奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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今週もお疲れさまでした。
予約に入れるのをすっかり忘れてた(汗)

誤字修正。見習い様、244様、アンヘル☆様ありがとうございます。


第二百四話 巨大樹

『でかぁぁい! 説明不要!』

『いや説明しろよ』

『知らないから結局できないんだなぁ。エントかトレントじゃない?』

 

 やたらとでかい樹の化け物が居る広間の手前で立ち止まり、とりあえずどう対処するかの作戦を練り直す。当初の予定では通常通りの陣形で一当てするつもりだったんだが、流石に今回はな。ちょっとサイズがデカすぎて陣形もクソも無さそうな気がする。

 

 攻撃手段は恐らくあのやたらと長い枝だろうが、あれの一振りで俺ら6人纏めて薙ぎ払えそうだぞ。というかあれ動くんだよな、顔とかやたらとゆっくり動いてこっちをガン見してるんだが。

 

『動く筈だけど……ちょっとどういう攻撃手段か分からないのは怖いね』

『ふぅむ。一郎、ちょいと小突いてくるとかは出来そうか?』

『えぇ……初手で強行偵察はちょっと……』

『それもそうか。なら、やる事は一つだな』

 

 ちょっとチェリオ買ってこい、位のノリで強硬偵察を命じられかけた俺が慌てて無理無理と首を横に振ると、真一さんはあっさりとその案を捨てて恭二に向き直る。お、恭二を凸させるなら俺は賛成に回るぜ、と意気込んでいたのだが、真一さんが恭二に何事かを話すと恭二は一つ頷いて収納からロケットランチャーを二丁取り出した。

 

『時間差で撃ち込むぞ。迎撃したら攻撃手段と防御手段、迎撃しないならしないで鴨撃ちだ』

『オッケー兄貴! 久しぶりのロケランの時間だな!』

 

 いそいそと二人してロケランを担いで『後方確認、よーし!』等と一々声を上げて安全確認を行う。とっくに周囲からメンバーは離れているが、確認は大事だからね。ちょっとテンション上がりすぎてて叫び気味になってるのもまぁ男の子だからな。巨大生物? にロケランをぶち込むのはロマンだ。

 

 動画チャンスを察した一花が手持ち用の小型ビデオを持ち、他のヤマギシの女性陣はやれやれといった表情を浮かべている。急な展開についていけないオリバーさんやアイリーンさんをしり目に、俺は口をへの字に曲げて恭二に歩み寄り、右手を差し出した。勿論参加するためだ。当然だろう?

 

 

『タイミングをずらせよ! 俺から行くぞ!』

『OK!』

『なら俺が最後だ!』

 

 周囲の安全確認を声を大にして行い、まずは真一さんの持つアメリカ製作版RPGが火を噴いた。ここまで俺達の様子を何もせずにただ見つめるだけだった巨大樹は明確な攻撃にようやくアクションを取り、こちらの予想通りその巨大な枝をしならせてからRPGを叩き落そうとする。

 

 その巨体からは予想できない速さだった。だが、それは巨体の割にはという域を出ない。デカいからか随分とゆったりした動きに見える枝の一振りは飛来するRPGを迎撃するには到底間に合わず、結果RPGは巨大樹のど真ん中に命中。爆音を上げて大きな穴を穿つ。そしてそこに続いて射撃された恭二のRPGがさく裂し、今度は目に当たるだろう穴に入り込むと内部から爆発。のたうち回る巨大樹に止めとばかりに俺の撃ったRPGがぶち込まれ、巨大樹は絶叫を上げて緑色の煙を上げて消え去った

 

『……あれ、弱くね?』

『いや、アウトレンジから上手く攻撃ぶち当てただけだから……近づいてたらあの枝はかなり脅威だと思うぞ』

『それでも道中の敵の方がよっぽど脅威度高かったね!』

『間違いありませんね。ボスは対策が立てやすいですが、道中の連中はどうすればいいか……』

 

 一花の言葉に同意というようにオリバーが頷いた。実際、日本のネズ吉さんを除けばスパイダーマンのスパイダーセンスは危機感知という意味では随一だ。そのスパイダーセンスでも危ないとしか掴み切れなかったのは非常に困る。恭二抜きでこの階層を突破するのが凄く困難になるからだ。

 

 フレイムインフェルノで焼き払いながら進むしか道が無いってのは流石にキツイ。結構な幅歩くことになるし、次の階層も同じだと普通に魔力が切れかねんぞ。

 

『さて、こいつのドロップは……こいつもさっきの連中と同じく丸太か』

『ある意味最強の武器になりそうだけどね。てかデカッ! え、さっきまでのウソッキー達は普通の丸太だったよね?』

 

 道中、樹に擬態していたモンスター達はそれぞれ一抱え程の大きさの木材を落としていたが、ボスは少し格が違った。ボスのドロップ品は、そのまま中をくりぬけば人が入れそうなサイズの、恐らく先程まで振り回していた腕の部分だろう枝だった。地面に勢いよく叩きつけていたしかなり頑丈そうな材木だ。

 

 というかこれ、パーティー全員が抱えてようやく持てるかというサイズなんだが、こんなんドロップされても持ち運びが出来ないぞ? 収納が使える人間はまだ恭二しか居ないんだから。

 

『収納しとく……とりあえず次の階層も見てみるか』

『そうだな……もしかしたらこの階層だけがこういった造りの可能性もある』

 

 ボスが陣取っていた場所の根元、地面の下に続く土で出来た階段を見ながら恭二がそう言葉にすると、真一さんは一つ頷いてから一先ず次の階層の偵察を決断した。恭二と俺の順に階段を下りて行き、次の階層へ進むと、そこは先程と同じように一面に森が広がるフロアだった。

 

 しかも、今回は36層のように草原のエリアはなく、直接森の中へ足を踏み入れる形になる。互いに目を見合わせた俺と恭二は一つ頷いて、背後の真一さんを見る。ここは一度撤退するべきだろう。狭い場所での遭遇戦がいきなり始まっても困るからな

 

 俺達の判断を是として真一さんは撤退を決断。ゲートを使って36層のキャンプ地に赴き、残っていたオリバーさんのチームメイトと合流。彼らを連れて撤退を行った。

 

 厄介な雑魚に、正面から当たれば強力そうなボス。この森林フロアは当初の予想通りかなり難しいフロアになりそうだ。その分、こちらもやる気が出てくるというもんだがな。

 

 差し当たってはあの雑魚をどうにかしなければいけない。そこの攻略をどうするか、一度話し合ってみるか。




重要なお知らせ。

この度退職する事になりました。今までは仕事の空き時間に執筆を進めて行く形だったのですが、流石に新しい職場で同じような形態で執筆が取れるとは思えず(その分働く時間も減りますが)これまでの更新ペースはほぼ維持できないと思われる為、落ち着くまではかなり不定期な形での更新になると思います。
というか次の職場、どうやら離島なんでまずネット環境があるか分かりません。
早ければ8月、遅くても9月には引っ越しをしているので落ち着くまでは更新が滞ると思いますが、ご理解の程よろしくお願いします。

そろそろ番外編見たいか否か。見たいなら何が見たいかもオナシャス

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