奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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誤字修正。244様、アンヘル☆様ありがとうございます!


第二百一話 試し潜り

「ダンジョンに潜る前に30分かかるとは思わなかった」

「確かに。でも、けっこうきっちりメディカルチェックやってたな」

 

 ロンドンダンジョンは周囲を大きな冒険者協会の建物で覆っており、中に入るには建物内にある出入口から入るしかない。その出入り口へはまずメディカルチェックルームに繋がっており、これからダンジョンに潜る冒険者の健康状態を確認してくる。

 

 そしてそのメディカルチェックルームを超えたら今度は装備の受け取りと点検のフロアになっている。ここで自分のプロテクター等の装備と貸し出しされるビデオカメラ用のSDを受け取り、係員の目の前で装着する。このフロアは男女別に分かれており、不要な物品を持ち込まないかも徹底してみる為に、それぞれ同性の担当官が着替えの姿までチェックしている。

 

『犯罪は起こると考えて、ではどうすれば予防できるかの対策を行うべき』

 

 マクドウェル氏はイギリス冒険者協会の方針をそう話していた。実際に持ち込む物品に関しては恭二の例外を除き人間どうやったって限りがあるから、不要な物を持ち込むのは自分の命にもかかわる。世界冒険者協会は全体の方針として人命第一を掲げて居る為、どこの国もこの辺りはかなり強行して対策をとっている。日本の場合はスキャンとかを設置しているが、イギリスはそもそも怪しい動きをしないよう監視する方針というわけだ。

 

「じゃあ、とりあえず30まで行ってみるか」

「そだね。噂の20層台も見てみたいし!」

 

 さらっとこのダンジョンの最高到達階層を宣言する恭二ににこやかな顔で同調する一花。オリバーさん達は日本でサソリまでは経験しているが、安全マージンをしっかりとるという方針の為このロンドンダンジョンでは30層までしか攻略されていない。

 

 これは、20層台のダンジョン風景が若干違った事も起因している。あくまでも風景が違う程度で出てくるモンスターに差異はなかったが、これからもそうだとは限らない。

 

 せめてオリバーさん達と同レベルの人間が6名チームで潜れるなら話は変わるかもしれないが、そういった腕利きの冒険者は基本チームリーダーとして各地にあるダンジョンで後進の育成などを行っている貴重な人員だ。教官免許保持者が増えたとはいえほいほいと動かすことは出来ない。

 

 過剰なまでに戦力が整っている奥多摩だからこそ、挑戦する余裕がある。他国はまだまだ地盤固めの真っ最中であり、当然文字通りの冒険に打って出る余裕はないということだな。

 

 必然的に最先端の情報は日本とアメリカばかりに蓄積され、他国は一歩遅れた情報をそれらの国々から譲り受ける事になる。今回の申し出に英国が飛びついたのも、そんな状況を打破できないかとの思いが強いんだろう。

 

 

 

 荒野は見慣れているが見渡す限りの大草原は初めてだ。ロンドンダンジョンの21層はどうやらゴーレムの出てきた階層と同じく、大フロアタイプらしい。遠くの方に見えた人影らしきものは恐らくモンスターだと思うが、丘が邪魔でよく見えない内に消えてしまった。

 

『恭二』

『あいよ』

 

 真一さんが声をかけると、恭二は分かっているとばかりに収納からドローンを取り出した。この場にはオリバーさん達兄妹も居る為、英語が出来ない恭二と沙織ちゃんは翻訳魔法をつかって会話している。両方の言語が出来ると、この翻訳ってのも不思議な感覚に聞こえる。日本語と英語、どちらで言ってるのかが全く分からないんだ。

 

『お、こいつらこっちに向かってるっぽいね。要警戒』

『オーケー。なら恭』

『アイリーンさん、お兄ちゃんの援護やってみてね。余裕のある内に試しとかないと!』

『えっあ』

『はい! お任せください、マスター!』

 

 ついついいつもの癖で恭二に声をかけたら「お前は何を言っているんだ」的なニュアンスを含んだ一花のフォローが入る。これは完全に俺のミスだな、一花さんめっちゃ睨んできてる。

 

 というのも初回は兎も角、次回以降は恭二や真一さんが参加できなくなる可能性が出てくる為、代わりの人員としてオリバーさんとアイリーンさんが一時的にヤマギシチームに加入する事になっているのを忘れていた。

 

 その為の練習を余裕のある階層で試そうと言われていたんだがなぁ、つい癖になってしまっているんだろう。

 

『平地だし……よし。ライダーマンフォームで行きます。マシンガンで相手をけん制するので動きが鈍った所にフレイムインフェルノを』

『は、はい! 頑張ります』

『恭二、バイク』

『あいよ』

 

 適度で良いんだけどなぁ、とやる気満々といった表情のアイリーンさんの返事に頷いて恭二に声をかける。野郎、こちらに顔も向けずにぽいっという感じでバイクを出してきやがった。倒れたらどうすんだよ、これ特注品だぞ。

 

 バイクに跨ると共に変身を行いライダーマンに。相手はまだ数100m先で余裕がある。アイリーンさんを後ろに跨がらせてスロットルを開ける。以前頂いたライダーマンマシンに魔法付与を行い、常にエアコントロールとウェイトロスによる軽量化を行っているライダーマンマシン改は文字通り飛ぶような速さで走る事が出来る。

 

 あっという間に距離を詰められたモンスター達が混乱する中、周囲を旋回するようにバイクを傾けて右腕をマシンガンアームに変形。足元に弾丸をばらまくと、モンスター達はそれから逃れるように身を翻し、こちらの思惑通りに密集してくれた。

 

『フレイムインフェルノ!』

 

 念のため若干バイクの速度を緩めると、それに合わせるようにアイリーンさんがフレイムインフェルノを放ちモンスター達が炎の中で大きな悲鳴を上げる。30層くらいなら兎も角この辺りのモンスターはこの火力じゃ助からんだろうな。

 

『ナイス。その調子で砲台は任せましたよ』

『は、はい! ありがとうございます!』

 

 良い感じの連携だったと背後に声をかけると、アイリーンさんは感極まったような声を上げて背後から抱き着いてきた。あ、ちょ、ちょっと運転中だから。背中の天国が気になって運転が。あーっ

 

 その後、アイリーンさんを下ろした後も暫く変身を解除する事が出来なかった。理由? ちょっと不自然な体勢になりそうだから、かな……

そろそろ番外編見たいか否か。見たいなら何が見たいかもオナシャス

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