憧れの先輩に押し倒されて、男の甲斐性を説かれる話 作:狐狗狸堂
その分、甘っ甘ですが。濃縮されてると思われます。前話は実質、繋ぎだから釣り合わせたいとか思って書きました。
それでは本編をどうぞ
ps
念のために申し上げますが、本日は2話投稿しています。まだお読みでない方は、前話をご覧ください。
【番外】甘いひと時を君と
家に帰ると、何やらニヤニヤと笑っている千冬さんがいた。すっと立ち上がると、ゆっくりこちらへ歩いてくる。
「おかえり、遅かったな」
「ただいま、千冬さん。今日はどうかしたんですか?」
そう言うと、一層笑みを深くしながら、僕に抱きついてくる。腕が首に回り、柔肉が押し付けられる。
妙に積極的な彼女の姿に、否応にもドギマギさせられる。思えば昔は、常日頃からこんな調子だった気もする。
「今日はバレンタインだ。忘れたとは言わせんぞ、馬鹿者」
ボソボソと耳元で告げられる言葉に、僕は頷く他になかった。
◇ ◇ ◇ ◇
すでに真夜中と言っても差し支えない時間に、僕は炬燵に座らされていた。あの後、いつだったか受けた"ご奉仕"のフルコースを振舞われ、色々限界を迎えている現状、次はなにをされるのか、戦々恐々とした面持ちで待ち構えている。無論、なにが来ようと素晴らしいことに変わりはない。
しかし、目の前に現れた彼女は、至って普通の様子であった。強いて言うなら、防御力が高いはずのセーターを着ているのに、豊かな肢体を隠しきれず、かえって扇情的になっているくらいである。
両手にはお揃いのマグカップ。湯気が立ち上っている。それが目の前に置かれる。
「これは?」
「まあ、飲め。それで分かる」
勧められるままに一口飲む。最初はココアかと思ったが違うらしい。微かなアルコール、そしてそれを上回るチョコレートの味と香り。
「千冬さん、これ...」
「ふふん、ホットチョコレートカクテルだ。トッピングはココアパウダー。美味しいか?」
「はい。とても」
「...よかった」
安堵する彼女の笑みに、思わず胸が高鳴る。顔が熱く、しかし視線は逸らせない。
程なく彼女にも気づかれる。しかし彼女はと言うと、焦らすように自分のマグカップを手にとって、ゆっくりと中身を口に含む。そして、そのまま自然と自分に口付けをしてくる。
人肌よりやや熱い液体が、流れ込んでくる。僕は座り込み彼女の腰に手を回し、彼女は膝立ちでキスをする。
チョコレートの甘さと、絶えず送られてくる唾液が混ざり、千冬さんの香りまでもが溶け込んで脳まで侵す。
気づけば僕は、雛鳥のように彼女から与えられる物をせがみ、舌を絡ませ口中を愛撫し、呼吸をすることだけしか頭になかった。そして、それは彼女も似たようなものだったらしい。
マグカップの中が空っぽになろうと続く、獣同士の毛づくろいの如き接吻。止める者さえ居ないのだ。当然、それだけで収まることはない。
床に押し倒され、乱暴に服を脱がし合い、隙をみては互いの身体に跡を残していく。焦ったくて、しかしそれさえ互いをそそらせる行為でしかない。
彼女を見上げる。縦縞のセーターは半脱ぎになり、まろび出た白い双丘が重そうに弾み、揺れている。つんざく嬌声。喉を晒し、身体を反らし、歓喜に震えた彼女が、ゆっくりと身体を倒してくる。
荒い呼気が耳に吐きかけられ、流れる汗が行為の激しさを物語る。ヒーターはとっくに切れていた。そのために室内は冷え切っているが、それがむしろ丁度いい。
「...昔を思い出しますね」
「そうだな。マンネリ解消というやつだ」
「元々、飽きるような身体でもないんですが。それとも?」
「違うわ、馬鹿者。だいたい今の私の姿を見てみろ。...とっくにお前のものになってしまったんだぞ」
「でも千冬さん。その気になれば、感覚の一つや二ついじれるでしょう。ホルモンの分泌とかも」
「...意識したこともないぞ、馬鹿。そんなことを言う奴にはこれだ。カプリッ、はむ...ん」
「んぐっ...ちょ、すごいゾクゾクするんですけど」
「ふふ、知らん知らん。...愛してる」
「...僕もですよ」
最後に、ちらりと右肩に置かれた手を見る。その薬指には、銀色に光る指輪が嵌っていた。
どうでしょうか。甘かったでしょうか。
ええはい。お察しの通り、2人は結婚しています。つまり未来の話です。鬱展開なんてあり得ないんですよね。
以下レシピ
・ホットチョコレートカクテル
カルーア 大さじ1/2
チョコレートリキュール 大さじ1と1/2
牛乳 180ml
ココアパウダー(トッピング) 少々
トッピング以外を混ぜてレンジでチン
適当なサイトで拾ってきたものです。お酒入ってるので、作者はまだ飲めないので、味とか全部想像です。
口移しについては、そういうムードにするのに最適だと聞きかじった記憶がありまして。口紅チョコレートでキスシスしても良かったんですけどね。自重自重。
受験頑張ります。
それではまた。