最上の娘   作:かんよう植物

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更新速度はより遅くなると思います。



第8話

宇佐美との再会、それは初めて玉狛に来た際に果たしたが、あの時はゆっくりと話せなかった。

 

 

「玉狛に移籍してからの唯ちゃんとの女子会だ~」

 

 

 

 

 

だから、女子会と称してお菓子を食べまくる。食べながらお喋りするのだ。

 

 

 

 

「ちょっと栞、あたしもいるわよ。ゆりさんは仕事でいないけど3人でやるのも楽しそうでしょ!」

 

 

 

玉狛にある宇佐美の部屋で3人でおしゃべりをすることになった。最初は2人だけの予定だったが女子会を知った小南がお菓子を大量に手に持ちながら乱入してきた。

 

小南がドアにぶら下げた【出入り禁止!】と看板があるため滅多なことでは人は入らないようになっている。陽太郎は木崎が散歩に連れて行き、ゆりがきたらもちろん歓迎していたが用事で外している。

 

招かれて以来、ちょくちょくご飯を食べに来るようになった唯は元々関わり合いのあった宇佐美が間にいたことで玉狛の人たちと馴染みになりつつある。

 

今1番お世話になっているのは木崎で、唯に料理を教えてくれる。炊飯器の使い方を学び、今ならご飯だけでなく焼き芋も作れるようになった。

「それはてぬきだぞ。」5歳児に突っ込まれても気にせず喜んだ。

 

 

たくましい筋肉の彼こそが玉狛1番の頼れる年上かと思いきや、何故かゆりの前だと失敗することがある。1番強く覚えているのは、初めてご飯の炊き方を教えてもらっているときにゆりが帰ってくると手元が狂い水を過剰に入れそのままスイッチを押して他の作業に移っていく。

炊き方の「た」の文字も知らない唯でも教えられた手順

を木崎が踏んでいないことに気がつき、尋ねてみると

 

 

 

「すまない、今日はお粥になる。」

 

 

 

と返された。その後も違う料理が完成されたりするミスがたまにあった。やはりゆりがいるときに限って。

どうやら木崎はゆりのことが好きらしい。皆は温かい目、宇佐美は少しニヤニヤして木崎の様子を眺めていた。

顔には出さないが弟子である烏丸はゆりの隣をキープしたまま木崎の方へ顔を向けてキラーンと顔の横が光っていたような気がした。

 

 

烏丸も木崎同様無表情だが質問すると丁寧に答えてくれるのでいい人だと感じた。人見知りでも優しくされたら懐く簡単な唯だ。

 

小南は最初から唯に対して好感度MAXだったのでいつの間にか慣れた。

 

もう支部の一員じゃないかと指摘されそうなくらいには唯は玉狛に入り浸っていた。

 

 

指摘してくるほどの仲は唯にはいないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんねっ風間隊抜けたの早く伝えなきゃと思ってたんだけど連絡先交換してないし移動してからもかなり忙しくて最近やっと落ち着いてきたの。」

 

「ホント、引っ越してきてからの栞ってばクローニンに玉狛独自のトリガーの説明されても半分くらいで話を遮って自分の考えとかデータにしてそのまま夜までそこから動かないなんて多々あったわ。」

 

宇佐美が唯に連絡先を伝えなかったのは、単純に忘れていたからだ。詳しいことは省くと、玉狛に来てからは自分の知らない未知の技術に熱中していた。

 

 

気にしてはいない唯だが、お詫びということでトリガー設定を一緒にする形となった。

 

 

 

 

「ふふん。唯ちゃんのトリガー設定は基本的なものからほとんど変えていないって聞いたよ。ってことは、あたしの出番だからね!オペレーターって機械に強いからトリガー設定をイジるのもサクサクホイホイだよ!攻撃手に人気のオプションなんかも説明しちゃいます。」

 

 

 

「「おー」」

 

 

「今日は構想だけ組み立てていく感じで、実際の変更はまた後日に。それでは唯ちゃんのトリガーをオープン~」

 

一応はお菓子を食べて喋るだけの女子会になるはずだったが、結局はトリガーの話となった。

 

 

工具でカバーを外し、トリガーの仕組みについて詳しいことはよく知らない唯にも分かるように簡単な説明をしてくれる。

 

メインとサブ合わせて八つまで設定することが出来るという、唯は特に考えないままB級になった日にエンジニアに頼んで隊員たちがよく使うトリガーを教えてもらいそれにしてもらっただけだ。

 

 

「完全に近接用……面白みが欠けるわね。」

 

小南は少々辛口のコメントを言う。

 

 

「スコーピオンとシールドとバッグワーム……身軽だね。他に何か入れないの?初めよりサイドエフェクトにも慣れて精度が上がったってオペレーター組が言ってたよ。」

 

「本当ですか!防衛任務でいつも皆さんの足引っ張ってるから褒められると嬉しいです。」

 

 

伸び悩んでいた唯に褒め言葉はとても嬉しい。

 

迅によってもうトリオン感知の弊害は消えたが、特訓が始まってから日は浅くまだ完全に使いこなせてるとは言い難い。褒めの言葉があるというだけで唯にとっては励みになる。

 

 

「本当本当~。迅さんに教えてもらうことになって良かったね。これからもっと強くなれるよ~!」

 

 

 

宇佐美は褒めに褒めて、唯の顔が真っ赤になるまで頭をなで続けた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

唯が席を外して二人きりの空間。

同い年であることで仲も良い2人は、気軽に話せる間柄である。だからこそ、宇佐美はまだ気付いていない唯にお茶の追加を頼んで自分は小南に聞いてみた。

 

 

 

 「小南どうしたの?さっきから気難しい顔してるけど。」

 

迅に師事してもらうことを話したとき、僅かに眉をひそめじっと唯を見ていた。

信じられないような目でしばらくの間見つめ、そこで宇佐美が気付いた。

 

 

 

 

「いくら唯でも迅はつきっきりで教えられないでしょ。アイツ趣味が暗躍だから。」

 

「う~~ん、風間隊にいた頃から迅さんのことは聞いてたけど思ってた以上に謎だね。同じ高校生とは思えない。」

 

「大学に進まないなんて言ってるから今以上に暗躍するわよ。」

 

学校にいる以外、迅がどこで何をしているかを知っている者は少ない、誰も知らないことだってある。

 

 

 

 

「ラウンジで迅からそんなこと言ったんでしょ?なら裏あるわよ。人目があるところでわざわざ宣言したってことはもう逃がしてくれないわね、絶対。」

 

 

長い付き合いだからこそ分かる彼の性格を知る小南は、迅が最上宗一の娘であるというだけで唯を弟子にしたとは思えなかった。

迅が今持っている風刃の制作者の実の娘だということは現時点で上層部と玉狛の初期からいる一部の人間しか知らない。勿論目の前にいる宇佐美もそのことは知らされていない。

最上宗一が遺言とも言える最後の言葉の通りにするなら、近い日に必ず唯はS級に昇格する。風刃の第一優先適合者として。

迅は、その日が来るまでに何かをしようとしているのではないか。

今風刃を使いこなせているのは迅ただ一人で、黒トリガーの使い方を先達者として教えるというなら不思議はない。

けれど、いつも暗躍している彼が時間を割いてノーマルトリガーの師匠になると宣言したのは何故だろうという疑問が生まれる。

 

 

 

「唯が迅の企みに関わってる……?わざわざ(ノーマル)強くしてどうするのよ。」

 

 

迅の考えていることは相変わらず想像つかなかった。

結局小南は今お茶をついできてくれた唯に励ましの言葉を贈った。

勿論何も知らない気付かない新米の唯はただこれからの特訓に対する言葉として受け取り、元気に返事をした。

 

 







ワェ、行きたかった。メニュー見ながら普通に美味しそう。ぼんち揚げが凄い占領してますね。



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