仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア   作:玄武Σ

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ようやく書きあがりました。お待たせして申し訳ございません。
サブタイでもわかりますが、ジョースター総集結になります。


第39話「救援のジョースターズ」

各エリアにダークライダーが襲いかかり、ピンチになるクリエメイト達と仮面ライダー達守護者だったが、龍我達も想定外の敵が襲来し、ピンチになっていた。

 

「てめぇ、マジで何者なんだ! なんでいくら殴っても効かねぇんだよ!?」

「先ほど名乗った二つ名で理解できないとは……本当に脳みそまで筋肉なんですね、あなた」

 

クローズマグマに変身したままの龍我は敵対する一人の男に、攻撃が通らず焦っていた。そいつは青い肌に顔以外の全てを覆うプレートメイル、右腕と一体になった巨大な盾が特徴、という魔族染みた外見をしている。魔族っぽいという点は、ガロニュートと類似している。

 

「私の名はレイガルド。鉄壁鎧将の二つ名をいただく、六つ星魔人です。防御は最大の攻撃をモットーとし、現在最も七つ星に近い六つ星と評価させれています」

「魔人…さっきの、ガロニュートとかいう奴の同族か」

「ちょっと! なんか、また新しい敵が出てきたんだけど!?」

「桐間君、状況はわかるがあんまり動かないでくれ…その、色々と…」

「あ…」

 

新しい敵の襲来に焦凍やシャロが危機を感じていたが、シャロに関してはさっきの戦闘で服が燃えてしまったため、天哉が目のやり場に困っている。

その一方、ジョニィは気絶したジャイロの身柄を守りながら鎧を纏ったサイの大群と交戦している。

 

「ジョニィ・ジョースター。貴殿のスタンドが放つ無限の回転の話は聞いているのでね、配下のアイアンライノスを嗾けさせてもらいますよ」

「くそ…この数じゃ、ACT4を使う隙が…」

 

ジョニィの望む通りの事象を起こすタスクACT4、強力だがジョニィが"黄金の回転"と"馬の走る力を利用した回転"を利用しないと発動できないため、大勢の敵に囲まれている上にジャイロを守っている今では、使用する隙が無い。

 

「とにかく、俺達は雑魚を片付けるぞ!」

「オッケー! 飯田君はシャロちゃん達を!」

「わかった! 二人とも、気を付けたまえ!」

「こいつはしばらく俺が相手してるから、頼んだぞ!!」

 

焦凍とお茶子が、ジョニィに加勢しようと動く。特に焦凍の氷の力は、多くのアイアンライノスを纏めて氷漬けにしていくため、今回の一対多の戦いに向いていた。

 

「オラァア!!」

「ふん! はぁああああ!!」

「ぐわぁあ!?」

 

その一方で、クローズマグマはレイガルドに攻撃を仕掛けるが右腕の巨大な盾が、攻撃を弾き返してロクにダメージが通らない。それどころか、逆にクローズマグマがダメージを負ってしまう。

 

「我々魔人は、冥力と呼ばれる大地から来るパワーを使って、冥撃という攻撃や魔奥義といういわば必殺技を使えます。私は全冥力を全身の肉体強度とこの盾の高度の強化に費やしています」

「なるほど、完全防御特化というわけか…万丈さん、こいつは攻撃を防ぐことに全ての力を使っています!」

「あぁ、わかった! だったら、それをぶち抜ける攻撃出せりゃいいんだろ!!」

「ええ!?」

「ウソでしょ!?」

 

レイガルドの能力について聞いた天哉はクローズマグマにそれを伝えるも、聞いてるのかどうかわからないことを叫びながらレイガルドへと攻撃を繰り出す。そして案の定…

 

「効かないと言っているでしょが!」

「がぁあ!?」

「あのおバカ! 言わんこっちゃない!!」

「シャロちゃん、見えるわよ…」

「確かに気になるけど、今それどころじゃないでしょ!!」

 

攻撃を防がれ、一気に押し返されるクローズマグマ。その様を見てシャロが憤慨する。

 

「だから、筋肉を付けろ…」

「どれだけ筋肉好きなんですか、あなた?」

「ぐわぁあ!?」

 

シャロに物申そうとするクローズマグマだったが、立ち上がる前にレイガルドに体を踏みつけられる。状況は最悪だ。

 

(くそ、俺の力じゃ奴の防御は貫けない。だからと言って轟君達に加勢に行ったら、彼女たちが…)

 

一人守りに徹していた天哉だったが、自身のエンジンの個性を活かせない状況に、歯がゆい思いをすることとなる。そしてその時、それは起こった。

 

 

 

 

 

 

「ソフト&ウェット。お前の体から摩擦を奪う」

「うぉ!?」

 

聞き覚えのない男の声が聞こえたと思いきや、その直後にレイガルドがいきなり足元を滑らせて倒れたのだ。

 

「え?」

「な、何が…」

「大丈夫かぁ?」

 

一同が困惑していると、そこに声の主の男が近寄ってきた。そいつは、セーラー服に帽子という服装だったが、日本でよく見る女学生の制服ではなく、水夫が着る本来のセーラー服という服装である。

 

「俺は東方定助(ひがしかたじょうすけ)、紅渡って男にここに送られたスタンド使いだ。合流が遅れて、すまなかった」

「スタンド、ということは奴のアレも?」

 

現れた定助の言葉を聞き、天哉はレイガルドに生じた異変も彼の物と推察して問いかける。見てみると、レイガルドは体中が滑って未だに立てずにいる。

 

「ああ。俺のスタンド、ソフト&ウェットの能力だ」

 

言いながら定助が出したスタンドは、胸に錨のマークが描かれた人型スタンドである。スタープラチナの様に人間染みた顔をしているのではなく、口も鼻もないロボットのような無機質な顔をしている。

そして定助から能力の解説が為されるのだが…

 

「俺の首筋にある痣からシャボン玉が出るんだが、それが割れた時に"何か"を奪う。今、あいつの体から摩擦を奪って滑るようにした」

「え? 摩擦……それ、物理的に奪えるんですか?」

「ああ。壁から音を奪って破壊しても周りに気づかれないようにする、敵の肺から酸素を奪って窒息させる…物なり概念なり、とにかく何かを一つだけ一時的に奪う力だ。ちなみに、普段は地面の摩擦を奪うんだが、それだと踏まれているあいつも滑って行っちゃうからな」

「ちょ…何ですか、そのめちゃくちゃな能力?」

 

聞いていた天哉もシャロも、そのめちゃくちゃな能力に驚きを隠せずにいた。しかしその一方で、クローズマグマは危機から脱すること人あった。

 

「よし、今助けるぞ!!」

【Ready Go!! 】

 

自由になったクローズマグマは、必殺技を放つためにドライバーのハンドルを回す。そしてアイアンライノスの大群に突撃していった。

 

ボルケニック・アタァアアアアアアアアアアアアアアアック!!

「オラァアアアアアアアア!!」

 

そして炎の竜を伴ったライダーキックで、アイアンライノスを一掃する。

 

「おし、今はとりあえず逃げるぞ!!」

「え!? まだ、敵が…」

「今はそれどころじゃねぇからな! それに、お前の仲間も元に戻さねぇとだろ!!」

「…そうだな。すまない」

「貴様ら、待ちなさ……ぐぉ!?」

 

そしてそのまま、クローズマグマの先導の下、全員で撤退することとなる。体を滑らせるレイガルドを放置して。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「それじゃあ、今度はお前らを相手にしてやるよ」

(くそ…このまま戦うしかないか!?)

(花名ちゃんだけは守らきゃ!)

 

エボルの追撃から逃げ切れなかった出久とココアは、迫ってきたエボルを迎え撃とうと臨戦態勢に入る。しかし……

 

「いたっ…」

「え、一ノ瀬さん?」

「おっと、余所見は厳禁だぜ!」

 

花名が痛がる声に出久が気を取られてしまい、そこにエボルトが殴りかかってきたのだ。

まさに絶体絶命……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「好き勝手してくれたな、エボルトよ」

「む!?」

 

突如、しわがれた男性の声が響くと同時に、エボルトが攻撃を受けた。出久達の目に映ったその主は、浅黒い肌をした屈強そうな老人だった。その老人が、巨大な斧でエボルトに斬りかかってきたのだ。

老人は片目に傷跡があり、頭部に王冠のような割れた仮面が見える。ジオと同じ破面であることは察せられたが……

 

「何を怒ってんだ、バラガンの爺さんよぉ?」

「狡猾な貴様ならわかると思うがな。自分の手駒を勝手に始末されて、許容できるとでも?」

「まあ、そうだわな。俺だって都合のいい道具を奪われるのは、癪に障る」

(バラガン……さっきの彼が言ってた主の…)

(でも、何これ…)

 

その老人、バラガンはエボルトと独善的な会話を続けているが、その際も凄まじい威圧感を放っていた。その威圧感はエボルにも匹敵し、ジオが陛下と呼びながら心酔した様子を見せていたのも、納得だった。

 

「な、なんだ…あのジジイ……?」

「流石に、爆豪もわかるか。だが……」

「異常な威圧感…なるほど、最強の十人の一角ってだけはあるな……」

 

勝己もリゼも戦兎も、それどころかエボルトを始めとした強敵達と死闘を繰り広げた戦兎ですら、体の震えを止められずにいる。それほどの威圧感を発していたのだ。

 

「聖なる遺体の持ち主と、その守護に呼ばれた人間の戦士か。冥土の土産に名でも教えてやろうか」

 

そして、バラガンは周りを見回した後で一言呟き、続けて名乗りをあげる。

 

第2十刃(セグンダ・エスパーダ)バラガン・ルイゼンバーン。1番は現在空席故、2番の儂が現状での十刃最強となっておる」

(さ、最強の10人の2番……今のが本当なら1番が今いないらしいけど、2番でこの威圧感……)

 

その凄まじい威圧感に、全く身動きが取れない出久。ジオが超えることも烏滸がましいと言っていたことは、伊達ではないらしい。

 

「仕方ねぇ。まず、爺さんから始末させてもらうか!」

「上等だ。ついでに、聖なる遺体も儂が手に入れさせてもらおう」

 

そしてそのまま、エボルの放った拳を手にした斧とぶつけるエボル。しかしその時、異変が生じた。

 

「うぉっ…」

「ふっ」

「ぐわぁあ!?」

 

なんと、いきなりエボルの放った拳の勢いが落ち、そのままバラガンの斧での一撃をもろに受けてしまう。そしてそのまま吹き飛んでいったのだ。

 

「え? あのエボルトが…」

 

エボルトが急に追い込まれた様から、戦兎は困惑を隠せずにいた。しかしそんなことも気に欠けず、エボルトはトランスチームガンで接近してくるバラガンを迎え撃とうとする。

 

「セネスセンシア」

 

しかしバラガンが一言呟いた直後、飛んできたエネルギー弾が徐々に小さくなり、そのまま消滅してしまった。この光景に、一同は目を丸くする。

 

「フィンドール、儂はエボルトを始末する。その間に聖なる遺体を回収しておけ」

「はい、バラガン陛下」

 

そして何処からともなく現れた、金髪に顔の上半分を覆う仮面の青年型破面に命じて、エボルへと突撃していく。

 

「おいおい。やっぱ、その能力は反則だねぇ」

「貴様には言われたくない」

 

そして悪態をつくエボルと交戦するバラガン。先ほど戦ったジオが主と敬う最強格の破面だけあり、エボルですらただでは勝てないというのは、見て取れた。

エボルとの戦闘の危機は去ったが、同時に新たに現れたバラガン配下の破面がこちらに向き合って来る。

 

「初めまして。破面№24のフィンドール・キャリアスだ。お前達が交戦したジオと同じく、バラガン陛下の従属官の一人と言えば、わかるな」

「一難去ってまた一難ってことか…」

「でも、さっきの疲労もたまってますから気を付けないと…」

 

結果、新たな破面フィンドールと戦うこととなったが、チノの指摘通り戦闘で消耗しているため、正直なところは厳しい。しかしその直後、フィンドールがいきなりこんな発言をしたのだ。

 

「さて。先ほどエボルトの攻撃が減速や消滅していたが、その理由を知らないまま死ぬのも勿体ないだろう? 冥土の土産、と言ってもただ教えるのもつまらないので、回復の時間も兼ねて問題を出そうか」

『え?』

「まあ、満身創痍のお前達と戦ってもつまらないというのが本音だが。まず、ヒントをやろう」

 

そしてフィンドールはそのままそのヒントとやらと共に、十刃に関するある情報を与えた。

 

「まず、10人の十刃はその一人一人が死の形を司っている。ディケイドと交戦に向かったノイトラという十刃は絶望を司り、あるものは孤独、ある者は犠牲、ある者は破壊、ある者は憤怒、ある者は虚無……まあ死の形と言ってもどんな死に方か、死に対してどんな感情を抱くか、など色々ある。そしてそんな中、陛下が司る死の形は……

 

 

 

 

 

 

"老い"。そんな、全ての生物に当たり前のように訪れる死が陛下の司る物だ、以上がヒントだ」

 

ココア達クリエメイト組は頭に?を浮かべるが、出久や戦兎はそれでどういった能力なのか察しがついてしまう。それは、下手をすれば承太郎やDIO、ディエゴの持つ時間停止よりも恐ろしいものかもしれない力だった。

 

「まさか奴の能力は、あらゆる物を老い朽ちさせる力なのか?」

「そうか。攻撃に使われたエネルギーも時間とともに目減りする=老いと見たら、あのエネルギー弾の消滅も消滅してしまう!」

「パンチにも力学的エネルギーがかかっているからな。それすら老化させちまったわけか……」

正解(エサクタ)!! さて、陛下が虚界の王と呼ばれる所以もわかったところで、勝負と行こうか」

 

言いながらフィンドールは臨戦態勢に入る。しかしその時、一人の人物が顔を特別青ざめている人物がいた。ココアである。チノが気になって問いかけてみるが……

 

「ココアさん、どうしました?」

「(`0言0́)<ヴェアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! もしあのお爺ちゃんが本気出したら、チノちゃんがシワシワのおばあちゃんにされちゃうううううううううう!?」

「えっと……おばあちゃんどころか、一瞬でミイラにされちゃいそうな…」

 

的外れな絶望に思わずツッコミを入れてしまう花名。するとそれが面白くないのか、フィンドールの怒気が跳ね上がる。

 

「そうか…陛下の偉大な力についてまだ理解が及ばないか。なら、従属官の私が代わりに見せつけてやるか」

 

 

そして仮面の右半分を砕き、その直後に刀剣解放を行う。しかも、仮面を砕いた瞬間から威圧感が跳ね上がるのが感じられた。

 

「水面に刻め、蟄刀流断(ピンサグーダ)

 

そして変異したフィンドールは、右半身が白い外殻に覆われた頑強そうな姿となる。特に目立つのは、右腕の白く巨大な鋏だ。そしてそれを見た一同は、ある物を脳裏に浮かべる。

 

『シオマネキ?』

 

片方のハサミだけが大きい蟹、それを彷彿とさせる外観だ。

 

正解(エサクタ)、お前達人間が似たような生物をそう呼ぶらしいな。ちなみにこの仮面は、砕くと私の霊圧が跳ね上がる。リミッターのような物だ」

 

言いながらフィンドールがその巨大なハサミを開くと、そこから何かが発射され、地面を抉る。しかし、その攻撃の跡が濡れていることに一同はすぐ気づいた。

 

「水……まさかウォーターカッターか?」

「えっと……確か、高圧水流で金属を切るアレですよね?」

 

真っ先に連想する物を頭に浮かべた戦兎が答えると、それに察しがついた花名。すると直後、フィンドールの姿が消えてしまう。

 

正解(エサクタ)、そして君達はその一撃でこの世を去るのだよ」

「え?」

 

そして一瞬で背後を取り、しかも身動きが取れそうにない花名に狙いを定めるフィンドール。そしてもう一度ウォーターカッターでの攻撃を放つ。

 

「まずい!?」

「花名ちゃん!」

 

そして傍にいた出久とココアも間に合わず、花名にフィンドールの攻撃が放たれてしまう。

しかし直後……

 

 

 

 

 

 

「ザ・ハンド! その嬢ちゃんを引き寄せろ!!」

ガオンッ

 

直後にまた聞き覚えのない男の声が聞こえた直後、花名の姿が消えて攻撃も空振りとなる。

 

「な、なんだ?」

『3 FREEZE、発動シマス』

「ぐぉお!?」

 

突然の事態に困惑するフィンドールだったが、直後に無機質な男の声が聞こえると同時にその体を地面に押さえつけられる。

 

「え? なんだ??」

「よぉう、大丈夫か?」

 

困惑する戦兎達に声をかけるのは、奇妙な三人組だった。

髪形をリーゼントにしているが、そこそこ整った顔立ちに180センチ越えの大柄な体格の青年。ブラシのような広がった髪形に、チノよりも背の低い少年。左右に短く刈り上げた髪と、$や億のマークがついた服装の強面の青年。花名はこの強面の青年に抱えられていることから、助けた人物らしい。

お揃いの学ラン姿なことから、どうやら高校生らしい。

 

「君達、たぶん仮面ライダーとクリエメイトって人達だよね? 僕達は紅渡って人に頼まれて、加勢に来たスタンド使いなんですけど…」

「わりぃな。昨日にはこっちに来てたんだけどよぉ、道に迷っちまって来るのが遅れちまってなぁ」

「え? 味方なの?」

 

予想外の味方の登場に驚くココア。そこで、リーゼントの青年達が自己紹介を始める。

 

「俺は東方仗助(ひがしかたじょうすけ)、1999年のM県S市にある杜王町(もりおうちょう)って町のぶどうヶ丘高校1年生だ。こっちの背が低くて親しみやすそうなのが広瀬康一(ひろせこういち)、この厳ついけどバカっぽいのが虹村億泰(にじむらおくやす)、揃って同級生だぜ」

「おい仗助、バカっぽいはひでぇだろ! 頭わりぃのは本当だけどよぉ…」

「え? 私高2だけど、年下だったの?」

 

さらに驚くことに、三人とも同級生でココアより年下だったのだ。ガタイのいい仗助がこれだったため、全員開いた口が塞がらない。

 

「まあ億泰はともかく、俺は父親が外人だからってのもあるからなぁ……ところで、怪我してる奴もいるみたいだが、俺のスタンドは触れるだけでどんな怪我でも治せるから、手当てしてやるぜ」

「みんな、さっき私の足折れてたみたいなんだけど、その能力で治っちゃったみたい。私の魔法でも骨折までは治せないから…」

「渡さんから聞いたけど、本当に魔法なんてあるんだね。ますますドラクエっぽいよ」

 

そしてそのまま仗助は自身のスタンド、"クレイジー・ダイヤモンド"を発動して花名の魔法と共に手当てを始める。心なしかDIOとディエゴのスタンド"THE WORLD"の色違いといった風貌であった。

しかし、仗助自ら語った効果は確かなものである。

 

「すげぇ、もう治ったぞ…」

「自然治癒力を強化する個性は聞いたことあるけど、これはスゴイな…」

 

戦兎も出久もエボルの攻撃を諸に食らって重傷だったが、あっという間にそれは治ってしまう。しかし…

 

「でも流石に、腕の後遺症までは治ってないか……」

「あ、それはいいんです。これはもう、戒めみたいなものだって自分で片づけてるんで…」

 

右腕の傷跡が残っていることから、今している怪我までしか治らなかったようだ。しかしその一方…

 

「くそ、よりによってスタンド使いの増援とは…」

『サテ、コノママ重サヲ増シテ押シツブスコトモ出来マスガ、ドウシマス?』

「Act.3、流石に押しつぶすってのは…」

「だな。敵の親玉の名前とか、聞けることはいくらでもあるしよぉ…」

 

地面に押さえつけられたフィンドールが忌々しそうにしていると、康一の出したスタンドらしき小柄な男が自らの意思で会話している。

 

「残念だが、首領に関しては我々破面でも知らない。陛下を始めとした十刃にしか知らされていないのでな」

「なんだよ、おい。そりゃ残念だな……にしても、こいつダサくねぇか?」

「ああ。流石にこのファッションはあり得ねぇな」

 

フィンドールから情報が取れないとがっかりした億泰の、その何気ない一言に同意する仗助。

 

「うわ、ハッキリ言ったぞ。私も我慢してたのに…」

「まあでも、このカニの鋏みたいな腕はないわな」

「つーか、元から肩の部分が膨らんだその服はあり得ねぇわ」

 

その仗助たちの言葉に、思わず口を漏らしてしまうリゼ。戦兎も勝己も、思わずダサい点を指摘してしまう。

実際、フィンドールの服は破面共通の白尽くめで、俗に言うパフスリーブ=膨らんだ袖という、昔の貴族のような服装をしている。確かにダサかった。しかしそれが気に食わなかったのか、フィンドールが反論する……

 

 

「私よりも、そいつの方がダサくないか? その変な髪形のお前だ」

「「あ…」」

 

フィンドールの発言の後、奥康と康一が揃って「マズい」といった表情になる。

 

「君達、急いで仗助君から離れて!!」

「え? 急に…」

「訳は後で話すからよぉ! とにかく逃げるんだ!! 嬢ちゃんはこのまま抱えていくぞ!!」

「え、ええ!!」

「な、なんか尋常じゃないな…勝っちゃん、ここは従おう!」

「あ、ああ…なんかさっきから悪寒が…」

「チノ、このまま負ぶっていくぞ!!」

 

そして一同は、康一達に促されてそのまま走り去る。康一もスタンドを解除したためフィンドールも解放されるが、一人残っていた仗助の様子に困惑して動けずにいた。そしてついに仗助が動き出し…

 

 

「おまえ…この髪型がダサいと言ったか…

 

 

 

 

 

 

 

ダサいと言ったのかぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!

「な…!?」

 

仗助は怒号を上げながらクレイジー・ダイヤモンドを発動し、フィンドールの対応が間に合わない速度でのパンチラッシュが叩き込まれたのだ。

 

ドララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ!!!

「ぎゃああああああああああああああああ!?」

 

そのままパンチラッシュを諸に食らい、フィンドールは吹っ飛んだ。そしてバ近くの巨岩にぶつかり、その岩が崩れてフィンドールは埋もれてしまった。

 

あの野郎…この髪型がサザエさんみてぇだとぉおおおおおおおおおおおおお!?

 

しかも仗助は言われてない罵倒まで言われたと勘違いして、そのまま怒号を上げながら走り出した。

 

「な、なんか急にマジギレしやがった…」

「あの悪寒の正体はこれか…」

「あ、こ、怖い…」

(ココアさんが人間相手に怯えている!?)

 

余りの事態に戦兎は茫然、勝己も震えが止まらず、更にコミュ力お化けなココアまで怯えるその怒り様は尋常ではなかった。そして

 

「仗助君の髪形、子供の頃の命の恩人をリスペクトしてああしてるんだって」

「だから、髪形をけなされる=その恩人をけなされたってみなして、とんでもないキレ方しちまうんだよなぁ」

 

説明が終わった直後、何かが砕ける音が聞こえた。それは、仗助がスタンドと自分の拳で周囲の木や崩れた岩を破壊して回る光景だった。

 

あの野郎、どこ行きやがったぁああああああああ!! 隠れてんじゃねぇ!!!

「ただ逆上しすぎて、周りが全く見えなくなっちまうんだよなぁ。あんな風に…」

『え、ええ……』

 

億泰からの補足を聞き、仗助のあまりの怒り様に全員がドン引きしている。ココアと花名に関してはガクブル状態のままである。

 

出てこい、このスットコがぁああ!!! こっちはまだ、殴り足りねぇぞぉおお!!!!

(ウソだ…能力以外はただの人間の筈が、こんなパワーを……)

 

一人戦慄していたフィンドールはこの後、発見されて消滅するまで殴られ続けるのであった。そして花名を先ほど救った億泰のスタンド、"ザ・ハンド"の右手で触れた物を空間ごと削り取る能力で一同は里まで運ばれるのであった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「さあ、(ハジキ)じゃ剣には勝てねぇ。どうする?」

 

歌舞鬼とホル・ホースのの連携によって、響鬼は大ピンチに陥ってしまう。しかしこちらにも、光明がさしかかることとなった。

 

「だったら、同じ(ハジキ)のスタンドなら勝てんじゃねぇか?」

『やっはー!!』

「ぐわぁあ!?」

 

直後に聞き覚えのない男の声が響くと同時に、小さな何かがホル・ホースの手を打ち抜いた。痛みに悶絶して、ホル・ホースはスタンドを解除してしまう。

 

「な、なんだ…」

『かぁあああああああああ!』

「なんだ!?」

 

更にどこからか鴉の大群が飛んできて、そのまま歌舞鬼に襲い掛かる。それで拘束が緩んだことで、響鬼も脱出に成功した。

 

「え? いったい何が…」

『よう、姉ちゃんにおっちゃん! 間一髪だったな』

「な、なんだ?」

 

響鬼と困惑している紺の目の前に、宙に浮く小人が姿を現して話しかけてきた。見てみると額に1と刻まれており、言動から今ホル・ホースを攻撃した張本人のようだ。そしてポルナレフは一目見て、そいつの正体に察しがついた。

 

「まさか、こいつスタンドか?」

「その通りだ。こいつはセックス・ピストルズ、6人セットの群体型スタンドで俺の持ってる拳銃に憑依させて自在に弾道を変えられるってわけだ」

 

スタンド名と能力をポルナレフに説明しながら現れたのは、青のへそ出しセーターとヘルメットのような形状の赤い帽子の青年だ。手には例のスタンドを憑依させたと思われる、リボルバー拳銃を持っている。

 

「えっと、誰?」

「グイード・ミスタ、イタリアンギャング・パッショーネに属しているスタンド使いだが、例のなんたらショッカーは関係ねぇから、安心してくれ」

「むしろ、そのオーバーヘブン・ショッカーを倒すために、紅渡という方に送られたのですが、合流が遅れて申し訳ありません」

 

千矢の問いかけに答えて名乗る男、ミスタの所属を聞いて一瞬驚く一同だったが、すぐに表れたもう一人の男と敵でないことを伝える。

問題のもう一人の男は、前髪を独特な形にカールさせた金髪に、胸がハート形に開いた紫の学ランっぽい服という強烈な装いをしている。それに続いて、パレオと水着にしか見えない露出の多い服装と、ピンクの髪が目立つ女性が現れる。

 

「僕はジョルノ・ジョバァーナ。同じくパッショーネの所属で、紅渡に送り込まれました。僕がギャング組織にいるのは、彼らの支配する町を僕自身がギャングスターになることで立て直そう、という考えのもとになりますので、誤解の無きように」

「トリッシュ・ウナよ。同じくパッショーネ関係者で、スタンド使い。それと味方よ」

(ジョルノ……確か、オイラの浄の力とかジョニィの他に、例の首領を倒せるかもって言ってた?)

 

葉は名乗った男、ジョルノの名に聞き覚えがあった。ヴァレンタインがジョニィにオーバーヘブン・ショッカー首領を倒せるかもしれない能力者を伝え、それを里に合流した者達に伝えていた。その中に、確かにジョルノの名があったのだ。

 

「おいおい、俺のスタンドと同タイプ…しかもあっちの方がタイマン慣れしてるじゃねぇか!」

「その程度で自身無くすたぁ、情けねぇなホル・ホース!」

 

ホル・ホースが驚く中、歌舞鬼がこちらに斬りかかってきた。しかし、直後にジョルノが迎撃しようとスタンドを発動した。

丸みを帯びた金色の体の外殻を纏う人型スタンドに、テントウムシのような斑点模様が描かれている。

 

「これが僕のスタンド、ゴールド・エクスペリエンス。能力は触れた物体に生命力を流す…まあ、百聞は一見に如かずということで」

 

ジョルノがスタンドの名と簡単な能力説明をすると、地面に落ちていた小石をスタンドで触り始める。すると、その小石から木が生えた(・・・・・・・・・)のだ。

 

「え!?」

「ど、どうなってんだそれ!?」

「生命力を流すことで、物体は一時的に生命…すなわち動植物へと変異させます。先ほどの鴉も、この能力で生み出しました」

「そして私のスタンド、名はスパイス・ガール。能力は…」

 

そして立て続けに、トリッシュがスタンドを発動してジョルノの生やした木を触る。こちらはピンクを基調とした、女性的な体格のスタンドだ。そして歌舞鬼の振るった装甲声刃(アームドセイバー)が触れた瞬間……

 

 

 

「な!?」

「け、(けん)が…」

 

なんと、木は刃が触れた瞬間にスライムのような感触となり、そのまま刀身を飲み込んでしまった。あまりにもぶっ飛んだ光景に、全員開いた口が塞がらない。

 

「これがスパイス・ガールの"物を柔らかくする能力"よ。私が柔らかくしたい物に力を発動すると、その物はすぐに柔らかくなるわ」

『柔ラカサモ、ゴムノヨウナ弾力ヲ持タセタリ、手デ千切レル程ニ柔ラカクスルコトモ可能デス』

「え? 能力もスゲェけど、そいつ喋れんの?」

「そういや、自我を持ったスタンドってのもいるらしいな…」

 

能力にも驚きだったが、スパイス・ガールは徐倫たちが交戦したプッチ神父のスタンドと同様、自我を有したスタンドであったようだ。

 

「ちっ。だが、攻撃を一回防いだ程度でいい気に…」

「なるつもりはありませんよ!」

 

そして歌舞鬼の動揺した一瞬のついて、そのままゴールド・エクスペリエンスとスパイス・ガールを懐に潜らせる。そしてそのまま…

 

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!』

『WAAAAAAAAANNABEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!』

「ぐぉおおおおおおお!?」

「うそ…ぎぇえ!?」

 

スタンド二体によるラッシュを畳みかけ、装甲歌舞鬼を撃破する。しかもそのまま、ホル・ホースを巻き込んで吹っ飛んで行った。

 

「よし。今のうちに脱出しましょう」

「向こうに車を止めてある、それで逃げるぞ」

 

そして歌舞鬼が吹っ飛んだ隙を突いて、一同は撤退する。林の中に停めてあったワゴン車に乗り込み、ミスタの運転でそのまま撤退する。山育ちの千矢は物珍しそうに中を見回していたが……

 

「しっかり捕まっとけよ!」

「え…きゃあ!?」

「ぐえ!?」

「千夜、大丈夫!? 後、ポルナレフさんも…」

 

ミスタが車を急発進させたことで、バランスを崩してしまう。そしてそのままポルナレフと激突、互いの頭をぶつけあって悶絶することとなった。突然だったため、紺が心配して声をかけるが杞憂だった。

 

「うん、大丈夫…」

「俺はついでか…まあ、大丈夫だぜ」

 

ついでだったことに落胆するポルナレフ。その一方で、一同の乗った車はホル・ホースと歌舞鬼からどんどん距離を離していく。そんな中、不意に響鬼はある懸念を思い出す。

 

「そういや、あいつら空飛ぶ手段があったんだけどさ。車で逃げ切れるのか?」

「そこはご安心を。僕のスタンドが既に生きているものに生命エネルギーを流し込むと……」

 

その懸念を響鬼が伝えると、ジョルノがゴールド・エクスペリエンス(以下GE)の生命エネルギーを流し込む力について、改めて説明を始める。

~同時刻~

「くそ……あの、スタンド使い…」

 

立ち上がって後を追おうと、ディスクアニマルに手を伸ばす歌舞鬼。しかしその時、異変が生じた。

 

「な、なんだ!?」

 

なんと、放り投げたディスクアニマルがそのまま空高く飛んで行ってしまったのだ。あり得ないパワーの発生に、困惑して動けていない。更に、それだけではなかった。

 

「l歌ぁあ〜舞ぅう〜鬼ぃい~のぉ~だぁ~ん~なぁ~、どぉ~うぅ~しぃ~たぁ~?」

「な、なんだ!?」

 

隣にいたホル・ホースの声と動きがとんでもなくスローになっていたのだ。ここまで来て、歌舞鬼は己の体に起きた異変の正体に気づいた。

 

(まさか、例の生命エネルギーとやらで、身体能力や感覚が強化されたのか? でもって、それについて行けてねぇのか!?)

 

実際は感覚のみが暴走しており、投げたと思ったディスクアニマルはまだ腰に装着されたままだ。感覚の暴走で意識だけが先に動いて、歌舞鬼自身はまだ身動きすら取れていない。この状態で攻撃を喰らうと、鋭敏になった感覚で更に強烈な痛みを味わうことになるという。

これによって歌舞鬼の動きが止められることとなり、彼らから逃げ切ることに成功したのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「さて。それではこの場にいる皆さんにはあの世へ行ってもらいましょうか」

(こいつのスピード能力……ただの加速能力よりもはるかに厄介だ。京介が先にやられたのは、かなり手痛いが…どうする?)

 

厄介極まりないコーカサスの能力に、レイジは一切の油断ができない状況にいた。しかし、ここでも新たに加勢をしてくれる人物が。

 

「紳士的ではないですね、ミスタージャック」

「そっすね」

 

ただし、こちらに加勢に来たのはジョースター家の関係者やスタンド使いではなく、意外な人物であった。

 

「え? あんた達…」

「さっきの…紳士さん…達?」

 

なんと、そこに現れたのはヘラクスとケタロスに変身した紳士ウィルバー&ローライズ・ロンリー・ロン毛のコンビであったのだ。

財団Xに傭兵として雇われたはずの二人が、何故かこちらを守ろうと現れたのだ。

 

「紳士ウィルバーにローライズ・ロンリー・ロン毛…君達は財団の傭兵の筈なのに、なぜ彼らに味方する? 返答次第では、報酬どころか命すら危ういぞ」

 

当然ながらコーカサスは二人に疑問をぶつけるのだが…

 

「まず、紳士は決して命を奪いません。あなた方の行動を見て、まず確実にそういうことを生業にしている組織であることを実感しましてね。そしてそれ以上に……」

 

そして返答するウィルバー改めヘラクス。そしていったん、間を置き……

 

「婦女子への暴行、実に紳士的ではありません! なので、私の方から契約破棄させていただきます」

「あと、ゼクターに仕込んでた自爆装置もすでに解除済みなので」

 

宣言と同時にコーカサスに向き合って、臨戦態勢を取ったのだ。

 

「さあ、我々が殿を務めますのでボーダーの皆様は、クリエメイトの方々を」

「! すまない、恩に着る!」

「桜さん、小南さん、私達で他の皆さんを先導しましょう」

「わ、わかったわ」

「うみこさん、オッケー!」

 

まさかの事態に驚くも、レイジは素直に礼を言ってうみこや桐絵、ねねと共に残りのメンバーを先導して撤退していく。

 

「面倒ですね。では、纏めて始末して差し上げましょう」

「元の世界の友人達を残して死ぬのも、紳士的ではありませんので」

「それに、このライダーシステムなら逃げ切ること出来ますんで」

 

そしてコーカサスと対峙する、ケタロスとヘラクス。共にベルト残し部分に手をやり、同時にそれを発動した。

 

「「「クロックアップ」」」

『CLOCK UP!』

【クロックアップしたライダーフォームは、人間を遥かに超えるスピードで活動することができるのだ!】

 

そして謎のナレーションと共に、三人のライダーは一瞬にしてその姿を消した。そしてその場では超高速で何かがぶつかり合う衝撃が飛び交っていた。

 

「ねぇ、レイジさん。なんか変なナレーションみたいなの聞こえたんだけど…」

「気のせい…ということにしておこうか」

「そうですね。私もこれは触れない方がいいと思います」

 

しかもそのナレーションは撤退する一同にも、何故か聞こえていた。そしてその直後…

 

「お、お前らこんなところにいたのか!」

「ボス、助かったわ!」

 

林道支部長が他のメンバーを回収しに出したトレーラーが到着、無事に逃げおおせることにせいこうした。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「うぉらああああああああ!」

「はぁあ!」

 

夢路はエターナルに飛び蹴りの体勢で飛び掛かり、エターナルも迎え撃とうと蹴りを放つ。

 

「うぉお!?」

「ぐっ!?」

 

純粋なパワーはエターナルの方が上で、且つ戦闘センスもはるかに高い。そのためにエターナルのキックの方が高威力で、夢路は派手に吹っ飛ばされる。

しかし、エターナルも決して無事というわけではないようだ。

 

「なるほど、蹴った対象に衝撃を伝播させる効果があるのか。生身だったら足もズタズタにされてたかもな」

 

しかし屍人兵士である彼はすぐに体勢を立て直し、夢路を迎撃しようと駆け出す。だが、夢路は敵が強いことをすでに察していたために、使える手段をすぐに取る。

 

「借りるぜ、縛鎖(チェイン)&孤影(ロンリネス)

 

武装明晰夢でエターナルを拘束し、その頭上に巨大こけしを落として一気に決着を付けようとする。

 

「そう来るか。なら、新調したメモリを使わせてもらおうか」

【グラビティ!】

「新調だと?」

『確かに、以前の戦いで見なかったメモリだが…』

 

言いながら鎖を引きちぎり、エターナルはGのイニシャルが刻まれたメモリを起動して腰のスロットに装填する。Wも知らないメモリだったことから、警戒を強めることとなる。

 

【グラビティ! マキシマムドライブ!】

「ふぅううううううん!」

 

直後、エターナルが右手を天にかざすとそこから重力波が発生。夢路が武装明晰夢で生成したこけしを持ち上げてしまう。

 

「ウソだろ!?」

「俺を倒したければ、ダブルがエクストリームを使えるか、焔魔堂ろくろが破星王に覚醒するかのどちらかしか無いだろうな!」

 

そしてエターナルは気になるワードを口にしつつ、そのこけしを一同に向けて叩き行けようとする。ダメージでまともに動けなかった一同は、絶体絶命であった。

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

「な、何これ?」

『何か転移のような気配が…』

 

直後、一同は光に包まれたかと思うとその場から姿を消してしまう。それによって、エターナルの攻撃は空振りとなり、結果助かることとなった。

 

「……この技、あのロディーナとかいう女か。となると、ノアもショッカー側からは離れそうだな」

「カツミ、さっきからずっとボクをコケにしてくれたね!!」

 

エターナルが状況を分析していると、いきなりガロニュートが超スピードで接近してきたのだ。見てみると、ガロニュートは纏っていた石のブロックを全て外しており、傷もいつの間にか塞がっている。

 

「へぇ……狡猾なお前のことだが、やっぱり隠し玉があったわけか。傷は魔人特有の強靭な体でふさいだとして、あのブロックが無くなったことでスピードも強化されたようだな」

「そういうことだよ。そして…ふんっ!」

 

エターナルが冷静に分析していると、そのままガロニュートは超重領域(グラビ・ゾーン)を発動して動きを封じようとする。

 

「どれだけ強化されようと、ベースが人間の君にボクを倒せると思うなよ。君を始末したら、改めて聖なる遺体の力と八輝星の地位を貰いに行かせてもらうよ!」

 

そして克己を始末する前提の話を一方的に終わらせ、そのまま超高速で殴りかかる。あまりのパワーに、エターナルもさすがに吹っ飛んでしまう。

 

「そんでもって、こいつだ!!」

「ぐっ!?」

 

そしてアッパーで天へと打ち上げ、ガロニュート自身も人外の脚力で飛び上がる。そしてエターナルを地面に叩きつけようと、距離を詰めてく……

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念。てめぇの負けだ」

【グラビティ! マキシマムドライブ!】

【エターナル! マキシマムドライブ!】

「え?」

 

しかしエターナルはいつの間にかエターナルエッジにグラビティメモリを、腰のスロットにエターナルメモリをそれぞれ装填。二つのメモリを同時使用の、ツインマキシマムが発動したのだ。

 

【マキシマムドライブ! マキシマムドライブ! マキシマムドライブ! マキシマムドライブ! マキシマムドライブ! マキシマムドライブ! マキシマムドライブ!】

「てめぇの敗因は、重力操作を動きを封じるための技だけに使ってたことだ。重力は、こういう使い方も出来るんだよ!」

「ぐぉお!?」

 

メモリの電子音声"ガイアウィスパー"が、壊れた機械の様に連続してなり続ける。その横で言い放ちながら、エターナルはガロニュートに一閃。そしてその切り口から…

 

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!? 何だコレはぁああああああああああああああああああああああああああ!?」

「重力と永遠の記憶の力で、無限ともいえる重力力場を発生させた。厳密には違うが、ブラックホールみたいなものだと思え」

 

断末魔を上げながらガロニュートは胸の切り傷から生じた重力場に、その体がだんだんと飲み込まれていく。そしてどんどんその体を圧縮されていき……

 

「日に二度も同じセリフを言うとは思わなかったな……

 

 

 

 

 

 

さあ、地獄を楽しみな!!

「ぎぃいいいいいいいいやあああああああああああああああああああああああああ!?」

 

そしてガロニュートはそのエターナルのセリフと共に、断末魔をさらに強めながら大爆発。跡形もなく消し飛んだ。

 

「逃がしちまったが、まあいい。聖なる遺体は惹かれ合う…なら、後からまとめて手に入れることも出来るわけか」

 

そしてそれだけを言いながら、エターナルは変身を解除。克己の姿でそのまま去っていった。そしてその様子を見ていた残りの面々は…

 

「これが最凶の悪の仮面ライダーの力…人間の業というわけか」

「だな。更なる力がねぇと、俺らも消されるぞ」

(火火火(カカカ)ッ、これぞまさに破壊の権化ってわけか)

(こんな痺れる強さ、柄に無く惚れそうね…)

 

エターナルの強大な力に戦慄する者、崇拝のような念を抱く者、と様々様子であった。

~同時刻~

「助かったけど、これは素直に礼を言っておいていいのか?」

「翔太郎さん、確かにそうですね…」

 

転移させられた一同、Wはいつの間にか変身を解除して翔太郎に戻ったまま疑問をぶつける。それに、いつの間にか合流していた勇魚が同意して助けてくれた人物二人に視線を向けるのだが…

 

「警戒するのもわかるが、君達に敵対する意思はない」

「私たちは少なくとも、聖なる遺体に興味ありませんので」

 

そこにいたのは、それぞれモノクルとマントを見に付けた魔族染みた外観の男と、純白のドレスを纏った少女、執事のような衣装にステッキを携えた兎の獣人の三人だった。そして前者の二人には共通して、ガロニュートと同じく左腕に埋め込まれた"星"と呼ばれる七つの宝珠があったのだ。

 

「改めて自己紹介をしよう。私の名はノア、七つ星の魔人(ヴァンデル)で"魔人博士"の異名をとっている」

「同じく七つ星の"小悪魔ロディーナ"と申します」

「魔人の評価役兼、彼らの社交場"魔賓館(まひんかん)"の館長を務めている、シャギーと申します。以後、見知り置きを」

 

まさかの七つ星魔人の出現に警戒する一同だが、確かに敵意は感じられない。どういう経緯で加勢したのか?

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ふん」

「何!?」

 

幽汽の首を落とすつもりで振るったローの刀は、振り向かずに防がれてしまったのだ。そして放つ一閃を防ぐことができたが、そのまま吹っ飛んでしまう。

 

「ふっ」

「ぐわぁあ!?」

「「トラ男!!」」

 

しかも追撃に独楽を投擲、それが空中で身動きの取れないローに命中して爆発する。そしてそれによってローの能力が解除されてしまう。

 

「きゃあ!?」

「うわああああ!?」

 

ライナー電王とゆのはそのまま落下し、バランスを崩して地面に倒れてしまう。しかしその一方で一人だけ着地に成功した宮子は、すぐに戦闘を始める。

 

「よくもトラ男さんをやったな!」

「よせ、宮子!」

 

ソード電王の制止も聞かず、宮子は幽汽に斬りかかる。しかし変身者の死郎は生前は武士のため…

 

「雑魚が」

「うぉおお!?」

 

巣の戦闘能力は段違い。防御に成功して致命傷馳せたが、一太刀で敗北を喫する大きなダメージを負ってしまう。

 

「宮ちゃん!」

「「おめぇ、マジで許さねぇぞ!」」

「ゆのちゃんは、早く回復を!」

 

ソード電王とルフィは怒り心頭で幽汽に斬りかかり、ライナー電王もゆのに宮子の治療に専念させるために幽汽へ立ち向かっていく。

 

「纏めて、あの世に行くんだな!!」

 

幽汽はそんな彼らを迎え撃とうと、七星剣を振るとともに緑の炎が放たれた。そして独楽も投擲して猛攻を仕掛けてくる。

 

「こいつ!」

「うわぁああああ!?」

 

攻撃を捌こうとソード電王はデンガッシャーを、ライナー電王はデンカメンソードを振るって独楽や炎を防ぐ。しかし、ルフィにはその弾幕は効果を成していない。

 

「てめぇ、絶対にぶん殴ってやるからな!」

 

見聞色の覇気で攻撃をかいくぐり、幽汽に急接近するルフィ。そして拳に武装色の覇気を纏わせ、ゴムゴムの銃弾(ブレット)を叩き込もうとする。

 

「おらぁあああああああああ!!」

「ふぅううん!!」

 

しかし幽汽は咄嗟に拳を放ち、それでゴムゴムの銃弾を相殺。そしてそのまま反動で動けないルフィに斬りかかる。

 

「やべっ!?」

 

咄嗟に武装色で胴をコーティングし、斬撃をギリギリで防ぐ。

 

「ふんっ!」

「ぐえっ!?」

 

だが幽汽はその一瞬の隙を突いて、ルフィの顎を蹴り上げた。ゴム人間の体の為に、蹴りの威力で大きく首が伸びるが、それによって大きな隙が出来てしまった。

 

「終わりだ!」

「がっ!?」

 

ルフィの体で、武装色が覆われていない脇腹に七星剣を突き刺す。ゴムの体は打撃を防ぐが斬撃は通るため、ここで遂に大きなダメージを負ってしまった。

 

「そこのお前らも、ソラの為に死ね!」

「わぁああ!?」

「ぐぉおおお!?」

 

更にダメ押しと言わんばかりに、独楽の投擲で電王二人を迎え撃つ。ゆのに攻撃が入らない辺り、放っておいても無害と判断されているらしい。

 

「ゆのさん達が…」

「余所見とは余裕だな!」

 

一方、花京院は承太郎に加勢に向かったはいいも、電王組とゆの達の劣勢に気を取られてしまう。そしてその隙を突いて、ソーサラーが攻撃を仕掛けてくる。

 

「むっ!?」

 

しかし事前にハイエロファントグリーンの体を解いた帯が地面に仕込まれ、ソーサラーはそれを踏んづけてしまったようだ。それによってソーサラーは拘束されてしまう。

 

「事前に罠を張っておいて、正解でしたね…早い所、彼を片付けないと」

「「ナイスだ、花京院」」

 

そしてディケイドと承太郎は声を合わせて花京院を称賛、そして二人でソーサラーを撃破しに飛び掛かる。

 

「月影魔法"クレセントカット・満月(フルムーン)"!」

「「何ぃっ!?」」

「こんなっ!?」

 

しかし拘束された状態で魔導書(グリモワール)の魔法を放ち、ディケイドと承太郎を迎え撃ってきたのだ。更に後方の花京院にまで攻撃が迫り、またもピンチになってしまう。

 

「スタンドも解除されたようだな。このまま畳みかけさせてもらうか」

【ビッグ・ナウ!】

「マジか…」

 

花京院のダメージで拘束も解けてしまったソーサラーは、ベルトを操作して新たな魔法を発動。頭上に現れた魔法陣にディースハルバードを潜らせると、魔法陣を通ったハルバードが巨大化した。流石にディケイドも危機を察知していた。

 

「マズい、士さん達が…」

「あっちのゆの様たちもピンチだし…どうしましょう?」

 

ソーサラーの魔法で消耗したきららは、ランプや唯達放課後ティータイムに介抱されながら戦況を憂いている。ランプもゆの達や電王組のピンチに、身動き出来ない自分が不甲斐ないと言った様子だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「波紋・シャボンランチャー!!」

「ぐぉお!?」

 

しかし聞き覚えのない男の声が聞こえると同時に、シャボン玉が飛んできてソーサラーを吹っ飛ばす。攻撃を喰らって魔法が解除されたソーサラー。

 

「士、手を貸すよ」

【Attack ride Blast!!】

「何!?」

「この声…」

 

どこからかディケイドを呼ぶ声と電子音声とともに、ソーサラーへの攻撃が放たれる。ディケイドは聞き覚えのある声にまさかと思い見てみると、バーコードを模したシアンブルーの装甲を纏った仮面ライダーの姿があった。

ビルド達が既に交戦してた、海東大樹こと仮面ライダーディエンドの姿だ。

 

「海東、何のつもりだ?」

「僕がお宝ハンターってこと、忘れたはずないよね。聖なる遺体なんてとんでもないお宝、ショッカーに渡すわけにいかないし」

「こいつが話に聞いてたてめぇの知り合いのライダー…やれやれ、確かにめんどくさそうな奴だ」

 

現れたディエンドは加勢した目的を語ると横で、承太郎は事前に聞いた人となりと照らし合わせ、実に面倒そうな顔をしている。

そんな中で、花京院があることに気づいてディエンドに質問を投げる。

 

「取り込み中にすみません。今、波紋って聞こえたんですけど…誰か波紋使いの助っ人でも連れてきてくれたんですか?」

「それなら、僕だ。彼にここに案内されてね。それと自己紹介の前に、少しやることがあるので失礼」

「おいおい、さっさと終わらせろよな」

 

花京院の質問に答えたのは、バンダナを鉢巻の様に巻いた金髪の伊達男と、ジョナサンに似ているが妙にチャラそうな雰囲気の青年の二人組だった。

そして二人組は休んでいるきらら達に近寄ると、伊達男が膝間づいてそのまま手を取り出した。

 

「大丈夫ですか、シニョリーナ達?」

「しにょ…え?」

「きららちゃん。地球のイタリアって国の言葉で、お嬢さんって意味よ」

 

突然の聞き覚えのない単語に困惑するきららに、紬が解説を入れる。そこにそのまま、自己紹介を始める伊達男。

 

「おれはシーザー・A(アントニオ)・ツェペリ。紅渡と葛葉紘汰という二人から、このエトワリアという世界の危機に向かうよう頼まれた、そこの彼と共に訪ねてきた波紋戦士です。さあ、ここはおれに任せてご安心を」

「おいおいシーザー、そのぐらいにしろ。さて、お嬢ちゃん。あっちの方も援軍がいるらしいから、安心しておけ」

「え?」

 

そしてジョナサン似の青年の呼びかけと共に、一同が視線を向けるとすぐにその意味が分かった。

 

「そこまでだ!」

「援護します!」

「ぐぉお!?」

 

幽汽に攻撃を加えるエグゼイドと、その援護を行う青葉の姿があった。青葉はまたドラゴナイトハンターZのゲーマを纏った姿だ。

 

「おめぇら、なんでここに?」

「さっき、あのディエンドから増援に来てほしいって頼まれてな。さっきまで乗ってた迎えの車から、急遽飛び出して、青葉ともどもこっちに来たわけだぜ」

「青葉さんも? そういえばその格好…」

「聖なる遺体のおかげで、ガシャットが使えるようになったんだ。私もこれで、相手と互角に戦えるよ」

 

困惑するゆのに青葉は説明し、エグゼイドと共に幽汽と対峙する。その姿は頼もしさすらある。

そしてさらに加勢の手はあった。

 

「アステロイド!」

(ボルト)!」

 

ガオウとネガ電王の間に割って入り、修と遊真が射撃攻撃を仕掛ける。そして遊真はガオウと、修とヒュースがネガ電王とそれぞれ対峙する。姿は見えないが、千佳も後方から援護射撃にきたようだ。その際、遊真の姿が三雲隊の制服ではなく黒一色のボディースーツのような物を纏っている。そこが気になった紗英が思わず問いかけた。

 

「空閑君、その姿は?」

「昨日話した、黒トリガーだ。お目付け役のレプリカってトリオン兵のサポートが無いとフルで使えないけど、それでも強力だから緊急で使わせてもらった」

 

説明しながらガオウと対峙する遊真。その一方で、ガン電王もヒュースの姿が気になって質問を投げかける。

ヒュースも側頭部の角が無くなっており、三雲隊の隊服を纏った姿をしている。

 

「ねぇねぇ。頭のツノ、無くなってるけどどうしたの?」

「俺は近界民であることを隠してボーダーに入ったからな。トリガー使用時の戦闘体を、玄界(ミデン)の人間に偽装しているというわけだ」

「ヒュースはアフトクラトルのトリガーでダメージを負ってたので、連携のテストも兼ねてこっちを使ってもらってます」

 

そしてヒュースは修と二人で説明を終えると同時に、それぞれブレードを構えて臨戦態勢に入る。ヒュースの方は日本刀型のブレード"弧月"だ。

そして、その様子を見ていたジョナサン似の男は不意に唯にある頼みをした。

 

「なあ嬢ちゃん、俺の技に人の髪の毛がいるんだ。ちょっとだけ鋏で切らせてくれねぇか?」

「髪の毛? ちょっとくらいならいいけど?」

「唯先輩!?」

「サンキュー!」

 

唯があっさりとその頼みを、二つ返事で了承した。梓が驚く横で、そのまま青年は礼を言いながら唯の髪を少量切る。そしてそれを両手の指でつまみ、直後に全身から黄金のオーラが立ち上った。

 

「人呼んで、波紋ヘア・アタック!」

「予想はしてが、こいつも波紋使い?」

「……まさか、こいつ!?」

 

そして技名を叫ぶ青年に、承太郎は何かを察した様子だった。すると青年もそれに気づいて、自己紹介を始めた。

 

「そういや、俺の名前まだ言ってなかったな……

 

 

 

 

 

ジョセフ・ジョースターだ! よろしく頼むぜ、未来の俺の孫よ!!

 

青年の正体は、若い頃のジョセフだったのだ。承太郎のことは、恐らくディエンドから話を聞いて知ったのだろう。

 

「波紋だか何だか知らないが、我が復讐の邪魔をするなら貴様も葬ってやる!」

【コピー・ナウ!】

【エクステンド・ナウ!】

 

しかしソーサラーは臆せず、そのまま追撃に指輪の魔法を発動。ディースハルバードをコピーし、二本とも先ほど同様、鞭の様にしならせて連続攻撃で畳みかけようとした。

 

「バリアだぜぇええええええええええ!!」

 

だが臆してないのは、ジョセフも同様だった。波紋を流した唯の髪の毛を放り、波紋の物体を弾く性質を利用したバリアを張って攻撃を防いでいく。

その後もソーサラーは攻撃を続けるが、ジョセフは宙を舞う髪に波紋を流し続けて見事に防ぎきってしまった。

 

「…これが全盛期のジジイか。確かに、強力な波紋だな」

「あの頭脳プレイの肉体も波紋も高いパワーを発揮、確かにすごいですね」

「海東、お前たまには役に立つんだな」

「褒めなくてもいいさ、僕もお宝の為に動いているからね」

 

若いジョセフの力に承太郎と花京院が称賛の声を上げる。そしてこのまま臨戦態勢を取ろうとした直後……

 

ダークライダー諸君、私とフォクシー海賊団が手柄も遺体も独り占めさせてもらいますよ!!

 

ドクターラチェットの声が響いた直後、空から何かが降ってきた。現れたのは、巨大ロボットだった。

外観は一つ目の巨大な顔に、ミサイルランチャーを備えている。そして左右に巨大な四本の柱が守るように備わっている。

 

「うぉおおおおおおおおお! スッゲェエエエエエエエ!!」

「おい麦わら! お前、敵にまで何を興奮してるんだ!?」

「ルフィ、一応敵だから落ち着け」

「まさか巨大ロボが来るなんて、思いませんでした……」

 

ルフィはラチェットの乗るロボに興奮し、それを諫めるソード電王とエグゼイド。青葉はまさかの巨大ロボの出現に、困惑を隠せずにいたが…

 

「…まさか、鋼鉄巨人か?」

「ライオンの姉ちゃん、知っとるんか?」

「まさか、こいつエトワリア由来だってのか?」

 

不意にジンジャーがロボットの名と思しき単語を呟く。それを横で聞いていたアックス電王とウソップが問いかけると、ジンジャーが語り始めた。

 

「私は七賢者と兼業でエトワリア最大の都市で領主もやってるんだが、そこに昔やってきた考古学者と意気投合して聞いたことがあるんだ。エトワリアには大昔、戦争で滅んだ古代文明があったんだが、未完成のまま放置された決戦兵器が今もその文明の遺跡に眠ってるって伝説を離してたんだ」

「まさか、それを完成させて持ってきたと?」

「ああ。その考古学者が持ってた設計図に似てやがる…だけど見ないパーツもあるから、改造されてるかもしれねぇ」

「え? それ、最悪じゃない?」

 

ジンジャーの話を聞いてヒロとロッド電王は顔を青ざめる。するとラチェットは話を聞いていたのか、大仰に説明を始めた。更に同乗していたのか、フォクシーも一緒にその解説に乗り出す。

 

『確かに大本はその鋼鉄巨人だったが、今はそんなチープな名前ではありません。世界征服が目的の私が武装を追加して、鉄人くんシリーズの最強機体として生まれ変わらせました』

『おれとポルチェとハンバーグの、フォクシー海賊団古参トリオが乗れるよう調整されたんだ』

 

そして二人は同時に、機体の名を思いっきり叫ぶ。

 

『『その名も、鉄人くん49号!!』』

 

ここに来て更なる敵の襲来。しかもダークライダー達から手柄を奪う目的のようなため、ここからは乱戦が予想される。果たして、勝利の女神はどちらに微笑むのか?




次回は鋼鉄巨人改め鉄人くん49号と決戦。この次に説明回を入れて、そこからゴースト×BLEACH×がっこうぐらし!編に突入予定です。

P.S.クレイジー・ダイヤモンドならデクの腕の後遺症云々も治せるかもしれませんが、原作と矛盾するので治さない方向で行きました。

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