奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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奥多摩個人迷宮(原作)コミカライズおめでとうございます!!!!むしろありがとうございます!!!!!
何年待ったか……何年………………

コミックシーモア 奥多摩個人迷宮
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第三百三十五話 来季決算が楽しみですね

 新しく攻略した奥多摩ダンジョンの40層はモンスターの出ない安全なエリアである。

 

 この情報は世界冒険者協会が主導となり、瞬く間に世界中に拡散され、新たなる知的生命体との邂逅という深い衝撃と共に浸透していった。そして発表から数時間もまたずに各地の研究者や冒険者、そしてそれらを飛び越えて各国政府が見解を発表する事態へと進んでいった。

 

 ここ最近停滞していたダンジョン攻略が進んだ事も大きい。新たなる知的生命体? 人類は唯一無二の知的生命体ではなかったと証明されたのは素晴らしい! だが、それらよりもなによりも各国政府が対応しなければいけない問題がこの発表には含まれていた。

 

 部分的ではあるがダンジョンの制御に成功したこと。そして40層だけとはいえ、ほぼ領有化と言えるレベルでの実効支配が行えているという事実が、各国首脳部を刺激したのだ。

 

「世界中の国家から協会への連絡がひっきりなしで、寝る暇もありません」

「貴女、狙いましたね?」

 

 ニコニコとコーヒーを啜るケイティに我がヤマギシが誇る裏方ヒーロー、シャーロット・オガワさんが渋そうな表情を浮かべてそう尋ねると、ケイティはコーヒーカップをテーブルに置いた。

 

「停滞していたダンジョン探索に対して弾みになれば。この思いに嘘偽りはありません。もちろん、協会の影響力を増すチャンスであるとは思っていましたが」

「政治家にとってダンジョンは突然降って湧いた金山のようなもの。しかもそこに、金より付加価値があるものが現れ、そしてそれが簡単に手に入るかもしれない。夢を見るには十分すぎる状況でしょうね。そして夢を見たとしても現状でまともにダンジョン探索が出来るのは世界冒険者協会所属の冒険者だけ。各国の誘致合戦が楽しみね」

「各国はまず、ダンジョンへの探索を行う冒険者の育成をするところから始めなければいけませんから。もちろん、我々世界冒険者協会は条件が合う(・・・・・)方々からの誘致には喜んでお答えする予定ですよ?」

「ダンジョン周辺の開発ノウハウを持ってるヤマギシ・ブラスコの、来季決算が楽しみですね」

「ヤマギシが蓄積したノウハウがあればこそですので……お力添えを頂ければ」

 

 ダンジョンの資源はダンジョンでしか手に入らないため、元々高騰していた。が、その中でも最近発見された魔樹は、右肩上がりで需要が伸び続けている。ダンジョンに潜らずとも魔力を帯びることが出来る、その一点だけでも世界中の金持ちが喉から手が出るほどに欲しいものなのに、軽度の魔力を常に放出するという特性はマジックアイテムの素材としても非常に優秀なのだ。

 

 特に消費魔力の少ないエアコントロールや翻訳魔法であれば魔樹の木片でも十分発動できるのは確認しているから、魔力がない人間でも扱えるマジックアイテムの開発・作成には必要不可欠とも言えるだろう。

 

 そして今回の40層の解放と拠点化は、この圧倒的な需要過多の状況を崩す大きな一歩ともいえる。

 

 今までは恭二の収納魔法がなければ持ち帰ることが難しかった魔樹が、これからは39層で伐採→40層からエレベーターで1層へ運ぶことが出来るようになったのはデカい。また、伐採の邪魔になりそうな39層の影モンスターは40層を支配してからは出現しなくなった。これは姉を名乗る少女曰く、本体が40層に居る以上影は存在できないから、だそうだ。

 

 つまり39層もほぼ安全地帯と言える状況で、そのため現在は邪魔も心配せずに39層と40層の間の門に木材運搬用のレールを通す工事を進めることが出来ている。シャーリーさんの概算としては、この工事が完成すればこれまでの十倍以上の速度で伐採が可能になるそうだ。

 

 そこまで行くと39層が禿山のようにならないか心配なのだが、これについては36層あたりでやっていた頃合いを見て一晩放置して復活させるらしい。このため39層側の施設や線路はすぐに撤去出来る簡易的なものになるそうだ。

 

 そして39層を禿山にする勢いで伐採しても、まったく需要に追い付かないとの試算も出ている。

 

「弟ーーっ!」

 

 環境破壊がなぜ起こるのか。その現実を目の当たりにしていた俺に、姉を名乗るエルフ少女がセーラー服を着て飛び掛かって来る。流石に座ったまま避けることも出来ず横合いからのタックルを受け止めると、姉を名乗るエルフ少女は随分とおびえた様子で背後に迫る変態という名の淑女(ヤマギシ広報部)の群れを指さした。

 

「あいつら、あいつら目が! 獲物を前にして舌ぺろぺろするカエルみたいな目が!」

「貴女の世界のカエルは獲物の前で舌ぺろぺろするんですか」

「帰ろう!? ね、私たちの城に帰ろう!? 工事の音が煩くて寝れないなんてわがまま言わないから!!」

 

 ちょっと見てみたいなそのカエル、等と思っていると、姉を名乗るエルフ少女が俺の首元を掴んでガックンガックンと揺さぶって来る。俺の家はむしろこっちなんだが、まぁ彼女にとってはあの城が家であるのは間違いないだろう。

 

 まぁ彼女と俺は現状離れられない状況なので、彼女を助けると誓った手前出来るだけ希望には添えたい所。俺たちの様子をほほえましそうに眺めるケイティとちょっと瞳孔が開いてるシャーリーさんに許可を取って、俺たちは廊下で待っていたSPさんをぞろぞろと引き連れてヤマギシ広報部(魔境)を後にすることになった。

 

「じゃあうちの実家に行きましょうか。久しぶりに爺さんの作った鹿のジャーキー食べたいし」

「早く! ここから出るぞ弟ああ窓に!ドアガラスの向こうに(窓に!!?)

 

 北海道に行った恭二がそろそろダンジョンアタックにかかる頃だろうし、果報は食って待つとしよう。

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