最上の娘 作:かんよう植物
ワートリ原作再開おめでたいです!!!
「ここが三門市…そしてあれが、」
穏やかに吹く風が少女の腰にまで届く髪を揺らす。車でここまで、三門市へ来た少女はこれから暮らす家の屋上からある建物を見た。
それはこの街を守る者達の防衛基地。聞いてはいたが他の建物よりも高く大きい。まだ詳しくは教えられていないが、わたしもあの大きなハコの中でこの街を守る一員になるのだと、心が少し興奮して騒ぐ。
今月にボーダーの入隊式があり、その間までに学校の細かい手続きや仮入隊にも参加した方が良いらしい。全く分からないが。やることがたくさんあるなあと思いながらずっと大きなボーダー本部を見ていた。
彼女がじっと見ていると、後ろにいた男が呆れた声で話した。
「お前、ホントに一人暮らしなんて出来るのか?」
すっかり忘れていたこの学生らしき若い男は、
慌てて幼なじみの男に詫びる。
「ごめん、」
「まったく、アレ見ても別に良いけど一時間もずっと見てるとか飽きなさすぎだろ…」
「うん、色々考えてて飽きなかったよ。」
そう、唯は屋上に上ってから約一時間彼の呼びかけにも応じず立っていた。ただ視線をそらさずに。
やっとこちらを向いた彼女に呆れを少し残しながら話題を変えた。
「もう一回聞くぞ。本当に一人暮らしできるのか?」
「出来るよ。出来なくたってするから。」
「お前の祖父さん達だって反対してただろ。まだ中学生になったばかりなのに早すぎるって」
「お祖父ちゃんたちには悪いけど早すぎることないから!高校生になったら絶対いくって決めてたから“ちょっとだけ”早くなったの!だから大丈夫!」
心配性な彼は運転中に何度もした同じ質問をまた問うた。そして唯の返事も変わらず。
この世間に一人で放っていくにはまだ早いと感じられる生意気娘は三門市に行こうと以前から考えていた。それを祖父母らが厳しく咎めていたのも知っていた。
妹のような存在の唯を危険が日常とのに潜む三門市に住まわせたくない。ましては潜んでいる危険と対処するらしい機関に関わらせたくなかった。唯の祖父母も同意見らしく、元々近界民については決して唯の耳に入らないように情報をストップしていたほどだ。
しかし彼女がボーダーにスカウトされてからは今までの秘密にしていた情報は全て彼女の知るところとなり、そして唯はボーダーに興味を持ってしまった。
異界からある日突然現れた近界民、そして近界民を倒すために設立された三門市を守るボーダー。
スカウトに来ていたボーダーの隊員に説明され、入りたい欲がどんどん増した。
「ボーダーは強くなれるの?かっこいい」
こんな典型的な戦闘狂がよく考えることを言いながら。
周りは誰も彼女を止められず、スカウトしに来たボーダーの人達は笑いながら共感したり呆れたりしていた。
「おー強くなれるぞ~。そんでオレともランク戦で戦おう。」
秘密主義のボーダー上層部に外でこんな発言をした某A級隊員は叱られていた。「外で機密情報は話していないだろうな」と既に手遅れな事を聞かれながら。そうなることをまだ知らない男は唯に聞いた。
「県外に住んでるから引っ越さなきゃだが、それでも入りたいって思ってるなら来いよ。ボーダーに」
「入りたいです。わたしに出来ることなら。」
食い気味に答えた唯に祖父はため息を吐いて説得を諦めた。
祖父母とボーダーの職員が話し合った結果、今年中学生になる唯が一人で暮らすことを認められた。
ただし、住む場所は安全を考慮されたオートロックマンションになった。適当な安いところで住もううとしていた唯は知られた大人達に説教されながら子供は安全なところに住むべきだと諭された。
そこら辺はもう大人に任せて一人で走りに出かけた唯にもう2人の家族は断らせることを諦め、せめて環境を整えるだけでもと、家探しを始めていた。
1人で出かけたのに某A級隊員が一緒になって帰ってきた。「競争していた」そうだ。
「何かあったら祖父さんとかオレに連絡しろよ!それか周りの人!友達作れよちゃんと!」
口うるさい兄のような存在の、彼が乗る車が遠ざかるのを腕を振って見送りながら、唯はこれからのことについて考えた。
引っ越しが終わったら早めに来てくれとのボーダーから連絡があった。三門市に来た当日に行くのかと面倒くさかったが、引っ越しの手伝いをほとんどしなかったので疲れていないこともあり今日行くことにした。丁度今日が仮入隊の初日だ。
スカウトされたからか、迎えが来てくれるらしい。来るまではゲームでもしようと横たわりながら端末を探した。
▲▲▲▲
ピンポーンと音がした。遂に来たのかとドアを開けに向かう。開けるとこの前会ったボーダーの人達の中で自分に年齢が近そうな人がいた。自分よりも背が高く、茶色の双眼が唯を見下ろす。気のせいか前髪がぶっ込んでいるように見えた。
とりあえず挨拶をする。
「久しぶりだな、迎えに来たぜ。」
「こんにちは。わざわざすいません。」
「いや本部に行くのには隊員じゃなきゃ行けないんだ。まだその証を貰ってないから仕方ない。新入りは全員固まって最初は行くんだがおまえは連れてこいって命令だったからオレと二人だ。今日はオレがいるが次からは証を貰って一人で行けるようになるから心配すんな。名前はまだ言ってなかったな。出水公平、高1だ。よろしくな新入り!」
家から少し歩いたところで着いたのは警戒区域と呼ばれる一般人は決して入ってはいけない場所だ。
「ついでにここに来たが、ここは防衛任務時以外はオレたちも入っちゃいけないから入るなよ。危ないし、
そしたら本部に行けない?そしたら経路があるからそれを使う。三門市に点在する秘密経路だ。」
そしてまた歩くと他とは少し離れた場所に入口があった。
出水が懐から取り出した棒のようなものを入口前にある認識させる機械にかざすと、扉が開いた。
「これはトリガーって、オレたちが近界民と戦うのに必要な物だ。こんな風に秘密経路に入るための鍵にもなる。お前にも支給されるから失くしたりするなよ。」
経路に入ってからは世間話のようなものをした。
隊員になることが確定してるからか、以前は教えてくれなかったランク戦の簡単な説明やさっきのトリガーやトリオン体になるには体内にあるトリオンが必要だとか。
唯がスカウトされた理由はそのトリオンの豊富さによるものであったりとか。入隊前に仮入隊と言ってそこで頑張れば正隊員に早くなれるらしい。
あとは彼が所属する隊についても紹介された。ボーダーで1位の隊らしく、以前あったあのアゴ髭のタチカワさんが隊長で最強に強いとか。
タチカワさんはそんなに強かったのか…子供とかけっこで競争して負けたのに。
唯がそんなことを考えてるとは知らずどんどん出水はタチカワについて話す。最初は強いとか頼れる時は頼れる隊長だと褒めていたが途中から変な話になった。
モチが大好きで七輪で焼くのが上手い、きなこ餅が好きだが食べるのが下手で粉が良く落ちるのでボーダー内で禁止された、大学に入れたのは奇跡だと言われるほどの頭の悪さ。もう魅力とは言えない説明だった。
話しながら歩いていると早く着いた気がした。
「早く着いたな。そして此処がボーダー本部だ、さっきの道を直通だから最短距離だ。オレの案内はここまでだ。あそこに仮入隊者受付って書いてあるだろ?そこに行けば担当の奴らがいるから待ってな。」
「はい、出水先輩ここまでありがとうございました。」
「トリオン量は申し分ないし、運動神経も抜群だからすぐにB級にはなれるだろ、そしたら太刀川さんだけじゃなくオレともランク戦やろうぜ!」
返事をする間もないうちに、オレこの後用事あっからー!と走っていった。
忙しい人だなあと思いながら、唯はチラホラ受付に吸い込まれていく人達に混ざっていった。
着いたそこは【訓練室】と呼び、ここで隊員達は技術を高める。今日は仮入隊日なので普段なら沢山いる正隊員達も少ない。
時間が来るまで一カ所にまとまって待っていれば良いらしい。少しざわついている所から少しだけ離れて待つ。
親しい者がいるものは会話しているが、唯のように一人でひっそり待つ者もいた。
鼻が痒くなりずっと手で擦っていると一人が近づいてきた。
「さっきから鼻を擦っているが大丈夫か?」
突然話しかけられて驚いたが、鼻をずっと擦る姿を見られたと思うと恥ずかしくなり少し顔を赤らめながら答えた。
「いえ!心配かけてすいません、ただここに来てから鼻が痒くて…花粉症じゃないはずですけど。」
「もしかして君もスカウトか?それならまだ三門市に慣れていないのかもな。オレも少し緊張しているよ。新しい環境で体の調子を崩したのかもしれない。オレは村上鋼高2だ、よろしく。」
背が高い予想通りの年上の先輩だった。
「はい、私もスカウトでボーダーに入ることになりました。名前は、えっと…」
答えようとしてまた鼻が痒くなる。相手…村上も気づいたのか少し笑いながら待ってくれた。
「……すいません、私は最上唯です。今年の春に中学生になりました。」
「中学生か、微妙な時期に転校してきたな。もう5月だ。春休み中に来なかったのか?」
「住む家を探すのに手間取ったりしていたらこんな時期になっちゃって。一応休学の扱いになってます。」
「大変だな、小学校から中学は地味に環境が変わる。引っ越してからもまだ慣れてないだろ。分からないことがあったら教えられるよ、せっかくの同期だしな。」
「……ありがとうございます、村上先輩。」
初対面なのに優しい村上にかなりの好印象だ。
その後出身地や好きな物の自己紹介をしているうちに更に好感度が高まった。好青年過ぎて辛い。すると職員らしき大人がやって来て会話も徐々になくなりシーンと辺りが静かになった。
大人が前に出てきたところで話し始める。
「ボーダー本部長の忍田真史だ。君たちがボーダーに入ろうとする意欲に深く感謝する。この仮入隊では君達が頑張るほどに正隊員への道が近づくシステムになっている。簡単ではないが努力すれば必ずたどり着けるはずだと私は信じている、私からは以上だ。以降は嵐山隊に任せる。精進してくれ。」
そして忍田本部長が後ろに控えていた真っ赤なジャージを着た集団に声をかけ、退出していった。忙しい身の上の中、挨拶に来てくれたことに人柄が伺えた。
入れ替わるように前に出た若い男が出てきた途端、周りがまたざわめいた。「嵐山さんだ」「カッコイイ」「A級だ」どうやら有名人らしい。鼻が痒い。
「これからC級隊員になる皆。先程の忍田本部長が言ったとおりまずはボーダーに入ってくれてありがとう!オレはA級の嵐山准だ。これから皆には仮入隊ですることを説明する。まずは戦う為に必要なトリガーだ。これは皆にもこれから配られる…………」
出水先輩が簡単に説明してくれたことを更に深く掘り下げて話していた。話の途中に配られてきた例のトリガーをジッと観察してみる。やっぱりただの棒にしか見えない。
「…そしてこの仮期間中にもポイントはあげられる。説明は以上だ。とりあえずこれから訓練を始めるから、トリガーを起動してくれ!」
心の中で唱えてもトリオン体になれると言うが、イメージを高めるために口に出す者が多いらしい。
合図と共に皆が声に出し握りしめたトリガーの光が一際強まり、白い訓練服へと変身した。
初体験に皆興奮してそれぞれがお互いの姿を見比べていた。
村上もおーと言いながら自分の姿を観察している。
初めてのトリオン体にワクワクしていた。一人を除いて。
「うっ………」
「最上?」
唯はいきなり膝をついて顔をおさえてしまっている。
この異変を傍にいた村上がいち早く気づき、周りにいた訓練生達もなんだなんだと気付き始めた。一人が後ろを向くごとに他の人も気付き唯の周りには人だかりが出来た。野次馬のようにただ見ている者や、心配そうな目を向け嵐山隊に声をかけにいってくれる者、様々だ。
「どうした?トリオン体に異常があるのか?」
唯の背中をさすりながら声をかけてくる村上に、唯は苦しげに息も絶え絶えに喋る。
「なんか……凄く呼吸がしづらくて……」
「そこの訓練生大丈夫か?辛いなら診療室に行った方が良い。」
唯が覚えている限りのことはここまでだ。それ以降はおぼえていない。
意識を失う直前、感じていたのは違和感だけだった。痛いというわけではない。違和感を周りから強烈に感じる、何も考えられなくなるほどに。涙が出そうになるくらいに。
目を開くとベッドで眠っていた。
周りを混乱させてしまった。起きてすぐに自分の状況を
確認した。
「(ここが嵐山隊が言っていた診療室……確か訓練の前に倒れたんだっけ。)」
申し訳なさは迷惑かけた者がいないこの場ではすぐに消え、次にあの時感じた違和感の正体を見つけようと考える。今はもうトリオン体ではなく、生身となっている。
「(分からない違和感が多すぎて体が受けつけられなくて潰れそうになっていた、これはなんとなく覚えてる。)」
意識を失う前、唯は【違和感】だけを感じていた。他の人達が持っていたような唯の中にあった興奮や少しの緊張を全て塗りつぶして忘れてしまうほどの何か。
正体を見つけることが出来ないまま、診療室のスタッフが戻ってきた。眠っていた唯が意識を取り戻していることに驚いたものの、すぐにホッとしたような表情を浮かべ近づき唯の体をチェックした。
「最上さん、生身の体で何か体調は悪いところはありませんか?」
「えっと、大丈夫です。いつも健康です。強いて言えば、基地に着いてから鼻が痒いです。」
「鼻?花粉症ですか?ボーダーでは基本空調が効いているので花粉がそこまで溜まることはありません。もしかしたらトリオンによる突然の意識障害かもしれないので、これから検査をして貰います。少し時間がかかると思いますがよろしくお願いします。」
そのまま唯は調べるための部屋に連れて行かれた。
結果は、唯は【サイドエフェクト】を持っていることが判明された。
最上唯は人より多いトリオン量を持つため、その中でもトリオンが器官に影響すると稀に発現する超感覚。
唯の場合は【トリオン感知】だった。
自分以外のトリオンを
索敵などにかなり有利になる便利な能力だが、唯はこの力に慣れていない。生まれてから今までトリオンとは無縁の生活を送ってきたため、他の人のトリオンに耐性を持っていなかった、つまり
しかし、ここはボーダー本部だ。トリオンを見込まれて入った者、ある程度のトリオン量のラインを越えた者が何百人と同じ場所に密集しているのだ。当然耐性がないまま感覚が鋭くなるトリオン体になると、膨大な情報が感じ取れてしまうので体がオーバーヒートして気絶してしまった。これで倒れた理由はわかった。
唯が今まで感じていた鼻のかゆみも一種のトリオンの感じ方だった。花粉症を持たない鼻の痒みとはつまり今まで感じたことのないトリオンから生まれていたのだ。
「サイドエフェクトがあるなら正隊員に必要なポイントも加算されると思います。よかったですね。」
そう励ましてくれた職員の人には悪いが、唯はあまりよくなかった。トリオンがボーダーでは必要不可欠なのにトリオンを感じすぎて気絶するとか。
これからのことに不安を感じる唯に、職員はとどめを刺す。
「ちなみに、最上さんのトリオン感知がどれくらいの精度なのかまだ分かりませんけど、ボーダー基地の素材も確かトリオンが組み込まれてますよ。」
素材にも反応してますか、なんて質問にも
「(こんな力を持ってて強くなれるのかなあ)」
現実逃避をしてしまう唯だった。
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ボーダーのとある一室、そこにいる誰一人とも声を発さずただ重い空気だけが漂っていた。
重い空気を発するのは主に3人で、その3人は今のボーダー以前からの古株である。
ある者は火のついていない煙草を手で持て余し、
ある者は腕を組み目を瞑り眉間に皺を寄せ、
またある者は顔に大きく残る傷跡を触りながら鋭い眼光を放っていた。
誰も話さない中、しびれを切らした根付がいつもより慎重に言葉を選んで切り出した。
「それで……いったい何を会議で話し合うのです?城戸司令方は始まってからも黙り……私達もまだ仕事が終わってないんですけどねぇ」
「新しい風刃の適合者が判明した。」
辺りにまた新たな緊張が生まれた。ボーダーの上層部なら誰でも知っている単語。ソレの存在だけで内部勢力の均衡が崩れる可能性を持つ絶対的な力。
「風刃……玉狛の迅君が持っている黒トリガーでしたね。今の時期に見つかったということは、今月の新人隊員から?」
比較的冷静に分析する唐沢が聞き答えたのは
今は組んでいた腕を外し目も開いている忍田だった。
「ああ。昨日の仮入隊で訓練生が一人診療室に運ばれたと報告されて念の為にと調べたら少し特殊なサイドエフェクトも持っていることも判明したという。」
「その特殊というのは?」
「【トリオン感知】……感覚でトリオンを感じることが出来るらしい。」
「ソレは良い!一人でそのサイドエフェクトを使えば基地の防衛力も高められる。」
「いや、今までその能力を使う環境じゃなかった弊害からか、まだトリオン体に慣れる事すらも出来ていないらしい。」
「宝の持ち腐れですねぇ…ソレが発現するほどの逸材だから?そうだとしても風刃適合者としては優先度は低いでしょう。まだ訓練生、トリオン兵と戦ってすらいません。」
そこに林藤が軽い口調で意見を言う。
「いや~戦闘経験はないとしてもそこはこれから積んでいけば問題ないですって。なんならウチの迅にでも面倒見させますよ、多分あいつは自分から関わりに行くと思いますけど。」
「迅にだと?それではもし手放したとしても結局は玉狛から風刃を手放すことにはならないではないか!どうせそのまま玉狛にでも所属させるつもりだろう!」
「彼女が何処に所属しようが関係ない。」
そこで発した者に全ての視線が集まる。派閥を越えて発言力の城戸が何を話すのかと待つ。
「優先順位を付けるとすると、今風刃を持つ迅を1として彼女は0だ。初めから0は彼女と決められている。」
「それは、何故ですか?新人に対してそのような過大評価は…」
「彼女が取り扱えるのなら、彼女を優先するという決まりがボーダー設立前からある。これは決定事項として異論は認めない。」
全員の明確な意見を聞かないまま、話し合うというよりも結果を伝えられたような会議となった。
今後例の訓練生がどんな行動をしようと看過すると、暗に城戸司令は伝えてきた。
たとえ玉狛に入ろうが、近界民と親しくする場に身を置こうが、本人の自由だと。
近界民排除主義の城戸がそのような判断を下したことに多くは驚いたが、そうでない者もいた。
旧ボーダーに所属していた者達は特に驚かなかった。
城戸の判断に納得していた。彼らは何年も前から訪れるかもしれない未来として頭の片隅においていたのだ、むしろ彼女がいつの間にか三門市に来ていたことに驚いた。
「遂に来たのかあ、あの子。」
「写真でしか見たことなかったが、あの時式にいたのか…気付かなかった。」
「そりゃ何年前からは写真見てないからな。それに何十人もいるから式で前から見ても顔の判別出来ねえだろ」
「そうだが。
ボーダーに来るとは、トリオン量も多いことからやはりあの人の子なんだな…」
「名前は確か、唯だったか?そりゃそうだろ」
最上唯は、最上宗一の娘なんだから。
最上さん、城戸酸と同期らしいから子供いないのかな
そんな疑問から思いつきました。
ここまで読んでくれてありがとうございました。