ちょっと負担がきてるので更新の仕方を見直すかもしれません
誤字修正、244様、所長様、kuzuchi様ありがとうございます!
沖縄の夏は暑かった。
それ以上は話したくない。
二週間を過ぎた辺りで沙織ちゃんがキツそうにしてたので一花の予定を変えてもらって一日観光に費やしたり、誕生日に小さなパーティーをしたり、その後恭二といい雰囲気になってて独り身が寂しくなったりとかあったけど細かく話したくない。
俺達が奥多摩に帰る頃には入れ違いになるように各国の代表達が国へ帰っていった。
一月近く留守にしていたのに皆が別れるのが辛い、まだ色々教えてほしいと言ってくれた時は少しウルっと来てしまったけど、メンバー皆とは連絡先を交換したぜ!
ただ、翻訳は文字には適用されないから専ら日本語でお願いしてるんだけどね。
彼女達には『死なない冒険者』になる為の基礎になる部分をみっちり仕込んだつもりだ。
地元に帰ってもこの部分だけは絶対に疎かにしないでくれと念押しをしているし、奥多摩での合宿は継続的に行う予定だから、来年はもしかしたら彼ら彼女らが鍛えた冒険者を俺達が教育する事になるかもしれない。今から楽しみで仕方ないな。
そして、今回のキャンプで最優秀と賞されたのはやはりというか何と言うか。ブラス兄弟の妹、ジェイだった。
姉譲りの魔法センスに姉より優れた身体能力に、勤勉さまで備えた彼女は当然のようにキャンプ最初からトップに立ち続け、2ヶ月の間首位の座を他の代表に譲らず堅持し続けた。
各国のリーダーや兄貴のジョシュさんもかなり追いすがっていたんだがなぁ。惜しくも彼女の牙城を崩すには至らなかった。
ただ、彼女は本国の方でもやる事がかなりある為にヤマギシに参加すると言ったことは出来ないそうだ。
彼女なら問題なく俺達と同じレベルまで来れると思うだけに残念だが、彼女には彼女の生きる道があるししょうがないだろう。
まぁもし米国でダンジョンに潜る時があったり、日本に来る予定が出来たら一緒にダンジョンに潜ろうと約束を交わしたし、寂しくなるがこれっきりって訳でもない。
年末にはまたブラス家と一緒に冬期休暇を取る予定みたいだしな。
「で、ヤマギシへの参加枠は結局日米で分け合う事になったと」
「まぁ、仕方ないでしょうね。他の国では、トップ冒険者を数ヶ月も国外に出す余裕は無いんでしょう」
『ユージは兎も角、僕としてはラッキーだよ!正直アイリーンには負けてると思ってたからね』
「アイリーンさんなぁ。最後まで男嫌いが直らなかったから・・・」
「いや、あれは一郎くんの前だけ・・・いや、止そうジェイに殺されちゃう」
御神苗さんとデビッドの書類手続きを手伝いながら、俺は昨日行われたヤマギシチームへの参加メンバーの発表を思い出した。
まぁ、殆どの国の冒険者が地元の理由で戻る事になるとは分かっていたので、結局日本代表の御神苗さんとアメリカのデビッドに決まったんだが。
ギリギリまで参加したいと言っていたアイリーンさん、泣いてたんだよなぁ・・・・・・
別れの間際にほっぺにキスまで貰ったのはいい思い出だ。イギリスに行く事があれば必ず連絡入れよう。
『まぁ、今回の代表は誰が選ばれてもおかしくなかったからね。特に8月に入ってからの皆の進歩は凄かったよ』
「・・・・・・バンシーを超える前と後で、明らかに自身が変わったと感じました」
あれは、まあ、凄い経験だろう。
今回、教官免許を取得した37人は8月頭に全員20層まで連れて行った。バンシーを経験させる為だ。
あの状態異常を受けた後に数瞬間をおいてリザレクションを受けるまでの間。
あのどんよりとした、深い沼に閉じ込められたような感覚は、もし知らずに受ければそのまま何も出来ずに殺されてもおかしくない。
バンシーを経験した後の彼らは文字通り爆発的な勢いで成長した。
8月終わりに戻ってきた際には殆どの人物が、戻ってきた後には全ての代表が自力での20層到達を達成しており、中にはレジストどころかリザレクションまで覚えた人物も居た。
医師キャンプの方でもリザレクションの発現を確認できている為、今回のブートキャンプは世界冒険者協会にとって最高の結果で終わった事になる。
ケイティ大歓喜だな。
戻ってきた時はもう上がりまくったテンションに任せて恭二に抱きついてキスまでしていた。すぐに沙織ちゃんに引き剥がされて結局両手に華になっていたがね。
くそがっ!
「リザレクションと言えば、医療行為で魔法を使う病院の設立が決まりそうなんだってね」
「ああ。厚労省がついに折れたんですっけ。医学部の知人がそう言えばダンジョンについて聞いてきてたな・・・」
『そういえばキャサリン嬢のキャンプ、人員増加するんだってね。こっちにも日本人が来るのかなぁ』
ケイティが主催で行っているブートキャンプは前評判の高さと実際にリザレクションを発現した事もあって、今世界中の医療関係にかなり注目されているらしい。
本人も今の追い風の状態で一気に波に乗りたいと言っていたから、次の人員はかなりの人数が予測される。
マンションの内装もようやく完成したしこっちを借り上げてもらうのもありかもしれないな。
『それはあなたたちの仕事でしょ? 俺は医者じゃない。冒険者だ』
恭二さん、ガチ切れしとる。
新しく来た医者や医学生への説明会に参加した俺達は、まず最初にこの説明会に参加している人々の空気に違和感を感じた。
何と言うか、こいつら説明されればホイっとリザレクションが使えると思っている節があるのだ。
いや、まぁ医者と言えばどこの国でもエリートだからその自意識が高いのは分かるんだ。
ただ、やけに鼻持ちならない傲慢な人間が目立つんだよなぁ。
この状態でダンジョンに入れるわけにはいかないと、恭二がまずケイティに自身にリザレクションをかけるように依頼。
センスが本当に高い人間なら或いはこれで使えるようになるかもしれないが、流石にケイティのような人物は居なかったらしい。
その後、リザレクションの属性や発動した時の発光などを説明していると、途中で恭二の説明を遮った人物が居た。
そして、「何故実験台が説明をしているのか?」と言い放ったのだ。
この時点で結構キテるなとは思ってたのだが、恭二は一旦言葉を飲み込んでその場の全員にリザレクションを使用。
40人全員が光に包まれると言う異常現象に軽いパニックが起こる中、恭二は魔力を込めた拍手を行った。
一瞬で静まり返った室内を見渡して、恭二が言葉を続ける。
『まず、皆さん守秘義務の契約書にサインはしてますか?挙手をお願いします・・・・・・しているみたいですね。では説明しましょう。現在世界中で発見された魔法はほぼ全て俺が冒険の最中に開発したものです。勿論リザレクションも俺がケイティに教えたものになります。つまり、彼女と同じレベルでこの魔法について説明できる為この教壇に俺は立っているんですね。何か質問は?』
にこやかな恭二の発言に、場の空気が凍りつく。薬が大分効いたらしいな。
そのまま次の説明に移ろうとした時、先ほど実験台云々と言っていたおっさんが震える手を上げて質問をしてきた。
『あ、貴方は・・・・・・これほどの力がありながら、何故それを人を救うことに役立てようとしないのですか!』
ここで恭二の我慢が限界を超えて上の発言に繋がった。
吐き捨てるように言い放った後、恭二は更に言葉を続ける。
『俺達はあくまで冒険者であって医者じゃない。医者が担当する仕事は人を癒す仕事で、俺達冒険者は冒険する事が仕事のはずだ。リザレクションもヒールもキュアも冒険に必要だったから作る事ができた。見つかった魔法を冒険以外で使うのなら、それは専門家が行うべき事だ。教えてくれと言われたから俺たちはただ教える。それをどう使うか、役立てるかは貴方方の仕事だろ』
そこまで言って、恭二は少し落ち着いたのか机に座って彼を見る医者や医学生達を見やり、一つため息をついた。
『まず勘違いしないで欲しいのは我々は貴方方がその崇高な理念を元に、魔法という現象を使って患者を癒やす術を学びたいと言っているからその手助けを引き受けたんだ。貴方方が言う様に、私達の力があれば大勢の人を救うことができるでしょうね。大勢の人が助けを求めてくるでしょう。医者でも病院でもない、設備すらないここに。冒険者としてダンジョンに潜っている俺に助けを求めに来るんだ。それ、正しい事なんですか?』
しんと静まり返る会場に恭二はため息を吐いた。
『医者の仕事は医者がやってくれ。以上です』