奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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先輩ライダーが動けない時に後輩ライダーが登場する。これぞ伝統()

今週もありがとうございました。来週もよろしくお願いします!
(予約時間ミスってそのまま投稿してましたごめんなさいなんでも(ry)

誤字修正。244様ありがとうございます!


第百三十二話  いつつのあいのうで

「レーダーアイのセンサーがスゴいんだが」

「10kmだもんね!」

 

 ダンジョン内部の荒野階層で飛ばしてみるとまぁ凄い精度でゴーレムの位置が分かる。大まかな位置を把握した後はミギーに切り替えて超速でマップを作成。連中はほぼ動く事が無いからドローンで全体を撮影するよりも数段早く全体を調査できる。

 

 それに……

 

「おお、一撃で!」

「流石は特攻でドグマ王国最強の怪人を倒したレーダーアイ。凄い威力だな」

「見るからに武器になりそうな外見してるもんね! 何でこれみて武器になるって気付かないんだろうね?」

 

 ゴーレムに特攻させると、一撃で胴体を吹き飛ばす高威力のミサイルに早変わりだ。しかし、なんでこんな如何にもミサイルというかロケットみたいな外見の物をただのレーダーだと思ったのだろうか。恭二や一花と不思議だなぁと話し合いながら、今度はパワーハンドを試すか。

 

 別のゴーレムまでバイクで移動し、そのままパワーハンドに切り替えて殴りかかる。流石は現行仮面ライダー最大のパンチ力。500トンという膨大な力はあっさりとゴーレムを文字通り吹き飛ばした。特に何の技もない。ただ殴っただけでこれだ。これに赤心少林拳の技術が乗ったパンチが本来なら飛んでくるわけだ。ちょっと恐ろし過ぎて使える気がしないぜ!

 まぁ、流石にスペック通りは再現できてない気がする。多分俺の肉体が耐えきれるレベルにまで腕力が落とし込まれてるんだろうが、数tは軽くありそうなゴーレムでも問題なくぶっ飛ばせるんだから相当の力だろうな。

 

「うーん、この強キャラ感。結構使い慣れてない?」

「実を言うと1年位練習してた」

「長っ!?」

 

 いや。だってさ。変身ポーズめちゃめちゃカッコいいじゃん。赤心少林拳がカッコ良すぎるから変身ポーズまで練習してしまって、今じゃ意識せずにポーズが取れたりする。仮面ライダーの撮影中に、余興で変身ポーズをしたら初代様が爆笑してたし結構な出来だと思う。ただ、その時ポロっと「赤心少林拳か……」とか不穏な言葉を言ってたのは、気にしないでおこうと思う。

 

「そうだ。ライダーマンと言えば順調?」

「まだ無理だな。この間ミギーと静岡大学に行って来たけど全然読み足りない」

 

 最初期の周囲全部を読み取ろうとする感覚は流石に消えたが、まだライダーマンは使いこなせてない気がする。ここ1週間位、オフの時はミギーを使ってひたすらネットを漁りながら自分は文献を読んで知識を蓄えてたりするんだが、こんだけやってもまだまだ足りないと感じる。まさか通信制の高校を卒業した後にこんなに勉強する事になるとは思わなかったよ。

 

「……お前本当に一郎か?」

「おう。所で沙織ちゃんも俺と同じく通信制でも高校を卒業したんだがその辺どう思いますかねぇ恭二さん」

 

 恭二が信じられない物を見るような目で見てきたのでジト目を向けて煽るとそっと目をそらした。沙織ちゃんはきっちり卒業してるのにお前ときたら。物を知るって面白いぞ?

 この妙蓮寺にはちょっと偏りはあるが昔から残っている歴史の本や仏教の本が置いてあり、これがかなり面白い。妖怪退治の逸話とかめっちゃ燃えるし読み物としてももうちょっと読みやすければ人気が出そうだな。

 後はやっぱり偉大な通信販売だ。結構移動手段が限られる場所の筈なんだが1週間くらいで注文した本が届く。工学系の本から学生が読むような数学の参考書まで、がっつり大人買いした本を夜が更けるまで読む。晴耕雨読って奴かな。こんなのんびりとした日々を過ごすのも悪くないね。

 

「所で一花さん、さっきから幻想殺し(指)を使って何をやっているんでせうか」

「いや。ラーの鏡がないからこれで代用できないかなって」

「それはスゴイ・シツレイじゃないかな君」

 

 いや、キョトンとされてもさ。俺もほら、頑張ってるんだよ。今更ながらに学習意欲も出てきたし、それに自分の魔法を使いこなせないっていやだし。将来的にはジャバウォックやハルクや祟り神も使いたいとは思ってるんだ。その為にも自分のスペックを上げないといけないなって思ってるんだよマイシスター。

 

「……いや、良い事なんだけど納得いかない。まさか精神性に、しかもいい方向に影響が出るなんて。お母さんが泣いて喜びそう」

「うーんこの信頼感」

「信頼とは一体なんなんですかねぇ」

 

 だからなんでキョトンとするんだお前らは。息ぴったりすぎるだろうが!

 

 

 

 さて、話は戻ってスーパー1の性能実験だ。実を言うと、前回の冒険の時に思いついてて試してなかった事があるので、こいつを試したかったのが今回の性能実験の主目的だったりする。場所は31層。ここはバイザーがあればもう怖い場所ではない。

 

「さて、早速やってみようか」

「OK。じゃあ、撮影は任せてね!」

「頼む」

 

 これが上手い事行けば新しい攻略手段にもなるかもしれんからな。俺達はこの階層の移動を遮っている水路まで移動すると冷熱ハンドに切り替え、そこから更に冷凍ガスへと切り替える。こいつは元々左手用だからちょっと手間がかかるんだよな。

 さて、いくぞ。

 

「チェ~ンジ、冷熱ハンド! 冷凍ガス、発射!」

 

 左右逆ではあるがこの時の為に練習したポージングを使い、ピシッと緑色に変わったグローブを水場に向ける。俺の右手から放射された白い冷凍ガスが水煙のように水面に吹き付けられると、瞬く間に水路が凍り付いていく。およそ1分ほどで周囲も含めてかっちんかちんだ。

 

「おお、凄い」

「ふはははは。この階層、水路さえなければそれほど複雑じゃないからな。一々ボートを用意するのも大変だしいっそ凍らせちまえばいいやと思ったんだ」

「成程。いや、確かにこれは、うん」

 

 恭二がとんとん、と凍り付いた水面に足をつける。何度か体重をかけても小揺るぎもしないし、かなりしっかりと凍り付いているようだ。流石は惑星一つを冷やすとまで言われた超科学。大幅に劣化してるだろうがそれでもこれか。凄いなスーパー1。これより上って言われるRXはどんな化け物なんだろうか。

 

「こいつを魔法に落とし込むのはお前達の役割だぜ」

「ああ。任せてくれ」

「オッケー」

 

 そして、ここにこの二人を連れてきたのも理由がある。今現在、新規魔法の開発に成功したって言えるのがちょっと特殊な俺を除くとこの二人しか居ないからな。特に恭二の作った魔法を一般人でも使える様に落とし込む事は一花の得意とするところだ。開発自体はあっさりと終わるだろう。

 そして、その魔法の開発が終われば、この階層は対策さえ踏めば全く怖くないモンスターの出る、手ごろな狩場へと変貌する。しかも深層の中身がたっぷり詰まった魔石を落とす。

 魔石需要、かなり解消されるんじゃないだろうか?

 まだだれにも伝えてない予想だがあながち間違っていないような気がする。まぁ、暫くはスーパー1の練習がてらこの階層をうろちょろするのも悪くないだろう。さて、今日は帰って飯でも食べるか。昼は定食1人前で終わってしまったしな。頭にも栄養を送らないといけないし。

 そして部屋に戻り、風呂に入った瞬間、俺はすっかり忘れていた事柄を思い出した。

 

「エレキハンド忘れてた」

 

 サンドゴーレムに使うのも何か可笑しい気がして後で試そうと思っていたんだ。冷熱ハンドで終わった感がすごくてつい試すのを忘れていた……今から試そうにも、こんな場所でアレを使えば間違いなく大被害である。また明日、ダンジョン内で試すしかない。

 最後の最後でしまらないなぁと苦笑し、俺はミギーに変身をして左手で本を開く。さて、ライダーマンを使いこなすためにも知識習得に励むとしよう。




原作作中だと一番使われてるイメージがあるエレキハンドさん。正直強いし発電機代わりになったりと便利すぎる。
あと妙蓮寺って打ち込むと何故か命蓮寺って変換されてちょっと楽しい。

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