ISヒロインズとオリ主のお話   作:ジャーマンポテトin納豆

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ちゅぢゅきぃぃぃ!!!





67話目

ーーーー side ラウラ ----

 

 

織斑先生に叩き起こされ、何事かと思いながら言われた通りにコントロールルームに向かった。

 

 

そこで受けた説明は信じがたいものだった。

昼間に嫁達が落とした福音の反応が再び現れたというのだ。

 

信じられない。搭乗者もない状態にもかかわらずだ。

しかもこの旅館に向かってきているというのだ。

もし旅館付近での戦闘になった場合、間違いなく死者が出る。

 

織斑先生はそれを防ぐために我々専用機持ちが時間を稼いでいる間に他の生徒や旅館のスタッフを避難させるとの事。

 

しかし、箒は実戦経験は乏しく、嫁も昼間の戦いで機体は万全とは程遠い状態。

頼みの綱の第四世代機がこの状況。嫁ならば実戦経験もあるし、問題は無い。だが、機体が万全ではないのに出撃させざるを得ないという事はそれだけ状況が不味いという事。

一人でも多く盾となれる人間が居なければならないのだ。

幸いにも展開装甲は三枚ほど予備があるらしく、丸裸で行くよりはマシだろう。

 

 

それよりも箒の方が心配だ。いざという時にパニックでも起こされたら間違いなく我々は全滅するだろう。

実戦経験は昼間の戦闘のみで、しかも操縦時間が我々とは遥かに少ない。

何よりもこのような事態に対しての訓練を一切積んでいない事が問題なのだ。

我々専用機持ちは国防の一翼を担っている。

私は正規の軍人だったからいざという時の覚悟は出来ているし、殺す覚悟も殺される覚悟もある。

セシリアや鈴も予備役と同じような立場のはずだ。だから必然的にそのような訓練は本国での専用機持ちのカリキュラムの中に含まれているし訓練もしている。

そんな私達でさえ怖いと思うのだ。

今までそんな事を考えたこともないような人間からすれば恐怖は更に強いはず。

 

嫁や一夏が普通じゃないのだ。

恐らく本人たちが一番分かっているはず。

……一夏はどうか分からないが。一夏は結構楽天的な部分があるからな……

それでも今までの戦闘で心構えぐらいは出来ている。

 

嫁は、他者と明らかに精神が違う。精神構造そのものが違うと言ってもいいぐらいに。

だから、こうやって戦う事が出来るし、本人は自覚が無いかもしれないが、間違いなく死ぬ事に対する覚悟は出来ている。

 

 

話が逸れたが、まともな作戦を立てる余裕もなく準備は既に出来ていたので出撃する。

その際、山田先生に渡された周辺海域の地図を見ていると、どうにも会敵予想場所に浮き出ている岩礁地帯が小さいながらもあるらしいのだ。

これを見て、即座に作戦を立てていく。

 

作戦はこうだ。

まず、長距離狙撃が出来るセシリアと長距離砲撃が可能な私で岩礁地帯から射撃支援を行う。レーゲンに搭載されているレールカノンはリボルバー方式で弾数が十二発と限られているが、昼間に博士から新型武装を二つ貰ったのだ。どちらも射撃武器で弾数に限りはあるがレールカノンよりも遥かに多い。電力の問題があったが博士が解決済み。

 

嫁達は近接戦を仕掛ける。

それを支援しながらの射撃。念の為にシャルロットは私とセシリアについてもらうが状況によっては嫁達の援護に向かってもらう。

 

 

昼間の戦闘で入手した情報を元に戦うので少なくとも苦戦はするだろうが負けはしないだろうと皆が安心していた。

 

 

しかし、簪が福音を発見した瞬間にその安心感は崩れ去る。

 

福音を見た嫁と一夏が声を上げたのだ。

 

姿形が全然違うと。

昼間に見た福音と全然違うと。

 

その言葉を聞いて訳が分からなくなる。

なぜそうなったのか分からず混乱しているとセシリアが、

 

二次移行の可能性を指摘した。

 

まさか!?

あり得ない!!

二次移行は普通、膨大な戦闘データを元に搭乗者に最適化されるものだ!!

だがあれには搭乗者は乗っていないし、何よりも戦闘自体の回数が二、三回しかない!!

なのに二次移行だと!?

 

しかし嫁達の話を聞く限り、その可能性が最も高いと考えるべきなのだろう。

しかしそうなると最悪だ……!!

 

機体にもよるが少なくとも二次移行をした機体はその性能が上がるなんてレベルじゃない。世代が変わると言ってもいいぐらいの変化を起こす。武装の威力も機動性も何もかもが。

 

しかも奴は第三世代機で、しかも軍用なのだ。その性能は考えるまでもない。

どう考えても我々が太刀打ちできるようなレベルではなくなっているのだ。

しかし退く訳にはいかない。私達の後ろには二百人近い戦う為の術を持っていない人間がいるのだ。

 

 

今更作戦を変更するような時間は無く、このまま挑むことになる。

 

 

 

 

嫁達の方は既に戦闘が始まっている。

私を含めた射撃支援組は岩礁に降り立つ。

 

「セシリア!!各自で自由射撃!!統制射撃などこの数じゃ意味が無い!!」

 

「分かりましたわ!!」

 

「準備が出来次第射撃開始!!シャルロット!!嫁達の援護に行くタイミングは任せる!!」

 

「うん!!」

 

 

会話をしている間にセシリアは射撃を始めている。

私もレールカノンの準備は整った。

 

「装填よし。照準……よし。誤差修正完了」

 

そう声に出して確認していく。

そしてすべての準備が整った。

 

射撃開始!!

 

ドォォォン!!!

 

 

クソ!早すぎて当たらない!!

 

ドォォォン!!!ドォォォン!!!ドォォォン!!!ドォォォン!!!ドォォォン!!!

 

ダメか……!!かすりもしない!!

 

レールカノンは残り六発!!

だが、点を制圧しても意味は無いし、下手すれば嫁達の事を誤射してしまう。

 

……やってみるか。

 

 

 

 

長距離の通信は出来ないが、幸い短距離の通信ならば可能だ。

 

「皆!!巻き込まれたくなければ奴から三十メートル以上離れろ!!」

 

博士がくれた新武装を使ってみるか!!

 

ミストルテインを展開。

こいつは破壊力抜群の陽電子砲で広範囲を薙ぎ払える。

 

少し、射撃するのに時間が掛かるがそれを補い有り余る威力があるのと、姿勢を安定させるのに飛びながら撃つのは難があるぐらい。

それでも博士は改良するから待っててと、言っていたが。

正直、渡された時に性能を見てドン引きしたが。

 

準備は整った。

 

照準も合っているし、ISの自動補正もあって外しはしない。

 

 

 

私は引き金を引いた。

 

 

 

ーーーー side out ----

 

 

 

ラウラが福音から離れろと警告してきてから十五秒後、目の前をとんでもない威力のビームが横切った。

 

は!?何それ!?

威力がおかしいんですけど!?

言った通り、威力がおかしいのだ。もう訳が分からないぐらい。

 

ちゃんと離れていて良かった……

あんなの巻き込まれたらタダじゃ済まないぞ……

 

しかし、その砲撃を避けた福音はラウラを危険だと感じたのか、ラウラの方へ高威力のビームを向け、撃った。

 

「ラウラ!!避けろ!!」

 

そう叫んだが間に合わなかった。

ラウラに直撃し、煙が舞う。

 

その煙が晴れたそこには武装や、脚部、椀部の装甲がズタズタにされたラウラが居た。

内部の配線も千切れている。恐らくフレームも歪んでしまっているだろう。

 

本人には怪我はないようだが、あれじゃ戦うのは難しいだろう。

 

「ラウラ!!大丈夫か!?」

 

「私は大丈夫だ!!だがレーゲンが大破した!!すまないが戦えそうにない!!」

 

マジかよ!!

早々にラウラが脱落か……!!

 

「セシリアとシャルロットは!?」

 

「僕は大丈夫!!」

 

「私も大したことはありませんわ!!」

 

良かった。

怪我は無いようだしこのまま行けるだろう。

 

「よし!!なら引き続き援護を頼む!!」

 

「分かりましたわ!!」

 

「輝義!!箒が後ろに付かれてる!!俺達じゃ追い付けない!!」

 

織斑から通信が入る。

箒が後ろに付かれているのか!!

 

「箒!!俺の方へ飛んで来い!!」

 

「!?分かった!!」

 

すれ違いざまに一撃食らわせてやる!!

 

「そのまま突っ込んで合図で機体をロールさせろ!!」

 

「分かった!!」

 

まだ遠い。

ギリギリまで引き付けてこっちに注意を向かせる。

それさえ出来れば!!

 

「箒!!準備!!」

 

「!!」

 

「…………今!!」

 

合図で俺のすぐ横をロールしながら通り過ぎていく箒。

そしてその後ろには福音がいる。

 

「食らいやがれ!!」

 

福音の胴体部分に一太刀食らわせて即座に離脱をする。

やはりというか、福音は俺に食いついてきた。

 

そうだ!!そのまま俺を追いかけろ!!

 

「簪!!ミサイルは撃てるか!?」

 

「山嵐の事なら今すぐにでも行けるよ!!」

 

「叩きこんでやれ!!」

 

その言葉の後、簪の打鉄弐式から五十発近いミサイルが放たれる。

福音は流石に回避せざるを得ない。

 

しかしそのミサイルもエネルギー弾の弾幕によってどんどん落とされていく。

やはり一番の障害はあの弾幕か……

近づくことも出来ないし、攻撃するなんぞもっと無理だ。

 

なにか策は無いかと考えるが全くと言っていいほど何も思い浮かばない。

 

すると何故か福音が停止しているのだ。

何があった!?

どういう事だ!?

 

「福音に何があった!?」

 

「分からないわよ!急に動きが止まったのよ!」

 

鈴が答えるが分からないらしい。

他の皆を見るが、首を横に振る。

 

何か嫌な予感がする……!

 

そしてその予感は的中する。

突如として福音が弾幕を張り始めたのだ。

それもさっきの比じゃないレベルの弾幕を。

 

しかも皆は何があったのか気になり、無意識のうちに近寄ってしまった。

それが仇となり、直撃。

俺を含めた皆が光に包まれる。

 

 

光が収まるとそこには何故かスラスターの数が増えた福音が居た。

シャルロットから通信が入る。

 

「皆!大丈夫!?」

 

「俺は問題ない!」

 

「私もよ!」

 

「ごめんなさい……!スラスターをやられちゃった!」

 

口々に報告するが簪がダメージを負ったようで飛行が安定していない。

 

「簪!!ラウラの所まで下がれ!」

 

「っ!了解!!」

 

ラウラもダメージを負って飛行が困難になっている。

同じ場所にいてくれた方が守りやすい。

 

「僕が代わりに入る!!」

 

そう言ってシャルロットが簪の代わりに出て来る。

確認のために皆にダメージの状況を聞く。

 

「まだ戦えるか!?」

 

「こんなんダメージの内に入らないわよ!!」

 

鈴が叫ぶ。

しかし、衝撃砲は壊れていて使えるのは近接武器だけだ。

可能な限り的を絞らせないように戦うしかないか……

 

「動き続けろ!!狙われたら俺がターゲットになる!!」

 

「分かった!!」

 

そして戦い始めたのだが、今までは攻撃の途中で妨害されると妨害してきた相手にターゲットを変更したのにいくら横から妨害してもしつこく狙っているやつを追いかけるのだ。そして最初のターゲットは鈴だった。

 

「輝義!!こいつさっきと全然違うわよ!?」

 

「俺だって分からない!!取り敢えず逃げろ!!」

 

「でも機動性が違いすぎるのよ!いくら振り切ろうとしても付いてくるわ!!」

 

その瞬間、鈴が爆炎に包まれた。

 

「鈴!!!!」

 

爆炎の中から鈴が甲龍と一緒に落ちて来る。

 

「シャルロット!!鈴の回収を頼む!」

 

「うん!」

 

シャルロットに鈴を任せる。

しかし、織斑が激高して突っ込んでいってしまった。

 

「てめぇ!!鈴をやりやがったな!!」

 

「織斑!!止せ!!」

 

警告も虚しく、刀を振り下ろした。

 

「おらぁぁぁぁ!!!」

 

しかし簡単に避けられてしまい、その隙だらけの所にビームを叩きこまれる。

 

「がぁぁ!!??」

 

「織斑!?おい!!返事をしろ!!」

 

呼びかけるが応答は無い。

 

「クソ!!」

 

これで戦えるのは俺と箒、シャルロットにセシリアだけか!!

戦力の半分をやられた。

ここまで追い詰められると手の打ちようがない。

しかも次に狙われたのは俺だった。

撤退するなら今しかない。

 

「箒!!」

 

声を掛けるが反応しない。

顔を見れば鈴や簪が落ちた事にショックを受けているのだろう。

顔には恐怖の感情があった。

 

箒は動けないか……

撤退しようにも俺が撤退すれば確実に他の皆を巻き込むことになる。

俺には撤退は許されないって事かよクソ。

 

こうなったらもう考えてる余裕も時間もないか……

 

「……皆、撤退だ」

 

「輝義!?何言ってるの!?」

 

「撤退だ……このままじゃ死者が出る」

 

「でもそしたら皆が襲われちゃうよ!?」

 

「そこの心配はするな。大丈夫だ」

 

「大丈夫って!?……!?まさか残る気じゃないよね!?」

 

気が付いたか……

本当はこうやって渋るから分かってほしくは無かったんだがな……

 

「そのまさかだ。今なら福音のターゲットが俺に向いている。撤退するなら今しかない」

 

「ふざけないで!」

 

「ふざけてなんかいない」

 

「ふざけてるよ!!輝義が撤退しないなら僕も残るよ!?」

 

「輝義さん!私も残りますわ!」

 

「ダメだ。お前達が残ったら誰が簪やラウラを連れて行く?織斑は?鈴は?どうやって連れて帰る?今なら行けるんだ」

 

「ですがそれで輝義さんが死んでしまったら意味がありませんわ!どうかお考えを改めてください!」

 

「無理だ!今ここで全員がやられたらどうする!?他の皆を守る為の人間が必要なんだ!いいから早く行ってくれ!」

 

「でも!」

 

「シャルロット」

 

説得している俺に助け船を出したのはラウラだった。

 

「嫁の言っていることは正しい。今ここで我々が全滅すればどうなるかは分かり切っている。嫁ただ一人の被害で食い止めるのならば今しかない……!」

 

しかし、言っている言葉とは全く違う感情が読み取れた。

 

「ラウラまで!?いいのそれで!?」

 

「いいも何もない!!これは戦略上必要な事なんだ……!!」

 

「っ!!……分かった。撤退するよ……」

 

「シャルロットさん!?いいのですかそれで!?」

 

「ごめん……セシリア。覚悟を決めよう……」

 

「そんな……!?」

 

その後、セシリアは何かを言おうとしていたが、言葉が出てこない。

そして、

 

「……分かりました。皆さんと共に撤退します……!」

 

漸く分かってくれたか。

すまないな、辛い思いをさせて。

その謝罪を口にすることは無い。そうすれば皆を引き留めることになってしまうから。

 

「大丈夫だ。時間ぐらいは稼げるだろう」

 

「……輝義、僕と約束して。ちゃんと帰って来るって。約束出来ないなら撤退はしないよ」

 

「そうですわ。私とも約束してくださいな」

 

「輝義、死んじゃだめだよ……?」

 

「嫁、すまない……」

 

そう言われては仕方がない。

何が何でも帰らなきゃいけないな。

 

「……分かった。約束する。必ず帰る。ラウラ、そんな顔をするな」

 

「っ!……あぁ」

 

「セシリア、シャルロット、皆を頼んだぞ」

 

「うん。任せて」

 

「お任せください」

 

「それじゃ、行け」

 

そう言って皆を撤退させる。

 

「輝義さん、ご武運を」

 

「あぁ」

 

セシリアの言葉を最後に皆は撤退した。

飛行に支障をきたしている簪、ラウラはシャルロットに抱えられて。

鈴はセシリアに、織斑は箒に抱えさせて。

 

 

これで皆は俺が飛んでいる間は無事という事だ。

何が何でもこいつをこのクソッタレを此処に留める。

いや、可能な限りここから遠ざける必要がある。

幸い、今の狙いは俺だから苦労はしないはずだ。

 

 

 

「かかってこい!!俺は此処に居るぞ!!」

 

 

 

地獄への片道切符が今切られた。

 

 

 






書き忘れましたが、福音は原作より強いです。




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