奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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奥多摩がランキング入りしてて泡食った。
スレイヤーズリポップともどもよろしくお願いしますm(_ _)m

誤字修正。みずーり様、、244様、椦紋様ありがとうございます!


第七十一話 ヤマギシ再編

7月に向けて俺達はやる事が多かった。

まず、警察から派出所に使用する土地建物の無心がある。

 

これは各地のダンジョンでもだが、奥多摩には常に機動隊か警官隊が勝手にダンジョンへ入り込んだりしないように、また今の所起きてないがダンジョンからモンスターが出てこないように見張ってくれているのだが、現状この任務がどの位続くか分からないため、機動隊のランクルや装甲車ではもう賄いきれないとの事だ。

 

それに、季節はこれから真夏になる。熱中症も起こりえる以上警察の上層部でも現場の環境を整備する必要性を感じているのだろう。

ヤマギシとしてもありがたい申し出だし二つ返事でOKを出したらしい。

旧コンビニ店舗跡の駐車場をつぶし、警察署といって良い規模のビルを建てることになったそうだ。

 

 

「1チーム10人で三交代。1チームが完全オフで署を離れ、1チームは屋内待機、のこり1チームが職務にあたるといったローテーションか」

 

「無断でダンジョンに入ろうとする人も絶えないしもっと数が増えてもいいと思うんだがなぁ」

 

 

この30人にはある程度のダンジョン内部での行動力も必要になる為、現在恭二と沙織ちゃん、それに一花がダンジョン内の習熟を担当している。

 

現在の奥多摩には、以前の自衛隊員達と同じく精鋭といえる機動隊員が配属されているそうで、二度目という事もありかなり順調に育っているらしい。

今回の教育から高校生になった一花も教官として参加するため、7月に向けた予行演習とでも思っておけばいいだろう。

 

名前が挙がった人物以外が何をしているかと言うと、俺も含めてあちこちを飛び回っている状況だ。

真一さんとシャーロットさんはIHCとブラスコの折衝で飛び回っているし、社長は月の半分位はテキサスに行っている。

 

それに合わせて親父も短期出張を繰り返しており、夫婦の時間が少なくなった母さんが荒れている。

下原の小父さん小母さんが奥多摩を見ていてくれているが、急激な事業規模の拡大に我が社は翻弄されている次第だ。

 

という訳で縁故を頼って40人ほどだった正社員を更に増やし、100人を超える規模になった。

 

合弁予定だった瑞穂町の金属加工会社、三成精密さんは、このたびめでたくウチに吸収合併されることになり、オヤジさんである三枝(さえぐさ)さんは、取締役工場長に就任することが決まっているし、今まで各担当者=となって居た社内の部署もきっちりと整備され、法務部、営業部、経理部、広報部、そして新たに知財管理部、研究部、資材部が発足。

 

人材不足で青息吐息だったヤマギシもようやく一息つく事が出来た。

まぁ、中途採用の人材たちの面接と雇用に、日本に帰ってきた社長と真一さんが青息吐息だったがな。

 

機動隊員をダンジョンへ案内するという案件を見た時、ぽつりと真一さんが「俺も行きてぇ・・・」とか呟いていたが・・・社長のネタをパクっちゃだめでしょう。

 

 

 

さて、そんなわけで7月がやってきた。

俺たちは、世界冒険者協会主催、日本冒険者協会開催の「冒険者育成キャンプ」の結団式にやってきた。会場は、冒険者協会銀座支部である。

 

定員40名。

それに各国の幹部達も帯同している。いわゆるG8と呼ばれる先進国からの参加で人員はほぼ占められている。

 

参加費用は一人ひと月100万円で、これには交通費などは含まれないが、各国の冒険者協会が補助金などを出しているようで金銭的なトラブルは耳に入ってこない。

まぁ、もしトラブルがあってもこちらに何かくる事はないだろう。事前に真一さんがあれだけ念押しして出禁を匂わしていたし。

 

我が日本からも5人が参加している。日本国内の各所にあるダンジョンの肝いりらしいが、この機会に仲良くなっておきたいところだ。

 

さて、他に各国はというと流石は代表格というか。

定員枠の冒険者は誰も彼もが国の威信を背負っているといわんばかりな、出来そうな人たちで占められており、皆胸元にはレベル5以上のプレートが付けられている。

が、アメリカはやっぱり格が違った。

 

レベル20のウィルとレベル15のケイティの存在は明らかに場違いだったし、正直こっち(教官側)の人間だと思うんだがどうだろうか。

あとジェイとジョシュさん。忙しいはずの君らが何でここに居るんですかねぇ?

 

 

『いやぁ。自前で潜るだけなら兎も角、教育するとなるとまた勝手が違うからね。勉強させてもらうよ』

 

『この機会に日本の教官免許を取得して、米国でもしっかり教育が実施できるよう学んで行きたいと思います』

 

『ほら、ジェイ。久しぶりに会ったんだから』

 

『ちょっ、兄さん押さないでよ!』

 

 

相変わらずのウィル達に質問の答えになってないジェイとジョシュさん。

数ヶ月ぶりだけど変わっていないようで安心したよ。

 

 

『まぁ、僕らもそこそこ使える自信はあるけどダンジョンは今後のブラスコにとっても重要な資源の獲得先になる。そのダンジョン関連で随一と言っても良い勉強の場だからね。無理してでも来たかったんだ』

 

『私は、その。高校の休みも重なったし、前に日本に行くって約束してたし・・・』

 

『うん、覚えてる。日本にようこそ!歓迎するよ』

 

 

アメリカからの参加は五人。幹部として来たウィルとケイティを除き、そのうち2人をブラス家兄妹が取る。残りはモンタナはジャクソン家の枠で、前に冒険者協会の会場で出会った愛すべき馬鹿が2名。カリフォルニア本部から1人だ。

残り30人枠も各国5人で埋めてきており、ドイツ、イタリア、フランス、イギリス、カナダ、そしてロシアだ。

とりあえずでかい人が多い。威圧感が凄すぎて話しづらいぜ・・・・・・

 

 

 




三枝さん:瑞穂町の金属加工会社を長年営んでいた。元々は合弁会社を設立する予定だったがテロの話を聞き、確かに不味いと判断。しかしビジネス的にヤマギシとの関係を切るなんて考えられないためいっそ、とばかりに吸収してもらう事を選択した剛毅な人。

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