奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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明日はちょっと忙しいので早めの投稿


第三百九十三話 サメ退治に夢中

 各国の代表冒険者たちがイチカズ・ブートキャンプOKUTAMAにやってきてから凡そ1月。

 

 戦士長チャレンジを突破した彼らは今、サメ退治に夢中になっていた。チェーンソーはない。

 

「いや42層は?」

「もちろん各自42層には到達してるぞ。ただ、自分たちのパーティーだけでサメが倒せるようにならないと卒業できないってだけで」

 

 アンチマジック発生装置の開発も終わり、量産体制を構築する段階になったことでお役御免になった恭二が現状に首をかしげているが、こいつの場合ヤマギシパーティーが基準になっているからな。巨大ザメ(二ヒレ歩行)はケイティとウィルが居る米国パーティーでも初見では難しい相手だ。

 

 なにせ純粋に堅くて早くて強い。ケイティのフルパワーライトニングを受けても平然と突っ込んでくる対魔能力に嚙まれればバリア越しでも不味いのでは、という巨大な顎。海上でも高速で動き回れるヒレ。

 

 そしてこういう相手に今まで活躍していた実弾兵器もこいつ相手だとそれほど効果的ではない。やたらと外皮が固いためか対物ライフルも効き目が薄く、ロケットランチャーを同じ個所に連発で当てるか口の中に運よく入り込んでどうにか、という出鱈目な頑丈さを持っている。

 

 逆にどうすればこいつをヤれるんだよという話だが、恭二のようにレールガン等の超火力をぶち当てるのがもっとも手っ取り早かったりする。もちろんそれを出来る奴は恭二しか居ないので、アメリカ組は前衛(ウィル)が全力で槍をぶっ差し、そこにパーティー全員でライトニングを打ち込んで倒したりしていた。外皮さえ貫けばなんとかなるのだ。

 

「問題はその外皮をどうするかなんですがね」

「サメ肌がキツいんだよねぇ!」

 

 リスポーンしたサメと取っ組み合うロシア組を眺めながら、一花と対策を話し合う。サメの外皮を破れないというパーティーのための戦法が中々出てこないのだ。

 

 現在戦っているロシア組はパワー型ファイターのセルゲイさんがリーダーのため、比較的相性が良い方だ。遠からず彼が外皮を貫き、文字通り突破口を開くだろう。

 

 しかし、パワー型の冒険者が居らず魔法戦士タイプばかりのフランス代表などはもう最悪だ。口内に魔法を打ち込んだりロケットランチャーを多数持ち込んでラッキーパンチを狙ったりと色々工夫してはいるが、中々うまく進んでいない。

 

 彼らに関しては超火力魔法、特に物理的な側面があるレールガン辺りを覚えてもらうのが一番なんだが、アレは一花やケイティすら覚えきれてないため現実的ではない。また巨大ザメを倒すレベルの現代兵器を持ち込むのもそれはそれでどうなのかという問題がある。

 

 という訳で魔法の大先生である恭二の出番という訳だ。

 

「いや、そういわれてもなぁ。色々魔法は作ってるけど最近は趣味に走ってるのばっかだし」

「例えばフィンガーフレアボムズとか?」

「ああ。あれ、言ってみればただのファイアーボール5連打だからな」

 

 実用性よりも見栄え重視の魔法ということだ。あれを使うくらいなら範囲で攻撃できるフレイムインフェルノを打ち込む方が効率がいいだろう。

 

 だがフィンガーフレアボムズは恭二が見せる魔法の中では1,2を争うくらいに人気の魔法でもある。編集している一花曰く、5連打よりもあえて3連打で放つのがミソらしい。

 

「使い勝手と人気は別だわな。フレイムインフェルノなんて10層以上に行ける冒険者ならほぼ全員使えるんだが」

「ライトニングとフレイムインフェルノを覚えてれば30層までは行けるからなぁ」

 

 直線の攻撃力はライトニング、範囲が必要ならフレイムインフェルノとこの二つは使えれば上級の冒険者を名乗っても良いくらいには有用な魔法だ。魔法に対する耐性を持ち始める30層以降からはこの二つだけだとかなり苦しくなるが、それでも工夫次第では40層まで行ける。フランス組はこの二つを非常に巧みに操るメンバーで構成されており、ブートキャンプ前までは英国に続いて40層に手が届くと言われていたチームだった。

 

 まぁ、それでもどうしようもない敵が出てきてしまったのは不運としか言いようがないな。

 

「ちなみにフランス組はもうどうしようもなくなったら本国に連絡して艦載用の機関砲を持ち込むつもりらしいぞ」

「……収納もないのにどうやって?」

「多分、手持ちじゃないか。重量を落とせばなんとかなるでしょ」

 

 40層まではエレベーターで上がってこれるから、巨大ザメ専用と考えればアリな選択肢じゃないだろうか。40層を開放すれば、おそらく奥多摩みたいに常にだれかを張り付けているだろうし保管も出来るだろう。

 

 そう考えると別に恭二が新魔法を開発しなくても良い気はするが、兵器を持ち込むより魔法で出来るなら魔法で解決する方が良いだろう。魔法なら一度覚えれば魔力がある限りどこでも使えるし、兵器のように故障もないからな。

 

 どこでも使えるというのはまぁ別の意味でネックにもなるが、一定範囲を火の海にするフレイムインフェルノが周知されている時点で今更だろう。

 

「うーん。どうすっぺかなぁ」

「まぁ、今日すぐにって訳でもないからじっくり考えればいいじゃろ」

 

 思いつけばその瞬間出来るのが恭二クオリティではあるがな。

 

「……あ、良いの思いついたわ」

「知ってた」

 

 そしてこのスピード解決だ。これが山岸恭二。これが魔法の大先生の実力である。

 

 ……いや流石に早くないか? もうちょっとシンキングタイムとってもバチは当たらんと思うぞ?

 

「サメ退治で考えたらさ、やっぱチェーンソーかなって」

「言いたいことは分かる。分かるけどちょっと何言ってるかわからないですね?」

「別にチェーンソー自体を持ってくるんじゃなくて、刀や槍の刃の部分をチェーンソー化すれば実質チェーンソーだよな。ほら、魔法を纏わせるのはもうやってるしその延長だと思えば簡単じゃんか」

 

 実質チェーンソーってなんだよ。チェーンソーはチェーンソーだからチェーンソーなんだろうが。あと炎を纏わせるのとチェーンソーを纏わせるのは似通ってるようで全く別属性の問題なのでは???

 

 ただ試しに恭二が刀に纏わせた疑似チェーンソーはカーズの光の流法(モード)っぽくてカッコいいと思いました(小並感)

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