仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア   作:玄武Σ

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ごちうさ3期、2話目で早速怪盗ラパン出てきましたね。面白かったです。
おちフルはこれからですが。

そしてタイトルでわかりますが、ボス仮面ライダー総集合です。しかも一部魔強化されているライダーもいます。


第38話「撃侵・ダークライダーズ」

ノイトラをどうにかして倒したディケイド達。そんな彼らの前に、プッチ神父に連れられて新たな敵が姿を現す。

 

「クローバー王国? ランプ、この世界にそんな名前の国はあるのか?」

「すみません、聞いたことないです。でも、この世界全体がソラ様の統治下にあるので…」

「なら、また知らない世界の国ってことになるな」

「私の生まれた世界については、まあ戦ってみればわかるだろう」

 

最初、ディケイドはクローバー王国がエトワリアの国という線を考えてランプに尋ねてみる。すると違うという答えが返って来るが、直後にフレーゼが戦闘に入る。腰に差していた杖を抜き、こちらに向けてきた。

 

 

「月影魔法・クレセントカット!」

 

フレーゼが技名を叫ぶと、杖の先から三日月を模した刃が無数に放たれる。そしてそれが、ディケイド達を目掛けて襲い来る。

 

「やべ!」

【Attack Ride Blast!!】

 

ディケイドはベルトに攻撃用のカードをセットし、ガンモードのライドブッカーからエネルギー弾を乱射する。フレーゼの魔法は、それによって相殺される。

 

「ならば、数で対抗するまでだ。クレセントカット・二重(ダブル)!」

 

しかしフレーゼは更に弾数を増やし、弾幕を張ってきたのだ。

 

「なら、俺達の番だ。スタープラチナ!」

「そうね。ストーン・フリー!」

 

そこに承太郎と徐倫が躍り出て、スタンドのラッシュで相殺する。先ほどノイトラを下した、近接パワー型スタンドのコンビなら、弾幕の相殺などお手の物だった。

弾幕の相殺後、つい承太郎がフレーゼに問いかける。

 

「てめぇの技、魔法と言っていた辺り魔法が一般的な世界からきたみてぇだな」

「一般的どころか、私のいた世界は全ての生物が魔力を持ち、魔法が文明の根幹を支えている。貴様らの世界にある科学とやらが、纏めて魔法とすげ替えられたと思え」

「す、すごい世界から来たんですね……」

 

フレーゼの出身世界に関する情報が本人の口から語られ、きららも驚きを隠せずにいた。更にフレーゼが手に持っていた、表紙にクローバーが描かれた本を見せながら情報を明かしてくる。

 

「そしてその世界の住人は、15歳になるとこの魔導書(グリモワール)を授かり、より高度な魔法を行使できるようになる。だが私はそこに加え、オーバーヘブンショッカーから新たな魔法を得た」

 

告げながら、フレーゼはベルトと同じく手形のような意匠の奇妙な指輪を取り出してはめる。そしてそれをベルトの手形のマークにかざした。

 

【ドライバーオン! ナウ!】

「な!? そのベルト……」

 

その時、フレーゼの腹部にベルトが浮き上がる。問題の手形のマークがついた、機械染みたベルトだ。

ディケイドはというと、このベルトに見覚えがあるらしい。するとフレーゼはベルトを操作し、中央の手のマークの向きが変わる。

 

【シャバドゥビタッチヘーンシーン!シャバドゥビタッチヘーンシーン!】

「な、なんだこのやかましい音は……」

「一応、呪文の詠唱をベルトが代行しているってことらしいが…」

「な、なんというか愉快なベルトですね……」

 

ベルトから流れた音声、というかノリノリのスキャットに承太郎が珍しく驚いている。士もとりあえず理由を説明するが、本人もあまり納得はしていない様子。きららもかろうじてフォローしたが、だいぶ苦しそうだ。

しかし、フレーゼは特に気にした様子もなく、左手につけている黒い宝石の指輪を構える。それに金色の縁を下ろすと、何処か仮面ライダーの顔を思わせる形に見える。

 

「変身」

【チェンジ! ナウ!】

 

そしてその指輪をベルトにかざしながら、フレーゼは告げた。直後、彼の体を魔法陣が通り抜け、その姿は激変する。

 

「マジか……」

「あれ、仮面ライダー……ですよね?」

 

変じたフレーゼの姿は、黒と金を基調としたカラーリングのローブととんがり帽子を纏った、魔法使いのような様相だ。しかしその顔は黒い宝石に金の縁取りを付けたような仮面で覆われ、紛うことなき仮面ライダーの姿をしていた。

 

「仮面ライダーソーサラー、というらしいな。異世界の魔法、試運転といこうではないか」

【コネクト・ナウ!】

 

そしてフレーゼ改めソーサラーは、新たな指輪をベルトにかざす。すると虚空に出現した魔法陣から、ディースハルバードという長斧を取り出して迫ってきた。

 

「だったら、迎撃に入るだけだ」

『オラァア!!』

 

迫ってきたソーサラーに、スタープラチナの拳を叩き込もうとする。しかし、ソーサラーはディースハルバードでそれを防いでしまう。フレーゼはソーサラーに変身したことで、片手でハルバードを軽々と振るえるほどの身体能力を獲得していた。

 

「なら、この指輪か?」

 

スタープラチナのパンチを捌きながら、ソーサラーはベルトを操作して新しい指輪をかざす。

 

【エクスプロージョン! ナウ!】

「ぐわぁあ!?」

 

ベルトに別の指輪をかざした時、承太郎の懐で爆発が生じた。まさかの攻撃に対応できず、承太郎はもろに攻撃を喰らってしまう。

 

「父さん!?」

「マズいよ! 早く助けないと…」

「ちっときついが、さっさと終わらせるぞ!」

 

徐倫と唯、そしてディケイドがソーサラーを止めようとソーサラーに駆け出す。

 

「唯先輩、援護します!」

「律ちゃんはきららちゃんをお願い!」

「ああ、わかった」

「す、すみません…」

 

そして梓と紬が、消耗したきららの保護を律に任せて援護に入る。しかし、ソーサラーはディースハルバードを地面に突き立て、魔導書を開きながらまた別の指輪をかざす。

 

「月影魔法・妖月光(ようげつこう)!」

「な、なにこれ…」

「あ、魔法が!?」

「きらら、どうした!?」

「律さん、力が…抜けて…」

 

ソーサラーが魔導書で魔法を発動すると、それを受けた梓と紬の放った魔法がかき消された。きららの力が抜けるという発言から、魔力を弱める魔法のようだ。

 

【トルネード! ナウ!】

「うわぁあああああ!?」

「ちょ、マジか!?」

「こんな…きゃあ!?」

 

更に指輪の魔法で竜巻を起こし、接近していたディケイド達を吹き飛ばす。攻撃のバリエーションが多いのだ。

 

「魔導書の魔法に加え、今の私は指輪の魔法が使える。ここに貴様らの探している聖なる遺体とやらが合わされば、私の忠誠を裏切ったクローバー王国への復讐、今度こそ果たすことが可能だ!」

「ひぃ!?(これが、憎悪っていう物ですか? とんでもなく、怖いです…)

 

確かにノイトラのような天災級の殲滅力は無いが、今のソーサラーは別の世界の魔法との合わせ技でかつての変身者以上の力を発揮している。そしてその原動力は、計り知れない復讐心となっており、一人傍観するしかなかったランプはその復讐心から来る威圧感に、身動き一つとれていない。

 

「そのための礎として、死んでもらうぞ。世界の破壊者よ」

 

そしてソーサラーは、地面に突き立てていたディースハルバードを再び手に取り、ディケイドに迫りくる。

 

「お前の事情は知らんが、俺もショッカーに負けるわけにいかねぇんでな!」

【Attack Ride Illusion!!】

 

しかし負けじとディケイドがカードをディケイドライバーに装填する。すると、ディケイドが6人に分身してソーサラーを取り囲んでしまった。

 

「な!?」

『そんでもって、こいつだ!』

 

そして6人のディケイドがガンモードのライドブッカーを構え、一斉掃射で畳み掛ける。

 

「ならば、クレセントカット・満月(フルムーン)!!」

 

しかしソーサラーも負けじと、魔導書の魔法で四方八方から三日月の刃を乱射して相殺しようとする。

結果、全ての攻撃を落としきってしまった。

 

「ふ。この程度…」

『オラァア!!』

「な…がはっ!?」

 

しかしその一瞬の隙を突き、スタープラチナのパンチがソーサラーの顔面に叩き込まれる。そして、その体を大きく吹き飛ばした。

 

「ナイスアタック」

「してやったぜ。だが、宝石っぽい見た目通り、硬い仮面みてぇだな」

 

しかし外見通りの頑強さをしていたらしく、ソーサラーを殴ったスタープラチナの拳に若干ひびが入り、承太郎の右手も流血している。

先ほどのノイトラに畳みかけたこともあり、腕のダメージは思いのほか大きいようだ。

 

「これは、どうにか隙を突いて撤退しねぇと…」

 

そしてディケイドがそう思った瞬間、それは起こった。

なんと、空からデンライナーが落ちて来る光景が見えたのだ。

 

「な!?」

 

ディケイド達が驚いていると、デンライナーは数メートル先の地面に落下してそのまま動きを止める。しかも、それの後を追うように三両の列車が走って来るのが見えた。

 

「おいおい。モモタロス達も、厄介なことになっちまってるらしいな」

~約10分前~

「ジンジャーさんでしたか? なんで、僕達を助けてくれたんですか?」

 

デンライナーで里へと帰還する途中、食堂車で良太郎がジンジャーに質問していた。それに対して、ナオミの入れた極彩色クリームの乗ったコーヒーをすすりながら答えるジンジャー。

 

「クリエメイトを傷つけるのはクリエを失うことに繋がるから言語道断なんだが、それを抜きにしても私自身アルシーヴに思うところがあってな…にしても、このコーヒー格別に美味いな」

 

その際、まさかのコーヒーを気に入った発言がジンジャーからなされることに驚く一同。

 

「え? このコーヒー格別に不味いじゃねぇか。おめぇ、舌おかしいんじゃねぇの?」

「おい、麦わら!! 舌がおかしいのはてめぇだろ、ナオミのコーヒーが不味いだと!? おめぇこそ、あの死ぬほど不味いアップルパイを美味いって言いやがってよ!」

「んだと!? さっきのアップルパイは死ぬほどうめぇだろ!」

「モモタロスもルフィさんも、喧嘩しないの。ジンジャーさん、騒がしくしてすみません」

「ああ、いいっていいって。邪魔してるのは、私なんだし」

 

そこにルフィが物申してくるが、そこにモモタロスが文句を言ったことで大喧嘩が始まる。しかしこの直後、事態は急変した。

 

「うわぁあ!?」

「な、何!?」

「列車が揺れてる!?」

 

いきなりデンライナーに衝撃が走り、一同の休息と談笑が中断されることとなった。

 

「みなさん、少々厄介なことになりました。どうやら、敵の列車がこちらに迫ってきたようです」

「え? オーナー、敵の列車って…」

「まさか、あの死郎って人の乗っていた…」

 

オーナーからの発言から、ライナー電王とゆのが幽霊列車を連想するが、事態はより最悪な方向へと進んでいたようだ。

 

「モニターに映しますが、より最悪な状況ですね」

 

そして食堂車内にモニターが展開されるが、そこには幽霊列車だけでなく更に二両の時の列車が走っている光景が映っていた。

 

「何だこれ? ワニみたいな列車と…」

「色違いのデンライナー?」

 

ウソップと沙英の言う通り、ワニの頭部を模した列車と紫色のデンライナーが幽霊列車の両脇にそれぞれ走っている。そこに、オーナー自ら説明がなされる。

 

「ワニの列車はガオウライナー。かつて、あらゆる時代を行き来できる神の路線を走るために作られましたが、時間をも破壊できる強大なパワーから封印された列車です。もう一台はネガデンライナー、以前パスを強奪したイマジンが量産したもう一台のデンライナーです」

「どっちも、俺達がぶっ壊したはずなんだが…」

「まさか、この二台がいるってことは…」

 

その光景を見た良太郎は、モモタロスと共にマスクの下の表情を曇らせることとなった。

そしてガオウライナーとネガデンライナーのタックルにより、デンライナーは脱線してしまった。

 

「「きゃああ!?」」

「やべぇ!?」

「マズい! 脚力強化!!」

「ゴムゴムの風船!!」

 

一同はそのままデンライナーから放り出されるも、チョッパーが変形してなずなと乃莉を回収し、ルフィは空気を吸って体を膨らまし、自らをクッションにして他のメンバー達を受け止める。

 

「うぇえ!?」

 

一人、良太郎だけ地面に激突する。持ち前の運の悪さが、ここで発揮されてしまった。

 

「良太郎、大丈夫か?」

「相変わらず、運だけは悪いなぁ」

「うん、本当に…」

「電王屋、本当に運だけは悪いんだな」

 

ひとまず、ローに呆れられながらもモモタロスとキンタロスに助けられて、事なきを得た良太郎。そのままバックでデンライナーが地面に激突すると、三両の時の列車がこちらの前に停車する。

 

「だ、誰か降りてきた…」

「一人は、色違いのモモさん?」

 

降りてきたのは、鳥の丸焼きを丸齧りする野武士風の男、宮子の指摘通りモモタロスをそのまま黒くしたような色違いのイマジン、そして死郎の三人であった。

 

「久しぶりだな、特異点にイマジンども」

「かつての雪辱、晴らしに来たぞ」

 

野武士風の男と黒いモモタロスが、こちらに強い殺気を向けながら近寄ってくる。それに対して、良太郎達から説明がなされた。

 

「牙王にネガタロス。それぞれ時の列車専門の強盗と悪の組織を作る野望を持ったイマジンで、どっちも僕達が倒したはずの敵です」

「幽霊野郎と同じで、敵に復活させられたんだろうな」

 

良太郎とモモタロスから話を聞いていると、いきなり殺気立ってこちらに迫りくる三人。そんな中、モモタロスはディケイドが近くにいることに気づく。

 

「お! ディケイド、いい所じゃねえか。普段なら俺の獲物ってなるけどよ、手ェ貸してくれねぇか?」

「無理だ、今それどころじゃ…」

【エクステンド! ナウ!】

「グォオ!?」

 

モモタロスがディケイドに増援を頼むも、その直後にディケイドがソーサラーの発動した魔法でディケイドは吹き飛ばされる。

 

「たったの一発で今の私を倒せると、思わぬことだな」

 

ソーサラーの右手に握られたディースハルバードが、鞭の様にしなる伸縮自在の武器に変化しているのが見えた。これがディケイドに一撃を入れた攻撃のようだ。

 

「スタンド使い、次は貴様だ!」

「くそ、最悪だな」

 

続けて、ソーサラーは承太郎に狙いを定めて突撃していく。承太郎もスタープラチナを再度発動して迎え撃ちに動く。

 

「おいおい、マジかよ…」

「オーナーから借りてたパス、まだ持っててよかったね先輩」

「そうやな。全員、気合入れていくで」

「一度はみんなでやっつけたんだ、どうせ負けないよ!」

「王子たる我に、歯向かうことなど頭が高い!」

 

その様子にディケイドからの増援が期待できないことを察するイマジンズだが、まだパスが手元にあることもあって、戦意は強かった。

 

「花京院さん! 私達のことはいいから、承太郎さんを助けてください!」

「え? ゆのさん…」

「お友達なんですよね? じゃあ、いなくなって欲しく無いですよね!?」

「……ありがとうございます。ゆのさん、ご武運を」

 

そしてゆのの優しさに負けた花京院は、一人で承太郎やディケイドへの加勢に向かう。一人減ってしまったが、問題は無かった。

 

「にしし。おれ達がいること、忘れんじゃねぇぜ」

「こんな状況で、弱気は言ってられねぇな」

「おれもお前らと同じバケモノだ。負けねぇぞ」

「タヌキ屋、切り札の丸薬は使っちまったんだ。無理はするな」

「あの、ローさん。チョッパー君はトナカイなんですけど…」

「え、そうだったのか?」

「そういえば、ジンジャーさんには話してませんでしたね…」

 

何故ならルフィ達海賊組に、ゆの達クリエメイト組、加えて七賢者のジンジャーもいる。数の差は圧倒的、敵の方が不利なのは見て取れるが……

 

「やっぱり、食われねぇとわからない身の程知らずのバカだな」

「俺の理想の悪の組織を設立する障害ども、ここで今度こそ消してやる」

「貴様らを皆殺しにして、ソラの涙の元を断つ」

 

三人の敵は一切の動揺もなく、それぞれベルトを装着してスイッチを起動する。

牙王のベルトからは荘厳なパイプオルガンの演奏が、ネガタロスのベルトからは電王ソードフォームの音楽を曇らせたような不快な音楽が、そして死郎のベルトからは歌劇で魔王や死神など負の存在が出現したシーンで流すような絶望をイメージする音楽が流れた。

 

「「「変身」」」

【Gaoh form】

【Nega form】

【Hijack form】

「う、ウソ…」

「あれって、お前らと同じ…」

「はい。仮面ライダーです」

 

そして敵対者三人は、仮面ライダーの姿へと変じた。ゆの達はおろか、ジンジャーまでも戦慄することとなる。

仮面ライダーガオウ。牙王が変身する、牙の意匠がある銅色のアーマーを纏った仮面ライダー。

仮面ライダーネガ電王。ネガタロスが変身する、電王ソードフォームを紫にしたようなアーマーの仮面ライダー。

仮面ライダー幽汽。死郎が変身する、黒と赤のアーマーに腰布が、海賊を連想する仮面ライダー。

 

「ジンジャーさん、あの死郎って人は女神さまと同じ名前の恋人がいるんで、安易にソラって口にしないでください」

「わ、わかった。気を付ける…」

 

ライナー電王は以前シュガーがした失言を思い出し、ジンジャーに呼びかける。敵の得体の知れなさもあって、すぐに了承してくれた。

 

「それじゃあ、俺達も行くぞ!」

『変身!!』

 

そして残るモモタロス達イマジンが、一斉に電王に変身してそのまま分担してそれぞれの敵ライダーに駆け出す。

 

「キンちゃん、僕達はガオウをやるよ」

「亀の字、了解や!」

「おれ達も行くぞ!」

「だね。ヒロ、手伝って」

「わかったわ、沙英!」

「おし、私も手を貸すぞ!」

「身の程知らずども、食ってやるよ」

 

ジンジャーも交えてガオウに突撃していく一同だが、ガオウは特に動じずにガオウガッシャーという武器を剣に組む。アックス電王とジンジャーのパワーファイターが、真っ先に懐に飛び込むことに成功した。更に、ロッド電王がデンガッシャーをロッドモードに組みながら後に続く。

 

「「いっけぇええええええええ!」」

 

沙英とヒロが魔法で援護をかけ…

 

「だりゃあああああ!!」

「どすこぉおおおい!!」

「たぁああああああ!!」

 

鉄拳と掌底、刺突で一斉に攻撃する。確実にダメージを与えられる布陣を敷くことができた。

魔法は揃って剣で捌かれてしまうが、前衛三人の一撃がすべて命中。

 

「効かねぇな」

「「「なっ!?」」」

 

なんと、ガオウは全く攻撃が効いている様子がない。その状態に、三人そろって驚愕の声を上げることとなった。

 

「はぁあ!」

「ぐぇえ!?」

 

そしてジンジャーの鳩尾に鋭い蹴りを叩き込み、数メートル先まで吹っ飛ばす。重く鋭い一撃を受け、派手に吐血しながら吹き飛ぶジンジャー。

 

「オラよ!」」

「「ぐわぁああ!?」」

 

そしてガオウガッシャーでロッド&アックスの電王二人を叩き切る。しかも剣圧で二人纏めて吹っ飛んでしまった。

 

「な、なんだあの異様な重さの蹴りは?」

「それもやけど、手応えの割に攻撃が効いてる素振りあらへんで…」

「だね。あれは痩せ我慢しているわけじゃ、なさそう…」

 

一撃で異様なダメージ、素の防御力の高さも異常。三人揃って警戒心が強まることとなる。

 

「隙だらけだ! 衝撃狼草(インパクトウルフ)!!」

 

そこにウソップが追撃を仕掛けようと、パチンコで緑星の球根を発射する。するとそれが成長して狼の姿を象り、球根は鼻先となっていた。この球根が衝撃波を生み出し、敵を攻撃する仕組みなのだが…

 

「こけおどしが」

「な!?」

 

その衝撃波が来る前に、衝撃狼草は切り裂かれてしまった。するとガオウは、地面を大きく踏み鳴らすと大きな地響きが生じた。

 

「うぉお!?」

「きゃあ!?」

「な、何やこれ!!」

 

その振動で一同は動きを封じられ、そのままガオウが駆け出すと全員にすれ違い際に剣で斬りつけた。

 

「い、痛い…」

「強すぎるわ、なんなんや…」

「さっきの奴等の比じゃない…」

「マジで何なんだ、こいつ…」

 

ガオウがあまりにも強すぎ、心を折られそうになるヒロ達。一度交戦したロッド電王達や、それなりに実力者であるジンジャーやウソップまでたじろぐ程の始末だ。

 

そして、苦戦を強いられているのは彼らだけではなかった。

 

「オラ! さっさと負けを認めろ!!」

「うわ!? もう、なんなのさ!!」

「リュウタロスさん、怪我は私が治します…!」

「そんで、なずな達は私が守る!」

 

ネガ電王はネガデンガッシャーソードを振るのだが、なんとそこからカマイタチが生じてガン電王にダメージを与えてきたのだ。負けじとガン電王は銃撃で応戦し、なずながダメージを治療している。乃莉も盾を構えて、ネガ電王のカマイタチを何とか防いでいた。

 

「図が高いぞ、貴様!!」

桜吹雪(ロゼオミチエーリ)!!」

 

そしてウイング電王と柔力強化のチョッパーが一気に懐へと飛び込み、ネガ電王に畳みかけるが…

 

「はぁあああああああ!!」

「ぬぉお!?」

「「わぁあああああああ!!」」

「「きゃああああああああああ!?」」

 

ネガ電王が一閃すると、斬撃を伴った竜巻が生じて、ウイング電王とチョッパーを吹き飛ばした。更にそれは、ガン電王となずな、乃莉をも巻き込んでしまう。

 

「ずるいよ! なんでそんな攻撃できるの、前はそんなの無かったのに!?」

 

そこでガン電王が、いきなり駄々をこねるようにネガ電王に文句を言う。しかし、ここでネガ電王からとんでもない事実が語られた。

 

「俺と牙王が悪魔の実を食べたと言ったら、信じるか?」

『え?』

「あ、悪魔の実を食べた……?」

「なんと…」

 

聞いていた全員が驚嘆した。食べただけで超常の力を得る悪魔の実を、イマジンという人外の戦闘力を持った存在が食し、仮面ライダーにまで変身したのだ。脅威でしかない。

 

「俺はカマイタチを自在に起こせるカマカマの実、牙王は体を鋼鉄化するカチカチの実を食った。俺達からしたら、泳ぐ機会なんて無いからデメリットは皆無なんでな」

 

そして説明を終えたところで、ネガ電王が再び動き出す。

 

そして、幽汽と対峙するソード&ライナー電王、ルフィ&ロー、ゆの&宮子の6人。今回のダークライダー3人でも飛びぬけて強い幽汽は、どうなっているのか。

 

「死者と生者の逆転、今度こそ叶えさせてもらうぞ。海賊ども、その為の切り札をお前らの世界から首領が取り寄せたんでな」

 

言いながら、死郎は一本の剣を手に取った。翡翠を連想する、美しい緑の刀身を輝かせている。しかし、どこか禍々しいイメージを与える。

 

「七星剣とかいう銘の妖刀らしいが、相当強力な武器だ。一気に決めさせてもらうぞ」

「!? 七星剣だと…」

 

それを聞いた瞬間、ローの顔色が青ざめる。どうやら、聞き覚えがあるらしい。

 

「麦わら屋に電王屋、ひだまり屋ども! その剣は危険だ!!」

「「「「え?」」」」

「トラ男さん、どったの?」

 

突然のローの取り乱しように、対峙していた一同は茫然とする。その直後、七星剣に緑の炎が纏わって幽汽が駆け出してきた。

 

「はぁあ!」

 

そして幽汽が一閃すると、その緑の炎が広がってこちらを襲う。

 

「くそ! ROOM・タクト!!」

 

咄嗟にローがオペオペの能力で結界を張り、一同を操作能力で宙に浮かせる。

 

「おわぁあ!?」

「おお! トラ男さん、こんなことも出来たんだ!」

「た、助かりました…ありがとう、ローさん」

「ローさん、さっきの剣は一体?」

 

宙を舞うことでどうにか攻撃を回避するが、その際にライナー電王は七星剣についてローに尋ねる。

 

「ああ。あの剣は…」

「おっしゃ、行くぞ! 麦わら!!」

「おお、行くぞ!!」

「あ、待て!」

 

しかし話を聞く間もなく、ソード電王とルフィは幽汽に飛び掛かって攻撃に入る。そしてデンガッシャーソードの斬撃とゴムゴムの銃を放つのだが…

 

「ふん」

「な!?」

「いっ!?」

 

幽汽は二人の攻撃を七星剣で防ぐ。その時、刀身に纏わった緑の炎が拳と剣に移ってきた。そこに二人は背筋が凍るような感覚が襲い、二人は咄嗟に距離を置く。

 

「な、なんだその剣!? めちゃくちゃ気持ちわりぃぞ!!」

「そうだぞ! お前、そんなもん振りまわして平気なのか!?」

「確かに怨念のような物が俺の頭の中を囁くが、生ける死者である俺にとっては心地良い物だ」

 

そして再度、七聖剣を振るって火炎弾を放つ幽汽。攻撃そのものは単調で回避も容易いが、その都度得体のしれない気配が通る感覚が二人を襲い来る。

 

「シャンブルズ!」

 

するといきなり、ローが幽汽の背後に転移して刀を振りかぶってきた。いつの間にか、相手の背後に自信と居場所を入れ替える石か何かを放り投げたようだ。そしてローはその首を取ろうと、刀を振り下ろす。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「簡易トリオン銃…玄界から武器を卸されてるとは思わなかったね」

「ただの要保護者だと思ったのが、運の尽きでしたね」

 

その頃、ガロプラと交戦していた玉狛とイーグルジャンプの合同部隊。桐絵が周囲のトリオン兵を蹴散らし、ダメージを与える手段のないひふみ達が牽制しつつ、京介やレイジがトリガー使い達を攻撃してどうにか手傷を与えていた。

うみこは攻撃手段を持っていたおかげで、ねねに陽動させつつ副隊長のコスケロと上手く立ち回れた。彼のトリガー"黒壁(ニコキラ)"はトリオンで出来た物体をジェルでコーティングするという、妨害特化のトリガーだ。鉛弾(レッドバレット)やアフトの黒トリガー"卵の冠(アレクトール)"のように、トリオン以外の物質には効果がない。これが良かったのだろう。

 

「よし、一気に決めるか。全武装(フルアームズ)起動(オン)

 

そして隙を見てレイジが一気に勝負に出た。

彼の肩にランチャーとキャノン、腕に機関砲と突撃銃、更に近接トリガーのレイガストを装備した二本のロボットアームが装備された。全武装の名に相応しい、超攻撃特化の姿と化していたのだ。

 

「え、なにこれ!? 特撮ヒーローみたい、かっこいい!」

「はじめ、今それどころちゃうやろ!」

 

レイジの変化にはじめは大興奮、ゆんが諌める。そして、レイジはそんな二人を気にせず、一斉掃射でガロプラのトリガー使い達をまとめて攻撃していく。

 

「な!?」

「レギィ! ラタリコフ!」

「クソぉお!?」

 

そしてすさまじい勢いの銃撃によって若手トリガー使いが二人倒され、残るはウェンとコスケロの二人となった。緊急脱出(ベイルアウト)のおかげでそのまま拠点に帰還できたが、トリオン体の破壊による消耗もあって、今回はもう戦闘不能だろう。

 

「もう、攻撃要因はいなくなった。大人しく撤退する方がいいんじゃないか?」

「…聖なる遺体があれば、ガロプラの属国から脱却できるかもしれない。そのチャンスを、逃すわけにはな」

 

レイジから撤退を勧められるも、ウェンはその意思を見せる様子がない。今回の戦闘に国家の独立が叶うチャンスがあるなら、それに欠けるのは当然だろう。

 

「残念だが、君たちガロプラを含んだ、いくつかの国との契約は解除との通達が財団本部からあったよ」

「なっ!?」

 

突如、聞き覚えのない成人男性の声が聞こえたと思いきや、ウェンの体を背後から何者かが貫いた。

 

「な、なんだ…」

「なんか、ホラーな見た目の人が来たんだけど…」

「なんや、この人……」

 

乱入者は黒いコートにシルクハットを見に付けた、全身包帯の不気味な男だった。首には何故か、黒い炎を灯したおしゃぶりを下げている。この黒い炎がウェンを貫いた腕にも覆われているため、バグスター由来の力や霊力と同じ、"トリオンを破壊できる例外の力"なのだろう。

 

「貴様……!?」

「文句が言いたいなら、同じく財団と取引中のエルガテスに言ってくれたまえ。それでは、御機嫌よう」

 

一言だけ告げると、そのままウェンもトリオン体破壊による緊急脱出の起動で、去ってしまった。そして黒衣の男は、一人残っているコスケロに向き合った。

 

「そういうわけだから、副隊長殿とオペレーター君も撤退を勧める。隊長のガトリンも敗北したようなのでね」

「そうか……仕方ない、帰らせてもらうよ。そういうわけで、お姉さん達にはもう会わないだろうね」

『餞別代わりですが、エルガテスはトリオン兵開発で有名な国家ですから、』

 

最後に黒衣の男に告げられ、コスケロも撤退していった。

 

「私はジャック。まあ、本名を捨てて久しいので仮の名として名乗っている。かつては、私の世界においてマフィアの秩序の番人"復讐者(ヴィンディチェ)"に属していたが、現在は離反して財団Xに協力している」

「「マフィア?」」

「マフィアというと、あの犯罪組織のか?」

 

予想外のマフィアという単語に、相対していたレイジ、はじめ、ゆんの三人は困惑の色を隠せずにいた。明らかに異形の姿で異能の力を使っているのだ、当然だろう。すると、そのジャックと名乗る男は自身の能力について明かし始めた。

 

「我々の世界では、マフィアは己の生体エネルギーを特殊な指輪を介して圧縮し、炎の形で可視化した"死ぬ気の炎"という力を用いて戦っている。私も通常と異なる"夜の炎"という炎を使っている」

「また、えらく物騒なものを使うマフィアもいたものだな」

 

死ぬ気の炎なる未知の存在に、警戒心を強めるレイジ。それは他の玉狛メンバーも、イーグルジャンプ組も同様だ。

 

「が、本来この夜の炎は私のかつての上司しか使えなくてね、それを貸し与えらる形でしか使えなかった。彼と快を分かった後で偶発的に発現できたが、これでも非常に微弱なのだよ」

「お! それじゃあ、逆に言えば今が倒すチャンスじゃない」

「だからと言って、油断しないでくださいよ小南さん。相手は、私たち全員にとっても未知の力を使うのですから」

「そうやで、桐絵ちゃん。あいつの攻撃も、桐絵ちゃん達に効くみたいやし」

「お二人の言う通りですからね、小南先輩」

「わかってるわよ、それくらい」

 

桐絵はジャックの発言からこちらの優位を察するが、そこに油断が生じていることを察せられる。だが、ここでジャックから信じられないことを伝えられる。

 

「だから、オーバーヘブンショッカーが貸してくれたこの力で戦わせてもらうよ」

 

言いながらジャックが左腕を構えると、そこに何かが飛んでくる。そこに、一同は見覚えがあった。

 

「あれって…確か今朝の紳士達が使ってた?」

「ええ。ゼクターという、とある世界のさる組織が開発したツールだ」

 

ジャックの腕にはめたブレスレットに装着されたそれを見たねねは、確かに紳士ウィルバーたちが使ったゼクターというツールであった。色は金色で、こちらもカブトムシを模している。

 

「変身」

【Henshin!】

 

そしてジャックは全身を、コーカサスオオカブトの角を模した仮面と、黄金のアーマーを纏った仮面ライダーに変身した。右肩の角上のパーツも、コーカサスオオカブトのそれを模していた。

 

「仮面ライダーコーカサス、降臨。早速行かせてもらおう」

 

そしてコーカサスに変身したジャックは、右腕に死ぬ気の炎を纏わせてこちらに迫ってきた。

 

「俺が防ぎます!」

 

直後、レイジが真っ先に正面に躍り出て、全武装のアームでレイガスト二本を構えて防御に入る。シールドモードのレイガストの硬さのおかげで、どうにか防ぐことができた。

 

「はぁあああああああ!!」

 

直後、桐絵はレイジを飛び越えながら自身の持つブレード"双月"を連結する。するとハチェットから大斧へと変化し、それで背後から斬りかかろうとする。

 

「クロックアップ」

【Clock up!】

 

しかしコーカサスが腰に手を当てると、いきなりその姿が消えた。

 

「え?」

「な…がっ!?」

 

それによって、桐絵の斧による一撃がレイジに当たってしまった。レイガストで防ぐことができたが、その直後にコーカサスが桐絵の背後に姿を現す。

 

「ぬん!」

「きゃあ!?」

 

そして桐絵に蹴りを叩き込み、そのまま吹き飛ばす。死ぬ気の炎は纏っていないのでダメージは無いが、大きく隙を作ってしまう。

 

「スピードアップした!?」

「なるほど、なら俺の出番ですね」

 

ねねが驚愕したその時、京介が警戒心を出して自身の戦用トリガーを起動した。

 

「ガイスト起動(オン)

「おお! これが噂の…」

 

京介がそのトリガーを起動した瞬間、はじめが歓喜した。京介の四肢が黒い装甲に覆われ、体を構成するトリオンが乱れ始める。そして刀を模したブレードトリガー"弧月"を構えながら、右手に表示されたパラメーターを操作する。

 

機動戦特化(スピードシフト)白兵戦特化(ブレードシフト)

 

斬と速のパラメーターの値を上げると、そのパラメーターに沿った超スピードで、これまたコーカサスの背後を取ることに成功した。

 

「ふっ!」

 

コーカサスは身をひるがえして斬撃を躱すが、完全には躱し切れずに装甲に裂傷を付けてしまう。しかし、変身者であるジャックの体にまでダメージは通っていない。

 

「その様子を見るに、急激なパワーアップの代償としてトリオン体の持続時間が短くなるようだな」

「!? …だったら、どうします?」

「その前に倒させて、君の心を折る」

 

コーカサスはガイストの弱点を指摘するが、それを突かずに京介に勝つと宣言する。そしてまた、例の能力を起動した。

 

「クロックアップ」

【Clock up!】

機動戦特化(スピードシフト)

 

それに合わせて京介もスピードを上げ、回避に専念しようとする。しかし、予想外の事態が発生した。

 

「ぐわぁあ!?」

『え!?』

「が、ガイストより速い?」

 

京介の体が吹っ飛び、しかも炎を纏わせた拳での攻撃のため、トリオン体の腕が破壊されてしまう。一切反応できずにいた様子から、女性陣が声を合わせて驚き、レイジも信じられない物を見た様子だ。

 

「このクロックアップは、ただ速くなる力ではない。タキオン粒子という物を使用しているのだが、聞いたことがある者もいるのではないか?」

「タキオン粒子って、たまにSF物でも聞く? まあ、それくらいしか知らないけど…」

 

この中で唯一、はじめが聞き覚えがあったようで反応した。オタク趣味が高じて、そういった知識もある程度は把握していたようだ。

タキオン粒子とは仮想上での存在とされる粒子で、「特殊相対性理論に矛盾しない、光速度より速く動く」という特性がある。言葉上で説明するとよくわからないが…

 

「このタキオン粒子を全身に纏うことで、私のスピードは光速、つまり光の速さに達しているというわけだ。しかも、このゼクターで変身するライダーは皆がこの能力を使える」

「な…」

「ちょ、いくら何でも反則やろ!」

 

あまりにも分が悪すぎる、コーカサスの能力。しかも同じ規格のライダー全員が使える力ということもあり、全員が顔を青ざめることとなる。ゆんがそれについて文句を言うも、特に気にした様子がないコーカサス。しかも、コーカサスは必殺技の準備に入ろうと、腕にセットされたゼクターを180度回転させる。

 

「ライダーキック」

【Rider kick!】

 

そして、炎を右脚に纏わせると同時に角にタキオン粒子から生成されたエネルギーが、その右脚に収束された。そしてその足による鋭い蹴りを、京介に叩き込んだ。

 

「な!?」

「「とりまる(さん)!?」」

【トリオン体活動限界・緊急脱出】

 

京介のトリオン体は蹴りの衝撃だけで胴体が千切れ、そのまま強制離脱してしまった。規格外の強敵が出現したことで、一同は一気に危機へと陥ってしまう。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「アンナの嬢ちゃん、助かったぜ。移動の足が無くてよぉ」

「無駄話はそこまでよ。今、あちこちで敵の仮面ライダーが攻め込んで来てるみたいだから」

「え!? じゃあ、急がないと!!」

 

前鬼と後鬼に運ばれながら、アンナから状況を聞かされる一同。千矢は話を聞いて、仲良くなった他のクリエメイト達に迫る危機を察した。しかし、そこで予想外の事態が発生する。

 

「逃がさねぇぜ」

「よう、ポルナレフ。久しぶりだな」

「な!?」

 

なんと、巨大な消炭鴉(ケシズミカラス)に乗りながら歌舞鬼と、いつの間にか合流したらしいホル・ホースが追いかけてきたのだ。

 

-メギャンッ-

「エンペラー!」

 

ホル・ホースの手に独特な音を立てて銃のスタンドが出現し、銃弾を連射してくる。自在に弾道を変えられるスタンドのため、式神の背に乗りながらではまともな回避が取れず…

 

「きゃあ!?」

「紺!」

「やべ!? アンナ、ちょっと降りる!!」

「他の子たちを連れてってくれ!」

「響鬼のおっさんに同意だ! イギーはわりぃけど、そっちに残ってくれ!!」

「仕方ないわね…飛ばすわよ!!」

「がう!!」

「え、ちょ!?」

 

紺がバランスを崩して前鬼の背から落ちてしまう。千矢が救出のために飛び降り、後を追う男衆。アンナとイギーに小梅達の退避を任せ、そのまま歌舞鬼とホル・ホースと戦うことになってしまった。

 

「悪い、キツネのお嬢ちゃんに銀髪の嬢ちゃん。俺は本来、女を傷つけるのは不本意なんだぜ。全ての女性を尊敬してるんだが…本当すまねぇ」

「そうなんだ…でも、私は悪い人に手を貸しているおじさんのこと、嫌いだな」

「私もあなたみたいな軽そうな大人、願い下げです」

「そうか? しかも、おじさん呼びは流石に傷つくねぇ……」

 

ホル・ホースの謝罪とそれに対するフェミニスト宣言だったが、千矢達から嫌悪感を抱かれて若干へこんでる。すると、そこに歌舞鬼が割って入ってくる。

 

「まあ、それとは別にポルナレフと仮面ライダー達は纏めて消させてもらうが」

「おお。聖なる遺体を渡すなら、話は別だぜ」

「生憎だが、例の首領とやらみたく得体のしれない奴に遺体を渡すわけにはいかねぇんだよ」

 

そしてそんな二人に対して、真っ先に交戦の意を告げたのはポルナレフだ。シルバーチャリオッツを発動し、剣の切っ先を二人に向けた。

 

「おし。よく言った、青年!」

「それじゃ、オイラも手を貸させてもらうぜ!」

「私だって、戦うよ!」

「そうね。こんな人たち、放っておけないし」

 

そこに加勢の意を伝える響鬼達。だが、心なしか歌舞鬼たちは余裕のありそうな表情だ。しかし、その理由はすぐに判明することとなる。

 

「いいのか? 今、俺の手にはてめぇの切り札があるんだぜ」

 

言いながら、歌舞鬼が見せてきたのは一振りの短刀だった。鍔の部分に拡声器のようなパーツがあるそれを見た時、響鬼は自分の体をまさぐって探し物をする。

 

「あれ? 無い、無い!!」

「だから、これはお前のだって言ってるだろ」

「! まさか、あの時…」

 

どうやら、響鬼の武器だったそれはいつの間にか歌舞鬼に奪われていた。そこで響鬼が思い出したのは、戦闘中に消炭鴉の攻撃が腰に掠ったことがあった。その時の可能性が高い。

 

「おっちゃん、あの剣なんだ? 見た感じ、取られたら不味い物みたいだけど」

装甲声刃(アームドセイバー)っていう俺の切り札でな。使用者の声を音撃に変える機能があって、直接切り付けても強力な剣なんだよ」

「けど、人から聞いたがこいつにはこういう機能があるんだってな」

 

葉に装甲声刃の機能について説明すると、歌舞鬼がとんでもないことをした。装甲声刃を構え、拡声器に対してあるワードを投げかける。

 

「歌舞鬼、装甲」

「な、なんだ!?」

「えええええ!?」

 

その直後、何処からか無数のディスクアニマルが歌舞鬼を目掛けて飛び掛かってきた。その様に葉も千矢も臣も驚愕した。そしてそのディスクアニマルが、何と歌舞鬼の全身を覆う装甲へと変じた。

 

装甲歌舞鬼(アームドカブキ)、ただいま参上ってな」

 

響鬼が装甲声刃を介することで使える強化形態、それを何故か歌舞鬼が使用してしまったのだ。

 

「それ、確か俺にだけ使えるよう調整された変身の筈なんだが…」

「さっき話してた首領、そいつに体を調整してもらったものでな。じゃあ、早速行かせてもらうぜ」

 

そしてそのまま、歌舞鬼が剣を振りかざして駆け寄ってくる。そこに、ホル・ホースも援護射撃を仕掛けてきた。

 

「俺がホル・ホースを相手取る! 響鬼のおっさんと葉はあの歌舞伎野郎を頼むぜ!!」

「「了解」」

「じゃあ、私が守る!」

 

そして千矢が防御を買って出て、そのまま男三人で攻勢に出る。数の差もあり、こちらが優位と思われるが…

 

「バカが、今の俺のパワーに敵うはずねぇだろ!」

「きゃあ!?」

 

しかし、装甲歌舞鬼にパワーアップした歌舞鬼の蹴りが、千矢の構えた盾に命中。だがあまりの威力に、そのまま千矢は吹っ飛んでしまった。

 

「嬢ちゃん!」

「隙だらけぜ、ポルポルくんよぉ!」

 

そこに気を取られたポルナレフを、すかさずホル・ホースが狙い撃つ。エンペラーの銃弾が、チャリオッツを通り過ぎてポルナレフを直接狙う。

 

「しまっ…」

「させるか!」

 

しかしそこに葉がオーバーソウルで銃弾を防ぐ。そしてすかさず、反撃に出た。

 

「真空仏陀切り!」

「やべっ!?」

 

ホル・ホースに向けて斬撃を飛ばし、そのまま倒そうとする。のだが、ここで妨害が入ってしまう。

 

「はぁっ!」

「うそ!?」

 

歌舞鬼が装甲声刃の拡声器で放った、声の音撃で相殺されてしまったのだ。しかもそれで驚いた隙を突いて、歌舞鬼が葉に斬りかかってきた。

 

「少年、離れろ!」

「おっちゃん!」

 

そこに響鬼が迎撃しようと、音撃棒を振って火炎弾を飛ばす。そしてそれが歌舞鬼に命中する直前に葉は飛びのき、歌舞鬼は爆発した。

 

「そうか。それじゃあ、お前を先にやらせてもらうか!」

「何!?」

 

しかし歌舞鬼は装甲で覆われたことで大したダメージを受けていないようで、そのまま標的を響鬼に切り替えて襲い掛かってきた。

 

「だったら避けて…」

「させるかよ!」

「うぉ!?」

 

だが攻撃を避ける前にホル・ホースの銃撃で妨害されてしまい、歌舞鬼の接近を許してしまう。

 

「そらよ!」

「がぁあ!?」

 

そして一閃を受けてしまい、そのまま響鬼は倒れてしまう。そこで変身が部分的に解け、響鬼は素顔がむき出しになってしまう。

 

「さて。生身がむき出しになったところで、このまま始末させてもらうぜ」

「一同、聞きな! 響鬼のおっさんを助けてほしけりゃ、聖なる遺体を寄越しな」

 

そして響鬼の顔に装甲声刃の切っ先と、エンペラーの銃口を向けられる。それに対して、葉もポルナレフも、戻ってきた千矢も動けずにいる。

 

「これはポルナレフに昔言ったんだが、(ハジキ)じゃ剣には勝てねぇぜ。剣でも拳でも、とにかく懐に潜り込む攻撃は、銃じゃ勝てねぇのさ」

 

勝ち誇ったホル・ホースの一言に、誰も反論できずにいる。一度は彼を倒したポルナレフでも、今の状況では反論も出来ずにいる。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「さて。バイクの往復をしている余裕なさそうだし、歩いて帰るしかないか…」

「ひ、ひえぇ…」

「そういえば、花名さんって運動苦手でしたね…」

 

戦闘を終えたビルド達は、帰還の方法を考えていたのだが、このメンバーで一番体力のない花名が驚いている。その時、物音がしたので振り返ると…

 

「お前ら…俺は、まだ戦えるぞ…」

 

なんと、ジオが満身創痍ながらも立ち上がってきたのだ。

 

「あの…私達、君と戦う理由は無いんだけど」

「ああ。さっきも言ったが、俺が戦う理由はラブ&ピースの為だ。殺し合うためじゃない」

「そっちに無くても、俺にはあるんだよ! バラガン陛下の従者として、生きている限り敗北は許されん!!」

 

ココアやビルドが戦意がないことを告げるも、ジオは聞き入れる様子はない。骨の髄まで戦士としての精神が染み込んでいる破面に、彼らの優しさは通じていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、目障りだからもう消えちまいな」

「が!?」

 

その時、聞き覚えのない声が響くと同時に、巨大な鉄塊がジオを背後から押しつぶす。その光景に面食らった直後、信じられないものが見えた。

なんと、気絶したはずのウォルフラムが立ち上がっていたのだ。

 

「え? もう、ウォルフラムの目が覚めた?」

「残念だが、今ウォルフラムの意志は眠っているぜ。緑谷君に戦兎」

「!? この声、まさか…」

 

出久が驚いていると、何とウォルフラムの口からは先ほどの聞き覚えのない声が発せられたのだ。しかし、ただ一人ビルドだけは聞き覚えがある。

 

「久しぶりだ戦兎、そして初めましてそのほかの連中。俺の名はエボルト、今はウォルフラムの体に寄生させてもらっている。こいつの言っていた個性を強化した要因ってのは、俺の遺伝子のおかげだ」

「え、エボルト?」

「寄生って、何なんだこいつ?」

 

出久も勝己も、エボルトと名乗るそいつに得体のしれない恐怖を感じることとなる。そして、そんな彼らにビルドがその正体を説明し始めた。

 

「エボルトはブラッド族っていう、フルボトルの起源になった文明を持つ地球外生命体の一人だ。そしてブラッド族は、惑星破壊を生業にしている、危険な戦闘民族でもある」

「え?」

「わ、惑星破壊?」

「それが本当なら、めちゃくちゃ危険じゃないですか!!」

「おいおい、下手な(ヴィラン)より愉快なことやってるじゃねぇか」

「爆豪、冗談でも愉快とかいうんじゃない。こいつ、尋常じゃない何かを感じるぞ」

「あ、ああ…」

 

 

 

 

「さて。色々話しこみたいこともあるが、聖なる遺体を手に入れねぇと俺も首領に消されかねないからな。早速やらせてもらうぞ」

 

言いながら、エボルトは一つの装置を腹部に充てる。すると、それがベルトとなった。

 

「ビルドドライバーの色違い?」

「まさか、あの人も……」

「残念だが、このベルトはエボルドライバー。ビルドドライバーの元になったベルトで、より高性能だぜ」

 

出久とココアが察しがついたことで、顔を青ざめる。そんな中で、エボルトは陽気な様子で自身のベルトの説明を始める。そして、そのままフルボトルらしきアイテムを振ってベルトに差し込んだ。

 

コブラ! ライダーシステム! エボリューション!!

「あいつと同じ声?」

「変なところでナルシストみてぇだが……」

 

ベルトから流れた音声がエボルトの声そのままだったため、リゼと勝己が思わず口ずさんでしまう。だがエボルトは気にした様子もなく、ベルトのハンドルを回し始める。

すると"ベートーベンの交響曲第9番"がベルトから流れると同時に、アーマーが生成されていく。そしてエボルトがポーズを決めた直後…

 

Are You Leady!?

「変身」

 

エボルトの声で覚悟はいいか?の問いかけがベルトから流れる。そして変身の掛け声とともにエボルトの体をアーマーが挟み込み、変身が完了した。

 

コブラ! コブラ! エボルコブラ! フッハッハッハッハッハッハ!

「ウソ、でしょ…」

「敵の仮面ライダー…やっぱり…」

 

 

現れた仮面ライダーの姿は、紫と金を基調としたカラーリング、仮面のデザインは口を開いて牙を剥くコブラ、胸の天球儀を模した装甲など宇宙を連想したパーツ、といった荘厳さと凶悪さが共存した姿をしている。これでもこの仮面ライダーの基本形態で、最も戦闘力の低い形態。しかしライダーシステムのコンセプトが"敵を倒すための力"ではなく"敵を滅ぼすための力"とされているため、油断はできない。

そしてそんな恐るべきライダーの名は…

 

「仮面ライダーエボル・フェーズ1」

 

名乗ったエボルト改めエボルは、赤い光を体から発して一気に駆け出す。そしてそのまま、ビルドの懐に飛び込んできた。

 

「やば…」

「オラよ!」

「が!?」

 

そして赤いエネルギーを纏ったパンチを放ち、その一発だけでビルドは大きく吹き飛ぶ。そしてそのまま、変身解除されて戦兎の姿に戻てしまった。

 

「戦兎さん!」

「そんな…一撃で…」

 

ラビットラビットのスピードを上回る超スピードと、一撃で変身解除に追い込ませる桁違いのパワー。その桁違いの力に一同は戦慄する。そしてそんな中、エボルが次の標的に定めたのは…

 

「ワン・フォー・オールの小僧と聖なる遺体の小娘、次はお前らだ。せいぜい楽しませろよ」

「デクにパン屋女、狙われてんぞ! 逃げろ!!」

「そんな! かっちゃ…」

 

そしてエボルを足止めしようと、出久の反論も待たずに徹甲弾機関銃(A・P・ショット・オートカノン)をエボルに向けて放つ勝己。攻撃の手を決して緩めない勝己だったが、エボルに効いていない可能性しか頭に浮かんでこない。

 

「邪魔だよ、爆弾小僧」

 

そして案の定、エボルは一切のダメージの様子もなく勝己に迫ってきたのだ。そして邪魔者を始末しようと、勝己に拳を向けようとした。

 

「だから、そいつ連れて逃げろやクソナード! 閃光弾(スタングレネード)!!」

「…! わかった!」

「え、ちょっと…」

 

そして出久は結果的に折れ、勝己の目くらまし技で作った隙を突いてワン・フォー・オールを発動。ココアと花名を担いでその場から逃走した。

 

「すみません、チノちゃんとリゼさんは自力で逃げてください!」

「出久、わかった。チノ、このまま逃げるぞ!」

 

そしてリゼも出久に促され、チノを負ぶって撤退しようとする。だが…

 

「おいおい、俺のラブコールを無視するのは酷いじゃねぇか」

 

エボルは何処からか拳銃型武器"トランスチームガン"を構え、天高く跳躍した出久を狙い撃つ。銃口から、深紅のエネルギーを纏った火炎弾が放たれ…

 

「がぁあ!?」

「出久君!?」

「きゃあ!!」

 

命中して出久は落下、担がれていたココアと花名もそのまま地面に落ちていく。

 

「あのやろぉ、俺を無視しやがって!」

「ココアさん!?」

「緑谷も花名も、待ってろ!!」

 

そしてその光景を目撃した勝己達は、出久達を助けようと、急いで駆け出す。しかしエボルトは再び超加速して出久とココアに牙を剥こうと急接近する。

 

「聖なる遺体はバラガン陛下の物だ!」

「お?」

 

なんと、急にジオが復活してエボルを妨害しに来たのだ。恐らく響転(ソニード)でこちらに駆け出したのだろう。彼からしたら、妨害ではなくエボルを自らの手で倒そうという魂胆のようだが…

 

「手負いの雑魚に用はねぇよ」

「ぐっ!?」

 

そしてジオにアッパーを叩き込み、天高く吹き飛ばしてしまう。そしてエボルドライバーの手回しハンドルを回し始めるエボル。

 

「さて。それじゃあ、先にあの雑魚を始末するか。邪魔されると面倒だしな」

 

真っ先にジオを始末しようと、必殺技の準備に入るようだ。そして、ベルトから再び"ベートーベンの交響曲第9番"が流れると同時に、足元に星座早見盤を模したフィールドを発生させと、右脚にエネルギーを収束していく。そしてジオが落下してきたタイミングで…

 

Ready Go!! エボルテックフィニッシュ

「オラァア!!」

「がぁあ!?」

 

その右脚で、落ちてきたジオに対して鋭いキックを叩き込む。ジオは凄まじい勢いで吹き飛んでいき…

 

Ciao(チャオ)

 

ベルトから流れたその音声と同時に、数㎞離れた先でジオは大爆発した。これまで見たライダーキックとは比較にならない、出鱈目な破壊力に一同は戦慄してしまう。

そして、エボルは倒れ伏す出久達に視線を向け……

 

「さぁ、次はお前たちの番だぜ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「よし。とりあえず、これで何とか片付いたか?」

「ろくろ…お疲れ……」

 

聖丸とエターナル、夢魔達をどうにか倒したろくろと紅緒。凄まじい攻撃力を発揮し、かつてない強敵達に強力な一撃を叩き込んだ。これで残りは、手負いのガロニュートただ一人……

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺が、いつ負けたと言った?」

「な!?」

 

聞き覚えのする声が爆炎の中から聞こえたと思われたが、そこには無傷のエターナルが佇んでいたのだ。周りには大ダメージを負った聖丸やガロニュートの呼んだモンスターの死骸が転がっている中、エターナルは纏っていた黒いマントが無くなっているだけで、戦闘に支障もなさそうである。

 

「あのマント自体が、地球上のあらゆる攻撃を遮断する防御シールドの役割を果たしていてな。だが、お前の呪力は俺の世界の地球には無いから遮断し切れなかったようだ」

『なるほど。それでも、使い捨ての盾代わりにはなったということか…』

「…ユメもキボーもありゃしないわね」

 

あまりにも救いのない結果、フィリップの推察を横で聞いていたメリーは顔に絶望の色を浮かべている。

 

「さて。聖丸以下負傷者ども、お前らにNEVERの力がどれだけの物か見せてやるよ」

「克己、てめぇ…」

 

倒れ伏す聖丸に、エターナルは一方的に告げながら一本のガイアメモリを起動する。そしてろくろ達に告げた。

 

「まず、お前らが俺に勝てない理由が大きく分けて二つ。一つは、持っている力がお前らと違う」

【アイスエイジ!】

 

エターナルは、起動したガイアメモリをエターナルエッジに装填し、トリガーを引いた。

 

【アイスエイジ! マキシマムドライブ!】

「はぁああ!!」

「(奴の防御壁は潰した。なら、攻撃が通るはずだ)行くぞ、焼きおはぎマン!!」

 

そしてエターナルエッジを一閃すると、凄まじい冷気がろくろに迫る。ろくろは迎え撃とうと拳に火炎を纏わせ、立ち向かった。

 

星方獄炎焦殺(スターダムド)!」

「はぁあああああああ!!」

 

そしてろくろの火炎を纏ったパンチラッシュと、エターナルの冷気を纏った一閃が激突し…

 

「ぎぃああああああああああああああああ!?」

「焼きおはぎマン…ぐわぁあ!?」

 

凄まじい冷気が呪装に大きなダメージを与え、焼きおはぎマンが分離してしまう。しかも、鐵塊羅岩を維持できるだけの呪力も消費してしまっており、ろくろ自身も大きなダメージを負うこととなった。

 

「ガイアメモリは地球の記憶そのものを封入したツールだ。そして俺はそれをエターナルメモリを含んで26本有している。わかるか? お前らの持ってる力と比べて、質も量も段違いに上なんだよ」

「! 貴様ぁあああああああああああああああ!!」

 

エターナルからの解説が終わった直後、紅緒はろくろを傷つけられたことで怒りを顕わにし、エターナルに蹴りを叩き込もうと駆け出した。

 

「そしてもう一つは、肉体レベルが違う」

【ユニコーン!】

 

その一方でエターナルは、新たに水色のガイアメモリを起動して腰のスロットに装填した。

 

【ユニコーン! マキシマムドライブ!】

「おらぁあ!!」

「はぁああ!!」

 

そしてドリル状のエネルギー波を纏わせたパンチを放つ"ユニコーンヘルブレイク"が、紅緒の蹴りに激突した。結果…

 

「「きゃあああああああ!?」」

「紅緒ぉおおおおお!!」

「あの子まで!?」

 

こちらも力負けしてしまい、紅緒と暗黒冬将軍も呪装を解除してしまう。そして倒れ伏したところで、再び解説を始めた。

 

「俺達NEVERは、常人を超える身体能力と不死性を持った、死体がベースの改造人間。どう足掻こうと、生身の人間であるお前らに勝ち目はない」

(嘘、こいつこんなに強かったのか…)

(もし、こいつが呪力での攻撃手段を見に付けたら、俺も危ねぇんじゃ…)

 

あまりにも強すぎるエターナルの力に、負傷したまま動けずにいる聖丸とガロニュートも戦慄していた。そしてそんなとき、エターナルがメリーに凄まじいスピードで駆け寄ってきた。

 

「な…ぐっ!?」

「さて。クリエメイトであるお前が、聖なる遺体の持ち主の筈だ。寄越してもらおうか」

 

そしてその首を締めあげ、遺体の持ち主であると勘違いした発言をしながら告げる。本物の戦場を練り歩いた傭兵、その殺意は確かなものである。

 

「あ、アタシは持ってないわ…」

「ああ? 他のクリエメイトども、それも聖典とやらの物語で中心人物になってる女が持ってたんだ。誤魔化すんじゃねぇぞ」

 

しかし、メリーが持ち主でないという話を信じずに殺意を止めないエターナル。

 

「メリー…ぐっ!」

『ダメージが大きすぎる……ファングがあれば、僕と交代できるのに』

 

ダブルはベースになっている翔太郎の体にダメージが蓄積され、満足に動けない。フィリップが自分の肉体をベースに変身するメモリが無いため、助けに行けずに歯がゆい思いをすることに。

 

 

 

「聖なる遺体を持ってるのは、俺だ!!」

「何!?」

 

そこに突如、割って入ってきたのは夢路だった。神威との融合はまだ続いており、それによる蹴りをエターナルに叩き込んだ。

 

「夢路? その姿、何なの?」

「え? まあ、聖なる遺体が新しいパワーアップをくれてな。それが、その…」

『ちゃんと言えし。婆娑羅の俺が、こいつと融合してパワーアップしてるってな』

 

メリーが夢路の姿に困惑していると、説明しづらそうな夢路の代わりに神威がそこを代わりに説明する。急に聞こえた神威の声に驚いていると、神威からメリーや近くにいたダブルやろくろ達に名乗りだす。

 

『俺は神威。婆娑羅だが、聖なる遺体に興味はねぇ。ただこいつらと敵対する方が面白そうだと思ったのと、お前らが死なせるのに惜しい俺のライバルってやつにちょうど良さそうだと思ったから手を貸している』

「え? マジで神威なのか? 確かに、理由とかあいつが言いそうなことだけど…」

「そうなんだよな、ろくろ…」

 

神威が協力することに、横で聞いていたろくろは思わず困惑する。

 

「聖丸、遺体の持ち主が…」

「遅ぇよ、氷鉋。どうやらお前も、ヤバいらしいな」

 

しかもその直後、氷鉋が現れて聖丸に駆け寄る。だがその姿は、片足が爆ぜて一本足でバランスを取りな柄つという、痛々しいものだった。

 

「とにかく、遺体が欲しいなら俺を狙え。相手になってやるよ」

「へぇ……それじゃあ、どれだけ粘れるか試してやるよ」

『気をつけろし。こいつ、ショッカーの中でも上から数えたほうが早いくらいには強いぞ』

 

夢路は自らがエターナルの相手になろうと、彼と対峙する。神威からの忠告があり、警戒心を強めるのだった。そして膠着状態に陥ってしまう。果たしてどちらが勝つことになるのか?




後半参戦組との接点を、申し訳程度に混ぜます。
後半参戦組の登場回まで、あと3話かかる予定です。もう少々お待ちください。

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