何故かフルプレートの甲冑を着させられた。
いやまぁ確かにカッコいいけどさ。こんなの身に付けて走り回るとか何処の時代よ?
しかも模造で半分しか刀身が無いとは言え腰に剣までぶら下げてあるもんだから余計に本物っぽい。
顔に傷があって身体がデカくて筋肉質で甲冑着て腰に剣をぶら下げて……
完全にヤベェ奴じゃん。
街中だったら通報&即逮捕じゃねぇか。
それがドレス着た女性達から逃げ回るとかシュールにも程があるわ。
織斑?
あいつは王子の格好がやたらと似合っていやがる。
やっぱり偏差値の違いか……!
「輝義、甲冑どんな感じだ?」
「……重くも無いし暑くも無い。以外だが着心地はいいぞ」
「まじで?絶対に重そうだし暑そうだけど」
「……理由なんて分からん」
まじこの甲冑なんなの?
明らかに重そうな見た目の癖して軽いしこの時期絶対に暑いのに暑く無いし。どうなってんだこれ。
「ふっふーん!それは私のおかげよ!」
「どう言う事です?」
いきなり入ってきた事に関してはまぁ後で虚さんに報告するとして。
まじどう言うこと?
「ちょーっと篠ノ之博士に頼んで作ってもらったのよ。そしたらすんごい気合い入れて作ったらしくて、快適な温度を保つ空調システムとか超軽量の金属使ったんだって。私もびっくり。因みに一夏君のも篠ノ之博士お手製よ」
私もびっくりじゃないです。
なんて事頼んでんだこの人。
束さんも束さんだよ。そんなもんホイホイ了承して作らないで欲しい。また箒に怒られるかも知れないし……
……後でちゃんと言っておこう。
「束さんが作ったんなら納得だな。でもさ、これこそ技術の無駄遣いってやつだよな!」
お前この野郎呑気に笑いやがって。
織斑テメェ後で一緒に怒られてもらうかんな。
怒った箒怖いんだぞ。
「2人とも準備は万端かしら?そろそろ時間だから行くわよ〜」
「……はい」
「分かりました」
楯無さんに案内され、立たされた場所は馬鹿でかい体育館のステージの上。幕はまだ上がっていない。
[[皆様、長らくお待たせ致しました。シンデレラの開幕でございます]]
虚さんの声が響いた。
次に聞こえて来たのは楯無さんの声。
「今宵演じるのはシンデレラ。シンデレラと言えば酷い扱いを受けた少女が王子様と最後はゴールイン!するお話。でも残念ながら今日のシンデレラは一味どころか全く違うお話」
「シンデレラそれは灰被り姫、戦乙女とも言われる女性達。彼女達は戦場を駆け、時に要人の首を狙い。そんな彼女達が本日狙うのは大国の王子様の王冠に隠された秘密。そして軍事機密の塊である騎士の装備。2人はシンデレラ達から逃げ切れるのか!?」
無理です。
「2人は制限時間内逃げ切るか、捕まって王冠や装備を剥ぎ取られるかのどちらか!ゲットしたシンデレラにはご褒美がありまーす!頑張ってねー!さぁシンデレラ達!やっておしまい!」
急に始まったんですけど?
あとご褒美って言われた瞬間にシンデレラ達の目付きが変わったんだけど!?
「……逃げるぞ!」
「あぁ!捕まったらタダじゃ済まないぞあれ!」
こうして俺と織斑の命を賭けた全力逃走劇が始まった。
感想、評価等くださいな。