ISヒロインズとオリ主のお話   作:ジャーマンポテトin納豆

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本格的に福音戦が始まります。




65話目

 

織斑の攻撃を避けた福音はその瞬間に織斑に向かって撃った。

 

「織斑!」

 

「クッソ!悪い!避けられた!」

 

「一夏怪我は!?」

 

「大丈夫だ!ただ零落白夜と今の攻撃でSEがかなり持ってかれた!残りはもう三分の一ぐらいだ!」

 

やはり一撃で決めないと次は無いのか……

零落白夜はその攻撃力を上げるのにSEを消費する。

ギリギリの所で発動させたとは言えそれでも消費する。

そこにあれだけの攻撃を食らったのだ。

減らない訳が無い。

 

「……行けるか?」

 

「大丈夫だと思う。

……でもあの威力の攻撃だったら多分二、三発受けたら終わりだ……」

 

元々のSEが少ない織斑の機体は継戦能力に欠ける。

こうしている間にも攻撃は飛んでくる。

それを避けながらのチャンネルでの会話。

正直余裕はない。

 

「織斑は俺と一緒にあいつを引き付けるぞ」

 

「了解!」

 

「箒は一時離脱後に織斑先生に連絡。奇襲攻撃は失敗。既に戦闘に突入。形勢は圧倒的に不利。至急、支援を寄こすように言ってくれ」

 

箒は攻撃が失敗したことで少なからず動揺している。

一度下げて連絡がてら落ち着いてもらおうという考えがあっての事。

どこまで落ち着くかは分からないが少なくともマシになるはず。

 

「わ、分かった」

 

「織斑、箒の連絡が終わるまで注意を引き付けるぞ」

 

「おう!」

 

「合図で開始。行くぞ」

 

「三、二、一、始め!」

 

俺の合図を聞いた二人はそれぞれの行動を開始する。

しかし、俺はさっきの指示を出したことを悔やむことになる。

 

福音は間違いなくセシリアのライフルや鈴の衝撃砲よりも遥かに高威力のエネルギー弾を

撃ちまくっている。

 

!まずい!!織斑が後ろに付かれた!!

追い付くも

 

「織斑!俺が二秒数えたらその場で思いっきり右斜め後ろに瞬時加速!」

 

「分かった!」

 

「行くぞ!二、一!今!!」

 

合図と共に身体を捻りながら指示した方向へ瞬時加速を行う。

それを追いかけると踏んだ俺は福音が通るであろう進路上に滑り込む。

流石は第四世代機。瞬時加速を使わなくても簡単に滑り込むことが出来た。

 

目の前に躍り出た俺は両手に持った鬼羅刹と阿修羅を振り下ろす。

それをエネルギーブレードのような物で防ぐ。

それからは俺を追いかけ回してくる。

これでターゲットは完全に俺に向いた。

 

「輝義!大丈夫か!?」

 

「俺は大丈夫だ!お前は!?」

 

「まだいける!!」

 

織斑はまだ戦えるから皆が到着するまで持ちこたえればいい。

 

 

 

 

「織斑!俺がこいつの足を数秒止める!その時にやれ!」

 

「分かった!!」

 

既に箒が連絡に行ってから十分が立つ。その間、俺達はまともに戦わずひたすらに避け続けていた。

織斑はまだまだ行けそうな顔をしているが、それがいつまで持つかは分からない。

たった十分とは言え、高機動戦闘を続けている。

かなりの負荷が掛かり続けている。

 

「ふっ!!!」

 

福音の動きが止まった瞬間に織斑が斬りかかるが、背部からとんでもない数のエネルギー弾が撃ち出された。

 

「ガッ!?」

 

「織斑!!!!」

 

反射的に回避したからかダメージは多少は軽いようだ。

だがそれでも大きくないダメージを負った。

 

「輝義!こっちは大丈夫だ!!」

 

「……分かった!!」

 

それにしても、箒が戻ってこない。

いくらなんでも遅すぎる。

 

「箒!!箒、応答しろ!!」

 

ダメだ!繋がらない!!

どうなっていやがる!?

 

「輝義!!箒は!?」

 

「通信がつながらない!!」

 

「はぁ!?どうなってんだよクソ!!!」

 

たった二人でこのまま耐えるしかないって事かよクソ……

展開装甲で俺は大丈夫だが、織斑の方が問題だ。

あいつは俺や箒みたいに展開装甲なんて豪華なもんは持っていない。

今も数発のエネルギー弾が当たっている。

限界が近いはずだ。

 

「織斑!SEはあとどれぐらい残っている!?」

 

「残り六十!!」

 

思ったよりも少ないな……

九十はあると思ったんだがな……

 

「輝義!!これからどうする!?このままじゃ!!」

 

「そんな事ぐらい分かってる!!」

 

モニターの時計を見ると箒を離脱させてから既に二十分が過ぎていた。

余りにも遅すぎる。

何かあったのか!?

 

「輝義!!いつになったら箒達が来るんだよ!?」

 

織斑が叫ぶ。

不味いぞ。

このままじゃ織斑が落とされる……!

俺も既に展開装甲の耐久度が三割削られた。

このまま織斑を庇いながらの戦闘は厳しいか……

織斑の方も限界が近いだろう……

しょうがない……

 

「……織斑、撤退しろ」

 

「はぁ!?何言ってんだよ!?」

 

「撤退しろと言ったんだ!!!」

 

「ふざけんなよ!!!お前何言ってんだ!?」

 

「いいから撤退しろ!!」

 

「嫌だぞ!!俺は絶対に退かねぇ!!もうお前を一人で戦わせないって決めたんだ!!死んでも此処から離れない!!」

 

やはり、首を縦に振るようなことは無いか。

でも、こいつ死んでもなんて言いやがる。

ふざけんなよはこっちの台詞だ。

 

「死んだら元も子もないだろう!?いいか!?二度と死んでもなんて言うんじゃない!!分かったか!?お前は箒達を呼びに行け!!」

 

「だけど!!」

 

「早くいけ!!」

 

「クソッ!!いいか輝義!?絶対に落とされんじゃねえぞ!!」

 

「んな事百も承知だ!!」

 

そう言って織斑は撤退する。

俺はそれを援護するために接近戦を仕掛ける。

 

「オラァ!!!」

 

福音は即座に避け、撃ってくる。

弾幕を張ってくるが流石は束さんお手製の展開装甲。

この程度じゃビクともしない。

ただ、やはり耐久度が減っていく。

 

 

 

 

それから数分後。

 

「このままじゃそう長くは持たないな……」

 

思わずそう漏らしてしまう。

今も撃ってきている。

 

今は数が多くはないが、一発一発の威力がけた違いに強い。

避けられない訳じゃないが、当たれば耐久度がかなり削られる。

正直、ナノマシンは機能しているが、自己修復が追い付いていない。

直る前に食らうもんだから、ナノマシンの量も減ってきている。

鬼羅刹や阿修羅で飛んでくる弾を捌いてはいるが……

流石に高機動広域殲滅型だけあって多少の距離じゃ意味が無い。

かと言って離れるとこちらが攻撃できなくなるし、

近づきすぎると弾幕にやられる。

 

ゲイボルクを撃ち出そうにもそうはいかない。

射撃をしようにも展開装甲を銃身として、ナノマシンを、銃弾として使用するから継戦能力はガタ落ちする。

だからいまのまま逃げ回るしかない。

 

「織斑!!応答しろ!!」

 

試しに呼び掛けてみるが先程の箒への通信同様、繋がらない。

 

「俺は完全に孤立無援って事か……」

 

もし、皆が救援に向かっているとしたら間違いなく三十分以上は掛かる。

俺達は展開装甲で来れたが皆はそうはいかない。

 

こうしている間にも福音はバカスカ撃ちまくっているし、それを防いでくれている展開装甲はダメージが着実に蓄積していっている。

まだナノマシンには余裕があるが……

 

確か奴は背面からの攻撃に対しては弾幕を張っていたはず。

正面からなら行けるかもしれない。

ここで俺は読みを間違えた事に気が付いていなかった。

 

……懸けてみるか。

 

そう決心して直ぐに両手に刀を呼び出す。

 

まだだ……まだ。タイミングを見誤ればこっちがやられる。

しっかりと見ろ。

 

………………!!今!!!!

 

追いかけてきていた福音に対して身体を向ける。

その際に攻撃を食らってしまうが、この際どうでもいい。

そのまま福音に向かって瞬時加速で突っ込む。

 

「オラァァァァ!!!!」

 

絶対に離れるな!!

離れれば終わりだ!

あの高威力の砲撃を叩きこまれる!!

 

背を向けて逃げようとする福音。

しかし、逃がしはしない。

即座に回り込んで斬りかかる。

 

「逃がさねぇぞ!!付き合ってもらうからなぁ!!」

 

しかし、その瞬間に福音が光った。

 

「!?」

 

あの弾幕は後ろにしか撃てないと思っていたのだが、どうやら前にも撃てるらしい。

よく考えれば普通は思い付くだろうに、俺は思ったよりも焦っているらしい。

 

展開装甲が防御してくれたおかげで機体やSEにはダメージは無い。

だが今の攻撃で八枚の内、三枚に限界が来たようでモニターに使用不可と表示されている。

これで残りは五枚。

二割以上の損失か……

 

 

 

さっきので完全に守勢に回ってしまった。

 

逃げる俺の周りでエネルギー弾が炸裂する。

あれから何度か攻撃を仕掛けてはいるがどれも弾幕のせいで効果は無い。

それどころかこちらの展開装甲が削られていくだけだった。

 

それからはひたすら逃げ回るだけになってしまった。

 

 

 

まだ皆は来ない。

待てど暮らせど救援は来ずってか……

 

あれからもダメージを食らい続けて更に一枚持ってかれた。

 

残る展開装甲は四枚。

しかしこの四枚も耐久度が半分を切った。

 

なんとか弾幕攻撃の範囲外に逃げても威力と射程が大きい物で撃たれる。

手の打ちようがない。

 

 

何とか方法を探っていた時、警告音と共にモニターに表示される。

 

高エネルギー反応検知 回避もしくは展開装甲での防御を推奨

 

 

ハッとして振り向くが既に福音が撃った後だった。

俺は光に包まれる。

 

物凄い衝撃と共に着弾する。

咄嗟に残っていた展開装甲四枚を二枚づつ重ねて防御するが、撃ち抜かれた。

これで俺の使える武装は近接武器のみ。

 

「クソッタレ!!!」

 

それにSEも持っていかれた。

 

「こうなったらクソ痛ぇのをぶち込んでやる!!」

 

この状況じゃ遅かれ早かれ戦えなくなる。

多少の損害は無視して行くしかない。

 

スラスターを全力で吹かし、可能な限り離れる。

両手に握った二振りの刀をしっかりと握る。

 

「おおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

雄叫びと共に瞬時加速で突っ込む。

 

福音が光ったように見えた瞬間、エネルギー弾が飛んでくる。

回避をしながら突っ込む。

 

何とかして間合いに入り込め!

まだまだ!!

まだだ!

焦るな!

あと少し!

 

今!!

 

 

「オラァァァァァ!!!!」

 

斬った!!

確かに捉えた!!

 

福音を見ると、スラスターの大部分が破壊されていた。

 

よし!!

これならこのまま片を付けられる!!!

 

 

「これまでのお返しだ!!受け取りやがれ!!」

 

それでも撃ってくるが気にしない。

それよりも今!!確実に!!仕留める!!

 

斬撃をひたすら繰り返す。

 

遂に福音のSEを削り切る。

中には搭乗者が乗っているはず!!

 

そう思って福音の中心部を装甲ごと斬った。

中には金髪の女性が居た。

 

「おい!!大丈夫か!?」

 

ダメだ、反応しない。

意識が無いのだろう。

 

女性を掴んで引っ張り出す。

 

 

良かった。

息もしているし、ラウラの時みたいに裸じゃない。

 

搭乗者を失った福音は落ちて行った。

 

そこに漸く皆が到着した。

 

「輝義!!」

 

「……箒か。何かあったのか?」

 

「通信が出来ないようにジャミングがされていたんだ。だから急いで戻って皆を呼びに行ったんだが……」

 

だから通信が出来なかったのか……

何も無くて良かった。

 

「どうやら既に決着は着いているようですわね」

 

「……すまんな。手柄は独り占めだ」

 

「構いませんわ。それよりもお怪我はありませんか?」

 

「……大丈夫だ。問題ない」

 

「それなら帰りましょう。織斑先生と山田先生に博士もお待ちですわ」

 

「……織斑は?」

 

「今、旅館に帰っているはずですわ。ラウラさんが付いてらっしゃいます」

 

「……そうか」

 

そして旅館への帰路に就いた。

無事に終わって良かった。

 

 

旅館に着いて、束さんに飛びつかれて一悶着あったが、福音の搭乗者の人を織斑先生に預けて、イージスを束さんに修理してもらうために渡した。

 

その後、風呂に入って飯を食って寝た。

これで終わると思っていた。

 

 

 

しかしそうはならなかった。

 

 






ここで一区切り付けます。




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