奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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統合作業完了!
ご迷惑をお掛けしました。


誤字修正、日向@様、まつーん様、244様、アンヘル☆様、椦紋様、ハクオロ様、kuzuchi様、kifuji様ありがとうございました!


第三十七話~第四十話

第三十七話

 

 

「ねんがんの バイクのめんきょを てにいれたぞ!」

 

「ニアころしてでもうばいとる」

 

「タクシー待たしてるぞ、早くしろ」

 

「「ごめんなさい」」

 

 

ついつい浮かれて一花と戯れていたら真一さんに怒られた。反省。

沖縄での免許合宿も無事に全員が合格判定を貰い免許証を取得。晴れて自由の身になった俺達はそれまでの鬱憤を晴らすように遊び回った。

 

一花は元々遊び回ってたが…真っ黒に日焼けしてTシャツ短パンで走り回る姿は地元の子供となんら変わらない。

・・・よくよく考えたら、俺が至らないばかりに一花には苦労させてしまっているし。たまには羽目を外して楽しんで貰おう。

そんな事を考えていたのが悪いのか、国際通りを歩いていた女性陣が質の悪いナンパにあったらしい。

 

らしい、というのは沙織ちゃんからの連絡を受けて現場に急行したときにはすでに一花の手によって全員が叩きのめされていたからだ。約1名は股間を押さえて泡を吹いている。

思わず股間がヒュンッとなった。

騒ぎを聞きつけて来た警察に事情を説明。余りの惨状に一部過剰防衛になるんじゃないかと思ったが、

 

 

「こいつ、私の胸を揉みやがったんだよ!極刑でしょ極刑!」

 

「何で加減したんだ?潰せよ・・・・・・」

 

「ロリコンは社会正義的に去勢しとくべきだろ」

 

 

と一花が股間を押さえた男を指差して叫んだ。周りの人たちも「俺も見たぞ!」等の証言をしてくれた為警察側の加害者?に対する視線も一気に厳しいものになる。

俺たち?ちょっとお仕置きモードになってるけどちょっとだけだから。

 

 

「もー!お兄ちゃんも恭二兄も落ち着いてよ。私が自分でケリつけたから良いでしょ!」

 

「いや、ワンパンなら誤射かもしれんし」

 

「んな訳ないでしょ!もー!」

 

 

一花に叱られたためそのまま警察署まで直行。警察署ではあんまり脅さないでくれとちょっと注意されてしまった。仰るとおりです。真に申し訳ない。

 

 

 

さて、事故のような事件も終わり俺たちは合宿を終えて奥多摩に帰還したのだが、早速大量の書類に埋もれる羽目になった。バカンスが恋しい・・・・・・てか2、3日しか遊べてないから結局殆ど休んでないじゃないか!

 

まず、ヤマギシにとって大きな事はインゴットの成分分析が終わったことだ。純金のインゴットは純度が高い金で構成されておりそのまま売却しても問題ないそうだ。5kgで2500万円らしい。

 

・・・・・・・・・うん、凄いな。成分分析用に回した数個のインゴットでこないだ恭二たちが忍野ダンジョンで稼いできた金額をあっさり超えてしまった。まだ一杯残ってるんだがこれ市場に流していいのか?

 

ちょっと偉い人に聞いてみたらいきなり大量に出されると値崩れしかねないので調整したいと言われちょっと待ちの状態。というか口外しないでって言われました。もうすぐダンジョンに入る際の制限が盛り込まれた法案が通る為それまでは発表しないで欲しいそうです。

結構な速度で法律って出来るんだなぁと思っていたら俺の考えを読んでいたのかシャーロットさんが説明してくれた。

 

 

「ここまで早く決まるのは政府の危機感もあるんです。与党・野党関係なく」

 

「多分、今のまま内実が公表されたら洒落にならない人死にが出ると思うからね!永遠の若さと財宝!人が命をかけるのに十分すぎる理由だもん」

 

「永遠って程でも無いだろうがなぁ」

 

「それ猟師に復帰したお爺ちゃんを見て言えるの?こないだ熊狩りにわざわざ遠征してたよ?」

 

「あれは妖怪の類だろう」

 

 

社長と一緒にダンジョンに潜ってから、うちの爺さんはいきなり現役復帰を宣言し、今も野山を元気に駆け回っている。70を超えて衰えていた足腰が一気に若返ったと言ってたがそれにしたって元気すぎると思うんだがな。

爺さんが狩って来た新鮮な鳥や獣の肉が食べられるのは嬉しいがね。

 

さて、少し話を戻す。金のインゴットについてはもう話したと思うがそれ以外のインゴットについてだ。

まずもう一つの貴金属らしきエレクトラムだが、これは予想通り金と銀で構成されていた。ただ、貴金属ではあるが他のインゴットよりも魔力との親和性が高くてこれを鋳つぶして売るのは余りに勿体無いとの事でそのまま使うことになっている。

 

他のインゴットも大なり小なり魔力との相性が良く、魔鉄はもちろん石とレンガのインゴットも魔力を通すことが確認されている。これらを使ってマジックアイテムが作れないだろうかと提案が上がってきているらしい。

この提案を聞いたとき、日本企業すげぇって心のそこから思った。

 

その後、具体的に魔法で電気自動車動かせないかな?と言われた時はもっと驚いたがな!

以前からダンジョン内で運搬を目的とした自動車的なものを作れないかと言われていたのだが、魔力を集めてそれを動力にするというのは完全に盲点だった。ダンジョン内なら実質無補給で動けるって事だ。

 

現在持っているドロップ品を一揃いサンプルとして提供する。恭二の収納がほぼ固有技能として認識され始めている現状、収納以外でドロップ品を運ぶ方法は必須といえる。是非とも完成して欲しいものだ。

 

 

 

 

第三十八話

 

 

『素晴らしい。現代兵器の面目躍如といった所ですな』

 

 

横田基地に報告という形で訪れた俺たちが撮影した提供してもらったジープやM72の運用データに、ニールズ大佐は満足そうに頷いてそう口にした。

特にアイアンゴーレムがM72の直撃で吹き飛ぶシーンがお気に入りらしい。気持ちは分かりますよ大佐。やっぱりデカブツをロケットランチャーで吹き飛ばすシーンは最高に気持ち良いからな!

 

 

『分かってくれるかイチ!』

 

『分かりますよジョンおじさん!』

 

 

思わずガシッと握手を交わす。何だかんだこの人とは波長が合うのか会うたびに話を交わしていたらいつの間にか愛称で呼び合う仲になってた。お孫さんとのプレゼントに何が良いかとかたまに相談されたりするんだが本当に家族思いの良い人なんだこの人。

 

何だかうちの爺ちゃんを思い出すぜって話をしたら興味を引いたらしく是非今度会ってみたいとの事なので、うちの実家で奥多摩狩猟ツアーのガイドも最近やってるんでどうですかと宣伝も兼ねて話しておく。今の状況じゃ家業の猟師も父親の観光業も継げそうにないし・・・多少は役に立たないとな!

 

 

『ああ、そうだ。君の所で教育を受けているドナッティ少尉だがどうかな。君の評価は』

 

『ドナッティさんですか?冷静で思慮深い人ですね。魔法のセンスも勿論ですが周りに対する目配りが凄い。あの人は良い教官になると思います』

 

 

出会ってからまだそれ程立ってないがドナッティさんが後ろに居ると安心感が凄い。魔法に対する取り組みも熱心で苦手分野のある俺より使える魔法は多いかもしれない。俺がそう答えると、ニールズ大佐はうむ、うむと満足そうに頷いて席を立った。

 

何でも本国からダンジョンに関する最新の情報を共有するよう義務付けられているらしく、今回のように米国側にも関係がある情報はいち早く報告しないといけないらしい。「非常に良い報告が出来そうだ」と別れ際に言っていたから、ドナッティさんの評価が下がるような事は無いだろう。

 

 

「あーあ・・・」

 

「・・・・・・どうした。俺何かしたのか?」

 

「いえ、イチローらしいと言いますか」

 

「ごめん、良く意味が分からん」

 

 

後日、かなりお偉い人から直接激励の言葉があったと青い顔で語るドナッティさんの姿に、この時のやり取りの意味が分かり土下座で謝り倒そうとした所、そんなのは良いからそろそろ名前で呼んで欲しいと言われたのでジュリアさんと呼びかけるとめっちゃ喜ばれた。一人だけ名字呼びで疎外感があったらしい。

 

浩二さんなんか2週間もしない内に他の人全員から名前呼びになってたからなぁ。あの人のコミュ力はちょっと凄いと思う。本人自体はクソ真面目な性格なんだが周りにそれを強いることもないし何より偶に羽目を外した時の愛嬌が凄い。人の良さが滲み出てるというか何というか。

 

ジュリアさんだけべた褒めしてもバランスが悪いと思ったので、その辺りを自衛隊への報告の窓口になってる神田さんに伝えると、神田さんはうんうんと上機嫌に頷いて、「実はあいつを推薦したのは私なんですよ」と答えてくれた。

 

何でも浩二さんが新入隊員の時にたまたま神田さんが教育部隊の隊長を努めていて、以来何かと縁があり今回の話が出た時に「あいつなら大丈夫だろう」と推薦したとの事。

 

実際浩二さんには本当に助けてもらっている。何だかんだ10代が多いチームだから、男性の大人が居るってだけでやっぱり安心感がある。

特に真一さんは大学生からいきなりヤマギシという企業の幹部としての働きを求められたせいで精神的にキツそうだったのが、浩二さんが加入してからは多少の余裕を取り戻したように見える。

 

という感じで浩二さんが如何に得難い存在なのか、出来ればチームに残って欲しい位だと熱心に語ると神田さんも終始にこにこ顔で「いやぁ、実際の現場の声は上げとかないとなぁ」と言っていた。

 

 

「って感じでヨイショしときましたから」

 

「おっまえ・・・畜生、ありがとう!」

 

 

アームロックを俺にかけながら浩二さんが渋い声で礼を言ってくる。いえいえ大したことはしてませんとも。そろそろギブギブ。

こちらにも相当上の方から期待の言葉と次回の昇給は期待するように言われたそうだ。良かったじゃないですか。肉食べに行きましょうよ。

 

 

「イチロー、お前俺より高級取りだろが。出すけど」

 

「食べ放題で良いですから」

 

 

インゴットのお陰でヤマギシの財政はかなり上向きになっており、毎月の給料もちょっと信じられないお金になっていた。

まだダンジョン法は施行されていないが、各企業に研究用にインゴットを売却するだけで今までの赤字が全て塗り替わる程にお金が入ってきているからだ。

これで大っぴらにインゴットの売却が出来るようになれば・・・・・・ちょっと洒落にならん金額になるんじゃないかな。

 

その後、食べ放題の話を何処から嗅ぎつけたのか恭二と沙織ちゃん、一花が加わり、出先から戻ってきた真一さんも参加を表明した為いっそ皆で食べに行こうという話になる。

この辺りから青い顔になっていた浩二さんが可哀想になったのか、社長が経費で全て出してくれる事になった。

 

 

「もう安請け合いは絶対にしない」

 

「はははは・・・・・・申し訳ねっす」

 

 

心底安堵したという顔の浩二さんに頭を下げる。

尚、経費で食べる焼肉は大変美味しかったです。社長ありがとうございました!

 

 

 

 

第三十九話

 

 

ダンジョン基本法が施行された。

 

 

 

ここ最近類を見ない速度で決まったこの法律は基本的にダンジョンに入る為には許認可が必要であること、内部で取得したものは基本的に取得者のものになること、そして内部での危険性については自己責任とする事という3つが定められている。

 

テレビの画面には記者会見を受ける総理の姿がある。

シャーロットさんがノートPCをつけてCCNのサイトを開くと、トップページで米国大統領の演説が放送されている。米国でもダンジョン法という名前で新しい法律が施行されたのだ。

 

俺達の懸念、ダンジョンに入る際必ず起こるだろう死者についてを両政府は当然の危惧だと認識してくれた。その結果がこのスピード施行だと思うが最後の自己責任については、本当に有り難い。俺達が一番求めていた法律だ。

 

テレビの中の総理は淡々とした口調でダンジョン法についての説明を終え、質疑応答に移る。

記者達が口々にどういった狙いで施行されたのか。これほどの早さで施行されたのは何故かといった質問をする中、一人の記者がある質問をした。

 

 

「最近、総理や一部閣僚が非常に、その。若返っていると評判なのですが。それはダンジョンに関係するものなのでしょうか」

 

「関係します。詳しい事は政府HPに記載がありますが、ダンジョン内部に満ちているという暫定名・魔力という要素が人間の体力に非常に大きな影響を与えるというデータが確認されています。その体力には所謂若さという物も含まれております」

 

「そ・・・・・・それは、誰もが享受できるものなのですか?」

 

「個人差は大きいでしょうが現在ダンジョンに入ったことのある人間は総じて影響を受けています。最も極端な例では70代の男性が30、40代の体力を取り戻したという物もあります。この男性は外見は大きく変化が無かったようですが」

 

「それは・・・・・・」

 

「総理に質問があります!」

 

 

余りの衝撃に二の句が継げなくなった記者に変わって、勢いよく手を上げた記者が返答も待たずに質問を始めた。

 

 

「それ程の効果があると分かっていながら何故ダンジョンへの立ち入りを制限するのですか!門戸をもっと広げるべきではないでしょうか!そもそも!ちょっと、止めて!離しなさい!」

 

 

周囲の記者に羽交い締めにされた女性記者がそのままズルズルと会場の外に連れ出されていく。

その光景を見た総理は沈痛な表情を浮かべたまま静かに言葉を発する。

 

 

「我々が今回の施行を急いだ理由は彼女のような人物がダンジョンに挑み、亡くなるといった事態を危惧した為であります。ダンジョンの危険性を認識し、正しい知識と危機管理能力を持ったと認可された人物に、『冒険者』としての資格を付与していく予定です」

 

「その認可を与える条件とは?」

 

「冒険者教育資格を保持した教官の下、最低限の技能と魔法を取得したと認められた場合に発行されます。現在はこの教官を養成している段階であり近日発足予定の日本冒険者協会にて教官の管理と資格の発行を行っていく予定です。繰り返しますが今回取り急ぎダンジョン基本法が施行されたのは早まった挑戦を阻止する為となります。日本国民の皆様、くれぐれも短慮を行わないようお願いします」

 

 

 

総理の発言を見てリモコンを持ったシャーロットさんがテレビを消す。

不思議な感覚だった。遂に来た、という気持ちと、もう来てしまった、という気持ちが一緒になっている頭を駆け巡っているような気がする。

一緒にテレビを見ていた真一さんは目をつぶってじっと何かを考えていたが、考えが纏まったのか立ち上がって周囲を見渡した。

この場には社長や動画班を含めたチームヤマギシの全メンバーが揃っている。

社長が腕を組んで見守っている中、真一さんは一つ息を吸って、吐いてから全員に号令を下した。

 

 

「シャーロットさん、日米に許可を取った後、隠蔽していたショートカットの存在とインゴットの存在をぶちまけてくれ。下手に隠して後で後ろ指を差される方が困る。浩二さんとジュリアさんにはそれぞれ自衛隊と米軍に連絡を入れて秘匿したい情報がないかの再確認をお願いします。もし何か問題があればシャーロットさんと協議してください」

 

「OK、ボス!」

 

「了解です!」

 

「すぐに確認します」

 

 

シャーロットさんと浩二さん、ジュリアさんが頷いてそれぞれ携帯電話を手に取る。

 

 

「一花ちゃん、隠蔽の関係上撮り貯めしていた動画をバンバン流してくれ。出来るだけ派手なアクションの奴を優先で、ゴーレムをロケットランチャーでぶっ飛ばしている奴は必ず入れてくれ」

 

「イエーイ!一花ちゃんの動画フォルダが火を噴くぜー!」

 

『ボス!派手な花火を打ち上げましょうぜ!』

 

 

一花と動画陣営がノリノリで親指を立てて返す。すっかり一花がボス扱いなんだがそれでいいのか動画班。

 

 

「恭二、イチローと沙織ちゃんは俺と外回りだ。委員会が来週には冒険者協会と名前を変えるからそこの設立メンバーに挨拶回りだ。イチロー、お前の名前を使わない選択肢は無いからな?」

 

「了解、風除けが居ると気が楽だぜぇ」

 

「お前、お前それ言ったらあかんやつだろうが・・・・・・」

 

「わ、ちょっと一郎君も恭ちゃんも暴れないでよ!」

 

 

アームロックを仕掛けるもするりと逃げられる。最近近距離でも隙が無くなってやがる・・・・・・。

真一さんの指示に全体が一斉に動き始める。社長は満足そうにその様子を眺めていた。

ちょっと目元が濡れて見えたのは気のせいじゃないんだろうなぁ。自慢の長男だしね。

でも社長、そんな安穏としている場合じゃないと思うんですが。

 

 

「親父、何をボーッとしてるんだ?頭の親父が居なきゃ挨拶回りの意味が無いだろうが。早く行くぞ」

 

「お、俺も?いやいやそっちはお前に任せるから」

 

「政治家の先生やらが親父に挨拶したいってわざわざ連絡入れてきてるんだからほら、わがまま言うんじゃない」

 

 

ぐいぐいと渋る社長を引っ張りながら真一さんが外に出て行く。社長本当に涙目になってたけど大丈夫だろうか。

大丈夫じゃ無さそうだけど、まぁ社長だししょうがないよね。真一さんはあくまで実働班のトップだからね。

慣れない背広に身を包んで俺達は外に出る。

ダンジョンに潜ってるほうが気が楽なんだがなぁ。

 

 

 

 

第四十話

 

 

日米両政府からダンジョンに関する法案が施行され、世界が衝撃を受けたその日。

ダンジョン情報に関して世界の最先端を行くCCNから重大発表と題して発されたニュースが、世界中に再び衝撃を走らせる事になった。

 

金の算出。そして、若返り。

人類が求め続けるその二つがダンジョンにあると、そのニュースは語っていた。

そして、最後に必ず同じ文言が繰り返される。

 

 

「但しダンジョンには命の危険があります。米軍の一部隊が遭難しかけるといった事例もあるため、各国政府は自国民の保護の為ダンジョンに対する抜本的な見直しを図るべきでしょう」

 

 

わざわざ各国とつけて放送されているのは、どうも事前に米国が音頭を取ってダンジョンへの過剰な流入についての懸念を国連などの政府機関を通して行っていたかららしい。

事実日米が同時にダンジョンについての法案を可決させると、相次ぐようにEUや東南アジア周辺国等がダンジョンの立ち入りに関しての取締りを行っており、事前にある程度話を通していたのだろう。

 

逆に恐らく相当数のダンジョンがあると言われている中国やロシアはそういった取締りをしないようで、続々とダンジョンに一般市民が入り込んだり、ダンジョンの所有権を巡っての諍いが頻発しているそうだ。

 

1層に関してなら一般的な人なら大丈夫かもしれないが、2層以降は相手も武装している。欲ばっても良い事は無いと思うんだがな。

 

まぁ、変なことを言われないとも限らないのでヤマギシのHPでは5層までの危険度と事前に用意しておかなければいけないものを記載し、更に『これらの準備に、必ず光源魔法と回復魔法、簡単な攻撃魔法を覚えた人材は2名つける事』と書いて警告を出している。

 

また、一花が作成している動画の一つに無理やり恭二を出してそれらの実演と、これがなければどんな状態になるのかといった物を実演してみた。

 

一番基本となる光源魔法が無い状態で敵と遭遇した場合。これはバリアーをかけて俺が行ったのだが、感知の魔法が無ければバリアーも破られていたかもしれない位危険な物だった。

暗闇でも撮影できる特殊カメラを借りてきて行ったのだが、画面内では敵が見えていない状況のスパイダーマンが四苦八苦しながらゴブリンを退治している。

 

 

「これ、どうやって攻撃を避けてるんだ?」

 

「何となく殴られる場所が分かるから、それで」

 

「何それ怖い」

 

 

この動画を発表してすぐにコメント欄に「彼は本物のスパイダーマンなのでは?どう見たってスパイダーセンスを使ってるようにしか見えない」「アメイジング」「こんなのスーパーヒーローしか出来ない」と褒めているのか怖がっているのかよく分からないコメントがたくさんされていた。

 

再生回数はあっと言う間に数億になったらしい。

その動画を上げた次の日に「光源魔法があった場合」と題して同じ状況でのゴブリン退治を動画で上げる。

 

まあ、視界内に入った瞬間ウェブシューターで縫いとめて終了するだけなのだが。勿論コメント欄も盛況で「目を閉じても勝てるのに縛りが無ければ当然」「アメイジング」「ゴブリンって弱い?」といった声が上がっていたので「弱いけれどナイフを持っている。刺されれば痛い」とコメントしておくと凄い勢いでグッドサインを押された。

 

回復魔法に関してはバリアーをつけた状態でオークと殴り合いをしてみて、ぶっ飛ばされた時に使用してみたりといった事をしてみる。実際に傷を負った状態で使うのが視覚的には一番なんだろうが流石にね。

最終的にストレングスを併用して殴り倒してしまったのだがちょっとやり過ぎたかもしれない。ドーピング魔法とか言われそう。

 

そして最後の攻撃魔法。これに関しては恭二先生の出番である。俺だと右手が勝手に変換しちゃうからね・・・・・・

 

 

「ファイアーボール!」

 

「サンダーボルト!」

 

 

指先からファイアーボールを5つも飛ばす恭二先生の派手な魔法行使に世界中が魅了されること請け合いだろう。沙織ちゃんが使ってるほうが普通の魔法だってコメントしとこう。恭二の真似なんて恭二にしかできねぇよ・・・・・・

 

俺達が動画を使ってダンジョンについての情報を上げ続けている一方、チームとしてのヤマギシは真一さんや社長による地盤固めのような動きが続いている。

特に教育関係についてだ。現状はダンジョンの出入りだけが制限されているため、有資格者とされている人物がヤマギシにしか所属していない。

 

魔石の情報も開示してあるため、会社としてのヤマギシは世界中からの問合せにパンクしてしまったのだ。

家業のコンビニの方にも全くの専門外な電話が入ってきていて普通の業務に差し支えているらしいので一般回線を一時止めてしまったらしい。

 

 

「という訳で冒険者協会の方でそういった問合せは全て受けてくれるそうだ。大規模なセンターが出来るぞ・・・やっと終わった・・・・・・」

 

 

最近発足したばかりの冒険者協会の最初の大きな仕事は問合せの窓口を作る事だったらしい。ここ数日缶詰になっていた真一さんがげっそりとした様子でそう言って倒れるようにソファーで眠り始めた。

 

社長は・・・・・・玄関先で倒れてる。部屋まで連れて行ってあげよう・・・・・・お疲れ様でした。

以前から作っていた自衛隊と米軍兵士用の宿舎が先日完成したため、来週からは教官の育成に入る事になる。

その前に来た一山を無事に乗り越えられて良かったと思うべきか。判断に悩むな。

 




鈴木一郎:ロリコン死すべし慈悲は無い

山岸恭二:ロリコン死すべし慈悲は無い

山岸真一:お前らガチすぎ。去勢で良いだろ

鈴木一花:男共はバカばっかだなぁと嘆きつつ真一のちょっと心配そうな声かけに内心ガッツポーズ

下原沙織:一郎くんも恭ちゃんもお馬鹿だなぁと言いつつ特に止める気はなかった模様。

ジュリア・ドナッティ:チームメンバーと名前で呼び合う仲になったとテンション上昇。帰国した後の事は怖くて考えたくない。

岩田浩二:支払いの時の金額を聞いて命拾いしたと安堵のため息をつく。

ジョナサン・ニールズ大佐:後日誘われた狩猟ツアーに参加しそこで生涯の友を得る。

総理:記者会見の場でやらかす奴がいるとはまさか思ってなかったので困惑気味。説得力を持たせる事が出来たと開き直ろうと努力している。
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