奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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誤字修正、霧空様、244様、アンヘル☆様、kuzuchi様ありがとうございます!


第七十八話 日本代表の問題

「魔法が特殊過ぎて助言できないんだよね」

 

『素敵だと思います』

 

「あ、はい」

 

 

ドイツ代表のオリーヴィアさんは凄くクールな外見の金髪が似合うお姉さんなんだが、こう。

話をしたらそこはかとなく漂う残念臭というかね。

 

うん。いや、仕事は出来る人だと思うし、実際頼りになるリーダーなんだが。

この人、これですっげぇミーハーなんだよなぁ・・・

 

 

「じゃあ、先導するから戦法はオリーヴィアさんが決めて下さい。取り敢えず目標はどこまでに?」

 

『今日の内にオークを見てみようと思います。撤退は隊員に不測の事態が起きた時か、誘導員から指示があった時に行います』

 

「なる程、了解です。取り敢えず感知の魔法の実地訓練でもあるので各自、感覚を研ぎ澄ませて下さいね」

 

 

指示を出すとキリッとした表情になる。

先程までのミーハーなファンの顔から急に頼れるリーダーの顔に激変するのにも最近は慣れてきた。

そのまま特に指示を変えることもなくさっくり6層まで辿り着く。彼らのレベルだとこの辺りは殆ど消化試合になるんだよね。

 

まぁ、本番は6層以降になるからなぁ。

オーク相手にも危なげなく魔法で完封。魔石を拾って俺に手渡してくるので、記録簿に記載して背中に背負ったリュックに入れる。

 

この記録簿は、最初にダンジョンに潜った時に魔石の数が記憶と違う、という問題が起きた為、各誘導員が持たされている物だ。

魔石の吸収について、真剣に考えてくれているのは嬉しいが。誤魔化しが入るかも、と疑心暗鬼になっても困るしね。

 

 

「オリーヴィアさん。目標は達成しましたがどうします?」

 

『・・・各自、使用魔法の回数を・・・ドゥーチェが若干多いな。撤退を具申します』

 

「了解です」

 

 

うん、危機管理能力もあるし班員の言葉を聞く事も出来る。

やっぱり優秀な人なんだよなぁ。

取り敢えず冒険者としては優秀。なお注意事項ありとしとこう。

 

 

 

因みに各国のリーダー達は皆優秀で、彼女と比べても遜色ない人物しかいない。

というか仮にも国を代表して来ている以上、優秀じゃない人物なんか居ないので切磋琢磨を期待してるんだよねこっちは。

 

 

「そこんとこどう思う?昭夫くん」

 

「面目なかとよ・・・」

 

「翻訳」

 

『あ、ごめんなさい。面目次第もないです、はい』

 

 

いや、君じゃないよ?

君はそそっかしい所さえ無ければ非常に優秀だし。

魔法も格闘も両講師から褒められる位の頑張り屋さんで、格闘の方なんか元々経験が無いのに必死で喰らいついており初代様が実に楽しそうに指導している。

 

もし柵が無ければ探検隊が復活した折にはスカウトしたい人材とか言ってたけど、まさかダンジョンで探検隊をする気はないですよね?

 

と、話がそれたが昭夫くんと日本のリーダーの御神苗さんは全く問題ないのだが、残りの3人が問題なのだ。

この3名、成績自体は悪くないんだが・・・向上心と協調性という物がないのか、現代日本の若者というか。

自分の興味がある事にしか見向きしない所がある。

 

今現在は各国のリーダーが班を率いてダンジョンに入っているが、彼らの行動を見て各国の他の代表は自身がリーダーになった時に備えている。

だが3人は違う。あのままでは、教官免許を取得するのは難しいだろうな。

 

今も彼等は翻訳魔法も使わずに3人で固まって話している。

この食堂に皆が居る理由もあんまり理解できてないようだ。リーダーの御神苗さんは各国の色んな人と話してコミュニケーションを取っているというのに。

 

 

『その点、アキオは可愛いわね!』

 

『あ、ちょっカミーユさん!?』

 

 

そおっと近付いてきたカミーユさんが昭夫くんを背後から抱きしめた。豊満なバストが押し付けられたのか、顔を真っ赤にして昭夫くんが悲鳴をあげる。

最年少の昭夫くんはその初々しい反応もあってかお姉様方から大人気だ。同情はするが、取り敢えずそこ代われ!

 

わーわーと騒ぎ始めたため何事かとこちらを見る代表達。また昭夫くんがからかわれていると気付くと大体の人間が笑ってその様子を眺めている。

 

その大体に入ってない日本勢ェ……。御神苗さんも努力してるみたいだけど、同じ日本人の昭夫くんにすら絡んでいかないってどうなんだろうか。

むしろ若干忌々しそうにすら見えるんだが・・・

 

 

 

「普通に人気者の昭夫くんに嫉妬してるんじゃない?」

 

「なんだそりゃ」

 

 

夕食も終わり、今日のブリーフィングの時間。

どうにも溶け込めてない様子の日本代表の様子を話した時、一花の分析に真一さんが苦々しそうな表情になった。

 

 

「各国の代表は、流石にケイティやウィルの御眼鏡に適っただけはあるけど、日本はなぁ」

 

「御神苗さんと昭夫くんが居なきゃ完全にお荷物だったね!どんな人選なんだろ。笑えてくるよ」

 

「一応、各ダンジョンの代表の筈だがな。一度協会にも現状を伝えておこう。このままじゃ教官免許をやれんぞ」

 

 

お膝元の日本だけ合格率が悪い、となればそれは日本冒険者協会にとっても一大事だ。

まぁ、他の国の冒険者が軒並み合格してれば流石にヤマギシが責任を問われることはないと思うが、俺達の求めてやまない教官になれる冒険者が日本では殆ど増えない事になるしな。

協会の方から何かしら対応策が出れば良いんだが。

 




オリーヴィアさん:ドイツ代表のリーダー。金髪碧眼で切れ長の目を持つ正にクールビューティーといった風体の人。尚中身は乙女。

御神苗さん:日本代表のリーダー。東大の学生。今回本気でヤマギシ所属を狙っているが同期の日本人勢が最年少以外頼りにならずアカンかもと思ってきている。尚名前は優治のため初対面の時一郎に「惜しい!」呼ばわりされた。本人もそう思っている。
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