第四十一話 専用マシンはライダーの基本
さて、教官教育も始まるし方針を固めないとな!
と気合を入れていた俺は今、一花に拘束されて車に詰め込まれている。
何でも新装備の開発が出来たらしい。そう言えばこの間スポーツメーカーの人が開発しているって言ってたわ。
「それなら他の連中はどうした?」
「皆受け取りに行ってるよ!」
そう言って車は東京は銀座に向かっていた。この間刀を買いに行ったから見覚えのある辺りだなー、こんな所にある会社だったのか。
と思っていたら明らかにとある映画会社の前に着き困惑。
「一花さん。なんかスポーツ用品とは全然関係無さそうでお兄さん困惑してるんだけどどういうこと?」
「お兄ちゃん、変身はライダーマンね!」
あ、はい。
横断幕にライダーマン大歓迎って書いてるんだけど何だこれ。イベントなんだろうか。めちゃめちゃカメラとか回されててビビるんだけど。
とりあえず変身をしてライダーマンに。そのまま車から降りると凄い勢いでカメラのフラッシュが視界を埋め尽くした。
一花に促されるままにまっすぐ社屋の前に歩いていくと、見覚えのあるバイクをすっごい偉そうな人が押してくる・・・ライダーマンマシンかー
そうかー。成るほど確かに装備の更新だな。うん。
「特製にチューンナップしてあります」
「ありがとうございます。これからも頑張ります」
バイクを押していた男性と握手を交わす。何か泣いてらっしゃるんですが大丈夫だろうか。
最近無駄に高くなったサービス精神を発揮してグッと肩を抱いてカメラに移りやすいポジションを取ると、一斉にフラッシュが光る。
こんな感じで良いのかなーと一花をちらりと見ると、グッと親指を立てているので問題なかった模様。
その後社屋の中で引渡しの書類を貰い、更に数名の人物と写真撮影。後、何故居るんだ一号様・・・・・・思わずこちらから写真撮影をお願いしてしまったぞ。
「ありがとうございます!正面玄関にこの写真を引き伸ばして設置させてもらいます!」
「それは勘弁してくれるとありがたいです・・・・・・」
「ははは。所で今度新作の仮面ライダーを撮るのですが」
それはノーセンキューでお願いします。暫く忙しくなる予定なんで・・・・・・
談笑を交わしてお暇を告げる。バイクは輸送で奥多摩に送ってくれるらしい。免許取り立てで奥多摩まで運転するのは怖かったから正直ありがたい。
後、他のメンバーは本当にスポーツメーカーに行っていたらしくこういったプランが上がっているという事で見本のような資料を貰ってきていた。
やっぱりジッパー等は難しいため軍服のようになるみたいだな。プロテクターの下から着る物だが、金属だと溶けた場合がやっぱり怖いという事だろう。
「お前用のプランもあったぞ」
「聞きたくない」
明らかにライダーマンのプロテクターっぽい物が写真に写りこんだ資料を渡されたが。あれか、日本だとやっぱりそちらの方が人気って事だろうか。
「一息ついたら新しい変身も試さないとね。練習してるんでしょ?」
「・・・・・・一応、言われた作品は目を通してるし何度か試してみたけど。これいるか?」
「挑戦することを忘れちゃいけないよ!それに右手の変形はどんな効果があるかわからないでしょ?」
それはそうだ。最近変形をしたミギーのお陰で妙に高速で精密な動きをするようになったり、どうも新しい変形を覚えるたびに右腕が強化されているような気がする。
これを恭二や一花に相談したところ、恐らく本当に強化しているのではなく力の使い方を今覚えていっているのではないか、という事だ。
強化とどう違うのかと言うと、本来出来る事を、俺が使いこなせていないから使った時に覚えていっているらしい。
それまでは明らかに右腕が変化した形だったため試さなかったが、ライダーマンになった辺りから確かに右腕自体の力が上がった気がするし、スパイダーマンになった辺りから感知能力がより鋭くなっている気がする。
そしてミギーで覚えた精密な動きと変形の早さ、バリエーションでようやくこの事に俺たちは気づいたという訳だ。
実際、ミギーを使う際に目を出したらそこからの視界も共有できたからな・・・・・・うむ、ここまで変わらないとわからないってのは確かに鈍すぎたか。
「そういえば藤島さんから言われてた魔鉄を使った新武器ってどうなんだ?」
「あっちを見てくれ」
あっち、と言われて窓の外を見ると、真一さんと藤島さんがぶんぶんと炎を纏った槍を振り回していた。
・・・・・・アンチマジックは使ってるな。
見なかったことにして恭二に視線を向ける。
「とりあえず大成功って事でいいかな」
「良いんじゃね?」
後日、槍にエンチャントを施した武器を片手に暴れまわるダンジョン動画をとった所、現代に蘇る魔槍といわれてちょっとニュースを賑やかしたのは別の話。
魔剣とか魔槍とかってのはやっぱロマンだよな。皆分かってくれて嬉しいぜ。