仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア   作:玄武Σ

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皆さん、大変お待たせしました。
私用と途中の描写で悩んでたので、二か月も更新が止まってしまいました。
申し訳ありません。

ちなみに今回の組み合わせの意図は、学園生活部の面々に守る強さと死生観について再認識してもらおうと思ったので。前書きで書いたのは、あとがきに死神図鑑ゴールデンを入れるためです。
P.S.アマゾンズと東京喰種という案もありましたが、東京喰種を読んでない上にアマゾンズ共々、他のライダーやジャンプ作品と共闘が難しそうだったので辞めました。


第42話「仰天! 砂漠にゾンビ!?」

ディケイド達が里の外のクリエメイト達への合流へと向かって二日後。エトワリアのとある砂漠地帯に、三人の人物が迷い込んでいた。

天空寺タケル

着物風のジャケットに金髪といういで立ちの青年で、寺の跡取りで超常現象調査家という側面を持つ。

実は仮面ライダーゴーストに変身することが可能で、一度死んで幽霊のライダーになる、という稀有なパターンだったりする。

 

黒崎一護

オレンジの髪の目つきが悪い青年で、例媒体質以外は普通の人から死神の力を得た"死神代行"となったのである。現在は大学生だ。

 

石田雨竜

一護の同級生で同じ大学の医学部に進学した眼鏡の青年。実は滅却師(クインシー)という、(ホロウ)を退治する特殊能力者の血を引いている。一護とは、いわば戦友という間柄だ。

 

そんな三人は転移して早々に顔合わせをすることとなり…

 

「くそ、いくら蹴倒しても立ち上がってきやがる!」

「でも、攻撃の手を緩めないで! 一瞬でも隙を見せたら…」

「二人とも、先行するな! 直接のとどめは僕が…」

 

肩を並べて戦うことになっていた。砂漠中から湧いてきたゾンビのような人型生物達に、いきなり襲撃されたのだ。映画の様にウイルス感染でゾンビ化など、洒落にならないため肌がむき出しの腕は攻撃には使えない。そのため、必然的に蹴りでの攻撃しか使えなかった。

 

「疾っ!」

 

そんな中、雨竜が光の弓を生成してそこから放つ矢でゾンビを一体ずつ撃ちぬいていく。この弓が、滅却師の主な攻撃手段である。一護はある理由で死神の力を使えず、タケルも数の差があって変身時の隙を突かれる危険から生身で戦わざるを得ない状況だ。そのため、決定打は雨竜に任せることとなってしまう。

 

「けど、これいつまで耐えれば…」

「だな! こう、足場の悪い場所で長期戦は流石にきついっての!」

 

辺り一面が砂で覆いつくされた砂漠での長期戦、踏ん張りが効きにくく足も奪われやすくなる。このままでは、いずれ疲弊してしまうだろう……

 

 

 

「おい、あんた達!」

 

そんな中、三人の耳に少女の声が響く。声のした方に視線を向けると、紫の髪をツインテールに纏めた少女だった。セーラー服を改造したような格好に、何故かスコップを持っている。

 

「そう、そこのイケメン三人組! こっちなら安全だ!!」

「イケメン…僕達がか?」

「今は気にしてる場合じゃないよ! とにかく、あっちに」

「だな。石田、追ってきたやつ迎撃頼むぜ」

 

そして少女の先導に従って、タケルと一護が先行する。そして殿となった雨竜が迫って来るゾンビ達を弓で迎撃していく。そして、どうにか少女について行き、安全圏らしき洞窟にたどり着いた。

 

「ふぅ、ここまで来れば……大丈夫か、あんた達?」

「あ、ああ。なんとかな」

「ありがとう、助かったよ」

「ところで、君は一体……」

 

そして少女にお礼を言い、詳しい事情を聴こうとした直後。

 

「くるみちゃん、おかえりぃいいいい!!」

「え、由紀!?」

 

突如、ピンクの髪とニット帽の少女がこちらに全力疾走してくる姿が見えた。ツインテールの少女の名前らしきものを叫んでいるあたり、友人のようだがこのままでは激突してしまう。そしてそれを察したのか…

 

「すまん!」

「え…ごふっ!?」

 

なんとツインテールの少女が避けてしまい、走ってきた少女の頭が一護の鳩尾に激突したのだ。あまりの痛みに悶絶し、そのまま一護は気絶してしまう。

 

「黒崎、大丈夫か!?」

「わぁ!? ごめんなさい、お兄さん!!」

「と、とりあえず俺達で中に運ぼう!」

「そ、そうだな。本当に、ごめんなさい!!」

 

そのまま大騒ぎになるも、そのまま一護は洞窟の中で寝かせられる。

 

~十数分後~

「と、トッポギ!? って、なんの夢見てんだよ、俺?」

「いや、それ俺が聞きたいよ」

「ああ。前もマタタビとか叫んだらしいけど…」

 

目覚めて早々、謎の叫び声をあげる一護。そしてそこに突っ込む、タケルと雨竜。

 

「あ、起きたんだ!」

「うぉ!? って、子供?」

 

一護が目を覚ましたのに気づいて声をかける人物が現れたのだが、それは先ほどに一護と激突した少女であった。一護はその容姿と雰囲気から、かつての知り合いである死神の一人、草鹿やちるを思い出したのは完全な余談である。

 

「お、オレンジ頭の兄ちゃん、気がついたんだな。さっきは避けてすみません!!」

「胡桃ちゃん。謝るのいいことだけど、そんな呼び方したらダメよ」

「そうですよ、そこの皆さん年上っぽいですし」

 

そこに立て続けにやってきたのは、高校生ほどの少女達であった。先ほどこの洞窟に案内してくれたスコップを担いだツインテールの少女を筆頭に、泣き黒子に豊満なスタイルの大人っぽい少女、物静か且つボーイッシュな少女、と揃って特徴的であった。そして先ほどのピンクの髪の少女共々、学校の制服を改造したような格好をしていた。

そして一人、紫のウェーブヘアーの成人女性がいた。服装はひだのある白いコートで、他のメンバーと比べても浮いた格好をしている。

 

(なんだ? この人の服装、どっかで見たような……それに、この霊圧は?)

「由紀、そこのちっこいのが人の声がするって聞いて、嫌な予感がしてさ。駆けつけたらあんたらがいたんだよ。運が良かったな」

「えへへ、ほめてほめて〜」

「そうか、君が……ありがとう、おかげで助かったよ」

 

一護が成人女性に対して何か違和感を感じていると、少女たちが改めて自分達に気づいたことをについて説明する。そしてタケルが礼を言うと、そこであることに気づく。

 

「そういえば、自己紹介がまだだったね。俺は天空寺タケル、大天空寺って寺の跡取りで超常現象調査家でもあるんだ」

「僕は石田雨竜、大学で医学部を専行している。で、あっちは高校時代からの仲間で……」

「(まあ、後でいいか)黒崎一護だ。空座町(からくらちょう)在住で、学科は違うけど同じ大学に通ってる。よろしくな」

「お寺の息子さんと医大生……随分立派なんですね」

「あんたの名前、苺? 男の名前で、しかもその(ナリ)でか?」

「かわいい名前だね! わたし、好きかも〜!」

 

自己紹介の際、少女たちが真っ先に反応したのは一護の名前である。語感から果物の苺と間違えられているようだ。当然、一護自身は不服があった。

 

「ちげーよ! 果物の苺じゃなくて、一等賞の一に守護神の護だ!」

「え、そうなの……ごめん」

 

若干キレ気味に伝えたため、少女はへこんでしまう。そんな中、泣き黒子の少女が空気を変えようとこちらの自己紹介に入る。

 

「じゃあ改めて…私は巡ヶ丘高校3年生、学園生活部部長の若狭悠里(わかさゆり)です。周りからはりーさんで通ってるわ」

「同じく恵飛須沢胡桃(えびすざわくるみ)、よろしく!」

「おなじく丈槍由紀(たけやゆき)、いちごは子供って言ったけどわたしも3年生だからね!」

「「「え、本当(マジ)!?」」」

「すみません、本当なんです。で、私は直樹美紀(なおきみき)、唯一の2年生です」

「学園生活部の顧問、佐倉慈(さくらめぐみ)といいます」

 

順に自己紹介をしていく少女達だが、不意にタケル達はある単語に引っかかる。

 

「あの、学園生活部って言ってたけど、何か部活なのかな?」

「それだけじゃねぇ。あんた達、あのゾンビみてぇなのにも詳しそうだが…」

「あ、その前に丈槍さん、あっちに行ってようね」

 

しかしそこで慈が由紀を遠ざける様子を見せる。当の本人は頭に?を浮かべるも、そこに同意してついて行った。そしてその後、胡桃と悠里の口から詳細を語られる。

 

「あのゾンビのことだけど、単純に"あいつら"とだけ呼んでる」

「で、学園生活部っていうのは…」

 

そこで語られたのは、衝撃的な話であった。

 

彼女たちの暮らしていた世界の日本にある巡ヶ丘という町で、未知の感染症が発生。それが原因であのゾンビ達が出現してしまったという。彼女たちはそこでの生き残りで、学校内で共同生活を送っていたところ、エトワリアに召喚されたらしい。

ちなみに学園生活部は、単に避難生活だと辟易しそうなので"部活"という体で行っているらしい。

 

「異世界に平行世界…しかも日本滅亡寸前か。なんか、思いのほか面倒なことになっちまったな」

「え、信じてくれるのか?」

「普通じゃないことには、俺も石田も慣れてるからな。天空寺も、ってのは意外だったが」

「うん。俺もかなり、特殊な経験は多い方だし」

 

異世界云々については、一護もタケルもすんなりと受け入れた。そこに驚く胡桃だったが、そこにとりあえず簡単に事情を話す一護と雨竜。

 

「さっき、石田が弓みたいなの出してたけど、あれも元居た世界から使ってた力でな」

「滅却師っていう、まあ平たく言えば悪霊退治のための能力者の血を引いていてね」

「悪霊……そんなのと戦ってたのか?」

「まあ、俺も今は理由があって使えねぇけど、戦う力あってな」

「一組、クリエメイトの中にはそういう戦いのある世界から来た人もいるけど、まさかね」

 

一護達から話を聞いて驚いている学園生活部だったが、不意に悠里は何かに気づく。

 

「あんまり驚いていないけど…タケルさんも、何か特別な力をもってるんですか?」

「あ、そうか。それに一護も石田の力を知ってるなら、一般人ってわけじゃないのか?」

「「そ、それは…」」

 

悠里の話を聞いて胡桃も気づいたようだが、タケルも一護も揃って、少々説明しづらそうなようだ。しかし、その直後に異変が生じる。

 

「ん?」

「これ、霧か?」

「本当ね。でも何で…」

 

いきなり洞窟内に立ち込めた霧に、一同は疑問を感じずにいられなかった。しかもその直後…

 

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……

 

なんと、洞窟にゾンビが出現したのだ。

 

「な!?」

「なんでこいつ等がここに!?」

 

驚きを隠せずにいる一同。その時、咄嗟に胡桃はシャベルを手に突撃していく。

 

「頭を潰せ! そうすれば、一撃で倒せる!!」

「わかった!」

 

言いながらゾンビの一体を、シャベルを叩きつけて頭部を粉砕する。そして雨竜もそれに続いて、弓を生成してゾンビの頭部を穿った。

しかし……

 

「な!?」

「うそだろ!?」

 

頭を粉砕されたばかりのゾンビが、そのまま襲い掛かってきたのだ。咄嗟に回避できたからよかったが、胡桃の反応から本来あり得ない物だということが分かった。

 

「みんな、どうしたの!?」

「ひっ!?」

 

すると騒ぎを聞きつけて慈が由紀を連れて掛けてきたのだが、その際に由紀がゾンビ達とそれが血しぶきを上げて倒れる様を見て怯える。

 

「めぐねえ、ちょっと待って!」

「丈槍さん、見ちゃダメ!」

「言ってる場合か、早く外に出るぞ!!」

 

慈の行動を咎めようとする学園生活部の面々だったが、一護に促されてそのまま外に出ることとなった。

 

「ケーッケッケッケッケッケ!! クリエメイトどもに黒崎一護、そして天空寺タケルよ。ようやく出て来よったか!」

 

外に出た直後、大量のゾンビとそれを従える小柄な老婆の姿が目に映った。老婆は、両方の手が右手になっているという異常な姿をしていた。

 

「婆さん、アンタ何者だ?」

「私の名はエンヤ。この世界を始めとした数多の異世界を支配しに来た、オーバーヘブンショッカーに属しておる。その偉大なる首領、DIO様のために貴様らを始末しに来た」

 

一同の前に姿を現した、エンヤ婆。そして彼女が従えているらしき、ゾンビの大群が迫りくる。

 

「なるほど、クリエメイトってのは彼女達から軽く聞いたけど、ショッカーの今回の狙いなわけか」

「天空寺は、こいつらのこと知ってるのか。それに……でやぁあ!!」

「!?」

 

タケルが察したその直後、いきなり一護が慈に殴りかかったのだ。しかも、その慈は人外級の跳躍力で飛び上がり、その攻撃を避けてしまった。

 

「ちっ、丈槍由紀から手を放してしまった…」

 

慈は忌々しそうな表情で小さく呟くと、そのままエンヤ達のいる方に着陸してしまう。

 

「一護、なんでめぐねえを!?」

「いや、あいつはめぐねえとやらじゃない」

 

胡桃が糾弾しようとするも、一護はそれを断じて慈を指さしながら告げる。

 

「気づくのが若干遅れたが、あんたからは霊圧を感じる。(ホロウ)、それも破面(アランカル)に進化したそれだ。正体を見せやがれ」

「彼女達は霊圧云々も知らないからそもそも気づきようがなかったが、僕や黒崎がいたことは運が悪いとしか言えないな」

 

一護達の言動から、目の前の慈は破面が化けた姿だという。一方の慈(?)はというと……

 

「アハハハハハハハハハハハ!! そこの彼の言う通り。私は佐倉慈の姿をコピーした破面、つまりあなた達の敵…」

 

高笑いしてそこまで言った直後、慈(?)の顔が溶けて上背もぐっと伸びたのだ。そして溶けた顔の下から現れたのは……

 

「「これが俺(僕)の真の姿、第9十刃(ヌベーノ・エスパーダ)アーロニーロ・アルルエリさ」」

「ひぃっ!?」

「めぐねえが偽物…しかも、化け物?」

 

ガラスのカプセルとその中に入った二つの骸骨のような頭。これがアーロニーロの真の姿だったのだ。声が二重だったのは、二つの人格が一つの体に入っていることによる物だったのである。

余りにも人間からかけ離れたグロテスクな外見は、由紀達を怯えさせるには十分だった。

 

「第9十刃…確かルキアが倒した奴だったか。でも、なんで生きてるんだ?」

「アア、確カニ僕ラハ朽木るきあニ倒サレテ死ンダ」

「しかし、今俺達が協力しているオーバーヘブンショッカーという組織の首領の能力。それが俺を含んだ十刃を甦らせた次第というわけだ」

「下級の虚が破面化すると異形化するパターンが多いらしいが…それで十刃にまで上り詰めるとは、油断できないな」

「よくわからないけど、あいつは一護達がいた世界の敵ってことか」

 

アーロニーロは一護が死神になる切っ掛けの少女・朽木ルキアがかつて交戦し、倒した筈の破面だった。雨竜の指摘通りなら、アーロニーロは破面としては下級となっているが、にも拘らず十刃となったのは相当の力を持っているのだる。

詳しいことは知らないながら、タケルも目の前の彼らを警戒することとなる。

 

「おい、お前。とりあえずお前が偽のめぐねえだってのはわかった……何処でめぐねえのことを知った?」

「そうね…もうめぐねえはいないはずなのに……」

「え、りーさん?」

「ちょ、先輩…」

 

そんな中、胡桃と悠里がアーロニーロに対して慈について尋ねる。焦っていたのか、その事実を伏せている由紀がいる場であるにも関わらずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ。その女の魂俺が喰っちまったが」

 

アーロニーロから返ってきたのは、非情な答えだった。その言葉に、学園生活部の面々は青ざめる。

 

「え?」

「僕達ニハ、喰ラッタ同族ノ能力ヲ自分デ使エルッテ特殊能力ガアルンダ。ソノ中ニ喰ラッタ魂ノ姿ト記憶ヲ再現スル力アッタンダ」

「それで佐倉慈の魂の残滓がお前達の召喚に巻き込まれて、ここに来てしまったらしくてな。それを食って、あの姿をまねてお前らに近づいたんだ」

「まさか、私達を始末するために…」

「ああ。貴様らを持ち主に選ぶと思われる、"聖なる遺体"を手に入れるためにな」

 

ショッカー側は学園生活部の面々が聖なる遺体を手にすることを予測し、こちらに赴いたようだ。しかし、彼女達には聞き覚えのない単語を気にする余裕はなかった。

 

「めぐねえ……もしかして、死んじゃった?」

「先輩…」

「そんな、めぐねえ…」

 

ショッキングな事実を聞かされ、打ちひしがれる学園生活部の面々。死んだと思っていた大切な人が生きていたと思ったら、それが偽物だった。しかも、その本人の魂すらもう存在していないというのは、彼女たちの心に暗い影を落とすこととなる。

 

「お前ら…よくも、めぐねえを……お前らが直接殺ったわけじゃないが、よくも……!」

 

そしてただ一人、強い怒りの表情を浮かべた胡桃は、得物のシャベルを手にしてアーロニーロに視線を向ける。

 

くたばれ、この野郎がぁあああああああああ!!

 

そしてそのまま、アーロニーロにシャベルを叩きつけようと一気に駆け出した。対するアーロニーロは微動だにせず…

 

「「響転(ソニード)」」

「え…うわぁああ!?」

 

破面の高速移動術で一気に背後を蹴り、そのまま胡桃を足踏みにする。そして腰から刀"斬魄刀"を抜いてそれを首筋に付きつけてきた。

 

「ワカッタカイ? 破面ト人間ニハ比較ニナラナイ、圧倒的ナ力ノ差ガアルンダヨ」

「お前達は俺の餌でしかないこと、理解するんだな」

「僕がいることを忘れていないか!?」

 

胡桃に対して一方的に力の差を分からせようとするアーロニーロへ、雨竜は背後を取って弓で入ろうとする。しかしその直後、妨害が入った。

 

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!

「な、ぐわぁ!?」

「石田!」

 

なんと、ゾンビ達が一斉に雨竜へと飛び掛かり、そのまま埋もれて身動きが取れなくなってしまう。咄嗟に、一護が救出しようと動き出すが…

 

「え!?」

「なんで、あいつらがこんな統制された動きを…」

 

ゾンビ達が一斉に一護やタケル、他の学園生活部の面々を取り囲んだのだ。そんな中、その理由をいきなりエンヤが明かす。

 

「これが私の特殊能力"スタンド"によるもの。私のいた世界には、己の魂を守護者として実体化させ戦わせる能力がある。それこそが姿ある(ヴィジョン)、並び立つ者"スタンド"」

 

エンヤのスタンド、それが周りのゾンビ達を操っているため統制が取れているというのだ。すると砂漠一帯にいつの間にか発生していた霧がエンヤの背後で押し固められ、王冠を被った骸骨のような姿となったのだ。

 

「この霧こそが私のスタンド・ジャスティス、タロットカードの正義を暗示する。能力はスタンドそのものを霧と化し、傷をつけた生物に霧を通すことでその生物を自在に操れるのじゃ」

「え? あのおばあさんが、操ってるって…」

「なるほど。だから頭を粉砕されても動けていたわけか」

 

エンヤが己のスタンドについて明かすと、タケルは納得した様子だった。指定対象を自在に操れるなら、弱点を木端微塵にされても他が無事なら無理やり動かせるというわけである。

余りにも絶望的な中、不意に膝をつく悠里。

 

「悠里ちゃん?」

「せっかく異世界なんて場所にいて、今だけはあの地獄を忘れられるのに…」

 

タケルが彼女のことが気になり、声をかける。しかし悠里自身はその声が聞こえていない。そして…

 

なんでこうなるのよ! 私たちが何をしたっていうの!?

 

遂に限界が来て、悠里は叫んでしまった。見た目は同級生に比べて大人っぽいが、それでもまだ十代後半の少女だ。部長という立場に立つことで、己を奮い立たせて精神の安定を図ったのだろう。しかし、明確な悪意と強大な力を前にし、遂に限界が来てしまったのだろう。

 

「りーさん…」

「悠里ちゃん…」

 

傍にいる由紀やタケルは、何か声をかけようとするも、何も思いつかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恐怖を捨てろ前を見ろ! 進め決して立ち止まるな。引けば老いるぞ臆せば死ぬぞ!!

 

突如、一護が叫び出したのだ。突然の事態に、敵も味方も騒然として一護を見つめる。悠里も流石に、これには面食らって涙も引っ込んだ。

 

「昔、俺に力を貸してくれたある人の言葉だ。俺はこの言葉を胸に、いつも戦ってきた」

 

そして一護はポツリと話し出す。そして、そのまま続けた。

 

「俺の名前、一護ってのは親父曰く"何か一つのものを護り通せるように"って願いを込めたからだそうだ。そこに今の言葉もあるからな……」

 

そして自身の名の由来や先ほどの言葉について改めて話し終えたあと、少し間を置いて宣言した。

 

 

「俺がお前達を守ってやる。だから、こいつらは俺が倒すから下がってろ」

「え、一護?」

「無茶だ黒崎! 今、君は代行証を持ってないから力を使え…」

 

そして雨竜の制止も聞かず、包囲しているゾンビに戦いを挑もうとする一護。

 

 

「一護ぉおおおおおおおおおおおおお!!」

「おぶっ!?」

 

しかしその直後、一護の名を叫びながら何かが彼の顔面に飛び掛かった。しかし、その後ですぐに顔に張り付いたそれを慣れた様子で引っぺがすと、そいつに声をかけた。

 

「お前もこっちに来てたか、コン」

「本当だよ、おい! 気づいたら砂漠で、俺一人で、そんな中で変な生き物が俺を襲って…もうマジ大変だったんだからな、てめぇ!!」

「ぬ、ぬいぐるみ?」

 

なんと一護に飛びついたそいつは、ライオンのぬいぐるみだった。しかし二本足で歩いて喋るため、普通じゃない。そしてそいつが、真ん中にデフォルメされた髑髏が描かれた五角形のプレートを持っている。

 

「代行証、ちゃんと持ってきたか。よくやった、後は任せておけ」

「へいへい、そっちは任せたぜ」

 

そして一護にエンブレムを当てられると、コンは口から丸薬のようなものを吐き出して、物言わぬぬいぐるみへと変わったのだ。

すると、そんな一護の横にタケルが並び立つ。

 

「やっぱ、お互い普通の人間じゃねえわけか」

「だね。なんとなくだけど、察しはついてたかな」

 

するとタケルの腹部に、お化けのようなデザインのベルトが出現する。それを見て一護はタケルが普通の人間じゃないと確信を持つ。

そしてタケルは懐から目玉の形をしたアイテム、眼魂(アイコン)を取り出してスイッチを押し、ベルトに装填した。

 

【アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー!】

「「「「な、何これ……?」」」」

「「ほう、こいつが噂の…」」

 

そしてトリガーを引くと、何とベルトから黒地にオレンジの縁のパーカーが出てきたのだ。そしてそのパーカーは周囲のゾンビを蹴散らしながら、ベルトから流れる音楽と音声に合わせてノリノリで踊り出す。これには思わず、学園生活部の4人も困惑してしまう。対して、アーロニーロは何かを察したようだ。

しかしタケルは気にした様子もなく、突然両手で印を結び出す。

 

「変身!」

【開眼・オレ!】

 

そしてその掛け声と同時にベルトのトリガーを右手で押す。それと同時に、新たな電子音声が流れると、タケルの姿が変わった。

全身真っ黒に骨格を思わせるオレンジの模様が入った不気味なものだった。

 

【レッツゴー!

覚悟!

ゴースト!】

 

そして先ほど現れたパーカーが装着されると、黒いのっぺらぼうな顔がオレンジ一色に黒い複眼、そして額に一本の角が現れたのだ。そしてフードを脱ぎ、拳を構える。

これこそ、仮面ライダーゴースト・オレ魂となったタケルの姿であった。オレ魂はタケル自身の眼魂で変身した形態である。そしてゴーストの手には、ベルトから出現したメカメカしいデザインの黒い両刃の剣"ガンガンセイバー"が握られた。

 

「じゃあ、いくか」

 

そして一護がコンの口から飛び出た丸薬を飲むと、彼の体から何かが飛び出してそのまま倒れた。

 

「え、一護それ……」

「お、おさむらいさん?」

 

なんと飛び出してきたのは、侍のような黒い着物を纏った一護の姿であった。そしてその手には身の丈サイズの巨大な刀が握られており、鍔が無いそのデザインは出刃包丁を思わせる。

そして臨戦態勢を整えたゴーストと一護は、互いに改めて名乗りを上げる。

 

「仮面ライダーゴースト。命、燃やすぜ!」

「黒崎一護。職業は大学生兼死神代行、よろしくな」

 

死んで蘇った仮面ライダーと、死神の力を与えられた霊能者、異なる力で命と魂に向き合った2人の英雄が降臨した。そして2人は、悪のスタンド使いと命を歪められたゾンビに立ち向かって行く。

 

「はぁああ!!」

 

ゴーストはガンガンセイバーを振るい、ゾンビを一体ぶった切る。更に左右から近づいてきたゾンビを、回転斬りで切り裂く。そして背後から迫ってきたゾンビを、回し蹴りで吹っ飛ばす。

 

「行くぞ!」

 

更にゴーストはガンガンセイバーを変形させると、それが大型の銃となった。銃を連射して、襲ってきたゾンビの大群を次々と撃ちぬいていく。

 

「オラッ!!」

 

その一方で一護は、死神の拘束歩法術"瞬歩"で雨竜の傍に入り込む。そして手にした斬魄刀"斬月"を振るって、雨竜を抑えていたゾンビを纏めて切り裂く。

 

「大丈夫か、石田?」

「黒崎、助かった。ここからは僕も…」

 

そして解放された雨竜も前線に立とうとするが、そこで一護がある提案を出す。

 

「石田、今回は俺に任せてあいつらを守ってやってくれ。あんなこと言っちまった建前、俺が連中を守ってやんねえと」

「……わかった。君は言い出したら聞かないからね」

「サンキューな」

 

そして雨竜に由紀達の守りを任せると、そのままアーロニーロに駆け出す一護。すると、アーロニーロは胡桃を開放してそのまま斬魄刀で斬りかかる。

そしてそのまま、互いの斬魄刀で鍔迫り合いに突入する。

 

「へぇ。胡桃たちを狙ってた割に、あっさり開放するんだな」

「マア、標的トハイエ手応エノ無イ相手ニ、カマケル程暇ジャナインデネ」

「そうかよ……胡桃、今のうちに逃げろ! 石田にお前を守るよう伝えている!!」

「わ。わかった!」

 

そしてそのまま胡桃を逃がし、アーロニーロと一騎打ちに入る一護。すると…

 

「よし、俺も一緒に守ってくれ!」

「え? 一護から違う人の声が…」

「ああ、さっきのぬいぐるみの魂が黒崎の体に入っていてね……って、死神状態の黒崎が見えてるのか?」

 

その一方で、コンの魂が入った一護の体が雨竜と胡桃の方へ近づき、合流した。エトワリアでは無条件で霊体が見えるという事実を知らなかったため、雨竜も一瞬驚いていた。

その一方で、一護の様子を見たゴーストは、次の行動に移った。

 

「よし。武蔵さん、行くぞ」

 

新しい眼魂を取り出して起動したのだ。そしてそれをベルトに装填すると…

 

【アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー!】

 

刀を持ち、フードに丁髷の意匠がある赤いパーカーがベルトから飛び出して、更にゾンビを切り裂いていく。そして再度ベルトのレバーを引くと……

 

【開眼・ムサシ!】

【決闘!

ズバット!

超剣豪!】

 

それまで纏っていたパーカーが消滅して、先ほどの赤いパーカーが装着された。顔には交差した刀が描かれ、手にしたガンガンセイバーが二分割され、二刀流となった。

 

「そりゃ! おりゃあ!!」

 

そして手にした二刀流の刀で、次々にゾンビ達を切り伏せていく。流石にバラバラにされるとエンヤのスタンドでも操作できないのか、そのまま動かなくなった。

 

「なるほど、やりおるわ。だが…」

_パチンッ_

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!

 

しかしエンヤが指を鳴らした直後、追加のゾンビ達が襲ってきた。しかもそれだけでなく、いきなり空が割れ始めた。

 

「え……なにあれ?」

 

割れた空から現れた敵を見て、由紀が思わずつぶやいた。黒いローブを纏った、尖った鼻の仮面をつけた巨人のようなものが数体、出現したのだ。雨竜はそれを見て、思わずつぶやいた。

 

「バカな…メノスまで連れているのか?」

「メノス?」

「さっき話した悪霊、(ホロウ)っていうんだが、主食が人間の魂なんだ。だけどあれは、虚同士で共食いを繰り返すことで、数百もの虚が入り混じった大虚(メノス・グランデ)へと進化するんだ」

 

問いかけてきた美紀にメノスに関する説明を入れる。しかし、それで説明は終わりではなかった。

 

「メノスは強い個体の方が小さくなる傾向があって、あの巨大なものが最下級のギリアンと呼ばれる段階なんだ」

「え?」

「あれが、一番弱いって…」

 

途方もない話に、美紀も悠里も驚愕を隠せずにいる。そして、当然その光景は一護も見ていた。

 

「へぇ。まさか、メノスまで従えやがるとはな」

「ああ、オーバーヘブン・ショッカーの首領DIO、奴は下手をしたら愛染様すら凌駕しうるかもしれん」

「ソウイウコトモアルカラ、僕達ヤ何人カノ復活シタ十刃モ、大人シク従ッテイルンダ」

 

アーロニーロと斬り合いを続けながら、敵の圧倒的な力を再認識する一護。そんな中、一護はゴーストに呼びかけた。

 

「タケル、俺はあのメノスどもを倒す! だから、ゾンビは任せた!」

「え…わかった。専門家みたいだし、任せるよ!!」

 

一瞬戸惑うも、ゴーストはすぐに察して一護にメノスの撃破を任せる。そしてこちらはゾンビの救援を倒すことにし…

 

【アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー!】

「行くよ、ニュートンさん!」

【開眼・ニュートン!!】

 

次なる眼魂を起動し、新たな形態に変身したのだ。その際現れたパーカーは、手にボクシンググローブの様な物を付けた水色の物だった。

 

【リンゴが落下!

引き寄せまっか~~!】

 

新たなパーカーを纏ったゴーストは、そのまま左手のグローブを構えたかと思うと…

 

「あいつらが引き寄せられてる!?」

 

胡桃が思わず叫んだ。なんとゾンビの大群が、そのままゴーストの方に引き寄せられたのだ。そして、そのまま右手のグローブを構えて殴りつけると…

 

「ふっとべぇえ!」

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!

 

そのままゾンビの大群は纏めて吹き飛び、衝撃で一気にばらばらとなったのだ。そしてこれまでのゴーストの戦いを見た雨竜と悠里は、ある仮説を立てる。

 

「さっきから武蔵にニュートンと言ってたけど、まさか…」

「ああ。恐らく、あれらのパーカーには歴史上の偉人に由来する能力が宿ってるんだろう」

「? どういうこと?」

 

それがよくわかってないらしい由紀に、二人は簡単に説明した。

 

「ムサシは宮本武蔵っていう、昔に実在した侍でね。二刀流の剣士でも有名なんだ」

「対してニュートンは、引力っていう物が落下する力の存在を発見した科学者なの」

「??」

「なるほど、そういうことですか。武人ならその武人の戦闘能力、学者ならその人が発見した科学に由来する力が、それぞれ使えるわけですか」

 

由紀はまだ頭に疑問符を浮かべているが、美紀はどうやら察したらしい。子供っぽい性格だが、どうやら地頭もそんなに良くはないらしい。

しかしそうこうしている内に、ゾンビはニュートン眼魂の引力操作で繰り出した攻撃力によって、ほどなく全滅した。

 

そして一護はアーロニーロとの戦いの最中、見計らって一気に天高く跳躍した。

 

「おらぁああ!!」

 

そして一護が一閃すると、その切っ先から放たれた衝撃波がメノスの一体の顔面に命中。そのまま頭から消し飛んで、そのメノスは倒された。

 

「す、すごい…」

「これ、下手な仮面ライダーの攻撃より強いんじゃ…」

 

余りの攻撃力に、由紀たち学園生活部とゴーストも、驚きを隠せないでいた。しかしそんな中、エンヤがいきなり大笑いし始める。

 

「ケーッケッケッケッケッケッケ! その技が噂に名高い月牙天衝、大した威力よ。しかしあの程度の威力では、まだまだいるメノスどもを倒し切ることなど叶わんわい! 貴様が母から継いだ滅却師の力とやらが無い今、それしか技の無い貴様に勝ち目など無い、正義(ジャスティス)は勝つ!!」

 

一護は、なんとたった一つしか必殺技を持たないというのだ。つまり、使える手は今ので出し尽くしたこととなり、後は純粋な斬り合いか隙を突いて同じ技を使うしかないということだ。

初見の敵ばかりのこの状況で、それは厳しいだろう。しかし、一護は冷静そうだ。

 

「婆さん、確かに俺の技は月牙天衝だけだし、滅却師の力があっても二刀流になった斬月で使う月牙十字衝くらいしか技はねぇ。引き出しの少なさは自覚している」

「ほほう、認めよったか」

 

 

 

 

 

 

 

「けどな、今のは月牙天衝じゃねえ」

「え? それってどういう…」

「まさか、他に新技を作ったとか?」

 

 

一護から衝撃の言葉が飛び出し、一同は困惑する。しかし、次の言葉は更にとんでもないものだった。

 

「そもそも、今のは剣圧だ。技ですらねぇ」

 

剣圧。剣を振った際に生じた風圧で、あの威力をたたき出した。それが、いかに一護が強大な力を有しているかの証明でもあった。

そして一護は斬月を突き出すと同時に、彼の霊圧が迸って天を衝く光の柱となった。

 

「な、なんだコレ…」

「綺麗」

 

その青白く輝く光の柱に見惚れる、ゴーストと学園生活部の面々。しかしそんな中、エンヤのみはその表情を驚愕と絶望に染め…

 

「なんじゃ…

 

 

 

なんなんじゃその力はぁああああああああああああああああああ!?」

 

驚愕するエンヤを尻目に、一護は斬月を振るいながら叫ぶ

 

月 牙 天 衝 ! ! 

 

 

そして一護が一閃し、巨大な光の斬撃が残りのメノス達へと放たれた。

そしてその一撃はメノス達を飲み込み…

 

 

 

 

 

 

 

上空の雲すらひとつ残らず吹き飛ばしてしまったのだ。




『死神図鑑ゴールデン!』

「うしし。一人前の化け猫になるための、人間を"ぎゃふん"と言わせる準備は整ったにゃ」

エトワリアのとある社に、一人の巨乳美女がいた。
彼女の名はタマミ。実は人間ではなく化け猫で、化け猫の里の一人前になる試練の準備をしていた。その試練とは。彼女が言った人間をぎゃふんと言わせることなのだが……

「なんか知らねぇが、いきなり奇妙なところに来ちまったな」
「技術開発局の実験破面を盗んだ犯人を見つけてぶちのめせって、依頼があったはいいんですが…」
「この現世とはどこか違う世界に、犯人たちがいるんですかね…」

タマミのすぐ目の前に三人の男が通りかかっていた。
眼帯に11本の棘の様にまとめた髪、その先端に結びつけた鈴という派手な見た目で強面な男。目元に赤い化粧を入れた、スキンヘッドに三白眼の男。おかっぱ頭に派手なエクステの美男子。三人とも派手目立つ印象だ。

(あの強そうなのをぎゃふんと言わせれば、私も一人前隔日にゃ!)

タマミは男達を標的に定め、早速社におびき寄せようと声をかける。

「お兄さん達、ちょっとお願いがあるんです」
「あ、何だてめぇ?」
「実は、この奥のお社に落とし物をしちゃったんですけど、お化けが出るって噂があって怖いんです。良ければ、ついて行ってくれませんか?」

涙目になって、それっぽい理由を付けて男達をおびき寄せようとするタマミ。リーダーらしきとんがり頭の大男は心底面倒くさそうだったが…

「隊長、ひょっとしたらそのお化けって虚かもしれませんぜ。だとしたら、放っておいたら上が煩いんじゃねぇですかね?」
「そうでなくても、戦えない弱い人間を守らないというのは美しくない行為ですからね」
「……しゃあねえ。とりあえず、行くか」
「ありがとうございます!!(うしし、上手くいったにゃ)」

スキンヘッドと美男子に催促され、大男はタマミについて行くこととなる。タマミはしてやったと心の中で思い、そのまま社の奥へと三人を誘導していく。

「着いたぞ。で、落とし物ってのは何だ? 俺はお前に関わってる暇はねぇんだ、さっさと終わらせて…」
「ふふふ……」

面倒くさそうな大男の言葉に目もくれず、タマミは不敵な笑いを浮かべながら振り返ると、いきなり白い煙に包まれる。

「ハーッハッハッハッハ! まんまと引っかかったな、馬鹿め!!」

煙が晴れた先のタマミは、猫耳と尻尾を生やし、周囲に人魂を浮かべている。化け猫としての真の姿を披露したのだ。

「間抜けな人間ども、ここは私達化け猫一族が力を発揮するための社、そこに来たのが運の尽きだにゃ!! さあ、早速お前らをぎゃふんと言わせてやるぞ!!」

その叫びとともに、タマミから威圧感が跳ね上がる。しかし……





「へぇ、つまりお前がお化けの正体ってわけか。虚じゃねぇみたいだが、ちょっとは骨がありそうだな」

口角を上げて好戦的な笑みを浮かべながら言ったのだ。そして刀を抜いて、そのまま構える。

「どれ、俺にとっても未知の敵だ。少しは楽しませてもらうぜ」
「へ? 何を…」
「呑め、野晒(のざらし)

呟いた直後、大男の持つ刀に大きな変化が現れた。刃こぼれの目立つボロボロの刀が、一瞬にして男の身の丈を上回る大きさの、巨大な斧へと変貌したのだ。

「せっかくだし自己紹介だ…





護廷十三隊十一番隊隊長・更木剣八。てめぇを殺す男だ、よろしくな!!
「こ、殺すって…私はただ、ぎゃふんと…」

しかしその男、剣八はタマミの言い分を聞かずに斧を振り下ろした。

「ちょ、ちょっと待つにゃ…ぎゃああああああああ!?」

弁明しようとするタマミだったが、剣八の振り下ろした斧が迫ってきたので、咄嗟に逃げる。すると、そのまま後ろの社が粉砕され、地面も巨大な切れ目が入る事態となった。

「へぇ、初見でよく避けたじゃねえか…ちょっとは骨がありそうだな!!」
「いやああああああああああああああああああああ!!」
「待ちやがれ、女!!」

そのまま全力疾走して逃げだすタマミ。そしてそれを追いう剣八。

「ありゃりゃ、あの姉ちゃん隊長にちょっかい出して哀れだな」
「同感。でも、どんな理由があれだまし討ちみたいなことして、美しくないね」

その光景を見たスキンヘッドの男、十一番隊副隊長の班目一角(まだらめいっかく)から同情の眼を、同隊第三席の綾瀬弓親(あやせゆみちか)から侮蔑の眼をそれぞれ向けられるタマミだった。

ちなみに、この後剣八は化け猫の里までタマミを追いかけ、そのまま大暴れしたらしい。
これをきっかけに、化け猫たちは人間に見つからないよう、つつましく暮らしたとか、暮らしてないとか。
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