奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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日間ランキングに初めて乗ったので記念に2話目を更新。
明日の分は今急いで書いてます()

誤字修正、244様ありがとうございます!


第七十二話 ファーストコンタクト

式典とかではお決まりのスピーチを世界冒険者協会の偉い人や日本の偉い人が行って式典は終了。

そのまま全員分の荷物を既に詰め込んだバス二台に乗って奥多摩へ出発だ。

 

さて、今回のブートキャンプに参加するメンツは、基本、ダンジョン上のワンルーム使用だ。

基本というのは、ブラス兄妹はブラスコ社がダンジョン棟の南に完成した複合施設棟の最上階の一室を押さえているのを知っているため、そこにメイドやらを引き入れて生活スペースを作っているからだ。

 

因みに複合施設棟の1階は俺たちヤマギシチームの装備品を展示するショールームになっていて、装備品に携わるすべての企業のPRを行っている。

そして、今回の参加者にはこの展示している装備品の自費注文が許可されている。

 

受付のお姉さん方の多々買え・・・もっと多々買えというオーラに触発されたのか1000万するSUVが10台も注文されたらしい。

確かに街乗りオーケーだしカッコいい車だけどさ・・・流石に派手すぎるだろ、と思わないでもない。

 

 

 

 

『そこら辺ははあれさ。ほら、中二病』

 

『身も蓋もないな』

 

『ここに来てる人はね、大なり小なり似たようなものだと思うよ』

 

 

ウィルの言葉に愛すべき馬鹿一号と二号が笑い出す。

ドイツ代表の人とかめっちゃ真面目そうなんだが。そうか、中2を患ってるのか。

なんか親近感が湧いてきたぞ。

 

現在俺とウィル達米国バカ三連星は複合施設1階の中に設置された休憩スペースでダベっている。

一応役割としては案内役を担当してるんだが、ここのブースのお姉さん方は各国の言葉が堪能な人が多いし、何か皆さん俺に話しかけて来ないので暇をしているのだ。

 

夕方にある歓迎会まで時間もあるし、ウィル達は前のレセプションの時にもう装備品は見てるしな。

 

 

『装備の発注は良いのか?』

 

『僕らはね。前に日本に来た時武器はフジシマさんに依頼してあるし、その他の装備も米国で開発中だから』

 

『でも受け取りはまだ先だけどな!早く魔法剣が使いたいぜ!』

 

『あの、すみませんミスター』

 

 

下らない事をゲラゲラ笑いながら話していると、遠慮がちな声で話しかけられる。

 

 

『はい、何でしょう?何か質問でも?』

 

『あ、いえ、その』

 

『ご歓談中に申し訳ない。宜しければ我々も挨拶をさせて頂きたいのですが』

 

 

やっと仕事が出来たかとやる気を漲らせて返事を返すも、声をかけてきた女の子は躊躇するように言葉を濁らせる。

変わって声をかけてきたのは背の高い金髪のお兄さんだ。

ふーん、イギリスの代表か。

特に断る理由はないが先約のウィルを見る。

ウィルもオーケーか。なら構わんだろう。

 

 

『初めまして、イチロー・スズキです。どうぞお見知りおきを』

 

『イチロー、いつも言ってるけど君を知らない冒険者は居ないよ?ウィリアム・トーマス・ジャクソンだ。よろしく』

 

 

名乗った後に握手を求めれば良いんだよな?

取り敢えず名乗った後に代表格っぽい兄ちゃんに手を差し出すと、何故かいきなりハンカチを取り出して自分の手をゴシゴシ擦った後、割れ物に触れるかのように俺の手を握り返した。

 

え、何その反応。

 

一緒に居た女の子は手を握った瞬間に崩れ落ちそうになったし。半放置みたいな状態で苦笑いを浮かべていたウィルが慌てて助け起こして事なきを得たが。

 

 

『す、すみません。妹は貴方の大ファンで』

 

『あー、いや、オーケー』

 

 

オリバー・J・マクドウェルと名乗った青年はウィルから妹を受け取ると、一言断ってから休憩室の椅子に座って妹さんを介抱し始めた。

 

 

『あー、その、大丈夫?回復魔法でもかけようか?』

 

『あ、いえ、お気遣いなく。アイリーン、大丈夫か?』

 

『う、うぅん』

 

 

暫く休ませて上げた方が良さそうだな。

まぁその為の休憩スペースだしゆっくり休んで貰うか。

 

 

『それは良いけど君はちょっと席を外した方がいいかもね?』

 

『うん?』

 

 

ニヤニヤと笑いながら出入り口を指差すウィルの姿に嫌な予感を覚える。

指している方向を見ると、さっきまでお姉さん方と熱心に装備について話し合っていた各国代表が、何時の間にやらこちらの様子を伺っていた。

あ、これあかん流れやな。

 

 

 

結局各国代表と挨拶を交わし、話をしていたらあっと言う間に夕方の歓迎会の時間になった。

途中で復活してきたマクドウェル妹(アイリーンって名前らしい)も会話に入ってきたんだが近づいただけで倒れこみそうになるのは勘弁して欲しい。

どんだけ男に耐性がないんだ・・・と思っていたらウィルとは普通に話してるし。

 

 

「重度のファンなんてそんなもんだよ!目の前にラインハルト様が居たらわたしもあーなるかも。お兄ちゃんも初代様と初めて会った時はあんな感じだったよ?」

 

「初代様と比べられてもな・・・」

 

「知名度だけなら世界規模なんだからもっと自信持とうよ?ファンの子達にも失礼になっちゃうよ!」

 

 

そう言われても去年までただの高校生だったからなぁ。ヤマギシのコンビニで恭二や同級生と馬鹿話をして、陳列を手伝ってた頃の感覚が全然抜けない。

学校も通信制の高校に移籍してしまったし。もうあの日々に戻る事はないと分かっていても、やっぱり思う所はある。

 

 

「私も芸能人とかがよく通う学校に入ったけど、特に困った事はないけどね!あ、休みやすくなったのが一番の変化かな?」

 

「アイドルとか俳優の卵とかが一杯居て喜んでなかったか?」

 

「いや、割かしドロドロしてて夢壊れたかな」

 

 

真顔でそう言う一花の肩を軽く叩く。いつか良い事あるさ。

 




オリバー・J・マクドウェル:イギリス代表。レベル5保持者。180センチオーバーの体躯に鋭い顔立ちの青年。妹のアイリーンと参加。元々冒険者志望ではなかったがある日たまたま見た一郎の動画が彼の人生を変えた。

アイリーン・E・マクドウェル:オリバーの妹でイギリス代表。レベル5保持者。元新体操の選手160センチちょっとの身長だが非常に引き締まった体躯をしている。ある日兄に勧められて見た動画が彼女の人生を変えた。新体操を止めて武術に手を出し、近場のダンジョンに兄と共に潜り続け見事イギリス代表の座を射止める。
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