状況描写が難しく、読みづらかったら申し訳ありません!
誤字修正。244様ありがとうございます!
鈴木一郎です……
めのまえがまっくらになった、と思ったらいつの間にか目の前に御坂美琴っぽい誰かが居て平手打ちくらった挙げ句正座させられたとです。
鈴木一郎です……鈴木一郎です……鈴木一郎であぎゃぎゃぎゃ!
『芸人のコスプレも始めるつもり?』
「すんませんっしたぁ!」
呆れたような少女の言葉と電流に、額を地面に擦り付けて詫びる。恥も誇りも怒れる女の子には役に立たねぇ。DOGEZA。これこそが唯一にして究極の回答なのだ。許してもらえるかは知らん。
『……はぁ。人が、どんな気持ちで……』
そんな俺の内心を知ってか知らずか……ああいや、これ多分通じてるな。なんとなく、相手がどう思っているかがわかるというか。
目の前にいる彼女。御坂美琴も、対面して話をしているが。どういうわけか彼女も自分の一部なんだって実感がある。
ここがどういう場所かは分からないが、彼女は間違いなく俺の変身先の一つで、俺が想像して創造する御坂美琴だ。
そして、今。彼女は俺に対して、強い怒りの感情と、ソレよりも深い悲しみの感情を持っている。
それを俺が察したのを彼女も知ったのだろう。苦虫を噛み潰したような表情を浮かべてこちらを見る彼女にもう一度DOGEZAで誠意を見せるべきだろうか。
そう俺が思い悩んでいると。
『なーかしたーなーかしたー。イチローがミコトをなーかしたー』
『泣いてないわよ!』
俺と向かい合うように立つ美琴とは全く別の方角から、囃し立てるような聞き覚えのある声が響く。いや、響くというよりは、直接こいつ脳内に? という感じなんだが。これどうなってるんだ?
兎に角、響いてきたその言葉?思念?に反論する美琴の姿と、ココに至る経緯を考えるに、この声の持ち主は恐らく。
「豆つぶドちびニーサン」
『誰が豆つぶドちびじゃ! 原作でもそこまで言われてないぞ!』
「自分で言ってるじゃないか」
声の方向を振り返ると、そこには予想通りで、ある意味予想外の姿があった。
長い金髪を三つ編みにし、金色の瞳をもち、そして右腕と左足を
鋼の錬金術師という作品の主人公を務める人物だ。
『主人公って言われるとこっ恥ずかしいな』
『ヒロインよりはマシでしょ。しかも、サブヒロインよりは』
『いや、お前さんスピンオフのほうが本体じゃねーか』
こちらの考えが筒抜けだからか、俺の考えたことをダイレクトに受け取った二人が思い思いの感情をぶつけてくる。もしかしたら口を動かしてすらないかもしれない。俺は普段のように話しているつもりだったが、口を動かす前に相手には何が言いたいのか伝わっていたように感じる。ああ、正しいのか。
人類全部がニュータイプになるとこんな感じになるんだろうか。これはこれで色々ややこしいぞ。
『ま、今は話が早く済むと思って我慢しろや……で、予想外、か。そうだろーな』
俺の内心にニーサンはケラケラと笑い声を上げる。いや、声は上がってないから笑いの感情か。本当にややこしいなココ。
『お前の一部だぜ、ココも。まぁ、お察しの通り本来なら俺が出てくる予定じゃなかったんだが、こっちにも色々都合があるんだよ』
「だろうな。俺、ニーサンはそこまで練習してないし」
『習熟で言うなら。まぁミコトが10点満点中6なら俺は2か3って所か』
そうだ。右腕に特徴があり、かつ戦闘力がある人物。ニーサンの事は割と初期の頃からチェックしており、何度か練習したこともあった。だからここがもし予想通りの場所なら、居てもおかしくない、予想通りと言える人物だ。
だが、ニーサンの変身は実践では扱うことが出来ず、一度見切りをつけてからはほとんど変身もしていなかった。俺の変身ではエドワード・エルリック――鋼の錬金術師の最大の特徴である、錬金術を使用できなかったからだ。
『もっと使えよド三流コスプレイヤー』
「いやいやいや。錬金術がないニーサンなんてちょっと格闘が強くて根性あってめちゃめちゃ頭の良いイケメ……強いな?」
『せやろ?』
『コントやってないでまともに進めなさいよ』
あれ、ニーサンよく考えたら錬金術抜きでも普通に強いんじゃね、と思わず考えていると、間髪入れずにニーサンの自慢げな感情が届き、それに呆れたように美琴の感情が俺たちに向けられる。
ゴホン、と咳払いをするような動作をしてとりあえず話を戻すという感情を二人に向け、今、自分の中でまとまってきた推論を頭の中で言葉に当てはめていく。
「ここは、俺の中。正確に言えば俺の魔力の中枢というか、根本の部分、かな?」
『そ。ここはアンタの中。私達の待機場所って言うべきかしらね。私も良くはわからないけど』
俺の考えに御坂美琴……美琴は一つうなずいて肯定の感情を返した。
『まぁ、私もアンタの一部だからね。ある程度アンタが習熟した”変身”はみんなココに居るわ。ここから、アンタが”変身”する時に呼び出されて、解除されたらココに戻る』
『補足しとくと習熟が足りないうちはみんな無機質な人形みてーなんだが、ある程度慣れてくると俺らみたいになる。結城丈二やミギーみてぇにお前さんと対話できるほどの奴はそういねーがな、実はお前は知らないだけで俺らはココで雑談やらなにやら結構やってるんだぜ。お前は知らないだけで』
「なんでそこ二回繰り返した???」
俺の強い疑問に二人は答えなかった。
『ま、主人格がハブられてるかもしれない点はどうでも良いとして次だ』
「どうでもよくないんじゃない???」
『お前さんも予想外だって感じたろ、この状況で俺が出てくるのが。いや、違うな。本来、真っ先に出てこなきゃいけない連中を押しのけて俺がココで出てくるのは、か』
「…………まぁ」
釈然としないものを感じながらも、ニーサンの言葉に頷きを返す。他にも聞きたいことや確認したいことは山ほどある。あるが、どうしても気になるのだ。
美琴がいるのは、わかる。多分、あの時引っ張ってくれたのは美琴なんだと思う。彼女は、本当に本心から俺のことを案じてくれている。自分自身の一部とは言え、いや、自分自身だからこそその点は一切疑いの余地なく信じられる。
だが、この場所が本当に俺の中で、俺が変身する彼らがどういった理屈でかココに居るのなら。
――なぜ”彼ら”ではなくニーサンがココに居るのか。それが、どうしても分からない。
『だろうな。俺もそう思うよ……まぁ、さっきも言ったがちょっとした事情というかな』
俺が考えをまとめるまでの数秒をニーサンはさもありなんといった顔で頷くとポリポリと機械化した右手の指で頬をかいた。
『ぶっちゃけ俺じゃなくても良かったんだが、たまたま俺以外の説明役が出来そうな奴が空いてなかったというかなんというか。ミコトだけじゃ感情的になりそうだからってのがでかいんだが』
『まだ終わってないの?』
言いづらそうに感情を向けてくるニーサンに、美琴が呆れたような感情を返している。どうにも話が見えないが、なにか問題が起きていることは間違いないらしい。
首をかしげる俺にニーサンが『あー……』と途方にくれるような感情を向けてきて、少しの間の後。
『まぁ、しゃーないか』
一人、納得するように頷いて、ニーサンはパンッと両腕を合わせた。
『言葉にするよりは見たほうが良いだろ。ほかが忙しい理由、映像で出すから覗き込んでくれ』
そう言いながらニーサンがそのまま両腕を地面?に下ろすと、一瞬の発光の後に地面らしき場所に丸い鏡のようなものが浮かび上がる。言われたとおりに覗き込むと、ここと同じような空間が広がる別の場所をカメラのような視点で映しているのが見て取れた。生錬金術スゲェ。生って言っていいかわからんけど見れるとは思わなかった。
『お前も使えるようになりゃいつでも見れるだろ』
「いやー、キツイっす」
『……ドイツのあの錬金女が俺に変身できたら、おそらく使えたぞ』
「……は?」
『その話は後だ。ほれ、もう見えてくる』
聞き捨てならない単語に思わずニーサンを見るも、ニーサンは首を横に振って顎でしゃくるように鏡を指した。
訪ねたいことが更に増えた事に内心頭を抱えながら、指示されたとおりに鏡に視線を向け。
「……なぁにこれぇ」
そして、更に頭を抱えたくなる光景に思わずそう思念が漏れる。
同じように鏡を眺めていた二人からの苦笑の思念を感じながら、画面に映る光景が現実なのだと信じるまでに数秒ほどを費やし、ふぅ、と一つ深呼吸をして、一人ひとり、数えるように鏡の中で見ることの出来る人物に視線を向ける。
ライダーマン、ロックマンといったよく変身する面々に、いつもはミギーだけなので余り意識していないシンイチ、使い所が限定されるARMSのナイトなどの頻度の少ない面々も含めて、誰も彼も見た覚えのある顔ぶれの集団だ。まぁ、知っているからこそ彼らの模倣をしているのだから当然見覚えがあるのは当たり前。そこは、問題じゃない。
問題は、だ。
「なんで皆してスパイダーマン追っかけてんの?」
『ピーターが逃げてるからだよ』
鏡の中で見える人物のほとんど全てが、涙目になって飛び回るスパイダーマンを追いかけているんだが。どういう状況なんだこれ。
『まぁ、詳しい話はよ。お前に色々言いたい奴が言ってくれるから』
鏡の中のスパイダーマンVSオールスターを眺めながら、ニーサンは一度思念を切って数回瞬きをした後。
『取り敢えず今は、ピーターが死なない事を祈っておけ』
「死ぬ可能性があるのか???」
あ、ライダーマンのネットがぶち当たった。ピーター動かなくなったんだけど、大丈夫だよ、な。あれ?