織斑先生に国家代表よりも実力があると言われてから既に一週間が経っていた。その間俺と織斑はアリーナで毎日訓練に明け暮れていた。
というのも実際に国家代表より強いとあの織斑先生から言われ、お墨付きを貰ったとしても不安だったので毎日放課後はアリーナで織斑や他の皆を巻き込んで訓練しているのだ。
俺と織斑の二人は国家代表と戦う部門と、専用機部門の二つに出場。
他の皆も専用機部門や訓練機部門で別れて出場する。
しかし問題が一つ。
俺以外の皆が一対多数戦という状況にまだ不安がある事だった。
普段、訓練をする時は一対一、一対多数を交互に行なっている。
しかし人数が多いので回転数がお世辞にも良いとは言えない。なので不安らしい。しかもキャノンボールファストはレースをしながらの高機動戦が主な戦い方になるらしく福音戦で一度経験しただけの皆だ。と言っても俺も本格的なものは無人機戦と福音戦の二回だけだが。
織斑先生との訓練は殴り合いが多いから高機動もクソもあったもんじゃない。
という事でレース形式ではないがアリーナの中を各々が出せる最高スピードで飛び回りながらの、バトルロワイヤルを行なっている。
そこに俺、織斑は一対一の訓練を交えている。
アリーナが使えない日は体力錬成。だいたいこんな感じで毎日を送っている。
今日も今日とて授業が終わると直ぐにアリーナに向かう。
そして着替えて訓練を始める。
「ちょっと!!ちょこまかちょこまか逃げ回るんじゃないわよ!」
「んなこと言ったってそういう訓練なんだからしょうがないだろ!!」
衝撃砲を撃ちながら追いかける鈴。しかし射撃武器が一つも無い織斑は逃げるしかない。あれは多分鈴が一瞬でも隙を見せたら攻勢に転じようとしているな。
「一夏さん!!もう少し周りを見た方がよろしくってよ!!」
「うぇ!?」
しかし鈴に気を取られすぎたのか横からセシリアの攻撃を食らう。
こうして改めて見てみるとそれぞれが持てる全ての技を使って戦っていてとても面白い。
「はぁぁぁ!!」
「甘いよ箒!!」
「それはどうだろうな!?」
箒はシャルロットと。
上段に構えた刀を振り下ろす……と見せかけそのまま受け止めようとしたシャルロット。
しかし俺が以前教えた瞬時に武装を格納するという技を繰り出した。そして受け止めようとしていたシャルロットはまさかそんな事をしてくるとは思っていなかったのだろう、驚いた表情を浮かべる。
「うっそ!?」
慌てて態勢を立て直そうとするも再び武器を展開した箒からの横薙ぎの一撃を食らってしまう。
「いつの間にそんな技を覚えたの!?」
「輝義に教えてもらったのだ!それをこっそりと練習していた!!」
二人も順調。
俺は俺で隙を見ては攻撃してくる皆からの攻撃を受け流し、反撃を加えたりと大忙し。
「もう!!なんで輝義はどんなタイミングで攻撃しても確実に完璧に対応してくるの!?」
「あいつを普通のものだと考えても無駄よ!!」
「さすが私の嫁だ!」
「おねーさん最近輝義君がどんどん人外になってる気がするわ!!」
シャルロットに文句を言われたり。
さらりと鈴に普通じゃないと言われたり。
楯無さんに人外と言われたり。
ラウラはいつも通り。
「その程度で俺を倒せるとでも!?もっと来い!」
俺も俺で挑発したりするのだが。
とまぁこんな感じで皆が入り混じり乱戦となる。
そんな感じで毎日を送っている。
キャノンボールファストまで残り一週間。