達も未知なる敵、破面に挑むことを決める。するとそれに合わせて、ジオは勝己を開放する。

 

「まあいい。どうせ人間ベースのお前らが俺に敵うはずもないんだ。まとめて掛かって来な」

「クソが、嘗めやがって…お前ら、こいつ速攻でぶっ倒すぞ」

「だね、かっちゃん。ココアさん達も、行こう」

「オッケー! 花名ちゃん、下がってて…」

俺も混ぜろや人外小僧がぁああああああああああ!!

 

その直後に何者かが叫びながらこちらに落ちてきた。

現れたのは血走った目に凶悪な笑みを浮かべた大男だった。非常に筋肉質な体に、左目には傷跡と義眼が目立ち、形相の凶悪さに拍車をかけている。

出久はこいつとも面識があり、顔を青ざめることになる。

 

「マスキュラー……お前まで、オーバーヘブン・ショッカーに居たのか」

「ああ。噂のオール・フォー・ワンはヤバすぎるってことで手が出せなかったが、タルタロスに捕まってる敵はそこのあいつ以外にも、何人かいるぜ」

 

オールマイトがオール・フォー・ワンと対決した"神野区の悪夢"の直前、雄英林間合宿を強襲した敵の一人。血狂いの通り名を持つ快楽殺人鬼だった。

一方で、リゼはマスキュラーの口にしたタルタロスという単語に引っかかりを覚え、悪い想像をしながら隣にいた勝己に問いかける。

 

「なあ爆豪、あいつの言っていたタルタロスって何だ? スゴイいやな予感がするんだが…」

「俺らの世界の日本にある特殊監獄の通称だ。死刑すら生温いって判断されるような、凶悪犯を収監する場所だよ」

 

これが意味すること、目の前の敵は冗談抜きの危険人物ということだ。しかもそこからオール・フォー・ワンこそいないものの、凶悪な敵が開放されているという。

 

「こっちの戦士、クリエメイトってのが潰しがいのある奴か気になってたが、チビガキで女しかいねぇか」

「「ひぃっ!?」」

 

マスキュラーの言動に、ココアと花名は反射的に抱き合って短く悲鳴をあげる。明確にこちらの命を狙っての宣言だったため、当然だった。

 

「まあいいか。そこのボサボサ頭にリベンジするいい機会だし、そこの目つきの悪いガキも雄英の生徒らしいしな。ちょうどいい相手がいたな」

「お前の楽しみ云々は好きにしていいが、聖なる遺体の回収を忘れるな。あそこのピンクの小娘が持っているらしい…」

「早速始めさせてもらうぜ!!」

 

するとマスキュラーはジオがいさめるのも聞かず、出久達に向かって突撃していく。直後、彼の腕から何かが生えてきてそれが右腕を覆い始める。

 

「ぶっつぶれろ!!」

「危ない!!」

「「きゃあ!?」」

 

危機を察知し、出久はココアと花名を纏めて抱きかかえて飛び上がる。

 

「ちっ。お前ら、捕まってろ!!」

「え!?」

「おい、爆豪!」

 

一方の勝己も、チノとリゼを両脇に抱えて跳躍。爆破の推進を活かして一気に距離を離す。回避されたことによるマスキュラーの攻撃は、地面を大きく粉砕する。

 

「逃げるなんてよぉ、卑怯じゃねぇか!!」

 

するとマスキュラーの両脚にも腕と同じ何かが生えてきて、跳躍力を跳ね上げてくる。

 

「ぶっつぶれな!!」

「やば…セントルイススマッシュ!」

 

咄嗟に出久は、迫りくるマスキュラーに蹴りを放つ。しかし空中で、しかも人二人を抱えながらでは真っ向から力を出せない。だから、攻撃を逸らすことに専念する。

 

「く……はぁああ!」

 

結果、攻撃を逸らすというより蹴りの反動で一気に距離を離すこととなる。しかしマスキュラーの攻撃からココア達を守ることには成功した。

 

「ねぇ、出久君。あの人の力ってなんなの?」

「僕の個性と同じ筋力の強化なんですけど、奴の場合は筋繊維の総量を増やすタイプなんです。しかも皮膚の下からあふれ出す量にもなるから、筋肉自体を鎧にすることも出来ます」

「な、何それ…」

 

マスキュラーの個性の詳細を聞き、びっくり仰天の二人。すると、マスキュラーは着地してきて再びこちらに視線を向ける。

 

「ほぉ。蹴り主体に切り替えたらしいが、なるほど経験もそれなりに積んだみたいんだな。潰しがいがありそうだ」

「マズい、こっちに完全に狙いを定めている……一ノ瀬さん、逃げてください。あれは確実に危険な相手です」

「そうだよ、花名ちゃん。ここは私たちに任せて!」

「あ、ココアちゃん!」

 

マスキュラーに危険を感じ、花名に逃げるように促す。そしてココアと二人でマスキュラーに突撃していった。本来、ココアも逃がすべきなのだがまだジオがいることもあり、彼女の力も借りることを選んだ。

一方、そのジオはというと…

 

「クソが、爆殺すっぞ!!」

「ちょ、爆豪待て! 少しは連携を…」

 

勝己やリゼと交戦中であった。勝己は再び爆撃でジオを追撃するが、大火力攻撃のため上手くリゼは攻撃を繰り出せずにいた。

 

「攻撃力だけで俺を倒そうなんざ、百年早ぇんだよ」

「な!? また…」

 

だがジオは再び高速移動を発動、勝己とリゼの背後を取る。そして刀を抜き、二人の首を刈ろうとその刀を振るった。

 

「ぐわぁ!?」

「私を忘れないでください」

 

そんな時、チノの放った魔法がジオにダメージを与える。まさかの不意打ちによって、ジオのダメージは予想外に大きいものとなっていた。

 

「まさか、お前みたいなガキに傷を負わされるとはな……」

「私だって、そこそこ戦いは経験しています。敵わずとも、抵抗はしてみせます」

 

チノの強い意志の籠った目に、ジオは何か思うことがある様子だった。すると、意を決して行動を始める。

 

「お前ら、今から俺の真の姿を見せてやる。光栄に思いな」

「真の姿だぁ?」

「だとしたら、止めないといけないんだろうが……」

 

ジオもついに帰刃を発動するのだが、その際に刀を地面に突き刺しながら跪くようなポーズをとる。その様はまるで、騎士が君主に忠誠を誓うようも見える。リゼの言う通り止めないといけないのだが、その様相につい見入ってしまう。勝己ですら動きを止めてしまったほどである。

 

「喰い千切れ、虎牙迅風(ティグレストーク)!」

 

そして変貌したジオの姿は、両手の甲から生えた刃と、三つ編みの髪の先端に備えた刃の、計三本の刃を持った姿となった。脚部も獣のようになっているが、他の場所で戦うメンバーが遭遇した破面達ほど極端な外見の変化はみられていないが、威圧感は増している。

 

「さあ、いくぞ」

 

直後に浮かべた好戦的な笑みに、全員が警戒心を強める。その一方、ビルドは……

 

 

「おらぁああ!!」

「うぉっと!」

 

メタル・ドーパントの猛攻を、オクトパスライトに切り替えた状態でいなしていた。先ほど持っていたドリルクラッシャーが手に無かったのだが…

 

「ほら、どうした? もっと力を見せてみろ!!」

 

ウォルフラムの手にあった。しかもドリルクラッシャーはドリル部を取り外して銃形態に変形できるようで、それによる射撃攻撃を繰り出していたのだ。

 

(まさか、奴が触った瞬間に例の金属操作とやらで引き寄せてくるとはな。一介の犯罪者がこんな力を使うなんて、とんでもない世界だ)

 

ウォルフラムへの警戒を強めながら、雷撃で銃撃を相殺する。そして新しいフォームに切り替えようと、フルボトルを準備する。

 

【忍者! コミック! ベストマッチ!】

「ちょいと変わり種、行かせてもらうぞ!」

「忍者だ? 動物と無機物じゃなかったのか?」

 

まさかの動物じゃないフルボトルが使われ、ウォルフラムもメタル・ドーパントもそろって困惑sてしまう。しかしこれが隙となって、変身に成功した。

 

【Are you ready?】

「ビルドアップ!!」

【忍びのエンターテイナー! ニンニンコミック! イェーイ!】

 

現れたビルドは紫と黄色のカラーリングで、複眼には手裏剣と万年筆があしらわれている。そして手には刀身に4コマ漫画が刻まれた日本刀風の武器、"4コマ忍法刀"が握られている。

 

「一気に決めさせてもらうぞ!」

【分身の術!】

 

そしてビルドは柄に付いているトリガーを引くと、ビルドが分身してウォルフラムとメタル・ドーパントに突撃していく。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

一方、龍我たちは

 

「ココアちゃん達、無事かしら?」

「リゼ先輩やあの緑谷君たちが一緒なら、大丈夫じゃないかしら?」

「安心しろよ。戦兎は物理学者で頭でっかちだけど、強いからな。他の連中共々、助けになってくれるだろ」

 

引き離されたココア達の安否を気にする千夜に、シャロと龍我が安心させようと声をかける。龍我は仮面ライダーの本分として、シャロは千夜と幼馴染なので共に彼女を安心させようとする。

 

「皆さん、敵は未知の能力を持っているんですから、警戒するようにしてください」

「だろうな。車に憑依してパワーアップしたり、夢に入り込んだり、なんてやべぇ能力が多いらしいからな」

「私らの世界の個性も色々あるけど、そこから見てもスゴイ能力多いらしいしね」

「僕からしたら、遺伝する君らの世界の個性という能力もたいがいだけどね」

 

一方の雄英チーム3名も、スタンドという自分たちの世界から見ても未知な力に警戒を強めることなる。横で聞いていたジョニィもスローダンサーに跨ったまま語る。自分たちにとって彼らの世界の個性も得体のしれない能力に見えていたようだ。

 

「お前らか。オーバーヘブンショッカーが話していた、ツェペリ一族の秘伝を盗んだテロリストどもってのは」

「!? この声は…」

 

その時、ジョニィの耳に聞き覚えのある声が響く。現れたのは、テンガロンハットにマントといった西部劇スタイルの青年。しかし手に持つ武器は拳銃ではなく、掌サイズの小さな鉄球。

その姿に、ジョニィは見覚えがあった。

 

「ジャイロ!! 死者が復活したとは聞いたが、まさか君も…」

 

この男こそが聖なる遺体をヴァレンタイン大統領から守るために、ジョニィと共に戦った"ジャイロ・ツェペリ"その人である。ヴァレンタインの攻撃が致命傷となって命を落としたが、案の定オーバーヘブンショッカー首領によって復活、敵となったようだ。証拠に、その背から紫のオーラを発している。

 

「ジャイロ、奪ったなんて人聞きが悪い。君が僕に教えてくれたんじゃないか!!」

「あぁ? 俺が一族とその祖国ネアポリスの秘伝を、見ず知らずの人間に教えるわけねぇだろ。惑わそうたってそうはいかねぇぞ、テロリストめ!!」

 

ジョニィの言葉を信じず、声を荒げながら鉄球を投げつけるジャイロ。最早、言葉は通じないようだ。

 

「マズイ!」

 

咄嗟に焦凍が氷の壁を生成し、それでジャイロの投げた鉄球を防ごうとする。しかし……

 

バリィイイイイインッ

「何!?」

「追撃行くぜ、テロリストめ!!」

 

一瞬で氷の壁は砕け、ジャイロは焦凍に向けてさらに鉄球を投げる。

 

「轟君!!」

 

しかし咄嗟に天哉が焦凍を地面に伏せさせたことで、避けることに成功。

 

「今がチャンス!」

「私も手伝うわ!!」

 

お茶子がその隙を突いてジャイロに飛び掛かり、シャロも援護しようとフラスコを当的する。ジャイロはそれを見て微動だにせず……

 

「え!?」

「硬!?」

 

フラスコを頭にぶつけられてもジャイロは微動だにせず、お茶子が顔面に放ったパンチも逆に彼女の拳を痛めることになった。

 

「ツェペリの秘伝技術、テロリストとはいえガキに敗れるわけないだろ!」

「「きゃあ!?」」

 

叫びながらジャイロはお茶子を蹴飛ばし、シャロにぶつける。その手にはもう一つ鉄球があり、それはどういうわけか独りでに回転している。

 

「何なんだ、あれは? スタンド能力ってやつか?」

「ジャイロの力は能力じゃなくて技術、例のツェペリ家の秘伝技術で自然界の"黄金長方形"に干渉する、特殊な回転を鉄球に加えて操るんだ」

 

ジャイロがかつてジョニィに教えた「黄金の回転」は、自然界に存在する黄金比の長方形を利用するための技術。ジャイロの祖国ネアポリス王国には、その黄金の回転を継承した二つの一族がいるらしく、その片割れがツェペリ一族である。それぞれが異なる使用用途で回転を継承しているが、ツェペリ一族は死刑執行人を生業にしていることから、恐らくは戦闘用途と思われる。

 

「話に聞いていたが、それが黄金の回転。中々の力だな」

「あんたか。人外から誉め言葉が来るとは、光栄だな」

 

そんなジャイロに声をかける新たな敵。眼帯に額の割れた仮面の、美男子である。割れた仮面からもわかるように、この男も破面である。

 

「破面No.50、テスラ・リンドクルツ。ノイトラ様唯一の配下で、彼に貴様らの魂を捧げる者だ」

「ノイトラ……あのデカい武器持った眼帯の男か」

 

ノイトラと最も縁の深い破面、テスラ。《b》刀身の途中に輪の形をした刃がある《b》という奇怪な形状の刀を抜いて臨戦態勢に入る。しかも敵はこれだけではなかった。

 

「「俺達のことも忘れては困るな、ジョニィ・ジョースターよ」」

「ディエゴ!? なんで、お前が二人も…」

 

そこに現れたのは、ジョニィが元の世界で対立していたというディエゴ・ブランドーであった。承太郎も初戦でディオとタッグを組んだディエゴに勝負を挑んでいたが、なぜかそのディエゴが二人もいたのである。

しかしその正体は、すぐさまディエゴの片割れが明かし始める。

 

「特別に教えてやろう。俺は平行世界、聖なる遺体のあった基本世界とは異なる世界からやって来たもう一人のディエゴだ」

「なに?  そんなこと、できるはずがない!! 平行世界の同一人物が近寄ったら、対消滅するはずだ!!」

「ジョニィさん、なんだか物騒な単語が聞こえてきたんだけど?」

「消滅ならわかるけど、なんだそのツイショウメツって?」

 

ジョニィの反論について聞いていた千夜が不安げに尋ねる。龍我も聞き慣れぬ言葉に対しての質問を投げかけるのだが、それは非常に危険な真実であった。

 

「ヴァレンタインのスタンドで平行世界に行った、もしくは平行世界からこちらに引き込んだ存在は、生物だろうが物だろうが、同じ存在と引き合い、重なり合って消滅してしまう特性がある。例えば僕が平行世界の僕と遭遇してしまったら、互いに引き寄せ合って重なり合い、そのまま消滅してしまう。この特性がある以上、ディエゴは同じ世界に二人以上は存在できないはずなんだ」

「なんだ、それ……」

「思いのほか、怖すぎるんだけど」

 

同じく話を聞いていた焦凍とシャロが、得体のしれない恐怖に襲われる。しかしそんな中、他でもないディエゴ本人がその詳細を語り始めた。

 

「それを可能にしたのが、今は亡き財団Xの幹部"最上魁星(もがみかいせい)"が平行世界の自分と共同開発したエニグマという装置の力だ」

「このエニグマを使うことで最上は、平行世界の自分自身と融合することで不老不死になろうとしていたらしい。その装置の応用で、俺達は平行世界の同一人物同士でありながらともに存在できている」

「ちょ、またエニグマかよ!」

 

ディエゴからまさかのエニグマの単語が聞こえて仰天した。かつての敵対者が使っていた装置の名を、まさかまた聞くことになるとは思わなかったのだ。

 

「万丈さん、もしや何か知っているのですか?」

「その最上ってやつ、俺と戦兎が昔戦ってた敵の一人でよ。そのエニグマで他の仮面ライダーの世界に飛ばされちまったことがあんだ」

「エニグマを知る物がここにいたか。では、これ以上の説明は不要とさせてもらおうか」

 

天哉からの質問に答えながら、龍我は目の前の敵たちに警戒しながら、ビルドドライバーとクローズドラゴンの準備を行う。

その一方で、ディエゴ達もスタンドを発動して戦闘態勢に入る。

 

「俺のスタンドはスケアリー・モンスターズ。自分を含んだ生物を恐竜に変化させる能力だが、お前らは抹殺対象だからあえて恐竜化させないでおこう」

「そしてこれが俺のスタンド、THE WORLDだ」

 

そこに現れたもう一人のディエゴのスタンドだが、何故かジョニィの知るディエゴと違うスタンドを有している。この時一同は知る由もないが、そのスタンドの姿と名は承太郎が倒したDIOと同じだったのである。

ディエゴはすでにバレているため能力を明かしていたが、もう一人のディエゴは能力を明かしていない。

敵は未知の能力持ちが多い中、龍我はそれでも折れない。

 

「お前らが何者だろうと、俺は愛と平和のために戦う仮面ライダーだ。どんな理由があろうと、女子供を傷つけようなんてマネ、認めねぇ!!」

【Wake UP! Cross-Z Dragon!】

 

龍我はクローズドラゴンにドラゴンフルボトルをセットし、それをビルドドライバーにはめ込む。そしてハンドルを回して変身準備に入る。

 

【Are You Ready!?】

「変身!」

【Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON! Yeah!】

 

生成されたアーマーを纏い、仮面ライダークローズとなった龍我。ビートクローザーを構えてテスラと対峙する。

 

「仮面ライダー、生身の人間がどれだけ強化されようと破面との地力の差は埋まらん。大人しくノイトラ様の糧になっていればいいものを」

「んなもん知るか! 俺達は誰が相手だろうと負けるわけにいかねぇ!!」

 

そして二人は駆け出し、そのまま互いの剣が激突する。

 

「おらぁああ!!」

「ぐっ!?」

 

しかし鍔迫り合いの最中、テスラの顔面を殴りつけるクローズ。普通なら子の一撃で大きく吹き飛ぶだろうが、頑強な破面の肉体は微動だにしない。

 

【ヒッパレー! スマッシュヒット!】

「おらぁああ!!」

 

咄嗟に距離を取ったクローズは、ビートクローザーの柄の取っ手を引っ張る。そして刀身に纏った蒼炎を叩き込みに入る。

 

「虚閃!」

「ぎゃあああああ!!」

 

だがテスラはクローズが懐に入り込んだところで、虚閃を叩き込む。それによって、大きく吹き飛んでしまったクローズ。

 

「万丈さん! 大丈夫ですか…」

「人様の心配をしている余裕があるか、少年よぉ!!」

「うわぁあ!?」

 

クローズに気を取られてしまった天哉は、その隙を突いてディエゴの攻撃を受けてしまう。恐竜化したことですさまじい膂力を発揮するディエゴのパワーに、天哉は成す術なしであった。

 

「近づけさせねぇ!!」

「僕も手伝う!」

 

一方の焦凍も、もう一人のディエゴに近づけさせないよう氷を生成して一気に制圧しようとする。ジョニィもタスクの爪弾で援護射撃に入るが……

 

「THE WORLD!!」

 

ディエゴがスタンドの名を叫んだと同時に、なんと周囲の時間が止まっていた。このTHE WORLDもDIOのザ・ワールドと同じく時を止めるスタンドであったのだ。

 

「このTHE WORLDは5秒間このディエゴ以外の全ての時間を止める。DIOとやらのスタンドは時間がスタンドの成長に合わせて伸びたらしいが、まあ無い物ねだりにしかならないか」

 

ディエゴは時の止まった中、一人説明するように呟きながらジョニィと焦凍に向けて無数のナイフを投げる。そしてそれが終わった瞬間、5秒が経過した。

 

「「なに!?」」

 

四方八方からナイフが迫ってきて、二人は絶体絶命に。

 

「女子供だろうと、テロリスト相手には容赦はしねぇぞ!!」

 

一方、ジャイロもお茶子とシャロに鉄球の回転パワーで迫りくる。

 

「シャロちゃん、危ない!」

「え…ひゃあ!?」

 

ジャイロの投げた鉄球から逃げるべく、お茶子はシャロをゼログラビティで軽くし、宙へと放り投げる。そして自身も跳躍する。

 

「その程度で逃げられるわけねぇだろ!!」

 

直後、地面に落ちた鉄球の回転が凄まじい勢いで早まり、それが巨大な竜巻を発生させた。

 

「「うそぉおお!?」」

「シャロちゃん! お茶子ちゃんも!!」

 

そしてそれによって大きく吹き飛ばされる二人を、千夜が追いかけようとする。体力のない自分では先に敵に追いつかれそうだが、そうも言っていられない。

 

「逃がすか! ヴァルキリー!」ピィイイイ!

「ヒヒーン!!」

「きゃああ!?」

 

だがその前にジャイロの呼びかけに応じて一頭の馬が現れて、そいつが千夜の行動を妨害してしまう。ジャイロがスティール・ボール・ランに参戦した時に乗っていた愛馬、ヴァルキリーだ。

敵は強敵、しかも想定外の増援までいる。果たして、彼らの明日は?




お待たせしました。花名ちゃんについてですが、メイン作品を決めた後でスロウスタートの魅力を再認識したため、彼女にヒロインの役割を担ってもらうことにしたでござる。
あとバラガン陛下もそのうち出てきます。そのうちね……
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