日焼け止め事件の後、皆で遊んでいた。鈴は泳ぎたいって既に海に行ってしまった。
俺は今布仏とラウラのリクエストに応えて砂の城を建設中。
しかもあの可愛らしいちっちゃい奴じゃなくて普通に高さが二メートル以上あるようなやつ。
どんなのを作って欲しいか聞いていたら面倒だからでかいのをドーンと作っちゃおうという事になった。
いや、これが意外と楽しい。持ってきた砂を叩いて固めてそこから形を作るという、なんかもう職人でもやっている気分だ。
他の人間よりも遥かに馬力があるもんだからどんどん進む。
「てるてる~、あとどれくらいで出来る?」
「……あと十分もあれば完成するぞ」
「ほんとか!?早く早く!」
「……そう急かすな」
二人に急かされながら作っていくこと十分。
「……ほら、完成したぞ」
やっとこさ完成した。
「おぉ!」
「てるてるすっごーい!」
喜んでくれたのなら何よりだ。
それにしても……
なんかゲテモノ城になっちまったな……
日本の城とヨーロッパの城を合わせてそこに魔王城とファンタジーに出てきそうな王様の城を合わせたような外見をしている。
高さも二メートルを超える大きさ。
幅も五メートル程とかなりでかい。
しかも頑丈に作ったから二人を乗せることもできる。
調子に乗って作りました。
「輝義凄いの作ったね。でもさ……なんでこんな外見になっちゃったの?」
そばに来たシャルロットがそんなことを言ってくるがそんなもんしょうがないだろ。要求を全部取り入れたらこうなったんだから。
「……要求を全て取り入れたらこうなった」
「そりゃそうなるよ……」
若干呆れているのはしょうがない。
まぁ、当の本人たちが喜んでるからいいか。
その後、織斑先生とのビーチバレーを一騎打ちでやった。
一騎打ちの理由?
他に混ざれる人が居なかったから。
ここ最近、俺の人外化がどんどん進んでいる気がする。
結果は僅差で俺の負け。
「スポーツでこんなに全力を出したのは久々だ。楽しかったぞ」
織斑先生はご満悦でした。
箒達の試合も見たけどもうブルンブルン跳んで跳ねてだった。皆も呆気に取られてた。何がとは言わないけど。
それを見ていた鈴が呪い殺しそうな目で見てたのは気にしないったら気にしない。
その後、鈴が気分転換に泳ぎに行った。
その時織斑が、
「ちゃんと準備体操したのかー?」
と聞いていたが鈴は、
「そんなん大丈夫よ!」
と言って行ってしまった。
それ明らかなフラグやんけ……
それからすぐに、
「やばい!鈴の奴溺れてる!」
ほら言わんこっちゃない!
その瞬間、俺は走り出す。
全速力で泳いで行くがまぁまぁ距離があったから着いたがもう鈴が居ない。
クソッ!もう沈んだ後か!
まずい!
潜って探すが見つからない。
焦って探す。
何処だ何処だ!?
早くしないと手遅れになる!
…………………………居た!!!
見つけた瞬間思いっきり潜る。
だが、思ったよりも水深が深かったのか届かない。
早く届け!
よし!掴んだ!
なんとか鈴を掴んで引っ張り上げる。
「鈴!おい!」
クソッ!
息してないのかよ!?
急いで岸に戻り、海水を吐き出させる。
足を持って逆さまにして上下に振る。
「ゲホッ!!」
よし、取り敢えず海水は吐き出させた。
必要なら人工呼吸もしなきゃならない。
だが、ちゃんと息はしてるし問題は無さそうだ。
取り敢えず保険医の先生の所に連れて行こう。
診てもらったが特に問題はないとの事。
安静にしていれば大丈夫と言われた。
ーーーー side 鈴 ----
私は気晴らしに泳ぎに出た。
あの妖怪乳袋達の物を見せられてイライラしていたから。
だから一夏に準備体操したのかと聞かれたときにそんなのしなくても大丈夫だと思って海に入った。
泳いでいたら足に激痛が走った。
案の定、私は溺れたのだ。
パニックになってしまってバタバタとするしかない。
海水を飲み込んで段々と沈んでいく。
周りの海水もどんどん冷たくなっていく。
あぁ……
私もう死ぬんだと。
そう思った。
でも、その瞬間に大きな黒い影が近づいてきて。
掴まれたと思ったら一気に引っ張り上げられた。
その掴んできたものは大きかった。
気が付くと自分の部屋ではない何処かの部屋にいた。
なんでだろう?
「あぁ……そうだ私溺れたんだっけ……」
何やってんだろ。
結局皆に迷惑かけて。
ふと周りを見ると輝義が居た。
壁に寄りかかって腕を組んで寝ている。
その瞬間、誰が助けてくれたのか分かった。
また輝義が助けてくれたんだ……
あの時だって追い詰められてた所に助けに来てくれて。
自分は傷付いて、倒れて。それでも立ち上がって戦って。
改めて輝義のことを見る。
大人の男、三人分よりも大きい肩幅に誰でも見下ろせる身長。
太い傷だらけの腕と足。
手も大きくて、分厚くて。
極め付きはその顔。
厳つい顔に額から伸びる傷が更に凶悪なものにしている。
だけど、そんな見た目でも、
誰よりも優しくて、
誰よりも温かくて、
誰よりも皆を心配してて。
本当に心の底から優しくて大馬鹿な奴。
周りの皆を笑顔にしてくれる、幸せにしてくれる、それが輝義。
「ありがとう。助けてくれて」
お礼は言ったけど後でまた輝義が起きているときに面と向かって言わなきゃね。
ふと、じっと見ていて思ったのだが、あの胡坐をかいている上はどんな心地なんだろう?
……少しだけならいいわよね。
そう思って座ってみる。
あ、意外と悪くない。
むしろいいかも。
温かくて、なんか落ち着く匂いがする。
……もう少しだけ。
もう少しだけこのままでいよう。
そう思っていたら眠っていた。
ーーーー side out ----
はい!てことで今回は鈴ちゃんメイン?の回でした。
これを書くまでに二回書いたものが消えるという発狂ものの事件が起きました。
かなり駄文感があります。
許してください。
多分、あと2話ぐらいやってから福音戦になるかな?
感想、評価くださいな。