一言
『頑張ります』
(苦しいなぁ・・・)
病室で咳をしながらそう少年は思う。少年の名は荒木 星夜。10年間、病室で寝たきりで過ごしている。
産まれて6年経った頃、星夜は突然下半身が動かなくなってしまった。病名は不明。医師からは手の施しようがないと宣告された。
其れからはずっと病院の個室のベッドで過ごしてきた。入院して間もない頃は通信教育で勉強したり、食事も出来た。だが、4年経った頃には全身動かなくなり、食事は儘ならなく、点滴で栄養を得ていた。
そんな姿を毎日見ていた両親はよく泣いていた。
「大丈夫」と声かけようとした事もあった。しかし、思うように口が動かなかった。
それから更に1年が経った。その頃には意識を失う事が日が経つにつれ多くなり、また意識を失っている時間も長くなった。
5年経った頃、両親の他に可愛らしい少女と少年の二人がいた。
恐らくは妹と弟だろう。両親と妹は自分を見て顔を歪ませていた。
そして、両親の瞳には涙が溜まっていた。
星夜「大丈夫・・・泣かな・・・い・・・で・・・」
安心させようと掠れながらも何とか声を出す。すると、両親は泣きながら、星夜を抱き寄せた。
ようやく声が出せた事に安堵する。しかし、其の直後に猛烈な眠気に襲われ、星夜はゆっくりと瞳を閉じていく。
星夜が瞳を閉じると、「星夜!?」「星夜、起きて星夜!!」と、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。しかし、次第に声は小さくなり、暫くしたら聞こえなくなった。
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星夜(あぁ・・・)
意識が段々と遠退いていく中、少年は両親に恩を返せなかった事、そして最後まで両親を悲しませてしまった事を後悔していた。
星夜(もし次の人生があるならあの主人公の様に成りたいなぁ・・・)
そう願った。自分の父親が漫画家で良く漫画を書いては持ってきては読ませてくれていた。
漫画の内容は死んだ主人公の少年が肉体を持たない幽霊となり、魔法と肉弾戦で悪魔達と戦い、最終的に龍の力を得て、魔物や魔王、時には悪人を倒すという物語。入院して2年経った時に読んだ漫画で当時は其の存在を格好いいと思った。
特に龍の力を得た時の姿は特に可愛くて、そして格好良かった。少女の様な中性的な容姿に長く薄い緑の髪、金色と銀色の瞳を持ち、白い肌をした主人公。其の姿と丈夫な体を羨ましいとも思った。
《確認しました。“竜種“の情報を入手して、統合します・・・・・・成功しました。星夜は“
魔法の情報及び武術の情報を入手・・・成功しました。ユニークスキル『
突如響いた声に星夜は何の声だろうと思ったがどうでも良いか、と判断する。そして今迄の自身の人生を振り返る。
星夜(体が丈夫だったらもう少し他の技術を学ぶ事が出来たのかな・・・)
未だ入院する前、星夜は様々な技術を学んだ。観察する事が好きだった星夜は良く他者を観察して、時には師事する事で其の技術を学び、独自の技術にしたりした。星夜自身新たな技術を覚える事が好きだった。体が丈夫だったらもっと様々な技術を学びたかった。
《確認しました。ユニークスキル『
やっぱり此の声は何だろう、と考えながら星夜の意識は闇に呑み込まれていく。
此れが死、と星夜は最後に思った。
その思考を最後に、星夜は16歳という若さでこの世を去った。
続く‥‥