奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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誤字修正:ハクオロ様、アンヘル☆様、kuzuchi様ありがとうございます!


第九十六話 サビ落とし

さて、久々の深層攻略だ。

うん?いきなり過ぎるって?そりゃ来週には大量に各国から人が来るからな。巻ける所は巻いていかなきゃ。

 

久方ぶりの深層攻略という事で、今回は冒険者部門全員が参加し、更に部外の冒険者としてケイティと、半ばからはウィルも警官隊教育の為に日本に来るそうなんで、そこからは総勢10名でのダンジョン攻略になる。

 

まあ、ウィルが来るまではまだ間があるんで、先に20層から30層までをリハビリがてらに攻略だな。ケイティや御神苗さん、それにデビッドは30層までのチャレンジになるが、彼らの普段の戦いぶりを見るに、ワーウルフやらの速度に慣れさえすれば危険はないはずだ。

 

 

「速いってのがこれだけ面倒だとはね」

『しかも魔法が効きにくい!』

 

前衛の御神苗さんとデビッドが同時にフレイムインフェルノを放つと、悲鳴を上げてキマイラが煙になった。

これで30層まではクリア。サポートは万全とはいえ、一回のアタックできっちり攻略できる辺りやはり優秀だ。

まぁ、所々でケイティと一花のバフや魔法で相手の妨害をしてるのも大きいんだがな。

 

今回のアタックでは俺、真一さん、沙織ちゃんとシャーロットさんを予備戦力として一つ前のフロアに貼り付け、御神苗さんをリーダーに恭二、一花、ケイティ、デビッドの5名で30層までの攻略を行ってもらっている。これは基本新しいメンバーの実力確認と連携の確認を行うための物だ。

 

このメンバーに恭二と一花が入っているのは、ダンジョン内の事なら恭二が大概何とかしてくれるという信頼と、そこに一花の補佐が入れば万に一つの事故もない、という理由だ。この二人は中衛の様なポジションでチームの補佐を行い、基本は御神苗さんの指示に従って行動している。

たまに一花が御神苗さんの指示にニヤリと笑うたびに御神苗さんの顔は青くなってるがな。怖がられ過ぎだろ一花。

 

「うんうん。成長が見て取れて何よりだね!これなら背中を預けられるよ!」

『「ありがとうございます!」』

 

御神苗さんとデビッドが、腰を90度位曲げて一花に頭を下げる。その様子に周囲は一歩後退った。

 

「あ、流石に毎回こんなじゃないよ?」

「まだ二人とも頭下げてるけど」

 

周囲の様子に一花が弁解を述べるも、未だに頭を上げない二人の姿が更に引き立つだけに終わる。

 

 

 

『一度でもマスターに教導を受けたらそうなると思うよ』

「それどんな洗脳なんだ?」

『凄いよね。でも、そんなに酷い目に遭わされたわけでもないんだよ?』

 

現場にいた本人達だけではやはり情報に偏りがある為、ここは一番弟子に話を聞いてみることにした。

という訳で日本にやってきたウィルに聞き出してみると、ウィルも似たような状態になる事はあるらしい。

と言っても彼らのようにカチンコチンに緊張するのではなく、敬服するというか、そんな感覚なんだそうだ。

 

『似たような感覚は君や恭二、というかヤマギシチーム全員から感じるよ。ただ、君達の場合は何というか、圧力が凄いって感じるけど、マスターの物は跪きたいというか、そんな魅力みたいな感じかな』

「お巡りさんコイツです」

『今の奥多摩では洒落にならないから止めてくれ』

 

石を投げればどっかの警官に当たりそうだもんな、現状。

しかし魅力ね。佐伯も変な扉開いてたし、あいつ変なフェロモンでも出てるのかね。

 

『近いかもしれないね。ただ、フェロモンというよりは魔力が問題なんじゃないかなと僕は思ってる』

「どうしてそこで魔力の話になるんだ?」

『勘だよ。ただ、恭二の魔法発動から始まり、君の右手にアンチエイジング、ケイティの奇跡まで。全部魔力が絡んでる。何か起きたというならまず疑うのはそこだろう?』

「・・・そうだ。そうだな」

 

思い返せばダンジョンが出現したのが全ての発端だが、そのダンジョンが齎してくれた魔力という存在に対して俺達は未だに何も知らないままだ。

それに、魔力を貯めれば身体能力があがる。これは良い。良いのだが、向上するのは身体能力だけなのか?

一花の現状はもしかしたら何か全く別の特性が絡むんじゃないだろうか。

 

「ケイティの研究機関、俺も支援しなきゃいかんな」

『ああ。僕もそんな気がしてきた。もしかしたらある程度以上の魔力を溜め込んだら、新しい能力に目覚めるのかもしれない』

 

そいつは夢のある話だ。

 

「まぁ、先の事はどうあれ。今は目前に迫ったダンジョン攻略だ。悪いが錆落としに時間はかけられないぞ?」

『オッケー。最近低層ばかりで退屈してたんだ。久々にワーウルフと力比べをしたいところだった』

「そこはゴーレムにしとけよ」

『あっちはデカイだけで弱すぎるからね』

 

軽口を叩きながらウィルは特注品のボディアーマーを身に着ける。腰にはこれも特注品の魔鉄を用いたグラディウス。そして槍を手に持った。

ウィルは魔法も使えるが適正は完全に近接よりだ。アーマーを着込んだ彼は以前のなよっとした空気が完全に消え、正に戦士といった風貌になる。

 

「恭二、援護と一花のお守り頼んだ」

「良いけど俺は撮すなよ?」

「そこら辺はこの一花さんの指揮を信じて!行くよジャン!」

『オーケー、ボス!』

 

さて、俺とウィルが揃ったという事は恒例のチャンバラ動画を撮影するという事なのだが、今回は大一番の前という事もあってウィルのサビ落としをかねた競争動画を撮影することになった。

内容は21層から30層まで真っ直ぐ進み、その間にどれだけ敵を倒せるかという物だ。

最近、スカッとした動画を撮ってなかったからな。たまには何も考えずに楽しむ物も良いだろう。

 

 

尚結果は圧勝した。早い相手にはウェブが効果的なのだ。途中からズルいと言われ、ロックマンに切り替えたけどそれでも遠距離攻撃のある無しは大きい。

動画の出来も結構良かったし、アップロードが楽しみだ。

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