奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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誤字修正。ハクオロ様、244様ありがとうございます!


第六十話 笑顔とは本来()

第六十話 笑顔とは本来()

 

 

『スパイダーネット!』

 

 

クモの糸に絡まれて身動きの取れないゴブリンにご婦人方の一斉射撃が決まる。

うーん、やはりこの位の階層だと銃で十分無双できるな。

まぁ、今日はオークまでは行かない予定だしこのままでも良いかも知れない。

 

 

『イヤッホォォウ!』

 

『ハッハッハッ!炎の槍を食らえ!』

 

 

槍を持ったジョシュアさんとジュニア氏が楽しそうにゴブリンを叩きのめしてるし、槍の宣伝自体は十分行えただろう。

婦人方のチームで唯一槍を持ったジェニファーさんは少し退屈そうだが、まぁダンジョンを歩くだけでも体力増強は見込める。

ここは一つ、のんびりおしゃべりでもしながらピクニックと行こうじゃないか。

 

 

『ジェニファーじゃなくてジェイでいいわ。仲の良い人は皆そう呼んでるから』

 

『お、これはありがとう。あっちに混ざった方が楽しいんじゃないか?』

 

 

指差した先ではジュニア氏が打ち上げたゴブリンにジョシュアさんとケイティが止めを刺す親子タッグが行われている。

息ぴったりですげぇ。むしろ俺がしてみたいわ。今度恭二と練習してみようかね。

 

 

『お父さんも兄さんも子供みたいにはしゃいで・・・恥ずかしい』

 

『うーん、男ってバカばっか。まぁ、気持ちは分かるけどね。闘うときってやっぱり気分が高揚するからさ!』

 

『イチカも経験あるの?』

 

 

後方でご婦人方とおしゃべりをしていたイチカが話に加わってきた。あちらは、今はシャーロットさんが付いて魔石タイムか。

元々美人だったのもあるんだろうが、奥方達の若返りが凄いなぁ。ジュニア氏とかたまにちらちらと奥さんを見てる目がね。うん。

仲が良いのは良い事だと思うよ。

 

 

『ジェイ姉ちゃんもあれやってみたら?お兄ちゃんとのタッグ。良い記念になると思うよ!』

 

『え。ええ!?』

 

『いいよ。じゃあジェイ構えてくれ』

 

『えええ!?』

 

 

驚きの声を上げるジェイを尻目にスパイダーストリングスを使いゴブリンを一匹捕まえて、一気に引っ張る。

普段のウェブシューターより若干重いが、その分力のあるスパイダーストリングスはたやすくゴブリンを巻き取り、ゴブリンをコチラに飛ばすことに成功。

後はタイミングを合わせてくれれば即席のコンビネーションだ。

 

 

『ええい、チェストー!』

 

「それ刀だよジェイ姉ちゃん」

 

 

イチカ、動揺してるのか翻訳解けてるぞ。

俺が引っ張ったゴブリンを空中でジェイが串刺しにすると、その一撃でゴブリンが消滅する。

 

 

『うん、ナイスアタック!即席だけど良いコンビネーションだね!』

 

『合わせてくれてサンキュー!度胸もあるしジェイは良い冒険者になれるよ』

 

 

ハイタッチを求めると、呆然としていたジェイの顔に笑顔が広がり、力いっぱい右手を叩かれた。

それ以降終日ジェイは上機嫌で、何故か意味深な表情でダニエル老が肩を叩いてきた。何なんだ一体。

この日は結局5層まで潜り、出てきた魔石やドロップ品は記念として全てブラス家に使用してもらうことになった。

 

そして最後に魔法のレクチャーをしたのだが、ケイティの家族だからという事もあるのか。皆非常にセンスがある。

特に女性陣のセンスが高く、ジェイはほぼ初見で基礎的な魔法を覚えてしまい、しかも翻訳魔法まで一気に習得してしまっていた。

今度日本に遊びにくると楽しそうに笑う彼女の笑顔が、何故か肉食獣のように見えたのは気のせいだろうか。

 

 

 

 

 

ブラス家の面々に見送られて俺達は再びバージン諸島の家族の元へと戻った。

何でもニューイヤーパーティーが開かれるらしい。

 

 

「親父ーズは大丈夫でした?」

 

「駄目ね。他の協会の幹部にレベル10認定バッジを見せびらかして恥ずかしいったら」

 

「鈴木さん、それはもう謝ったじゃないですか・・・・・・」

 

 

懸念事項だったハメを外した親父達だが、やっぱりやらかしていたらしい。

現在ダンジョンに実際に潜った事のある協会関係者は日本に限定される為、胸元にレベルを刻まれたバッジは日本だけでしか発行されていない。

他の協会の幹部に『それは何なのか?』と尋ねられた社長は鼻高々にどこまで潜ったかの証明だと自慢していたらしい。

その様子を見咎めた母さんが翻訳魔法を使って上手い事話題を逸らして、後で社長と親父にお灸をすえたらしい。

母さん達が居て良かった・・・・・・発足して間もないのに日本と他の冒険者協会で軋轢が出来たら目も当てられん。

 

 

「いや、しかしなぁ。あいつら名族だなんだってこっちを頭から見下してきてるんだぞ」

 

「言わせておけば良いんです。来年もパーティーがあれば、今度は揉み手で擦り寄ってきますから」

 

「そうそう。イギリスの代表やアメリカの代表はその点こっちを立ててるでしょう?目端の利く人ならそうなるんだから、他は無視しておけばいいんですよ」

 

 

父さんがそう言って美味しそうにテキサス土産のビーフジャーキーを齧る。

バカンスは良いのだが趣味の狩猟が出来なくて少し暇になってきたらしく、最近は覚えたばかりの翻訳魔法を使って海外の協会の人に話しかけては狩り仲間を探しているらしい。

欧州の偉い人は結構ハンティングとかをやってる人が多く、若い頃とはいえ専門の猟師だった親父はこのバカンス中に結構な人脈を築いてきてるらしい。

そして、そんな外国の窓口になっている父さんの言葉だからこそ社長も頷けるものがあったのか。この話は一旦ここで終わった。

国内は下原の小父さんが総括し、国外は親父が担当するのも良いかも知れないな。ただ、国外担当だと母さんまで一緒についていきそうなのが難点だがね。

 

 




スパイダーネット:東映版スパイダーマンの技。ネットを相手にぶちまける。相手を拘束するのに便利。
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