神野区出身って…転生早々詰んでるんですけど 作:雪の轍
コミックないと無理と気づき、
とりあえず一巻を買って、
ああやっぱり面白いと再確認した今日この頃。
前半ちょっとあれです(´・ω・)
そして、時は流れて9年後……
私が12歳の時だった。
外では忙しく蝉が鳴いている、
茹だるような蒸し暑い夏の日だった。
母が病気で亡くなった。
まだ年の若かった母は、病の進行が早く、おかしいなと思った時には、手の施しようがない程に進んでしまっていた。
この超常社会でも、治すことが出来ない病はあるらしい。
お葬式の準備は『
母の親族は既に亡く、どうやら天涯孤独の身であったらしい。
それでも母のお葬式には沢山の人が来てくれた。
『MilkyWay』のお店の人やお客さんだった人達、『ホスト
母は沢山の人に好かれていたらしく、娘として嬉しく誇らしい。
今後をどうするか、どうしたいかをママや巧朗に聞かれた。
施設に行くのではなく、このまま母と暮らしたアパートに、神野の街に住みたいと言ったら、難しい大人の事情とかは二人でなんとかしてくれた。
お金も母が私の為にと沢山貯蓄を残してくれていたことを知った。ちょっとビックリするぐらいの額の貯蓄に、母の月収が一体いくらだったのか……恐ろしい。
また保険もおりて、すべての財産が私の手元にきた時、過ぎるほどの大金に少々気が遠くなった。
どれくらいの大金かというと、もう一度生まれ直して、普通に義務教育を卒業し、大学へ進学して尚、暫くは何もしなくても生きていける程。
そしてもう一つビックリした事がある。
母の実家が還ってきたのだ。
どうやら入院中の空いた時間に買い戻していたらしい。
道理で母の病室には、人の出入りが激しかった訳だ。
巧朗も使いっぱしりにされていたのか、忙しそうにしていた。
修繕までは手をつけれなかったらしいが、いつかいつかと言っていた家が還ってきた事は感慨深い。
このまま修善をして、アパートから移るかも考えたけれど、まだ暫くはアパートに住み続ける事にした。
私と母の思い出が残っているのはこのボロいアパートだったし、移り住む時は母と一緒がよかったから、まだ気持ちの整理がつけられない。
維持費に出費はかさむだろうが、私の気持ちの整理が着くまで、母の実家には待っていてもらおう。
母の実家が大事な事にかわりないし、これからもずっと大事にしていきたいと思う。
また、母が入院中に初めて聴いた事がある。
私の"父"についてだ。
話を聴いた時、母はほんのり照れくさそうにはにかみながら教えてくれた。
出会いは"ホステス"と"お客さん"だったそうな。
父はサポートアイテムを販売する会社の開発主任をしていたらしく、大変優秀だったのだと。
そんな父の慰労を兼ねてか、会社の役員さんが母の居るクラブ『MilkyWay』へ連れてきたらしい。
余談であるが、巧朗との出会いもこの時だ。
この時の巧朗は父と同じ会社で働いており、営業の若手トップとして、父と同じく役員に連れられていた。
父は最初はまったく話そうとせず、おどおどとしていたそうだが、母が自分の部屋を改造した事があると話に出すと面白い程食いついたそうだ。
母も父も、もの
順調に愛を育み、ちょうど母と婚約した頃。
父の会社に巨大化した人が突っ込んで来て、それに巻き込まれて父は亡くなった。
父の会社に恨みがあったという訳ではなく、ただ酒に酔っ払った末の個性暴走による事故だった。
あまりにも突然で、母は泣いて泣いて、暫く家に引きこもるように暮らしたと言う。
そんな時だ。母が私を妊娠している事を知ったのは。
自分は天涯孤独の身で、
まだ挨拶にも伺えてなかった父の親族を頼る訳にもいかず、
普通なら産むのを躊躇ってしまいそうな状況で、母は即決した。
「絶対私が幸せにするからねって」
「お父さんのことを話すの、ちょっと恥ずかしいし、今でも思い出すと悲しくなっちゃうこともあるから、今まで言えなかった。ごめんね」
首を振る私の頭を、母はいつものように優しく撫でた。
「
髪の毛から目元へ、母の細くなってしまった手がなぞる。
私を見つめる母の目に仄かに見える、心配の色。
「ねぇ、結子ーー
貴方が、何か、やりたいことがあって、その為に勉強や運動とか頑張ってたことは知ってる。
その何かを……私は気づいてあげれなかった」
これは母が何年も胸に溜めていた言葉なのだろう。
母はまっすぐに私を見つめている。
「あ、のね……お母さん、それは……」
どう説明すればいいかわからず、それでもなんとか言葉にしようとすると、母は私の口に人差し指を置いて首を振る。
「わからなくてもいいの。それでもずっと結子のそばで応援してあげようと思ってたの……でも、ごめんね。もう少し、一緒にいてあげられると思ってた」
胸が痛かった。
なんで母は私を問い詰めないのだろう。
なんで私は……こんな時になっても、母に打ち明けられないのだろう。
「…………やだよ、謝らないでお母さん」
「結子は一人で頑張り過ぎちゃう所があるから、ちゃんと周りの人を頼るようにね」
「ねぇ、やだってば、今そんな事言わないで……」
「今だからちゃんと言うんでしょ」
「だって、泣いちゃいそうだから……」
「ふふ、もう泣いてるじゃない」
母は私の涙を掬って、そっと小指を絡ませる。
「約束する。お母さんはこれからもずっと、結子の幸せを見守ってるから」
泣くのを堪えきれなくなった、私の顔はきっとすごくブサイクだっただろう。
そんな私を母はぎゅっと抱き締める。
「おがあさん、だいずぎ……!」
「私も結子がだーい好き!」
その日の母の笑顔を、私は一生忘れない。
ーーーーーーーーーーー
そして、また時は流れて
3年後の、2月26日。
雄英高校の一般入試の日である。
受験票に筆記用具、また普通の受験では使わないであろう運動着。
忘れ物がないか再確認し、私は雄英高校の巨大な門を潜る。
巨大なのは門だけではない。
ガイダンスが行われる講堂しかり、ここまでの通り路で見た教室や、昇降口、下駄箱、そもそも廊下自体が幅広く、全てがビッグサイズだった。
流石、雄英。規格外である。
自分の受験票の番号を確認しながら、講堂の席に座る。
既に沢山の人で溢れる講堂の中は、受験前のピリリとした空気が流れていた。
そして時間となり、現れたのはプレゼントマイク。
やかましい程のハイテンションでガイダンスは始まった。
これから行われるのはヒーロー科志望に実施される実技試験。
私達受験生はいくつかの演習場にわかれ、仮想
仮想
制服をきっちりと着こなした、少し神経質そうに見える眼鏡の少年。
私は彼の名前を知っていた。
ーー
彼がいるという事は、その近くには緑谷出久と爆豪勝己がいるはずだ。
(やっぱり同い年だったんだ……)
去年の春先、ニュースでヘドロ事件が取り上げられたのを見た。
(欲を言うなら、ヒーロー免許を取り終えた後で、個性をもっと鍛えた後がよかったけど……)
震えそうになる手を拳を握る事で抑える。
(ポジティブに考えよう。タイミングを計りやすくなったって事だから)
しかし時間がないのは確かで、足踏みをしてる余裕はもうない。
この入試に必ず受からなければならなかった。
運動着に着替え、私は演習会場Cに来ていた。
市街地を模した演習場は大きく、左右を見渡しても、かろうじて演習場の端が見えるか見えないかという程だ。
こんな演習場が何個もあるって、やっぱり雄英高校は半端ない。
会場の中に少し入ると、足元に線が引かれていた。
どうやらこの線がスタート位置らしい。
続々と先頭目指して受験生達が集まってくる。
私は先頭から離れ、ゆっくりと受験生の顔を見回す。
(知ってる顔は、無いか……あ、いや、あの紫の髪は、もしかして)
そっと近づいて様子を見ると、予想は当たっていた。
紫色の髪に、不健康そうな目の下の隈。体が細く、ヒョロりとした男子は、
主人公達と出会うのは体育祭の時で、彼は普通科に通っていたはず。
(……なら、
ヒーロー科のクラスメイト(予定)がいないこの演習場であれば、気兼ねなく全力を出せる。
(筆記が不安な分、実技では多くのポイントを稼ぐ!)
やるなら徹底的に、圧倒的に。
『ハイ、スタートー』
プレゼントマイクのちょっと間延びした声がかかると同時。
ーキイィンー
金属音に似た甲高い音をたて、『星』を形成する。
その数"50"。
星を出せる数は成長していくにつれ次第に増え、
出現時にポコンと可愛らしい音をたてていた星は、形成スピードを早くしようとすればするほど、鋭く甲高い音へと変化した。
一目散に星達は市街地内へ散らばる。
操作性の向上目指して頑張ってきた甲斐があり、今では星の一つ一つを自在に動かせ、飛ばすスピードも風切り音がするほどになった。
自分から遠く離れる程、操作性は落ちてしまうが、それでもこの試験会場の市街地内であれば隅々まで星を行き渡らせることが出来る。
目を閉じ、星から感じ取れる情報にのみ集中する。
大通り、建物の間、ビルの屋上、街のいたるところに動く無機物の反応。
「ーーファルガ」
一斉に星からレーザーが放たれ、空から無数の光が仮想
遠目に見える光の雨を、他の受験生達は唖然と見つめていた。
そこに再度プレゼントマイクから走れ、賽は投げられている、と発破がかけられ、ようやく動き出す。
出遅れたと焦ったのか速く遠くを目指して走りだし、スタート地点には、ほぼ受験生の姿がなくなった。
多くの星を同時に動かす為、集中を要し身動きがとれない結子の他、既に受験を諦めてたのか、うなだれるように立っている人が数名である。
その数名の中に、心操の姿もあった。
話しかけたのはちょっとした好奇心だった。
「ねぇ、貴方は行かなくていいの?」
彼は驚いたように此方を振り向いた。
「……関係ないだろ。あんたには」
「まあね。でも君はヒーローに成りたくてここに来たんでしょ? もう諦めちゃうの?」
心操は顔を歪めて何かを言おうとして、また口を閉じて息を一つ吐いた。
「……あんたみたいに、あつらえ向きの個性を持ってる奴に、わかるわけないだろ」
「……そう。でも、ここまで個性を伸ばすの結構大変だったよ?それに、身体を鍛えるのも」
一度、星からの感覚共有を切って、心操に向かって走り出す。
拳を握り締め、大きく振りかぶる。
ぎょっとする心操の後ろ、1P仮想
視覚センサーがあると思われる頭部を狙ったら、そのまま仮想
「うわ、思ったより脆い!」
バチバチと音をたて動かなくなる仮想
「言っとくけど、私が怪力な訳じゃないからね。
一般の中学生に相手させるんだから、仮想
もちろん素手で破壊するのはきついだろうが、持ち込み自由なこの試験。
私は鉄鋼入りグローブを申請していた。
そのグローブを外し、心操に向かって投げてみる。
心操は危なげにそれを受け取った。
「突っ立ってないで、やるだけやってみれば?
私も絶対受かりたいから、もっと頑張る」
ーーーーーーーーーーー
ーーモニタールーム
薄暗くした部屋にモニターの光が眩しい。
「すごいですね、彼女」
「開始早々、最高得点ですよ!」
各、試験会場をモニター越しに試験官である雄英教師陣がチェックしているが、一際目を集めたのは試験会場Cだった。
開始3秒にして、3Pを7体、2Pを14体、1Pを29体の仮想
ーー
「着実に得点を伸ばしてますね」
「お! 今度は階段使わずにビルの屋上まで上ったぞ!」
「壁の間を蹴って登るって、忍者ガールかよ!」
「ただのパルクールだ」
「それでも凄い。どれだけ練習を重ねたんでしょう」
「救助ポイントもちゃんと稼いでるわ」
「あの星、レーザー打ったり盾になったり、視覚外のロボも壊してるからセンサーも兼ねているのか……汎用性が高いな」
モニター越しに、少女はビルの屋上に立ち、突如暴れだした0Pのギミックを見据えていた。
試験時間は残り僅かである。
ーーーーーーーーーーー
暴れ、市街地を破壊する0Pの仮想
雄英高校を受験するだけあって、避難に入るのが早い。
(想像よりずっと大きい……星一つのレーザーじゃ貫通させられる威力ないし、倒すのに時間がかかる)
時間がかかれば、それだけ街を破壊される。
破壊される演習場が一瞬神野区の街並みと重なった。
(ーーうん、
星を0Pの周囲に集め、星と星とを光で結ぶ。
網状に張り巡らせた星達を全て光で結び、0Pは手を振り下ろそうとしている体勢でその場に固定された。
この光の紐はレーザーと同じエネルギー状であるが、拘束する事が目的の為、触れさせてもダメージを与えさせない。
技名すらないこの技は、パムーン自身が持っていた固有の能力だった。
ギチギチと音をたてる0Pヴィランは拘束されて尚、動こうとするのを止めない。
この技でこんなに重量のあるものを拘束するのは初めてだ。
巧朗を縛る程度なら負荷はかからなかったが、今は0Pに抵抗される度、指先からひきつれたような痛みが全身へ拡がっていく。
けれどここで拘束を解く訳にはいかない。
例え演習場とわかっていても、市街地をこれ以上破壊されるのは我慢ならなかった。
「ーー街を壊すな、
痛みに歯を食いしばり、0Pを更に強く縛り上げようとした時、プレゼントマイクの終了という声が試験会場中に響き渡った。
雄英高校 一般入試
実技試験が終わった。
月子姐さんの一生
神野区のちょっと裕福な家に生まれる
11歳の時、自分の部屋を改造
その後、何度も改造に手を加えていく
最終的には部屋がロボットのように変形合体するように??(嘘)
中学2年生になった頃、父の事業が失敗
多額の借金を負い、家を抵当に入れる
安いアパートに移り住み、両親は忙しく朝から夜まで働くように
この時の家事スキルが熟練者並みに
高校へ進学と同時、高給アルバイトを探し『MilkyWay』へ
ママに未成年ダメと断られるも、押して押して押し通して事務と経理のお手伝いの仕事をゲット
この時金勘定スキルが身につく
高校卒業後、『MilkyWay』の事務員として就職
借金を返し終わる!
20歳になる頃、父と母が交通事故により他界
天涯孤独の身となる
傷心
しゃんとしな、あんたが見送ってやらないでどうすると『MilkyWay』のママに叱咤され、立ち直る
『MilkyWay』にて事務兼ホステスを開始
ホステスとして一人前になる頃
とある会社の接待の席に呼ばれる
旦那と出会う
その後、婚約するも程なくして婚約者を失う
大分傷心、具合も悪く……え?妊娠?
奮い立つ母魂
全てを包み込むパワフルマンマへ
その後は本編へ
月子姐さんはマジ月子姐さん
父(故人)
名前 目空 光線(めそら こうせん)
個性 アイ・レーザー(目からビーム)
一流サポートアイテム販売会社の開発主任
ホステス月子が綺麗すぎて最初見れず
開発中はもうほぼ狂人
寝ない・食べない・帰らない
お願い休み取ってうちはホワイト企業なの、と上司に泣かれる
実はこの人…………
※捕捉※青山くん不在予定ですが、彼は彼で試験会場Aで出久くんと一緒に?頑張ってるよーって設定