最上の娘   作:かんよう植物

8 / 10

19巻、読んだんですけどやっぱり先生の質問コーナーも面白かったです。いつもこのコーナーを楽しみにしていて久しぶりに供給されて嬉しいです。
ネタバレ?になりますが19巻に最上さんの姿を見ました。単行本派なので初めて見てビックリしました。男前…個人的に冬島さんを連想しました。


とっくんそのいち。【とくぎをいかそう】

 

初めての迅さんとの特訓。さっきまでの気まずい雰囲気も消えて、少しはうち解けあえた気がする。

トリガーを起動して酔いがないことに感動していると頭を撫でられた。照れくさい。

 

 

 

「戦い方はまだ教えないよ。基本は出来てるから今度戦闘面を。その前に違うことを教えようと思う。」

 

 

 

「とりあえず河川敷を中心にトリオンキューブを隠した、もちろんこれはちゃんと唯が人間に感じるように設定されている。これからサイドエフェクトを慣れさせるんだ。」

 

 

迅さん曰く「磨かないと勿体ない」と言う。確かに普通オペレーター達が発見しない限り離れた相手の、場所が分かることなんてない。この能力を本当に自分のモノに出来たなら大きなアドバンテージになる、そうだ。

 

私にもそれは分かる。理解できるように分かりやすく説明もしてくれた。だけど、こんなに過酷とは思わなかった。

 

 

 

「隠れたトリオンを全部見つけよう。まずは100個」

 

 

 

 

こんなに広い場所から手の平サイズのトリオンキューブを見つけろと言われたときは口が思わず開く。そのまま順序を説明されても 口は変わらず。

私に出来るのかと不安と絶望がある。訓練室の中でも一番大きい狙撃手用の部屋からアレを探すのは嫌だ。

部屋と比べてみてもゴマ粒くらいだろう。しかも草むらのところにあったりすると草が伸びていて目視だとすぐには見つけるのは困難だ。

確かにササッと自分の感知で見つけられるようになったらその頃にはサイドエフェクトもかなり使えるようになってそう。

ポジティブに考えてみると迅さんの提案メニューは厳しくても身になりそうだからやっぱり真面目にやろう。

 

 

「この少し小さいサイズを見つけられるようになったら大体すぐ分かるようになると思うから、頑張って100個探してね。」

 

 

「はい頑張ります!」

 

 

初めての師匠からのメニューだから、気合いを入れようと大きな声で返事をする。

 

 

 

「今3時だから多分8時頃に全部見つけられるってオレのサイドエフェクトが言っているから終わったらそのままご飯食べて行きなよ。」

 

 

「はい……」

 

 

100個を見つけるのに五時間もかかるのかと思うと億劫だが、迅さんの予知がそう言っているなら間違いはなさそうだ。自分のトリオン体をまじまじと見てみる。姿はいつもと変わらないけど、やっぱり体調が頗る良く感じる。

 

 

酔いが全く感じられない。換装してから歩いたり回転したり側転をしようとすればいつもはする前から酔うのにあっさりと出来てしまった。本当にもう大丈夫なんだ。

嬉しくてこのまま走り出したくなった。

何時間もこれから小さい獲物をたくさん探すことになるけれど、この体でいられることは嬉しく感じた。

少しだけと思いながら地面を蹴ろうとしたら迅さんに首根っこを捕まえられた。トリオン体だと力があるから足に地面がつかなくてブラブラしている。

サイドエフェクトで読まれたか。

 

 

 

「なんか緑川ににてるな~」

 

 

ピクッと反応する。

その名前に聞き覚えがある。私を「弱い人」認定している同い年だ。いつもランク戦に行くとしょっちゅう見かけるから多分入り浸っている。

私より少し後にボーダーに入ったらしいけど草壁隊に入って隊はどんどん順位を上げている。きっと、A級になるんだろうなってずっと思っていた。本人も新人の中で飛び抜けて強い。マスタークラスにだってきっとすぐに届いてしまう。私なんかよりずっと強い。

引き分けは何回かあっても勝ち星は1度もあげたことはないけど、酔いがない今ならどれくらい届くだろうか。

 

 

 

第一の特訓を目前に、迅さんに激励?のような言葉を貰った。

 

 

 

「これから本当に唯は強くなれるんだ。教えるのは遅くなったけど、おれが完璧に指導するから。それで緑川を見返そうぜ。」

 

「質問、いいですか?」

 

はいどうぞ、とぼんち揚げをボリボリ食べながら返される。

 

「もし。もし強くなって村上先輩とか、緑川…くんに勝てるくらいになったら隊に誘われると思いますか?」

 

 

少しの間を置いて話し始めた。

 

「ん~~難しいかもな。物理的に。オレのサイドエフェクトもそう言っている。」

 

知りたい未来のことを珍しく教えてくれた迅さんの答えに落胆する。人見知りで隊を自分で組めないのにこれから強くなれたとしても誘われない、そんな未来しか迅さんは視えていない。

もっと強くなれたらもしかしたらなんてずっと考えていたけど現実はそんなに甘くない、もっと甘くても良いのにと思ってしまう。

自分から動かないと駄目なのか。知らない人に話しかけることにビビるから私が変わらない限り隊で仲間がいる未来も生まれなさそうだ。なんとなく分かってはいても落ち込む。ハー、と息を吐き出す。

 

 

「私、ボッチなんだ。うーん………迅さんもS級で隊を組めないから実質ボッチ?

師弟揃ってボッチなんてヤバくないですか」

 

「自分で聞いて落ち込んでオレにも被害を及ぼさないでよ。」

 

 

 

 

 

S級は特別だから本物のボッチは唯だけだよ、と軽く言われてかなり落ち込んだ。項垂れているのにそのまま特訓が始まった。

フォローもせずに始めた迅さんは人の気持ちを考えてくれない人だ。悔しくて背中をポカポカと叩いてもハハハと笑ってそのまま受けいれている。更に悔しくなって今度は頬を抓ろうと思ったけど予知で躱された。

 

 

 






上手く言えないけど主人公が隊を組めないのは半分くらい迅のせいです。本人に相談されても何食わぬ顔で返します。
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