月曜日である。そう、月曜日。
今日から訓練を始められる。
いや、もう楽しみでしょうがない。
さぁ、準備は出来た。いざアリーナへ。
アリーナに着くと織斑先生が既に待機している。
嬉しそうな顔をしていらっしゃる。
「来たな。では早速やるぞ」
「......お願いします」
「どれだけやれるか見てやる。アリーナでの一件は学ぶ事が少なからずあったはずだ。それを見せてみろ」
そう、アリーナで無人機と殴り合った時にいくつか思った事がある。
一つは射撃武器に対する対抗手段がない事。
ないというよりは分からないと言った方がいいだろう。
だって、飛んでくる弾をぶった斬るか避けるかしかしてないし。
二つ目は斬り合っている時の攻撃方法。
ただ剣術だけで戦うのではなく、
殴る、蹴る、投げると言ったありとあらゆる攻撃動作や防御の方法を組み合わせる事。
病室にいる時に色々調べたり参考になるものをいくつか探してきた。
一つ目はとりあえず置いておく。
あとで織斑先生に聞いてみる。
二つ目は今からの訓練で実際にやってみる。
「......織斑先生、試したい事があるのでそれをやっても構いませんか?」
「ふむ......いいだろう付き合ってやる。どこからでも来い」
「......では、行きます!」
瞬時加速で一気に突っ込む。
タイミングを合わせて斬りかかってくる織斑先生の刀を受け止める。
さぁ、ここから色々試してみる時間だ。
受け止めた瞬間に回し蹴りを叩き込む。
流石に予想していなかったのか少し驚く表情をするが、そこまで。
腕でガードを固めて受け止められた。
流石は織斑先生、としか言えない。
あの横からの不意打ちとも言える回し蹴りに対してあっさり対応して来たのだ。
剣戟の合間を縫ってあらゆる攻撃を仕掛けるがやはり防がれてしまう。
かなり前に織斑に見せた攻撃すると見せかけ、持っている刀を反対の手に持ち替えるものを仕掛けたがやはり全て防がれる。
投げ技、柔道みたいな事もしようと思ったが、宙に浮いているから意味がない。
どうすればいいのか全く分からない。
まだまだ改善しなければならない事ばかりだ。
「大河、今日のあの攻撃、自分で考えたのか?」
終わって、休憩しているとそんな事を聞かれた。
「......いえ、入院中、調べたりして組み込みました。
斬りかかるだけではなく、殴る蹴る、時には投げると言った事をすれば相手の意表を突けると書いてあったので」
「ほう......なぜそれを選んだ?」
「......正直、俺は織斑先生や箒、織斑みたいに剣道や剣術を小さい頃からやっているわけではないです。その差は圧倒的です。しかも剣道や剣術はそう簡単に身につくものじゃないですから。だから、その差を埋める為に選びました」
「......なによりもあの時、俺はあの無人機にあそこまでやられたんです。俺はまだまだ弱い。だから俺が怪我をして箒やセシリア、簪に楯無さんに布仏にも、織斑先生、山田先生にも心配をかけた。だから二度とそうならないように、俺は強くなりたいんです。だからどれだけ辛い戦いでも無事に帰ってくる為の力が必要なんです。その為にはなりふり構っていられないんです」
「......そうか。よし、ならば格闘訓練もメニューに入れるとしよう。
そのスタイルで戦うとなると剣術だけでは意味がなくなるからな。
......そうだな、毎朝ISに乗る前に教えてやる。柔道着はあるか?」
訓練メニューが増えました。
まぁ、しょうがない。
さっきも言ったが強くなる為には、二度とああならないようにする為にはなりふり構ってられない。なんだってやってやる。
「......はい、中学で使っていたものがあります」
「よし、それをご両親に連絡して送ってもらえ」
「......分かりました」
こうして朝練は終わった。
ーーーー side 千冬 ーーーー
今日は久々に大河との朝練を行う。
正直楽しみでしょうがなかった。
......浮かれているのは分かるが想い人と二人きりになれるのだ。
しょうがないだろう。楽しみすぎて早く着いてしまった。
訓練中、驚かされてばかりだった。
斬り合っている時にいきなり回し蹴りが来た時にはひやっとした。
他にもいきなり刀を格納して殴って来たりとかなり実戦的な型になっていた。ただ、まだまだ荒削りのようで、対応は出来る。やはり格闘訓練の経験がないのだろう。かなり鋭い蹴りやパンチを放ってはくるが、まだまだ大振りだ。
訓練が終わった後、なぜこの戦い方を選んだのか聞いてみた。
こいつは私達に二度と心配を掛けないようにする為に強くなりたいと、その為にはなりふり構っていられないと言った。
正直言ってISに初めて乗ってからまだ二カ月程しか経っていないのにここまで強くなるのは普通じゃない。異常だと言ってもいいだろう。にもかかわらず、既にこいつは自分の戦い方を戦う理由を見つけた。
本当ならばあり得ないのだ。ほとんどの人間は自分の戦い方を見つけるのに時間がかかる。私だってそうだった。
ましてや、戦う理由なんぞ見つけられない人間の方が圧倒的に多い。見つけられる奴などほとんどいないだろう。私は弟で、この世界でたった一人の家族である一夏を育てる為に、というのが理由だった。それしか私には方法がなかったから。
だが、こいつは自分や家族の為ではなく、誰かに心配を掛けない為にという、他人からしたら異常としか思えない理由で武器を持つと言ったのだ。
確かに私達は大河が倒れた時、心配でしょうがなかった。
だがな、身体が強い事と、心が強い事は別なんだぞ。
こいつはその力を持つには優しすぎるんだ。
だから、本当に辛い時に心が潰れてしまわないか心配だ。
だが、その時は私が支えてやればいい。
私だけでは無理かもしれない。
その時は大河の事が好きなやつは多い。
だから皆で支えてやる。
誰もいいえなんて言わないだろうから。
だから私は強くなる為の手伝いをしてやる。
ーーーー side out ーーーー
書きました。
ちょっと文章がごちゃごちゃしてるような?
感想お願いします。
書いてくれると嬉しいです。