奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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このお話はフィクションです。

このお話と前話は場合によっては差し替えるかもしれません。自分でもこれはやってていいのか色々考えてまして。

誤字修正、244様、kuzuchi様ありがとうございます!


第七十話 一号ライダーここにあり

『トゥ!』

 

 

銀色に光るグローブがコウモリを叩き落とし。

 

 

『たぁ!』

 

 

パンチがゴブリンを貫き。

 

 

『ライダー・・・キック!』

 

 

銀のブーツがオーガを打ち砕く。

そして対峙するオークと、一号ライダーの姿を最後にその動画は幕を閉じた。

 

何これ超続きが気になるんだけど。

 

 

「流石の技術だね。ジャン達も感心してたよ!」

 

「魅せ方が凄いな、参考になる」

 

 

これは先日やって来た初代様が初めてダンジョンに潜った時に許可をもらって撮影した映像だ。

因みに最初に魔石を吸収して貰った以外にこちらから何か助力などはしていない。

バリアもライトボールもすぐ覚えてたし本当に70近い人なんだろうか。実は改造されてるって言われても信じそうだ。

 

あの後初代様に何とか頭を上げてもらい話を聞いた所、来年ライダーの記念映画の主演をする事になったそうだ。

映画とダンジョンに何か関係が?と首を傾げていると、厳密にはダンジョン自体にではなく魔力を得る事が目的なんだそうだ。

 

 

「来年の映画は長年戦い続けた一号が体の限界を迎えながらも、少女を助ける為に限界を超えるという話になっている」

 

「凄く見たいです」

 

「ありがとう。だが、その期待に応える事が今の老いた体で出来るのかが不安でならなかった。もう一度、あの頃の力を取り戻せれば。悶々としていた所に、君がアメリカで起こしたニュースを見た」

 

 

ハルクVSソーの事か。あれ日本でもニュースになってるんだな・・・

日本だと、ダンジョン関係のニュースは余り良く思われてないのか扱いが軽いしあまり騒がれてないと思ってたんだが。

 

 

「私が長年求めていたのはアレだよ!鈴木君!いや、ライダーマン二号!」

 

「それは恐れ多すぎるのでホント勘弁して下さい」

 

 

あくまで一ファンの分限を超えたくないんです。

 

 

 

というやり取りがあり、再び初代様に頭を下げられて・・・これを断われる日本男児が居るか?居ないだろ?

 

という訳で社長に一応お伺いを立て(二つ返事で了解を貰えた)

チームの指揮官である真一さんにも許可を取り(むしろ羨ましがられた。代わってほしいそうだ)

空いてた恭二と一花をお供に(一花はノリノリでカメラチームまで引き連れてきた)

初代様と共にダンジョンへ挑戦する事になった。

 

で、結果が先程の動画である。

 

 

 

ウチのアカウントで上げるのは流石に筋違いにも程があるのであくまで協力と銘打って向こうのアカウントで配信をした所凄まじい反響があったらしい。

 

だろうな。実際に現場に居た俺でももう一度見たいって、思ったし。

変な所から文句を付けられる前に東京の方の映画会社とも話をつけて次作の演技指導という名目も貰ったので正式な仕事扱いにもなって万々歳。

 

ただ、唯一誤算だったのが二代目様と三代目様を連れて初代様が魔法の練習に通い始めた事だろうか。

変身とストレングスと重量変化を覚えたいらしい。

 

何がしたいのかが容易に想像できるし正直見たい。見たいんだがこのまま昭和ライダーの皆様がヤマギシに通い詰めになられると冒険者協会の仕事が・・・

 

 

「大丈夫。我々も冒険者として登録してあるから指導を受けても問題はない。君達に余裕がある時に指導してくれ!」

 

「・・・・・・一花!いちかー!」

 

 

取り敢えず各種身体能力アップ系とバリア、そして可能なら変身を覚えるまでの契約で指導を継続する事になった。

後、7月にある大規模な育成の際に【武術の教官の一人】として初代様に顔出しして貰える事になったので足りない人員の確保にも繋がる・・・のだが・・・

 

 

「良いのか?本当に良いのか?」

 

「初代様も最初に言ってたじゃん、横紙破りだって。ちゃんとした仕事として対価を払った方があちらも気が楽だし、魔法に比べて地味に見られる武術の教官にすっごいネームバリューの人が居ればこっちも助かるでしょ?」

 

「それは、まぁ、確かに」

 

 

身体能力が上がっても体の動かし方を分かってなければ意味がないからな。

咄嗟の時に最後に体を守るのは身に着けたプロテクターと自身だけなんだから、冒険者になる以上武術の心得は必須項目と言っていいものだし。

 

という訳で正式に初代様が講師的な扱いで7月の冒険者教育に加わることになった。まぁお忙しい方なんでほぼ臨時講師になるんだが。

講師陣については冒険者協会のHPに記載されるので初代様も本名で名前を登録し、安藤さん達と同じ列に名前を連ねる事になったのだが。

 

次の日、冒険者協会のコールセンターに凄まじい数の問い合わせと冒険者教育への参加申込があったらしい。

といってももう既に人員は決まっているので追加枠はないと全て断ったらしいが。

 

初代様、嬉しかったからってつぶやいたーでつい呟いたらしいです。隠してる事でもないしね。

まぁ、結果は推して知るべし、って感じだったけど。

冒険者協会としては箔付けにもなるし嬉しい悲鳴って感じなんだけど、前に来てたカメコの方々がまたぞろ奥多摩に姿を表すようになったのは少し困る。

あ、あの自営業のオッサンまた来たのか。奥さん大変だなぁ。

 

 




カメコの方々:14話以来の登場

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