転生したら竜魔人?   作:レベル

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『水圧推進』獲得迄どう持っていくか悩んだ。



対岸

  星夜が三上と行動を共にしてから数日後。星夜と三上は湖の近くに立っていた。

 

星夜「…本当にやるんですか?」

 

悟(ああ!何かあった時は任せるぞ!)

 

  星夜が不安そうに呟くと三上は自信満々に返す。星夜は心の中で本当に大丈夫かなぁ、と呟いた。

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

  事の発端は数分前。其の時に星夜達は休憩を取りながら、スキルの練習をしていた。

 

  スキルの使い方を知らない星夜は、三上(と言うよりは大賢者)に教えてもらいながら使用していた。

 

  そして、練習を何回も繰り返している内に現在では自由に扱えるように成っていた。

 

  空間移動をしてみたり、『重力操作』で飛んでみたり、『模倣者』で右手をスライムの様にしたりしており、また『万物感知』の練習の過程では『痛覚無効』のスキルも獲得できた(なお痛みで死にかけた)。

 

  そして三上が何か名案を思い付いたかのように星夜に話し掛けてきた。

 

悟(なぁ、星夜)

 

星夜「何でしょうか?」

 

悟(俺を水中に投げてくれないか?)

 

星夜「・・・・・・はい?」

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

星夜「・・・本当にそんな事でスキルって手に入るんですか?」

 

  不安そうに聞く星夜。三上の話を簡単に纏めると『水中で三上が『捕食者』を発動して水を吸い込み、其れを吐き出す事で新たなスキルを手に入れられるか』という実験を行うというものである。

 

悟(大丈夫だって。失敗しても星夜の『瞬移(ムーヴ)』でどうにかなるだろ?)

 

  ウキウキとした感じで返答する三上。『瞬移』は星夜が『魔術者』で作った魔法で簡単に言えば『瞬間移動』ある。

 

星夜「・・・『瞬移』の魔法は未だ“作った“だけで練習とか何もしてないんですけど」

 

  呆れた様に星夜は答える。『瞬移』の魔法は作ったばかりであり、一度も試したりしておらず、『(()()())()()()()()()()』という事だけで作ったというものだ。

 

  ――つまり()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()3()()()()()()()()()()()()()()。そして三上は其れを知っているのに大丈夫と言っているのである。

 

悟(じゃあ俺が失敗した時に練習出来るな)

 

  其の言葉に星夜は三上を止める事は不可能だと判断し、盛大に溜め息を吐く。

 

星夜(まぁ・・・もし危険だったら『大賢者』が止めてるだろうし、止めてないなら大丈夫か)

 

  そして心の中でそう結論付けて、星夜は三上を持ち上げる。

 

星夜「・・・何処まで投げれば良いですか?」

 

悟(中央辺りで!!)

 

星夜「分かりました」

 

  星夜は三上を右手に持ち、『身体操作』で身体能力を少し上げると思いっきりぶん投げる。三上は綺麗な放物線を描きながら落下し、水中に沈んでいった。

 

星夜(さて・・・どうなる?)

 

  そう考えながら暫く待つ。すると水中から三上が勢い良く飛び出した。

 

  取り敢えずは三上の『捕食者』で水を吸い込み吐き出すという事は出来たという事である。しかし、此処で問題が発生した。

 

悟(うわあぁぁぁぁぁぁ!!)

 

星夜「・・・・・・やっぱりか」

 

  予定では星夜の居る方に飛んでくる事に成っているのだが三上は反対方向に飛んでいく。実験を聞いた直後に星夜は可能性の1つとして、威力や方向の調整が出来るのかと訊ねたのだが、其の時に三上の『大丈夫だ、問題ない』という自信満々の返答に星夜は嫌な予感がしていたのだ。

 

  星夜は『瞬移』を発動しようとしたが発動するより先に三上は其のまま対岸に消えていく。

 

星夜「・・・はぁ」

 

  星夜は再度溜め息を吐くと『重力操作』を使って、三上を追って対岸に飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ――因みに『重力操作』を使って飛ぶか、『魔術者』で移動魔法を作れば直ぐに対岸に渡れた事に気付いたのは三上を追って対岸に着いた後であった。

 

 

 

□■□■□■

 

 

 

星夜「大丈夫?」

 

悟(お、おう、なんとかな!!)

 

  三上に訊ねると三上は体の一部を伸ばして大丈夫のジェスチャーをする。星夜は一応『万物眼』を使って三上を見るが三上の言うとおり怪我はしていなかった。

 

悟(お、そうだ!さっきので『水圧推進』のスキルを獲得したぞ!!)

 

  三上の報告に星夜はそうですか、と返し、ある事に気付く。

 

星夜(此所だけ他の場所より明るい?其れに・・・)

 

  星夜は不思議に思った。星夜は『万物感知』により周囲の魔素が此所だけ他の場所より以上に多いことと背後にとんでもない程の存在感を放つ存在が居るのを感知したのだが其の存在を何故か懐かしいと感じているのだ。

 

  星夜は振り向き、そして其のまま固まる。そして何故魔素が此所だけ濃いのか、何故とんでもない程の存在感があるのかを理解した。

 

  星夜の背後に居たのは一体の竜。黒光りする鋼よりも硬そうで、柔軟性も兼ね備えているであろう鱗に覆われ、見るからに、邪龍という風格をした竜だった。

 

星夜(・・・何で)

 

  星夜は戸惑っていた。眼前に居る竜に恐怖は確かに感じているのだが其れ以上に懐かしいと感じている事に戸惑っていた。

 

  星夜は竜の顔を見ると竜は星夜と三上を交互に見ていた。星夜が呆然とする中、星夜の頭の中に声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ――聞こえるか?小さき者よ

 

 

 






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