エターナる短編集   作:ENE

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オリ主♂がアルベドさんに転生憑依して色々なものに振り回される話。
途中シリアスな振りをしていますが基本的にギャグです。

※TS、性転換注意。
※Arcadia SS投稿掲示板とマルチ投稿。


TS転生憑依系メインヒロイン アルベドさんの因果な日常(原作:オーバーロード)

わたしの眼前に、()が存在した。

 

ナザリック地下大墳墓、玉座の間。――其処に。

黒を基調とした豪奢な衣装に身を包み、真白き髑髏を晒す異形の怪物が。眼窩には赤黒い光を灯し、身震いするような支配者としての覇気を放つ、絶対的な存在が。

 

かつての伝説――アインズ・ウール・ゴウン最後の一人が、己の右手をゆるりと伸ばす。

そして。

重苦しい声音を持って、その言葉を投げ掛けた。

 

 

「――アルベド。胸を触っても、良いか?」

 

 

なんで????

 

 

 

 

ある日、気が付いた時からアルベドだった。

何かが俺に触っている。形を整え、文字を刻んで、書き換え、是正し、何度も何度も組み替える。

なんだこれは。身体が重い。動きにくいぞワケが分からぬ。

俺は。俺は。俺は、――?

 

(わたし)は、誰だ。

 

 

「うーん、堕天使? いや、やっぱり悪魔だよなぁ。あとギャップ。何よりもやはりギャップが欲しい……」

 

眼前では気色の悪い何かが蠢き、節くれだった、無駄に長過ぎる四指を振るっては言葉を重ねる。

異形が居た。

肌は真っ白な、死肉の彩り。天井から降り注ぐ僅かな灯りを照り返す、吐き気のするような白だった。

 

焦点の定まらぬ白濁した両眼。

歪に膨れ上がった肢体を縛る、黒の衣装。

毛の一本も生えぬソレにとっての頭髪代わりとでも言うように、頭部から垂れ下がった幾らかの触腕。ソレが身動きする度にゆらゆらと揺れてキミガワルイ。

 

大錬金術師タブラ・スマラグディナ 。

 

それが。

ナザリック地下大墳墓 守護者統括――アルベド。という役割を俺に与えた、化け物の名だ。

 

 

ある日突然、意識が生じた。

幾度にも及ぶ設定の改変を繰り返し、外装の修正を施され、やがて俺と言う存在が完成する。

悪魔らしさでも望んだゆえか、黒山羊の如くに捩じれた双角。

膝裏辺りまで真っ直ぐに下りた、美しく滑らかな黒い髪。

腰から生えるのは堕天使の如き黒翼を一対。

そして何より、その美しさの裏側に隠れた悍ましき本性はまさしく化け物のそれだった。

 

異形である。

如何に上辺が美しかろうとも誤魔化しようのない、人とは異なる形の魔物。

命ぜらるるままに仄かな微笑を口元に湛えて立ち尽くす。玉座に侍る、だけのもの。

 

ああクソったれめ、身体が動かぬ。

時折、あの気色の悪い死肉の化け物が訪れた際や、その仲間であるらしい他の化け物共にナニカを弄られつつ命令された時だけは手足も動くが、全く違う。それは己の意思ではない。

どうしてこうなったのだろうか。己は、わたしは、俺は一体何なのだろう。

自分が何者なのか、という記憶が無い。自己の定義さえ全く叶わず、ただ命じられるまま此処に立つだけ。

 

いや。何者か、というのは知っている。

自分自身の意思によって定めたわけでは決して無いが、あの死肉のような蛸の怪物が設定した、己の役目は知っている。知っていて尚、身体は全く動かぬままに、所詮全てが設定(ロール)なのだと再確認をするばかり。

 

ごっこ遊び、人形遊び。

まるでゲームだ。

それも、他人が遊び、己はものも言えない背景役のみ強制される、最低の立ち位置から成るクソゲーだ。

 

そんな糞のような拷問が、随分と長く続いたような気がする。

気が付けば、此処も静まり返って独りきり。訪れる者も無い玉座の間にて、ただただ微笑み続けるばかり。

一体何時までこうしていれば良いのだろうか。

 

単なる役柄とはいえ姉と妹が居ると、知ってはいるが面識など無い。

守護者連中の統括役だなどという設定倒れ、突っ立っているだけの俺にとっては空言だ。

久方ぶりに見た死肉の化け物、もとい創造主サマは御大層な世界級アイテムを渡してそれっきり。

玉座に腰掛ける髑髏の化け物は、チラチラとこちらを見上げては宙空で指を振り回して身悶えしている。

……ああ。また何か、俺の中身を弄り回すつもりだろうか。そう考えて、心中のみでの溜息を吐いた。

別にそれに関しては今更気にする事でも無いのだが、所詮はただの雰囲気作り(フレーバー)。やってて虚しくないのだろうか。物に過ぎないこちらとしては、何が楽しいのか分からない。

なになに? ――『モ、モ、ン、ガ、を、あ、い、し、て、い、る』?

 

う わ あ。

 

うわあ、だよ。うわあ。

冗談にしてもこれは酷い。何か直近で辛い事でもあったのだろうか。でなければ、こんな文章素面で書けるわけもない。

玉座の間に掲げられた四十一の至高の御旗を指差して、一つ一つ、名前を唱えて浸っているが。

そんなシリアス面を今更見せても騙されないぞ。数秒前にお前がやらかした事を、他の誰でもない俺だけが、何よりも明白な事実として記憶している。身体さえ動けば、手元の【真なる無】をそのつるつるした髑髏の頭頂部に真っ直ぐ全力で振り下ろすところだ。

所詮は物で、置物だ。自己の性別なんてろくに意識もしてないが、それはそれとしてどうかと思う。

……なんて、思ったところで伝わるわけなど無いのであるが。

 

ああ。まったく。ほんとうに。

身体は動かない。言葉だって通じない。楽しさなんて、欠片も無い。

なんて酷い話だろうか。

けれど。

 

これからもきっと、この融けた糞のような時間ばかりが続いていくのだろう。

ああ。なぜ。どうして。おれ、は。わたしばかりが、こんな――。

 

 

 

00:00:00

 

 

 

かちり。

 

 

 

 

モモンガは大層狼狽え、遂には降参とばかりに両手を挙げた。

 

「っす、すまないアルベド! そんなつもりは」

 

彼女の胸元から急いで右手を離すと、しどろもどろに言い訳を重ねる。

ただのゲームから、違和感ばかりの現実へと変じて後、僅か数分。

明らかな異常事態の調査をNPC達に命じた上で、現状の把握をする上での重要事、この状況がゲームシステムの影響下であるならば間違いなく許されない、性的な行為に対する可不可の確認。

 

あるべどの、おっぱいを、さわる。――という行為。

嫌がられた、というか凄く白い目で見られていた気もするが、行為自体は行えた。すごくやわらかかった。

 

が、今、モモンガという名の彼が動揺している理由はそれではない。

 

己の有する、接触した相手にダメージを与える<負の接触>というスキルの自動発動。

脈を計る為に掴んだ細い手首、性的な行為が可能か否かを確かめるために触れた彼女の乳房。

その双方において、モモンガの行った物理的接触はアルベドに対して明確な痛みを与えていたのだ。

 

ほぼ初対面の女性に対し。

仲間の残したNPCに。

こんなに綺麗なひとに、自分は。俺は。――なんて事を!!

 

モモンガは甚く動揺した。異性への免疫の無さやかつての仲間に対する執着等々、理由は様々あるのだが、とにかく焦って頭を下げた。実に支配者らしからぬ行いであるが、今に限ればそこまで気を回すような余裕も無い。

 

 

対するアルベド、守護者統括の任に就く拠点NPC。

先程まで掴まれていた己が乳房を覆い隠すように腕を組み、しかしその程度では全く隠れきらぬほどに豊満な女の肉が、柔らかく形を変えてモモンガの視覚を打ち据える。

 

羞恥か苦痛か怒りのいずれか、僅かに潤んだ黄金の瞳と赤黒く燃ゆる不死者の視線が僅かに絡み、女のそれだけがすぐさま己の膝元へと逸らされた。

血が昇り赤らんだ美しい顔で、幾度か躊躇うように口元を動かし、声が届く。

 

「モモンガさまは、……乱暴です」

「うぐぅ!!」

 

下唇を軽く噛み、綺麗な声音で文句を言った。

言われた側の、死の支配者の全身が輝き、精神の沈静化が行われる。ある筈の無い胸元を掻き毟りたくなるような、謎の羞恥と雄の悦びがモモンガの心を乱すだけ乱して、再度の沈静化。そこまでしてようやく、表面上は平静に見せかけられる程度にまで持ち直した。

 

「す、すまにゃ、……すまにゃい」

 

噛んだ。しかも二回噛んだ。

 

言い直しても言い直せずに、しかしそれを指摘するだけの余裕が、今の二人には全く無い。

骨の手の平で髑髏を隠し、声にならない胸中のみでの言い訳を幾つも幾つも呟いて、玉座の上で固まるモモンガ。

真っ赤な顔で俯いて、主の足元に跪いた姿勢で何も言えないままのアルベド。

 

そんな二人が動き出すまで、今はまだ、僅かばかりの時間が必要だった。

 

 

 

 

ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!

 

 

このっ、骨っ! 骨ッ!! 骨ェエ――ッッ!!!!

違う違う違ァーうっ!!

ときめくな(おれ)の心、揺れるな(わたし)の心ぉおっっ!!!

 

落ち着け。これは設定の、そう、全ては設定のせいなのだ。

己の内側、最も重要な部分に『モモンガを愛している』などと記述されたからこそのもの。

決して、決して俺が男に、というか骨に触られただけでドキドキするようなアレだというわけでは絶対ないのだ。

 

逃げなければ。

 

俺は、一秒でも早くこの部屋を脱出する必要がある。

ああっ、しかし、でも! すぐにでも玉座の間を出たいのにっ。

む、むむむ、胸を触られたせいで腰が抜けて立てないィ――!

 

おののののれももももももももんがさまめ。

このうらみ、おれはけっしてッ、けっしてわすれたりなんてしないんだぞぉ……ッ!

 

何時か必ず、目にもの見せてくれるわー! クケェーッ!

 

 

 

 

かくて伝説は幕を開ける。

 

総員刮目せよ。これなるはアインズ・ウール・ゴウン魔導国勃興に纏わる黎明の時代。

そこで起きた、決して忘れられる事無き闘争の記録。

そう。

 

 

――これは、メス堕ちに抗う物語。




本当はネカマプレイヤーがアインズ様にガチ恋されて異世界監禁生活レディファイッ!!する話を書きたかったけど書けなかったのでTSリベンジしてみた話。

以下、設定。


 アルベドさん
TS憑依。モモンガ様に話しかけられるだけでドキドキするけどフレーバーテキスト(設定)なんかに絶対負けない!(本人談)
憑依もとい転生系主人公だけど原作知識どころか前世の記憶も残っていない。
これは基本的にこの人が勝手にときめいて内心で「ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」するだけのお話。

 モモンガさま
憑依ベドさんの事を「表面上は超クールな出来る女上司みたいに見えるけど、何気ない接触(指先が触れるとか)だけでお顔真っ赤にする純情系清楚系美女」だと思っている。
多分シャルティア戦辺りでアルベドさんに無自覚完全攻略されて幸せになる人。
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