屍動 ーWorld of the Deadー   作:小野田あさ

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第3話

AM12:35

 

うん…暇だな…

 

「おい、正樹」

「おやおや。隆也殿なんですかな?」

「暇だから、なんかしねぇ?」

「ふふっ。それでは暇な定番しりと…」

 

俺は正樹の言葉を遮る。

 

「しー…」

 

そして、後ろを指さす。

正樹はそれを見てああ…なるほどと頷く。

 

「すぅ…zzz」

 

押本さんが気持ちよさそうに寝ている。

 

4時間目となれば、眠くなる者やお腹空く者もいる。

起こすのも申し訳ないと思い、正樹の提案は却下させてもらった。

 

ふと、尿意を感じる。

 

授業中だが、幸運にも4時間目は自習だった。

正樹を連れ、教室を抜け出す。

自習と言っても、普段の自習なら監督の先生が来るはずだが…

 

「隆也殿は紳士ですな」

「何が紳士だよ」

「好きな女子を起こさず、寝顔をのぞき見…あ、これはただの変態でしたな!」

 

正樹はヘラヘラ笑っている。

正直不快だが、否定できないところもあって、モヤモヤする…

 

「うるせぇ…」

 

俺たちの2年4組はB棟の3階の端に位置する。

トイレは正反対の方向に位置しているので、正直言ってだるい…

 

やっとこさ、トイレに辿りつき用を済ませると、教室へと向かうべく校舎の端から端へと移動を開始する。

 

「はぁ…教室戻っても暇だな…」

「おや?隆也殿はおサボりですかな?」

「ちげーよ。もう昼休みだからいいだろ」

 

そう言うタイミングでチャイムが鳴る。

 

我らが県立橋田高等学校もとい、橋高は3階建ての校舎が2つと4階建ての校舎1つの3つの校舎、他には体育館とプールが1つずつ点在している。

校舎はグラウンド側のA棟とB棟が3階建てで、一番奥のC棟が4階建てとなっている。

 

それに加え、各校舎を連絡する通路が各階についている。

 

登校した生徒は玄関口になるA棟の1階入口から入らなければならない。

 

さて、教室に戻って飯でも食うか。

 

 

 

「たかやん、飯食おうぜ~」

「おう食べよう」

「わたくしも、ご一緒したいですぞ隆也殿」

 

 

初めに声を掛けてきた奴が、大門 丈(だいもん じょう)だ。

 

柔道部期待の次期エースだ。

 

 

「やあ、我が闇の同胞たち。一緒に宴を始めようではないか」

 

めんどくせぇ奴が来た。

こいつは、大野 清幸(おおの きよゆき)

中二病真っ盛り。俺たち高2だぜ…

 

「おう。大野座れや」

「ふっ。デーモンよ。我が名はナイトメアと呼べと、いつも言っているだろう」

 

うわーめんどくせぇ。デーモンってなんだよ…

大門だろ…

 

「ぬぅわあああ」

「ど、どうした?」

「ふっ。俺の右手が騒がしい…明日にでもこの地は闇に染まるだろう…くっくくっ」

 

「何あれ…」

「うわー…きも」

 

女子が悪口言ってるからやめてくれホントに…

 

「ん?」

「隆也、どうした?」

「い、いやなんでも…」

 

「はっはーん、隆也殿~」

「なっ、なんだよ」

「あの人ですな?」

 

 

はい。そうですよ?何か問題でも?

好きな人が、こっち見てるだけですよ?

まったく恥ずかしい。

 

「黙ってくれ…」

「たかやん、アシストはするぜ」

 

ウインクしないでくれよ。気持ち悪い。

 

これが、普段の俺たちだ。

しかし、それが崩れ去るのがすぐそこまで迫っていることを知る由もなかった…

 

 

「まあ、いいや、飯行こうぜ」

「そうだなー。ちょっと先に行っててくれ」

「ういー」

 

昼飯を食べるために移動を開始する。

そして、A棟とを結ぶ連絡通路に差し掛かった時だ。

 

ドカッ

 

横から、誰かが抱き着いてきた。

勢いあまり、吹き飛ばされる。

 

な、何だ!?

 

「隆也殿!?」

 

 

「痛てて…」

 

上体だけを起こすと、体操服姿の女子が涙目ながらに訴えてくる。

 

「た、助けて…」

 

状況が読めない。

一体何から助けてほしいのだ?

 

む!?いかん。

息子が反応してしまう…

 

いや、俺には三石さんと言う…

あれ?でもたしか、この娘は姉貴のクラスの…

 

「大丈夫ですか?」

「あ、いやだいじょ…」

「隆也殿もですが、そこの女子殿も…」

 

え?正樹に言われて、女子を見ると真っ白い体操服に血が付いている。

ん?どうしてこんなに血が、それにこれは返り血ではないか…?

 

一体、どうしたって言うんだ?

 

「き、君血が付いているけど、どうしたんだ?もしかしていじめられて…」

「ち、違うの…私は大丈夫なの!あんなのにはならないんだから!」

「「へ?」」

 

この娘なに言ってんだ?

 

「隆也殿、この女子殿自身も出血しているようですぞ!」

 

よく見ると、右肩の辺りが他よりも血が濃く染みている。

 

「と、とりあえず止血…というよりも、早く保健室に…」

 

 

移動しようと立ち上がった瞬間だった。

 

「その子から離れて!!!」

 

連絡通路から大声で叫ぶやつがいる。

 

丁度連絡通路に背を向けていたため、振り返る。

 

そこには見知った顔があった。

 

「雫ちゃん…それに姉貴も」

「た、たかやん!?」

「隆也…いいから、離れなさい。」

「お二方、私は無…」

「うっさい、キモオタ!」

 

正樹かわいそうに…

 

「違うの…雫、晴香私は大丈夫だもん!だって生きてるもん!」

 

女子生徒は姉貴たちに涙ながらに訴えている。

 

「おい!何やってんだ?」

 

大門が追いつく。

 

「って、その怪我どうしたんだ!お前らがやったのか!?」

「ちげーよ」

 

言葉を遮るように女子生徒が吐血する。

 

ぐはっぅ…

 

尋常じゃない。なんだこの血の量は…

辺り一面が、鮮血で染まる。

 

「ゴホッ…ああ゛っ…たずけでぇ…」

 

女子生徒は苦しそうに言葉を絞り出すように言う。

 

「う゛う゛…」

 

女子生徒が苦しそうに唸っている。

顔色も先ほどとは打って変わって、血の気が無くなってきている。

 

「と、とにかく保健室…」

「えっと、誰だっけ?」

「うっ…我が名はナイトメア…」

「ふざけてんの!」

「…」

 

大野…姉貴の気迫に押されるなよ…

 

 

「とにかく。保健室にいっても無意味よ」

「姉貴、無意味ってどういう事だよ」

「それは…」

 

バタリ

 

女子生徒が倒れる。

 

「お、おい!大丈夫か!」

 

女子生徒を抱きかかえる。

 

女子生徒は先ほどまで唸っていたが、今は無言だ。

まるで死んでいるかのように…

 

しかし、次の瞬間女子生徒は目を見開く。

 

そして、抱きかかえる左腕に噛みつこうとする。

 

ドンっ

 

鈍い音ともに女子生徒が吹っ飛ぶ。

 

な、なんだ?

 

「おい早く!逃げるぞ!」

 

どうやら大門が体当たりをして女子生徒を吹っ飛ばしたみたいだ。

 

「おい、たかやん怪我はないか?」

 

「とにかく分らんがこいつは危険だ」

 

「ヴッヴヴ…」

 

女子生徒は声にならない唸り声を上げている。

それに、目も焦点が合っていない…

肌の色も土気色になっている。

 

「こ、これじゃあまるでゾン…」

 

 

「なんだ、なんだ」

「え、これ血?」

 

騒ぎを聞きつけた近くの教室の生徒が教室からゾロゾロと出てくる。

 

「お前ら、教室に戻れ!」

 

思わず叫ぶ。

 

「とにかく、隆也たちはC棟に避難して!」

「避難って…一体どうなってんだよ!」

「今は、一刻を争うの!」

「とにかく、たかちゃんたちは私とC棟に!」

「私は放送しに生徒会室に行くわ」

 

一体何が起きているんだ…?

 

「あ、姉貴俺も…」

「隆也、来ちゃダメ。外もA棟はもう惨劇よ…」

 

きゃあああ

うわあああ

 

A棟の方からは断末魔ともいえるほどの悲鳴が聞こえてくる。

 

今までは、聞こえなかった…

いや、こっちが大変すぎて聴こえなかっただけか…

 

それに、こんな惨劇がA棟では起きているというのか…?

 

 

ただ、これはまだ始まりでしかなかった…

そう。終わりの始まり…

 




さてさて、序盤は日常パートと言ったところでしょうか。
中盤以降は、ついに始まってしまいました…


この後どういった展開が待ち受けているのか、さらにこのような事態になった経緯などを書けていけたらいいなと思っております。

【解説みたいなもの】

県立橋田高校、通称橋高について解説していこうと思います。
生徒数は約1000人とで、1学年350人で、1クラスあたり35人の10クラスです。


校舎はA棟、B棟、C棟の3校舎から構成されていて、それぞれの校舎を結ぶ連絡通路が各階ついています。

A棟には玄関口があり、生徒は登校すると玄関口から入りそこの下駄箱で上履きに履き替え、そこから連絡通路を経由して各自教室に向かいます。

A棟1階には職員室や放送室などがあり、2階は生徒会室など、3階は1、2年生の一部教室となっています。 

B棟1、2階は音楽室など教科ごとの教室が設定されています。

3階には一之たちの2年4組を含めた2年1組~4組の教室という構成となっています。


そして、C棟は4階建てで1階に学食や購買、図書室があります。

2階と3階が普通教室になっており、4階には大ホールです。

隆也たちの現在位置はB棟3階の連絡通路です。

 

            ●現在位置

階段|2-4|2-3|2-2|連絡通路|2-1|空き教室|トイレ|


見る媒体によっては崩れてしまいますが、見取り図としてはこんな感じです。

【次回予告】

次回は誰の視点で書くかは分かりません(笑)


それでは~
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