奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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すっごい低俗な内容になったので次回に飛ばしても大丈夫です。サブタイどおりの話なんで(汗)

誤字修正、244様、アンヘル☆様ありがとうございます!


第九十話 「貴女と、合体したい!」「○ね♪」

『教官殿!けけけ結婚を前提に、お付き合いしてください!』

『は?やだ!』

『うおおおお!な、ななな何故ですか!』

 

まずは最初にがつんと行こうと思い、佐伯ともう1人の合宿経験者の足立、そして何名かの取り巻きを連れて一花はダンジョンに潜ったらしい。

と言っても最近の彼らの評判を省みるに1人では流石に無用心なので、デビッドと協会職員で1級免許を持っている人間も連れた上でだ。

 

協会職員の人からも、最後のチャンスをと言われていたので実技の確認がてら彼らのダンジョンアタックを見ていた。

勿論、途中途中で指導を交えながら。思っていたよりも技量というか、判断力などが衰えていたのを感じた一花は、10層まで潜り終えた後にその点を告げた。

このままでは2種冒険者として免許を保持し続けるのは難しい、と。

で、帰ってきたのが上の言葉だった。

 

 

 

『ごめん、全然意味が分からない』

「わかんないよね。私も分からないし一緒に居たデビッドもそれどころか身内のはずの足立さんもわかんなかったって」

 

翻訳まで使った昭夫君のマジレスに一花は笑ってそう答えた。

俺?俺は今ネットに包まれて畳の上でごそごそしてるよ。

恭二の野郎、口まで塞ぎやがった。

 

「この後に何か感極まったのか『教官殿!わ、私は、貴女と合体したい!』『○ね♪』みたいなハートフルボッコストーリーがあったんだけど」

「もがもが」

「あはっ♪全然意味わかんない」

 

そりゃ口までネットで塞がれてっからな。

で、二人が襲われたという話はここからだそうだ。

 

『まぁ、あの。本当に実害はなかったんだけどさ。サエキ、急に一花に飛び掛ったんだよね』

「あんまりにも気持ち悪くて蹴り倒したんだけど、また立ち上がって笑顔で飛び掛ってきてさ!最後には皆で引き剥がそうとしたんだけどそうしたら暴れ始めて」

 

ストレングスまで使って拘束を振りほどき、一花に抱きついてきたらしい。

バリアがある以上、そこそこの打撃なんかはまるで意味を成さない。成人している自身と一花では体格差もあるし、多少ストレングスの効果が劣っていても力押しできると思ったのか。

その目論見は、一花の使ったアンチマジックの派生魔法で意味を成さなかったらしいが。

 

「前々から練習してたんだけど、まさかこんな事で使う事になるなんてね・・・」

 

アンチマジックは基本的に自身の周囲に張り巡らされる為効果範囲が薄い。

相手のストレングス等のバフ系魔法は攻撃魔法などのように弾いてくれず、接触できる位の距離で再度唱えないと解除できなかったりする。

また、口を塞がれると使えなくなってしまう。

エンチャントによって継続的にアンチマジックを行い続けるアイテムを作ったりと研究もしているが、一花はこれを右手や体の一部にエンチャントして、魔法消去能力を維持する事が出来ないかと考えていたらしい。

 

「幻想殺しが出来ないかなーと思ったんだけど無理だったね」

「もが」

「まあ、ストレングスさえ解除しちゃえばこっちのもんだよ。ついでにビンタと股間蹴りしといたから私はもう気が済んだかな」

『彼、金的を受けた後も脂汗を浮かべたまま笑顔でマスターに縋り付こうとしてたね』

 

沙織ちゃん以外のこの場にいる人間が少し前かがみになった。

この時の騒動が原因でダンジョン内で襲われた、という話になったらしい。デビッドも拘束を振り解かれた時に結構良いのを貰ったみたいだし、間違ってはいないだろう。

間違っては居ないんだろうが・・・・・・

 

「今、ヤマギシ本社とか東京とかがすげー騒ぎになってるんだけど」

「いや、当然じゃない?これ完全にダンジョン内での婦女暴行だよ?こっちがボコボコにしたけどね!」

『男として同情するダメージを受けてたけど、人間として、同じ冒険者としては心底軽蔑するよ。自分の欲望に負けて・・・』

 

恭二の言葉に被害者となった一花とデビッドはそう答えた。

入れ違いで俺達が来た為に、真一さんから俺達への連絡は間に合わない形になったが、警察からの事情聴取を終えたデビッドが本社のシャーロットさんにすでにあらましを報告してあるらしい。

そろそろ落ち着いたので拘束を解け、と床に頭をゴンゴンとたたきつける。気づいた恭二がアンチマジックを唱えて、俺はネットから開放される事になった。

肝心の佐伯はすでにお縄になっており、警察署で事情聴取を受けているところらしい。

 

真一さんは電話の内容を聞いた後に、切れて良いのかこんな奴を教育していたと嘆けば良いのかわからない、と微妙な連絡をよこしてきた。

ヤマギシ経由で事情を知らされた協会側も対応に苦慮しているらしい。特に彼を推薦していたとある上官は彼のキャンプでの成績も相まって非常に不味い立場になっているそうだ。知らんけど。

警察側もレベル10冒険者である佐伯を長期抑留する為に奥多摩の冒険者免許持ちの機動隊員を臨時で呼び寄せたりと多大な迷惑を被っており、冒険者協会は折角の好印象が続いていた所に大幅なブレーキをかけられることになった。

 

「所で、なんで佐伯さん、あんなとち狂ってたんだ?キャンプの時はただの不真面目な兄ちゃんだったよな」

「ああしてれば私の指導が一杯受けられるからだって」

『マスターは、成績の悪い生徒に教える事が多かったからね・・・』

 

何でも元々ロリコン気味な所があり、ネットなどで俺と一緒に出てくる一花に前々から目をつけていたらしい。

実際に会ったら粉をかけようかと考えていたそうだが、そこで思っていたのとは違う形で一花の厳しい指導を受け、それに憤懣を持つのではなく何故か開いてはいけない扉を開いてしまったらしい。

後ほど、事情聴取から開解された足立さんはそう言って一花とデビッドに頭を下げた。

 

佐伯は地元有数の名士の子供で、足立さんの家系は代々お世話になっているらしく幼少期からの付き合いがあったらしい。

前回のキャンプでも半ば佐伯さんの付き人位の感覚で参加していた為・・・真面目に教えていた俺達としては業腹ものだが、その点はその場で申し訳ない、家の関係上断る事もできなかったと謝られた・・・足立さん自体は落第にも特にショックを受けていなかったのだが、佐伯さんは違った。

戻ってきた後の佐伯さんは完全に頭のねじが外れてしまっていたらしく、狼藉の多さに家族の方でも庇い立てが出来なくなっていた所だったそうだ。

彼と佐伯家は警察の取調べにも非常に協力的らしい。

 

冒険者協会は佐伯の2種冒険者免許を剥奪する事を決定。足立さんは現地冒険者の代表として西伊豆ダンジョンでの冒険者育成及び臨時冒険者のダンジョンアタックを支援する事を約束したそうだ。

一先ず、今回の暴行事件についての現場での処理は終わった。だが、まあ問題はこれからだろう。先ほどの電話のやり取りを思い出し、これから来る日本冒険者協会への嵐に他人事のように大変だなぁと考えた。

ケイティ、マジギレだったなぁ・・・・・・ヤマギシには火の粉は飛ばさないって言ってたけど。

ま、あんまりストレス貯めて暴走しても困るし。今日の教育頑張るか。




佐伯さん:気持ち悪い人を書こうと思ったら予想より気持ち悪くてぱちぱちもちょっとびっくりしている人。重度のロリコンにM属性まで付属してある。

足立さん:全然興味が無い分野に無理やりいかされて落第してようやく元の生活に戻れると思ったら雇い主側の跡取りが精神的におかしくなってしまい踏んだり蹴ったりな人。

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