奥多摩個人迷宮+   作:ぱちぱち

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誤字修正、244様、アンヘル☆様ありがとうございました!


第百七話 VSコカトリス

『やはり、魔法に対しては耐性があるね!』

 

 バジリスクに対して一斉に魔法を放つがどうも効果が薄い。特にここに来るまでほぼこれだけで何とかなっていたフレイムインフェルノが効き辛いのは辛いな。そろそろ新しい魔法が必要になってきたか。

 まぁ、今回は31層の突破が目的だ。バジリスクの脅威である石化の視線は封じた。毒は相手と距離を取れば問題ないし、俺のスパイダーマン形態にとって簡単に動きを封じられるバジリスクは完全にカモだ。ついでにいくつか試したい事もあったので、このままバジリスクには30層台攻略に向けた練習台になってもらおう。

 

「準備おっけー!」

『よし、サンダーボルト!』

「サンダーボルト!」

 

 拘束したバジリスクに向かってウィルとシャーロットさんのサンダーボルトが放たれる。俺の拘束の上から電流で焼かれ、バジリスクが悲鳴をあげる。が、まだ仕留めきれてない。

 

「てい!」

 

 一花が投げたナイフのような物が拘束されたバジリスクに突き刺さる。あまり使わない武器だがちゃんと当てられたか。

 

「サンダーボルト!」

 

 そして、一花が投げたナイフが突き刺さったのを確認し、ケイティがサンダーボルトを放つ。すると、通常なら雷の様にバラけていくサンダーボルトがナイフに吸引されるように集まり、一本の太い電流となってバジリスクを襲った。けたたましい悲鳴を上げてバジリスクは瞬時に煙のように消え失せた。

 

「おー、すげぇ」

『次は拘束してすぐに使って効果を確認してみよう』

「イチカ、忍者みたい! カッコいい。ニンニン」

「いやー、それほどでもあるかなーいてっ」

 

 鼻が伸びた一花の額を指で弾く。調子に乗り過ぎるとこいつは失敗しやすくなるからな。普段はともかくダンジョン内では早めに止めとかないと。

 そのまま俺達は31層の探索を続ける。マッピングもそうだが、バジリスクの魔石とドロップを集めるのも目的だ。これだけ魔法への抵抗力が高い上に蛇革だからな。20層のアニマル軍団を相手にしてた時から懇意にしている革職人が是非扱ってみたいと言っていたし、色々とスーツ作成で手伝って貰っている恩返し半分、新しい素材の実証実験半分という感じで素材集めをしている。32層の敵によってはそのまま32層を攻略する可能性はあるが、流石にゴーレムの時のように同じ敵ばかりという事はないだろう。

 

 次のバジリスクにはさっそく一花のナイフ投げとサンダーボルトのコンボを仕掛けてみる。結果は、なんと1発で敵を仕留める事に成功。外皮の下の抵抗力はそれほどでもない事が分かった。こうなれば後は簡単だ。拘束、ナイフ投げ、サンダーボルトのコンボで楽々とバジリスクを攻略成功。ボードを使って水路を渡った真一さんのチームとは別に俺達は着々と魔石と素材を集めた。

 

「お兄ちゃん、そろそろ合流しようって」

「オッケー。じゃあいよいよボスとのご対面だな」

 

 暫くすると恭二たちがボス部屋付近までのルートをマッピングし終わったと無線で連絡してきた為、合流しやすい位置まで移動しゴムボートで迎えに来てもらう。この水路を何もなしで渡るのはやはりキツそうだったので、ボートは必須装備になるかもしれない。

 

「こうなると船舶操縦士免許がほしいな。二種の小型免許があれば運転できるんだろ?」

「ああ。まぁそうだな」

「私はマリンバイク・ライセンスが欲しいかなぁ」

「私も、マリンバイク・ライセンス取りたいデス」

 

 実際に公海に出るわけではないので免許自体は必ず必要という訳ではないが、やっぱりないよりはあった方が良い。恭二がそう真一さんに尋ねると横から沙織ちゃんがそう答え、それにケイティが賛成、とばかりに声を上げた。この調子では今年も皆で沖縄に行く事になりそうだなぁ。

 

 

 

「……にわとり?」

 

 ボス部屋をちらりと覗いた一花がそう言ってひょい、と顔をこちらに向ける。うん、お前の目はおかしくない。あれはどうみても鶏だな。ただ、サイズが人より大きいだけで。

 

「バジリスクを従える鳥……コカトリスですか?」

「そうかもしれませんね。と言う事は」

「石化警戒。あと、猛毒だ。剣や槍は使っちゃだめだよ? 槍伝いに毒を送り込んで殺す逸話があるから!」

 

 一花の声に了承を唱える。ボス戦はメンバーを入れ替え、前列に俺、真一さん、恭二の三名が並び、後列に一花、沙織ちゃん、シャーロットさんのヤマギシ第一チームで行う。接近戦主体のウィルは今回論外だし、ケイティや他の二人もまだまだ連携では初期メンバーには及ばない。それに、このメンバーは未知の敵に慣れているからな。

 全員がゴーグルを装備。毒を受けないようにバリアとアンチマジック、それにレジストは再度かけ直し、空気が汚染されている可能性も考えてエアコントロールの魔法もかける。鉱山階層以外ではそうそうかけないんだが念のため、という奴だ。

 

「よし、じゃあ一郎、先陣は任せたぞ」

「りょうかい。いくぜ!」

 

 まず先行して俺が注意をひきつける。コカトリスの石化を防げるかは分からないから、他の人間がカバーに入れる位置をキープしとかないとな。ウェブを使って天井に移動し、そこに張り付いて陣取った俺にコカトリスとバジリスクの視線が向く。少しの違和感はあったが、問題なく動ける。ゴーグルはしっかり役目を果たしてくれたようだ。

 

「てやー」

「えい!」

 

 そこに一花と沙織ちゃんのナイフ投げが決まる。昔はボールを投げるのにもへろへろな玉を投げていた沙織ちゃんも今じゃ立派な冒険者。ストレングスも重ねがけした筋力でのナイフの投擲は200km/h近い速度で目標に命中し、大きなダメージを与えた。

 

「サンダーボルト!」

「サンダーボルト!」

 

 そこに真一さんとシャーロットさんのサンダーボルトが飛び、2体のバジリスクを一撃で消滅させる。コカトリスは上に気を取られていた隙に取り巻きが消えた事に気付いたのか戸惑ったようにきょろきょろと周囲を見回し、その頭を恭二のレールガンが貫いて霧になって消えた。

 

「思ったよりも弱かったね」

「ゴーグルで石化も阻害できるし……兄貴」

「ああ……行こうか、32層」

 

 ドロップ品の尾羽を拾いながらそう宣言する真一さんに周囲の面々も頷いた。32層もこの調子で行ければ良いんだがな。

 

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