お待たせして済みませんでした!!!
(聞こえるか?小さき者よ)
頭の中に響く声。其の声もやはり何処か懐かしく星夜は感じていた。
(おい!聞こえているだろう?返事をするが良い!)
また頭の中に声が響く。返事をしないためか少しだけ怒気が含まれている。
星夜は慌てて返事をしようとするが先に三上が返事をした。
悟(うっさい、ハゲ!)
三上の返した返事に星夜は頭の中で「死にたいのかな?」と呟いた。
(・・・ほ、ほほぅ! 我の事をハゲ呼ばわりするか・・・いい度胸ではないか!!! 久方ぶりの客人だと思って下手に出てやったが、どうやら死にたいらしいな!)
再度響く声に怒気が含まれているのを感じ、星夜は「あ、死んだな」と他人事の様に小さく呟いた。一方、三上の方は――
悟(すんません! 返事の仕方も分からなかったもので、適当に思った事を試しに言ってみただけです。本当に申し訳ない!
ちなみに自分、目も見えない状態でして、貴方の姿すら見えてないのですよ)
体の半分を伸ばし、連続で上げたり下げたりして謝っていた。そして星夜は目が見えないという部分で納得していた。目が見えている状態で竜相手にハゲ呼ばわりなど誰が見ても自殺志願者か只の馬鹿のどちらかである。
(ふふふ。ふはは。ふはははははっ!!!)
突然笑い出す竜。何が面白いのか星夜にはさっぱり分からない。
(面白い。実際、我の姿を見ての発言かと思ったが、目が見えないのか。スライム種は基本、思考もせず吸収・分裂・再生を繰り返すだけの低位モンスター。自らのテリトリーから外に出る事はめったにない)
笑いながらスライムについて語り出す竜。其の声に怒気は含まれてはいない。
(そのスライムが我に体当たりを仕掛けてくるから不思議に思っていたのだ。再生能力も異常な速度だしな。其れに――)
竜の視線が三上から星夜に移る。星夜は真っ直ぐに竜の顔を見る。
(そちらのお前は『竜魔人』か。最初は我が姉のどちらかの子か我が兄の忘れ形見の一人かと思ったがどうやら違うようだな。お前の容姿や雰囲気は我が姉二人と兄のどちらにも似ていないしな。お前の容姿や雰囲気は今は亡き筈の我が姉と我が姉が恋した勇者に似ているな)
そう呟きながら星夜を見詰める竜。星夜は「我が姉?勇者」と小さく呟き、首を傾げた。しかし其の呟きを気にせず、竜は改めて三上の方を向く。
(ところでスライムよ。お前、目が見えないのだろ)
悟(あ、はい)
(見えるようにしてやろう)
そして竜は見える様になっても怯えない事、また話をしに来る事という二つの条件を出し、三上は其の条件を呑んだ。
其の後、三上は竜から『魔力感知』を教わり、星夜は離れた場所で其の様子を観察した。そして、数分後、湖の方に跳ねていき湖を覗き込むように見詰め、「やっぱり俺、スライムなんだ」と呟いた。そして三上は竜の方に跳ねていく。
悟(あ、なんか出来たみたいです。ありがとうございました―――ってげえぇっ! ドラゴン!!!!!)
改めて竜を見た三上の心の叫びが、絶叫となって迸り出たのだった。
次回『竜による(異世界)講座』