『お、画面がこっちに来たな。姐さん、出番ですぜ!』
『オゥ。待たせたなテメェら。ロッカー劇女だァ……ヨロシク』
『『ヨロシクぅ!』』
両脇にエセライダーと現場犬を従えたロッカー劇女の登場。【いつもの】というテロップと共にコメント欄を覆い尽くす「ヨロシク」のコメントに、スマホ画面を眺めていた一花は親指を立ててポージングを続ける3名に向ける。
『お約束って、良いと思うよ!』
『アリガトぅ!』
『へっへっへ、お褒め頂き』
『ワンワン! 建設株式会社をどうぞよろしくワン』
『はい。というわけでここから司会代行を務めさせていただきます、エセライダーと!』
『わたくし、ダンジョンプリンセスがお送りいたしますわ。背後のアレは気にしないでくださいまし』
『男には、引けない時があるからなぁ……俺も、バイク免許があれば』
『くの一さんは女性ですが』
『げほんげほん。えー、はい。現在俺たちは~サービスエリアの駐車場にですね。はい、場所をお借りしている状況です』
意図的にだろう背後の状況を無視して、司会役を引き継いだエセライダーは「臨時司会」とマジックで書かれたホワイトボードを手に持ちエセライダーとダンプがカメラに視線を向けながら話し始める。
エセライダーが現在地を口にすると、現状を見せるためだろうか。メインカメラとして使われていた1カメは周囲の状況を旋回しながら映し出す。
まず最初に映し出されたのは総勢5名によるじゃんけん合戦の映像だった。誰一人笑顔もなく、外行きの表情を消し去って1台のバイクの周りで延々じゃんけんを繰り返すその映像を、1カメのカメラマンは数秒だけ映した後にそっと別の方向を映し始める。
【あ、あっちではイッチが囲まれてるぞ!】何かを誤魔化すように流れたテロップに釣られる形でカメラの映像が切り替わり、映し出された映像は正に人の波というべき代物だった。
『わー、イッチが人に囲まれてるー(棒)』
『もう姿も見えませんね―(棒)』
『オメェら……誤魔化すの下手な』
ロッカー劇女の言葉にエセライダーとダンプはそっとカメラから視線をそらす。恐らく店舗の入り口が中心だろうか。ブラックホールに吸い込まれるかのように集まり続ける人々の流れは衰えること無く、むしろ勢いを増しているかのように見える。
『ワンワン! いやー俺結構最近、声掛けられる事増えてたんですけどね。あれ見たらまだまだだなって思いますわ』
『道中も結構パシャられてたからね! そろそろ出る準備した方が良いかな?』
恐らく周辺からも集まっているのか。高速道路途中のSAとは思えないほどに入って来る車の群れと人の波。称賛や羨望の前に恐怖すら覚えるその現象に心底ドン引きする表情をじゃんけん組以外の配信冒険者たちが浮かべる中。
『シャアアアアアッ!!』
雄叫びをあげ両手を天に掲げるタカバットと、地面を叩き悔しがる他の面々。どうやら決着がついたようだ。
『おっし、じゃあ出られる内に出ちゃおうか!』
『え。で、でも先輩が』
『大丈夫大丈夫。お兄ちゃんなら走って追いつけるから!』
その様子を見た一花の言葉にコメント欄が加速する中、誇らしげにライダーマンマシン2号に跨るタカバットや「ヤマザキ一番」を流しながら変わらずパッソル改に跨る発明王ヤマザキ、その他の新バイク組は続々とSAから走り出していく。
『じゃ、お兄ちゃん先行ってるねー!』
【え、マジで置いていくの???】とテロップが心配する中、SAの出口で窓を開けて一花がそう声を張り上げる。その姿に「え、マジ?」等と混乱する周囲を尻目に車両は高速道路に戻ろうと進んでいき。
公道に戻る前に、トスン、という軽い音と共に車体に白い糸状の物が貼り付けられ、ヒュゥンという風切り音と共に開け放たれた窓からスルリ、と音がしそうな程滑らかに人が車内へと入り込んでくる。
『流石に酷すぎじゃね?』
『ちゃんと声かけたじゃん。お兄ちゃんがサービス精神旺盛すぎなんだよ!』
『仕方ないだろ。ファンだって言うんだから』
滑り込んできた人物は手作り感あふれるマスクを脱ぎ捨て、先程までよりも若干幼く見える容姿でそうボヤくように呟き、自分が入り込んできた窓を閉めた。
仁義なき戦いの勝者はタカバットでした。
次回。ハジメくん質問箱を乞うご期待
こういうの聞きたいとかあれば募集してます(白目)