仮面ライダー&ジャンプフォース 平成ジェネレーションズHeaven inきららファンタジア 作:玄武Σ
後、初めてオリジナル怪人作ってみました。あとがきに解説があるので、よければどうぞ。
ディケイド達がエトワリアに現れる前日、とある街に一人の女性がいた。
夜、自室でその女性は壁に立てかけてある絵を見つめている。
(明日の絵のコンクール、不安だなぁ……)
この街はエトワリア全土でも芸術の研究が盛んな文化都市で、彼女も駆け出しの絵描きの一人であった。しかしあまり絵に自信がないらしく、翌日開催される予定のコンクールに応募したものの、優勝できるか不安であったようだ。
やがて彼女はベッドに寝そべるのだが、やはり不安なままのため眠れずにいた。
そんな時、窓から不思議な光の玉が入って来て、彼女の体に入ってしまう。すると彼女の体から砂が落ち始め……
「お前の望みを言え、どんな望みも叶えてやる」
「え、何!?」
その砂が異形の怪物、それも上半身が地面から生え、その頭上に虚空から生えた下半身が浮いているという、不気味な外見のものへと変化したのだ。
「何、魔物かなにか?」
「魔物? 俺はイマジンだ、そこのところ履き違えるな」
その異形の姿に思わず魔物を連想する女性だが、そいつは自らの種族名と思しきものを口にする。そして再び問い尋ねた。
「で、もう一度言うぞ、女。お前の望みを言え、どんな望みも叶えてやる。お前が払う代償はたった一つ……」
それを聞き、女性は先ほどの不安について思い起こし、意を決して告げた。
「絵が上手くなって、コンクールで優勝したいです」
「それが望みか、わかった。お前の望み、聞き受けた」
しかし、それがまさに悪魔の囁きだと、この時の女性は露ほどにも思わなかった。
コンクール会場付近の屋台で買い食いをしている二人の少女がいた。片方はそのピンクの髪と黒のロリータファッションをした狐耳、もう片方は水色の髪と白のロリータファッションをした狸耳である。
この二人は筆頭神官アルシーヴに仕える七賢者のメンバー、シュガーとソルトという双子姉妹だ。この日、二人は七賢者の仕事でコンクールの審査員をしに来たのだが、開催時間まで街を見物していたのだ。
「うん、やっぱりオヤツは甘いものに限るね!」
「ソルトは逆に、塩気がないとダメです」
「甘味の良さがわかんないソルトはかわいそうだねぇ」
「別に。まあシュガーが虫歯になっても、ソルトには関係ありませんが」
屋台で綿菓子などの甘味を大量に買い込んで堪能しているシュガーに対し、ソルトはポテトフライらしきものを食べながら互いに意地悪なことを言う。しかし本人達に険悪な感じはなく、むしろ仲は良さげだ。普段からこの手の軽口は言い合ってあるのだろう。
「絵のコンクールってことは、ゆのお姉ちゃんも来るのかな?」
「あぁ、確かシュガーがクリアを奪うことを担当されたクリエメイトでしたね。確か絵の学校に通っているとか」
「うん。参加者のリストにはなかったけど、見学とかには来るかもしれないから、また会えるかも」
シュガーはきらら達が旅の最中で最初に戦った七賢者であったが、根が悪人ではない為か肝心のクリエメイトと仲良くなってしまったりする。そのこともあって、再会できるかもと嬉しそうにしていた。
「キャアアアアアアアアアアアア!?」
「化け物が暴れているぞ! みんな逃げろぉおおお!」
「あの化け物、コンクールの参加者を狙っているぞ!!」
しかしそんな中で急に人々の悲鳴が聞こえた為、二人はその歩みを止める。
「ソルト、今のって……」
「化け物がコンクールの参加者を襲う……そう聞こえました」
「やっぱりシュガーの聞き間違いじゃなかった。本当なら止めないと!」
「ええ。しかしその化け物とやら、七賢者のいる街で騒ぎを起こすなんていい度胸ですね」
「うん、コテンパンにしちゃおう!」
そのまま二人はそれぞれの得物である肉球付きグローブとハンマーをどこからともなく取り出し、コンクール会場へと急ぐ。
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そして同じ頃、芸術都市を訪れようとする一行の姿があった。
「宮ちゃん、ひょっとしたらアレかも」
「おお。如何にもな街だね、ゆのっち」
小学生ほどの小柄な少女と逆に背が高くスタイルのいい金髪の少女がいた。彼女たちはシュガーなら話していたクリエメイトゆのと、その友人の宮子という。元の世界ではやまぶき高校という私立高校の美術科に通っており、学校近くのアパート"ひだまり荘"でも隣部屋同士の友人であった。
きららに召喚されてからは、同じひだまり荘に住む学校の先輩後輩としばらく過ごしており、今日はこの街で開かれる絵のコンクールを見物に来たのだった。
そしてその後ろにはその先輩後輩達がついて来ていた。それぞれ先輩二人が沙英とヒロ、後輩二人が乃莉となずなという。余談だが、ひだまり荘は美術科の変わり者が集うという伝統があるのだが、なずなは普通科の生徒ながら両親の転勤をきっかけにひだまり荘に引っ越してきたという事情もあったりする。
「芸術都市の絵画コンクール……なんかこういうイベントがないと、私達が美術科の生徒っていうの忘れそうになるね」
「ええ。異世界なんていると、学校にも行かなくなるし」
「まあ、元の世界でもみんなで美術館に行ったりで、そんなに差はない気もしますねどね」
「でも、楽しみだね乃莉ちゃん」
一同はひだまり荘の仲間達揃っての外出ということもあり、楽しみにしていた。しかし、道中で繰り広げられる奇妙な光景から、その歩みを止めて呆然とすることとなった。
「おぉおおお! お前、面白ぇな!!」
「テメェ、マジでなんなんだ!? 見た目人間のくせして、手足がビロンビロンしやがって、妖怪か!?」
「いや、妖怪はオメェだろが!!」
「そうだそうだ! どっからどう見てもお前、鬼じゃねえか!!」
「誰が鬼だ、テメェ!? そっちこそ天狗みてぇな鼻と歩くタヌキのくせしやがって!!」
「おれはタヌキじゃねぇ、トナカイだ!!」
「テメェみてぇなチンチクリンなトナカイがどこの世界にいやがる!」
「まあ落ち着けって。それよりお前、一緒に海賊やらねぇか?」
「え、海賊? 嫌ですよ、悪者に好き好んでなるなんて。モモタロスもそうだよね?」
「あたりめぇだろ! 何言ってんだお前!?」
「クゥ〜(こんなわけわからん連中に捕まるなんて……クロの助、一生の不覚)」
手足が伸び縮みする麦わら帽子の青年が、その伸ばした手足を赤鬼のような見た目の男に絡めている光景だった。そして赤鬼に対して鼻の長い青年と自らをトナカイだという青鼻の小柄な獣人が口喧嘩しており、それにオドオドした青年が巻き込まれている光景だった。
ちなみに麦わら帽子の青年の腰には、エトワリア原産のクロモンという魔物を閉じ込めた虫取り籠を下げている。
「えっと……どういう状況?」
「沙英、呆けてないで止めた方がいいんじゃ?」
ヒロに言われ、沙英や宮子がこの騒動を仲裁しに向かった。
「取り敢えず、助けてくれてありがとう。僕は野上良太郎、こっちは僕の仲間で……」
「モモタロスだ、よろしくな」
「おれはルフィ、海賊王になる男だ」
「ルフィの船で狙撃手やってる、ウソップだ」
「同じく船医の、トニートニー・チョッパーだ」
出会った集団を取り敢えず大人しくさせて、ゆの達は自己紹介する。しかしルフィの名乗りを聞いて、沙英は思わず聞いてしまう。
「海賊ってアレだよね? 船襲って、物奪う悪者の…」
「おれ、んなことしねぇぞ。まあやる奴もいるけど、おれは冒険がしたくて海賊になったんだ」
「おれも聞き捨てなんねぇな。勇敢な海の戦士、それがおれの海賊の理想だからな」
しかし見た目からして馬鹿正直そうなルフィと、夢を嬉しそうに語るウソップの姿に、少なくとも本心を喋っていると察する沙英であった。
そして落ち着いたところでゆのがあることを訪ねる。
「それで、さっきルフィさん腕を伸ばしたりモモタロスさんに巻き付けたりしてましたけど、あれは?」
「おれはゴムゴムの実を食べたゴム人間だからな」
「……ごめんなさい、何言ってるのかわかんないです」
しかしルフィから意味不明なワードが飛び出して来て、ゆのは困惑する。そこにウソップとチョッパーが口を挟んで来た。
「へ? 食べた人間は一生泳げなくなる代わりに不思議な力を得られる悪魔の実、噂くらいは聞いたことあるだろ?」
「ちなみにおれはヒトヒトの実で人間の力を手に入れた、人間トナカイな。間違ってもトナカイ人間じゃねえぞ」
「何、この世界ってまだそんなのがあるんですか?」
乃莉がルフィ一行の言葉についていけずに漏らすと、そこに助け舟を出したのは意外にも、良太郎であった。
「ひょっとしたら、ルフィさん達はエトワリアとは違う世界から来たんじゃないかな? 僕とモモタロスもそうだし」
「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」
その言葉に良太郎以外の全員が反応する。そして、移動を再開しながらそれぞれの事情を説明することとなった。
「おれ達のいた世界以外にも、世界ってあんのか! スッゲェなぁあ!!」
「まさかルフィさんがまた違う世界の人達だったなんて……」
「しかも昔ながらの少年漫画みたいな激戦がある世界みたい…」
「まさかルフィの捕まえたこいつが、魔物だなんてなぁ。もっとでかいドラゴンとかじゃくてよかったぜ」
「良太郎さんは名前で日本人だと思ったんですけど、自分からエトワリアに来るってすごいですね」
ルフィのいた世界、過酷な自然環境や巨大生物の蔓延る
「で、良さんは自分でエトワリアに来たそうですが、何の目的でどうやって来たのでしょう?」
「うん。ひょっとしたらだけど、宮子ちゃんって名前からして日本人だよね。まさか、クリエメイトって呼ばれたり……」
そして目的地の街が目前に達したところで宮子に尋ねられた良太郎は、自身の目的について語ろうとする。しかし、モモタロスが何かに気づいて良太郎に呼びかけたことで、それは中断された。
「良太郎、街からイマジンの臭いがしやがる!」
「え!? モモタロス、本当?」
「「「「「「「「イマジン?」」」」」」」」
「なんだ? 暇人?」
モモタロスの口から出た、聞き覚えのない一同は思わず聞き返す。ルフィ一人だけ、聞き間違えていたが。
「うん。モモタロスと同じ種族なんだけど、僕達の元居た世界での敵なんだ」
「敵? 良太郎さん、詳しく聞かせてもらってもいいですか?」
「え? でも、危険だよ。ゆのちゃん達を巻き込むわけには……」
「私達、魔法とか剣が使えるから足手纏いにはなりません。それに悪者に、こんな素敵な世界を滅茶苦茶にされたくないんです」
ゆのと、ひだまり荘の面々の力強い目をみて、良太郎は少し思案する。そして、答えを出した。
「……わかった。でも、危険だって判断したらすぐに逃げてもらうからね」
「ありがとうございます」
「それじゃあ、ルフィさんも良ければ……あれ、ルフィさんは?」
しかしルフィに話題を振ろうとした瞬間、彼がいないことに気づいた。
「いや、それがよお。さっき話している間に街に火が上がってるのが見えて……」
「ルフィの奴、一人で突っ走っていきやがったんだよ。あいつ、馬鹿なうえに方向音痴だし、大丈夫か?」
モモタロスとウソップからまさかの問題発生を聞かされ、思わず崩れ落ちそうになるが、良太郎はどうにか持ち堪える。
「とりあえず、おれとウソップでルフィは探しておくから、良太郎達はそのイマジンってのを探しておいてくれ」
「チョッパー君、ありがとう」
「私もついていきます。二人とも、エトワリアにはまだ慣れてないと思うので」
ルフィの捜索に対し、ウソップ達との同行を申し出る乃莉。彼女もこの街を訪れるのは初めてだが、エトワリアという世界に対して勝手のわからないウソップとチョッパー、そして見つけた後のルフィを御する人間が必要という判断だ。
「乃莉ちゃん、気を付けてね」
「なずなも、ゆのさんや良太郎さん達と上手くやってね」
「よし、話は纏まったみたいだな。チョッパー、頼む!」
「ああ!
直後、ウソップの呼びかけに対してチョッパーが掛け声を上げると、チョッパーの姿が劇的に変化した。
四足歩行にふわふわの毛、枝分かれした立派な角、まさにトナカイのそれである。
「二人とも、おれに乗ってくれ!」
「わかった! じゃあ、行くぞ!」
「はい!」
そしてそのままウソップと乃莉を乗せ、チョッパーは走り出した。高い跳躍力で建物の上まで飛び、ルフィの足取りを追う。
「チョッパー君、本当にトナカイだったんだね……」
「ああ。見ちまった以上、信じるしかねえな……」
「ゆのちゃん、モモタロス、気持ちはわかるけど今はイマジンを……」
「おっと、そうだった! お前ら、イマジンの臭いはこっちからするぞ! 」
そしてモモタロスに先導される形で、一同はイマジンがいるという場所へと向かう。そしてその道すがら、良太郎はイマジンの説明をした。
「イマジンっていうのは、言ってみれば未来からの侵略者なんだ」
「し、侵略者ですか?」
あまり穏やかじゃない単語に、ゆのが思わず聞き返してしまう。そして良太郎は、その細かい説明を行う。
「僕の世界の2007年に、過去の破壊によって歴史を変えるため、精神だけでやってきた未来人がイマジンの正体なんだ。それでイマジンは、人に憑りついてその人のイメージから肉体を作り出す。そして、憑りついた人間の願いを聞くことで実体化するんだ」
「おお! つまり、億万長者に満漢全席も実現可能ですな!!」
願いを叶えるというイマジンの話を聞いて、思わず宮子は興奮してしまう。しかし良太郎は続きを話して、それを諫めようとする。
「でも、イマジンは勝手な解釈と腕ずくで願いを叶えようとするから、過去の破壊を除いても止めないといけないんだ。例えば、お金が欲しいといえば普通に強盗してお金を持ってくるし、酒癖を直したいって頼んだらその人の酒癖を知っている人を口封じしたり、ってね」
「え? そんな無茶苦茶な……」
イマジンの願いの叶え方があまりに傍若無人なため、ゆのは驚愕、宮子も黙り込んでしまう。そして最後の説明を行った。
「そして願いを叶えたイマジンは、その人にとって一番思い入れのある記憶の時間へと飛ぶ。そして、その先で過去を破壊するんだ」
「そうか……願いっていうのも、その思い入れのある時間に由来しているのかも。それも憑りつく基準になっているのかも知れないね」
すると、説明を聞き終えた沙英が一つの推察を上げる。元の世界で、美術科の学生と小説家を兼業しているだけあって、頭の回転は早いようだ。
「お前ら、そろそろイマジンの臭いが強くなってきたぞ!」
そしてモモタロスがイマジンの居場所に近づいたことを知らせ、視線を向ける。
そこには、崩れたモニュメントに火の上がる建築物、といった惨状でかつての芸術都市としての面影が残っていなかった。
「はぁ……はぁ……」
「つ、強い……」
「どうした? 七賢者なんて大層な肩書の割に、大したことねえな。やっぱ、しょせんはガキってことか」
そしてその先には、肩で息をするシュガーとソルトの姿と、その二人と対峙するイマジンと思しき異形の姿があった。
目測でも2メートル半はある巨体の牛に似た怪物だ。クロモンと同じエトワリア原産の魔物であるミノタウロスに類した容姿の、いわば”タウロスイマジン”である。両手には大斧とモーニングスターを持っており、見た目通りの力自慢なイマジンのようである。
「あ、あれがイマジン……」
「なんか、めちゃくちゃ強そうなんだけど……」
「こ、怖いです…」
「って、あそこにいるのシュガーちゃんじゃ!?」
タウロスイマジンのまさに怪物という姿に恐れおののくひだまり荘の面だが、その一方でゆのがシュガーの姿を見て驚く。シュガーとは初めて召喚された時に面識があったため、ゆのはすぐに気づくこととなった。
「さて。話を聞いた限り、お前らが絵画コンクールの司会者ってことでいいんだな?」
「そ、そうだけど……それがどうしたの?」
「今からある女を連れてくるが、そいつをコンクールの優勝者にしろ。そうでなければ、お前らの命も街の安全も保障はしない」
「そんな無茶苦茶な……聞くわけがないでしょう」
イマジンからの脅迫を聞き、当然ながら断るソルト。しかし、イマジンに敵いそうに無いのは火を見るよりも明らかだ。
「へ。イマジン相手なら俺が相手になってやるぜ!」
「モモさん、私も手伝うよ!」
そしてモモタロスと宮子は剣を片手に、タウロスイマジンに向かっていくのだが……
「エメラルドスプラッシュ!」
「うぉお!?」
「な、なにこれ!?」
直後、技名らしき掛け声が聞こえると、何処からかエメラルドの弾丸が二人をめがけて飛んできた。とっさに飛び退いて回避したため、二人とも特に傷を負うことはなかった。
「宮ちゃん、大丈夫!?」
「ゆの、危ないって! まだ攻撃があるかも……」
ゆのが宮子に近寄ろうとするも、沙英が危険に感じてゆのを遠ざけさせようとするが……
「
直後、何処からか聞こえた声と同時に沙英の足元に何かが飛んできた。
「残念だが、あのイマジンは我々がスカウトするので、倒させるわけにはいかない」
そこに現れたのは、二人の男だった。紫のオーラを纏う緑の長い学ランを着た赤髪の青年と、杖を携えた褐色肌の男だ。後者はよく見ると白目で、盲目であることが察せられた。
「あ、あなた達は一体?」
「我が名は花京院典明。偉大なるオーバーヘブンショッカーに属する、スタンド使いでイマジンの契約者だ」
「同じくンドゥール。偉大なる悪の救世主たるオーバーヘブンショッカー首領の天下のため、貴公等クリエメイトと野上良太郎には死んでもらおう」
一同は知る由もなかったが、こちらも死んだはずの承太郎の仲間とDIOに仕えていたスタンド使いである。やはり復活し、供にオーバーヘブンショッカーの配下となっていた。
「やっぱり、ゆのちゃん達がクリエメイトだったんだ。それに、オーバーヘブンショッカー……」
「クソ、もう動き出していやがったか!」
「待って。今の人達も、イマジンと契約って……」
良太郎とモモタロスが敵の魔の手が迫っていたことに気づくが、その一方でヒロがもう一つの気になるワードに引っかかる。
「そういうことだ。来い、イマジン達よ」
そう言い、花京院とンドゥールが右手を差し出すと、そこから砂があふれ出し、それがイマジンとしての姿を形作った。花京院の体から出てきたのは、カボチャの頭に両腕に持った車輪型の武器が特徴のパンプキンイマジン。
そしてンドゥールは古代エジプトのファラオのような頭飾りに、モモタロス同様に鬼のような顔をした容姿だ。彼のスタンドからとって、ゲブイマジンとでも呼ぼう。
突如として敵が増え、しかも不穏な言葉を口にしたことを思い出したゆのは、思わず言及してしまう。
「あ、あの! 今、私達と良太郎さんに死んでもらうって……」
「ああ。君達クリエメイトと、それに戦う力を付与して異世界から呼び出す召喚士。どれほどの脅威かは知らないが、我らオーバーヘブンショッカーに仇為す可能性は、僅かでも摘まなけれないけないのだよ」
「そういうことで、貴公らにはここで果ててもらわなければいけないのだ」
ゆのの問いかけに、冷酷な答えを出す花京院。それに対してンドゥールが同意すると、再び何かが飛んできて、ゆのの頬を掠める。すると、薄っすらと血が流れた。
「ひぃい!?」
「ゆのっち、大丈夫!?」
「何、あの人? あの人も魔法か何かを……」
今の掠めた攻撃が、本気で命を取るという意思表示だと、ゆのは本能で察知した。それに恐怖して顔をゆがめ、宮子は珍しく本気の心配をする。そして今の攻撃に、沙英が警戒していると、ンドゥール自身から説明が為された。
「魔法などと一緒にされてもらっては困るな。これは私の世界に存在するスタンドという特殊能力で、我がスタンドはエジプト九栄神の一柱・ゲブ神を暗示している」
「そして私も同様に、タロットカードの教皇を暗示するスタンド、ハイエロファントグリーンを有している」
そしてンドゥールの横に水で出来た腕の姿のスタンド、花京院の横には光る緑の体と酸素マスクのような口をした人型スタンドが現れた。先ほどの攻撃も、これが飛んできたようだ。
「あれが、能力? イマジンみたいな怪物を呼ぶ力なの?」
「ううん。ちょっとこっちに来る前に知り合いから聞いたんだけど、超能力そのものが実体化した存在らしいんだ」
「へ。イマジンだろうが電気スタンドだろうが、ぶっ倒しちまえば一緒だろ!」
横にいるヒロに、良太郎は簡単に説明する。しかしモモタロスはそんなのお構いなしに、専用武器のモモタロスォードを振り回しながら突貫していく。
「へへ。特異点の野上良太郎に協力する、裏切り者だ。ぶっ殺してやるぜ!」
「同感だな。いくぞ」
しかしパンプキンイマジンとゲブイマジンは、それぞれの得物の車輪と錫杖を手にモモタロスに向かっていく。ゲブイマジンは見た目に似合わず武闘派のようで、錫杖でモモタロスと鍔迫り合いに持ち込んでしまう。しかもその背後からパンプキンイマジンが車輪を投擲し、的確にダメージを与えようとしていた。
「おっと、危ねえ!」
しかし咄嗟にモモタロスは剣を引き、車輪をはじき返す。その隙を付いて再びゲブイマジンが錫杖を振りかざすも、モモタロスは飛びのいて体勢を立て直す。
「面白そうじゃねえか。どうせ契約もすぐに果たせるし、噂のショッカーに手を貸すのもいいか!」
しかもタウロスイマジンまでがモモタロスに向かって、突撃していく。かなり分が悪い戦いだ。
「へへ。3対1か、上等だ!」
しかしモモタロスはむしろ楽しんでいる様子で、タウロスイマジンともチャンバラを始める。
「じゃあ、私達はあのスタンドとかいうのを!」
「オッケー、宮子!」
「あ、待って! 二人とも……」
その一方で宮子と沙英はそれぞれ剣とフラスコの投擲で、ハイエロファントグリーンに攻撃を仕掛ける。しかし、彼女達も士と同じく、スタンドのルールを知らなかった。
「あ、あれ?」
「攻撃が、すり抜けた?」
「スタンドは魂のヴィジョン、故にスタンド同士でないと攻撃が効かないどころか、触れることすら叶わない。しかし、スタンドは一方的に触れられる。そういうルールがあるのだよ」
花京院は律義にスタンドのルールを解説しながら、そのまま攻撃に移る。ハイエロファントは遠距離操作型でパワーは低いが、体を帯状に解く能力を持ち、それを伸ばして敵を拘束したり突き刺したりして攻撃するのだ。
咄嗟に宮子も沙英も回避するが、上手く避けきれずに尻もちをついてしまう。
「沙英、離れて!」
そして咄嗟にヒロが魔法を放つ。奇しくもキバーラに変身していた夏海と同じく、魔力のような力ならスタンドにも効くという予想が頭を過ったのだ。
「なるほど、いい着眼点だ。だが、無意味だ」
しかし相手の方が上手で、ンドゥールのスタンドが受け止めてしまう。
「残念だな。我がスタンドは水と一体化しているため、スタンド同士の攻撃も効かんのだ」
「ウソでしょ…」
「狙撃」
すかさずンドゥールは攻撃を仕掛けるが、ヒロも咄嗟に避けることができた。明らかに戦闘経験は敵の方が上、しかも命のやり取りを日常的に行っているのだ。真っ向勝負で敵うはずがないのは、目に見えて明らかだ。
しかもその間に、いつの間にか元の姿に戻ったハイエロファントが両手から緑色の液体を溢れさせている。
「皆さん、逃げて!」
それを見た良太郎は危険な物を感じ取り、ゆの達に咄嗟に逃げるように告げる。しかし、遅かった。
「エメラルドスプラッシュ!!」
先程聞こえたものと同じ技名を花京院が叫ぶと、ハイエロファントの手から溢れた液体がエメラルドの塊になり、無数に発射された。
「ゆのお姉ちゃん、危ない!」
「え、きゃあ!?」
「「「「きゃあああああああああああ!?」」」」
「うわあああああああああああ!?」
直後、いつの間にか体勢を立て直したシュガーがゆのを助けるが、残りの面々は良太郎を含める全員が攻撃を食らってしまう。
「良太郎さん! みんな!」
「ゆのお姉ちゃん、ゴメン! シュガー一人じゃ、お姉ちゃんしか助けられなくて…」
「おしゃべりとは、余裕だな!」
「「え……きゃあ!?」」
しかしそのままハイエロファントが再び帯状に解け、シュガー諸共ゆのを拘束してしまう。
「あ、あいつ!」
「よそ見してる場合か!」
モモタロスも気を取られてしまうが、直後にタウロスイマジンがモーニングスターを叩き付けてくる。回避こそできたが、イマジン三体を同時に相手取っているため、救援に向かえずにいた。
「ま、待ってください!」
「おい、誰だお前!?」
しかしその戦闘に割って入る、一人の女性がいた。それは、昨夜にイマジンに憑りつかれたコンクール参加者の女性だった。
「お、契約者の女じゃねえか。悪いが、契約完了はもうしばらく待ってろ」
「私、絵が上手くなりたいって頼んだはずです! なのに、なんで街を破壊するんですか!?」
「あ? お前より絵が上手い奴がこの街から消えたら、お前は必然的に街で一番絵が上手いってことになるだろう? まあ、そこで這い蹲ってる狸娘が審査員らしいから、こいつを脅してお前を優勝させるのもありだがな」
余りにも傍若無人な、イマジンの言動。それに女性は、思わず膝をついてしまう。
「わ、私、そんなつもりじゃ……」
「おい、そこの姉ちゃん! 落ち込むのはいいけど、危ねえから離れ……ぐあぁあ!?」
「お喋りはいいが、戦闘の妨げになってないか?」
モモタロスもショックを受ける契約者の女性に勧告するも、その隙にゲブイマジンからの攻撃を受けて吹っ飛んでしまう。
「さて。ゆのと言ったね? 聖典を拝借してクリエメイトについては調べさせてもらったが、君がどうやら君の世界の物語の中心のようだ。それに七賢者というのも、女神ソラの補佐官であるアルシーヴの部下だそうだね」
一方、拘束されたゆのとシュガーに花京院は語りかけ、冷酷に告げた。
「君たちが真っ先に死ねば、君たちの世界の物語は瓦解し、この世界への本格的な宣戦布告になるね」
「え、嘘?」
「いや、辞めて…!」
「駄目だよ。私のハイエロファントと契約イマジン達は、敵を引きちぎると狂い悶えるのだ。喜びでな!!」
そして花京院が大声で宣言すると同時に、ハイエロファントは帯に力を入れる。ゆのとシュガーの体を、二人纏めて引きちぎるために。
「「きゃあああああああああああああああ!?」」
「ゆの!?」
「「ゆのさん!?」」
「ゆのちゃん!?」
「ゆのっち!?」
「シュガー!?」
皆が傷つき、誰もゆのとシュガーを助けに行けない。まさに万事休す……
しかしその直後、何処からか伸びてきた腕が、花京院の顔面を殴り飛ばした。それにより花京院は吹き飛び、スタンドを解除してしまう。
「え? 今のは……」
「すまねえ、遅くなった!」
すると、先ほど先走ったルフィが走ってくる。彼のゴムゴムの実の能力で腕を伸ばし、花京院を殴り倒したのだ。
「な、なんだ今のは……」
「必殺・緑星デビル!」
「うぉお、なんだ!?」
イマジン達がルフィの攻撃に唖然としていると、今度はウソップが技名を叫ぶ声が聞こえる。するとどこからか飛んできた何かが、巨大なハエトリグサの様な植物と化し、イマジン達を襲う。
「まさか、まだ味方がいたのか!? ん? 今度は地面から…」
「
「うぉお!?」
そしてンドゥールが警戒していると、いきなり地面から何かが飛び出してくる。目が見えない代わりに聴力の優れていたンドゥールだったが、予想だにしない攻撃に回避が遅れてしまう。
「ごめん、みんな! ルフィを見つけるのに、手間取ってた!」
「ゆのさん、大丈夫ですか!?」
飛び出してきたのは、角をクワガタムシのような形に変形させたチョッパーと、彼にしがみついた乃莉だった。どうやらあの角で、地面を掘り進んできたようだ。
「よかった。ルフィさん、見つかったんだ……」
「わりぃな。でも、もう安心しろ。あいつら纏めて、おれがぶっ飛ばすからな」
「おっと。俺も痛めつけられたんだ、鬱憤晴らしにもうひと暴れさせろ」
そして臨戦態勢を整えるルフィと、復活したモモタロスが並ぶ。そして、そこに良太郎も並びだした。
「ルフィさん、僕も戦います。僕とモモタロスが力を合わせれば、イマジンとも戦えます」
「そっか。何となくだけど、良太郎ってへなちょこなのは見た目だけだと思ってたから、大丈夫だろ?」
「良太郎さん、本当に大丈夫なんですか?」
ルフィからの若干失礼な評価とゆのの心配に、柔らかな笑顔で応える良太郎。そしてウソップの撃った植物を倒したイマジンと、復活したスタンド使い達に向き合った。
「君達には悪いけど時間は消させないし、ショッカーの好きにもさせない」
しかし良太郎は、普段のオドオドした様子が無くなり、芯の強さのようなものを醸し出しながら告げた。
「モモタロス、行くよ」
「おし、待ってたぜ!」
良太郎の言葉とともに、モモタロスは歓喜しながら赤いエネルギーに変化し、良太郎の体に入り込んだ。その様子にゆの一行だけでなく、ルフィ達も見入る。
すると良太郎は、いつの間にか手にしたベルトを腰に巻き付け、赤いボタンを押した。
「え? この音って……」
「駅みたいだね、ゆのっち」
そう、ボタンを押すとともにベルトから電車の発着音を思わせる軽快な音楽が流れたのだ。そして、何処からか取り出した一つのパスケースを構え、静かに、しかし力強くあのワードを告げた。
そしてパスをベルトの中央にかざすと、良太郎の体を黒と銀の質素な全身スーツが覆う。そしてその上に赤いアーマーが装着され、最後に電仮面という仮面が顔に装着され、桃を思わせる形状のその赤い仮面が割れた。まるで桃太郎誕生を思わせるように。
「り、良太郎さんが……」
「変身したぞ、スッゲェええええ!!」
ゆのは驚きで動けず、ルフィも相当興奮している。他の面々も硬直し、特にチョッパーと屋根の上で狙撃体制に入っていたウソップの二人は目を輝かせている。
そんな中、変身した良太郎は右手の親指で自身を指差し
モモタロスの声を発しながら、歌舞伎役者が見得を切るような、両腕と両足を開くカッコいいポーズで決め台詞を言ってのけた。
時の運行を守り、イマジンと戦い続けた時の列車デンライナーの乗り手"仮面ライダー電王"がエトワリアに降臨した瞬間である。
オリジナル怪人の解説
タウロスイマジン(CVイメージ:三宅健太)
エトワリアの芸術都市に住む駆け出し絵描きの女性に取り憑き、契約者にした牛型イマジン。お伽話ではなくエトワリアに生息する魔物、ミノタウロスの姿をイメージしている。大斧とモーニングスターを振り回すパワフルな戦い方を好む。
契約内容は、絵が上手くなってコンクールで優勝したい。しかし女性より絵の上手い人間を街から消すという形で望みを叶えようとし、街で破壊活動を行う。途中で止めに来たシュガーとソルトを返り討ちにし、コンクールの審査員だと知ると今度は女性を選ぶように脅迫する。
パンプキンイマジン(CVイメージ:岩田光男)
オーバーヘブンショッカーに洗脳されて蘇った花京院典明を契約者とする、カボチャ型イマジン。シンデレラのカボチャの馬車をイメージしたため、両腕に車輪を備えている。
契約内容はクリエメイトの始末と聖なる遺体の確保だが、元々オーバーヘブンショッカーの傘下怪人のため過去へと飛ぶつもりはない。契約者を得たのも肉体の確保のためだけである。
両腕の車輪を武器とし、投擲しての中距離攻撃も得意。
ゲブイマジン(CVイメージ:柳田淳一)
ンドゥールを契約者とした同じくオーバーヘブンショッカー傘下のイマジンで、過去に飛ぶつもりはない。エジプトのファラオを思わせるデザインだが、実際はンドゥールのスタンドが暗示していたエジプトの大地の神ゲブをイメージしている。
ゲブ神が大地の神のためか、意外と武闘派で錫杖を用いた近接戦闘を得意とする。