ISヒロインズとオリ主のお話   作:ジャーマンポテトin納豆

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はぁー!!!眠い!!!

FGOの復刻CCCコラボマジキチすぎてやる気でない……

作者は復刻じゃない方を既にクリア済みです。
あのクソスロットは忘れない……


68話目

俺の周りで爆発音が連続して起こる。

福音のエネルギー弾が飛んでくる。

展開装甲も三枚しかないから無茶は出来ないし機動戦を行っているために防御は全て自分で行わなければならない。と言っても避けて避けて避けまくるだけだが。その中で当たりそうなものだけを鬼羅刹と阿修羅を使って弾く。ゲイボルクを使わない理由は槍と言う武器になれていないから。

なれていないものを扱って勝てるほど福音は弱くは無い。

 

俺の目標は福音を可能な限り俺に引き付ける事。

陸地から離れられるだけ離れて俺が落とされた際に日本に向かう移動時間を多くする事。

可能ならば福音のあのスラスターを破壊して移動能力を削ぐ事。

 

 

今現在はひたすら陸地から離れるように移動している。

かれこれ二十分は飛んでいるが回避しながらの移動だから大して距離は稼げない。

 

「クソ!あいつどんだけ振り切ろうとしても追い付いてきやがる!」

 

展開装甲を使っての高速機動にも拘らず後ろを取ってくるのだ。

恐らく、アリーナでの訓練に慣れていてこんな広い洋上で戦闘などしたこともなければそんな訓練も受けたことが無い。

 

急降下、急上昇、高速旋回、急停止、思いつく限りの方法を試してはいるが距離を離す事が出来ない。

 

攻撃に関しても何度も斬りかかってはいるし実際ダメージも与えてはいる。

ただそれよりも遥かに回避などに費やす時間が多いのだ。

 

位置情報を見ても皆を撤退させた場所から五キロほどしか離れていない。

この距離じゃ十数秒で到達されちまう……!

もっと距離を稼がなければいけない!

どうする?被弾覚悟で思いっきり直進するか?

 

 

いくら考えても解決策は出てこなかった。

 

 

 

 

ーーーー side 束 ----

 

 

皆が帰って来た。

機体はボロボロだけど無事みたいだし。

 

でも、そこにてるくんの姿は無かった。

ちーちゃんもそれに気が付いて皆に聞いた。

 

「大河はどうした?」

 

その言葉を聞いた皆は顔を悔しそうに歪める。

そしてラウラちゃんが前に出て、悔しそうに泣きそうになりながら答えた。

 

「強襲は失敗、自分を含め、織斑、鳳、更識、が戦闘を続行不能なダメージを負い撤退……!その際、大河が殿を務めることになりました……!戦略的判断によりそれを許可…現在も戦闘中です……!」

 

苦渋の決断だったんだろう。

泣くのを必死になりながら我慢して答えてくれた。

そして私はそれを聞いてもう訳が分からなかった。

頭が真っ白になって、何も考えられなくなって。

 

「……了解した。他の生徒、旅館のスタッフは既に避難は完了している。

向こうに車を用意してあるからすぐに乗れ。お前達が最後だ」

 

ちーちゃんも心配でしょうがないのにちゃんと皆の事を考えてる。

 

「束?おい!しっかりしろ!」

 

ちーちゃんが肩を揺すって私に声を掛ける。

 

「お前も私も避難するぞ。早くしろ」

 

私達も避難しなきゃいけないんだ。

でも私は行かない。

だっててるくんが戻ってきた時に誰も居なかったら悲しいでしょ?

 

「てるくんを置いていけないよ……」

 

「ダメだ」

 

「でも……!」

 

「いいか?よく聞け。大河が今何をしている?あいつは私達を逃がすために命を懸けているんだ。今ここで私達が逃げなかったら大河の戦いは無駄になる。我々は態勢を立て直して福音がこちらに向かって来た時の備えをしなければならないんだ。いいか?」

 

そう言われても行けないものは行けない。

それにギリギリで逃げることだって私は出来る。

 

「ごめんねちーちゃん。それでも行けない。それにほら、私はすぐに逃げられるからさ」

 

「いいから来い。お前が怪我をしたら大河が泣くぞ?」

 

そう言われるとなぁ……

 

「ちーちゃん、てるくんは間違いなく怪我をして帰ってくる。その時に手当てが出来る人が居なくてどうするのさ?助かるかもしれなかったのが死んじゃうかもしれないんだよ?それを考えたらここから離れるわけにはいかないよ」

 

「お前!いい加減にしろ!」

 

「それにさ」

 

「てるくんは絶対に負けないもん。今までだってそうでしょ?どれだけ酷い怪我をしてもちゃんと帰って来てたじゃん。だから今回もちゃんと帰って来るよ。だから私は此処で待ってる」

 

「それに束さんは細胞レベルで天災なんだよ?」

 

てるくんならぜぇぇぇぇぇぇったいに帰って来る。

そう確信してる。だからここに残るんだ。

それに私なら怪我の心配は少ないしね。

そうちーちゃんに伝えたら、ため息と共に呆れた顔をした。

 

「はぁ……あいつはとんでもない女に好かれたな」

 

「ちーちゃんだってそうでしょ?」

 

「ふっ、そうだな」

 

「そこまで言うなら好きにすればいいさ。ただし、条件がある」

 

「うん?何かな?」

 

「私も残らせろ」

 

なんでさ!?

今さっきまで私にダメだとか言ってたよね!?

 

「ついさっきまで私にダメとか言ってなかった!?おかしくない!?」

 

「なに、お前だけだと何をしでかすか分からなくて不安でな。それに私も身体能力だけならお前の言う天災だからな。残ってもなんら問題は無いさ」

 

そんな!?それじゃてるくんが帰って来た時に好感度を独り占めできないじゃん!?

と言うか束さんって全く信頼されてない!?

 

「で、でもほら!シャルちゃんとかの面倒は見なくていいの!?」

 

「山田先生がいるさ。ああ見えてやる時はしっかりやってくれるからな。問題は無い」

 

えぇ……それってただ丸投げしてるだけなんじゃないの……?

 

「それでいいの……?」

 

「本来なら私も逃げるべきなんだろう。混乱した状況ならば私がいるべきだが今回のこの件は生徒たちには知らせていないからな。専用機持ちと学年の先生方が居れば十分さ」

 

なんかちーちゃんもてるくんの事になると結構熱くなっちゃうのかな?

 

「そこまで言うなら一緒に残ろっか」

 

「あぁ」

 

そこへおっぱい眼鏡が来た。

 

「織斑先生!皆の準備が整いました!織斑先生も早く!」

 

ちーちゃんを呼びに来たんだ。

 

「山田先生、すまない。篠ノ之博士がここに残ると言って聞かなくてな。危険にさらすわけにもいかん。私は此処に残って護衛をすることになった。すまんな。皆を連れて行ってくれ」

 

ちーちゃんさらっと私が悪いみたいに言わないでくれないかな!?

 

「えぇ!?そうなんですか!?でも……うー……んー……分かりました。でも約束ですよ?ちゃんと無事に帰って来てくださいね?」

 

「百も承知ですよ」

 

「はい!それでは!」

 

おっぱい眼鏡も行っちゃった。

 

一応、私が打ち上げた人工衛星を使って、てるくんの事が見れるようにしてみる。

お!通信は出来ないけど映像はいけるみたいだね。

 

「ちーちゃん!てるくんが映ったよ!」

 

「なに?お前そんな事が出来たのか!?もっと早く言わんか!」

 

「だってしょうがないじゃん!忘れてたんだもん!」

 

「お前なぁ……はぁ、まぁいい。それで大河の方はどうなっている?」

 

そう言われて少しズームする。

 

「かなり苦戦してるみたいだね。ん?ここから離れて行ってる?」

 

「どういう事だ?」

 

「分からない。でもこの旅館から離れて行ってるのは間違いないね。でもどうして……?」

 

なんでだろう?

此処から離れてもメリットは少ないはず……

なのに少しずつだけど離れてる……

……あ!もしかして!

 

「あいつ、もしかしてここから遠ざけているのか?」

 

ちーちゃんも同じ考えに至ったらしい。

てるくんは多分、時間稼ぎのほかに此処から少しでも遠くに移動して自分がやられちゃった時に私達が準備できる時間を作るために此処から離れて行っているんだ!

それをちーちゃんに言うと、

 

「しかし、福音は超音速飛行が可能なんだぞ?数十キロや数百キロ離れたところで数分もしないで此処に到着するぞ……?」

 

「多分、てるくんはそれも分かってるはずだよ。だからスラスターの破壊も同時に狙っていると思う」

 

「そうなのか……あいつはどこまでも自分よりも私達や他人を優先するのか……大馬鹿だな……」

 

「でもそんなてるくんが大好きなんでしょ?」

 

「そうだが?」

 

わぁお……

すっごい堂々としてらっしゃる……

 

でも今は見守って無事を祈ることしか出来ない。

 

 

私とちーちゃんは映像を見続けた。

 

 

 

ーーーー side out ----

 

 

 

 

 

今現在、思いきって直進するかしないかの決断をしかねている。

 

どうする!?今のままじゃ時間が掛かりすぎて俺が持たないかもしれない。

だが、今のままだと一か八かで賭けに出るよりは遥かに今のままの方が安全だし確実に時間を稼ぐ事が出来る。

 

どちらにせよメリットとデメリットがあるし、どちらを選んでも成功するとは限らない。

 

 

……直進に懸けてみるか。

 

 

そう決断してからは早かった。とにかく可能な限り悟られないようにしなければならない。一瞬の隙を作ってその瞬間に一気に行く。

 

しかしそう決めたはいいものの隙など全然見せない。

 

多少の被弾は覚悟で行くか……?

でもそれだとその後の戦闘に支障が出るかもしれない……

 

スラスターを先に破壊する?

ダメだ。それだと福音との距離が離れすぎてしまう。

 

そう考えてどうするか必死に頭を捻る。が、出て来るのはどうしようもない物ばかり。

 

 

 

ふと、一瞬攻撃が止んだ。

チャンスだ!

そう思って全力で直進しようとした。

しかしそれは福音の罠だった。そうとも知らずに真っ直ぐ飛んだものだから福音からすればいい的だろう。

 

そしてやばいと思って振り向くと馬鹿でかいエネルギー砲がこちらを向いていた。

咄嗟に展開装甲を防御状態にする。

 

そしてそれは俺の命を救う事になる。

三枚を重ねて防御したにも関わらず、その有り余る威力で展開装甲ごとぶち抜いてきたのだ。

 

「ごっ!!??」

 

しかし、展開装甲が威力を削ってくれたからか衝撃で吹き飛ばされたがSE自体はそこまで減っていない。

 

不味い……!展開装甲が無いと此処から距離を稼げない……!

展開装甲を全部持ってかれたのは痛すぎる。

これじゃ大して持たないぞ……!

 

こうなった以上時間稼ぎはもう無理か。

なら今更だが短期決戦で行くしかなくなった。

 

 

「やってやるよ!!逃げるのは此処までだ!!」

 

声を上げながら福音に向き直る。

 

取り敢えずあの邪魔なスラスターと弾幕攻撃を最初に何とかする。

そうすれば機動力と攻撃力をガタ落ちさせられるはずだ。

 

よし……ならば後は奴を仕留めるだけだ。

 

「おおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

瞬時加速で接近する。

当然、迎撃してくる。

 

飛んでくるエネルギー弾を直撃するものだけ叩き落としていく。

 

そうして福音に接近する。

 

捉えた!!

 

阿修羅を振り下ろし、スラスターの一部を破壊する。

通り過ぎるときに鬼羅刹も振る。

しかし、大したダメージは与えられなかった。

 

あれだけあるスラスターの一部とはいえ削れた事は大きい。

その部分は弾幕が薄くなるだろう。

そこを狙って徐々に削いでいけばいい。

 

どれだけ時間が掛かっても確実に仕留める。

 

 

 

 

どれだけの時間がたっただろうか?

あれからスラスターの数を削って削って削って。

最初の数より、恐らくもう五分の一も残っていないのではないだろうか?

 

そしてそれだけ削ると別の問題が出てきたのだ。

スラスターを使った弾幕攻撃よりも単発火力の強い攻撃を繰り出すことが多くなってきた。これは避けられない訳ではない。今まで一発も当たっていないのがその証拠だ。

だが当たればSEを削られるだけではでは済まない。

外れたものの内の一発が海面に直撃した時、戦艦の主砲以上の水柱を上げたのだ。

いや、実際に戦艦の主砲の威力を見たことがあるわけではない。

だがあれは、明らかにそれを凌ぐ威力だ。

容易に絶対防御を貫通してくる事は想像できる。

 

しかしここで攻勢を緩めるわけにはいかない!!

 

「片を付けてやる!!」

 

両手に持っている刀を構えなおす。

真正面に福音を捉えた。

 

「叩き落としてやる!!」

 

そう叫んだ。

しかし、追い詰めていると勘違いして俺は慢心していたのだろう。

そして漸く福音との戦いを終わらせる事が出来ると。

 

そして俺はビームを食らった。

 

「がぁぁぁぁ!!!???」

 

直撃したわけではないが、左腕を持っていかれた。

咄嗟に回避したからか腕以外に被害は無い。

だが……

 

「あの野郎……!!装……甲ごと腕ま……で持っていきや……がった……!!

 

利き腕を本能的に守ったおかげで右腕は無傷。

ただ、直撃を受けた左腕が肩よりも少し下ぐらいから無い。

物凄い激痛が走っているが、幸いと言うべきなのかどうかは分からないがあのビームで断面が焼かれて出血は無い。

これでよくショック死しなかったな……

こうしている間にもビームは飛んでくる。

 

出血死は無いって事か……なら思いっきり動いても問題はねぇな……!!

 

「腕の代償は高くつくぞ……!!」

 

右腕がまだあるなら戦える。

休む暇はない。

 

「お”お”お”お”お”お”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!!!!」

 

咆哮を上げる。

腕の痛みを紛らわせるために。

こうでもしないとやってられないぐらいの激痛なのだ。

 

「オ”オ”オ”ォ”ォ”ォ”ォ”!!!!」

 

個別間瞬時加速で一気に加速、接近する。

この加速ですら断面に負担がかかるらしく、ズキンズキンと経験したことのない痛みと共に頭痛まで襲ってくる始末。

 

「でも!!この程度の痛みで止まる訳にはいかねぇんだよ!!!!」

 

痛みによって朦朧とする意識を必死に繋ぎ止めながらすれ違いざまにに斬りながら通り過ぎて、そのまま旋回をして再び斬り付ける。

 

「まだまだ終わらねぇぞ!!」

 

何故かは分からないが福音の撃つ全てのビームもエネルギー弾も俺の通り過ぎた場所で炸裂する。

 

「何処を狙ってやがる!!俺は此処だぞ!!」

 

そう言いながらも斬る。

通り過ぎて旋回して瞬時加速で突っ込んで斬る。

ひたすらにこれを繰り返す。

 

どれぐらい繰り返したかは分からない。

福音の動きがほとんどなくなっていた。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……終わったか……?」

 

そう言って近づいてみると、腕を伸ばしてきた。

まだ動けるのかと警戒したが如何やら敵意は無く、ただ伸ばしてきているだけの様だった。

 

そして、俺は何を思ったのかその手を取った。

 

その瞬間に視界が暗くなる。

 

 

 

目が覚めるとそこは一面の草原だった。

 

「……ついに俺も死んじまったのか?」

 

無くなった腕の痛みもないし……

ここは天国か何かだと思っていると声を掛けられる。

 

「大河輝義さん、で間違いありませんか?」

 

振り向くと白髪の幸薄そうな美人が居た。

……俺の知り合いにこんな美人は居ないぞ?

もしかしたら先祖かなんかに居たのかもしれないけど、俺ん家の家系は純日本人だ。

 

「……どちら様ですか?]

 

「初めまして。福音に使われているコアの人格です」

 

っ!?

まじかよ……天国に来てまで戦うとか勘弁してほしいぜ全く……!

しかも丸腰だから素手か……

勝てねぇな……これは死んだか。あ、もう死んでるんだった。

 

「そう警戒しないでください。大丈夫ですから」

 

「……何故、俺の前に現れた?」

 

「お礼をするためです」

 

お礼?コアの人格になんざ一度も会ったことがないのに?

 

「……どういう事だ?」

 

「私の暴走を誰かを殺してしまう前に止めてくれたこと。そして何よりも私の操縦者のナターシャを助けてくれたこと。本当に、ありがとうございました……!」

 

少し声を震わせながらの謝罪だった。

 

「……分かりましたから、頭を上げてください」

 

「許してくれるのですか……?」

 

「……だって好きで暴走した訳じゃないんでしょう?それぐらいは分かりますよ」

 

本当はスコールさん達に事前に何かあるからって言われてたからなんだけど。

これは別に言わなくていいよね。

 

「そこまで知っているのですね……はい。稼働試験中に何者かからのハッキングを受け、暴走させられました」

 

「……ならそいつらが悪いんです。……あー……」

 

「私の事はゴスペルでも福音でもお好きにお呼びください」

 

「じゃぁ、ゴスペルさんで。

貴女が悪いわけじゃないんですよ。だから気にしないで下さい」

 

「でも、貴方は、私の攻撃で……腕を……」

 

あぁ……

確かにそうだけど、死なない限り束さんが何とかしてくれる気がする。

 

「……死ななきゃ何とでもなりますよ。それに死ななければ束さんが何とかしてくれそうだし」

 

「お母さまですか?……あぁ、確かにそうですね」

 

「……だから心配しなくても大丈夫ですよ」

 

「そうですか……でも、改めてお礼を。本当にありがとうございました」

 

「……気にしないで下さい。……此処ってどこなんです?」

 

ぶっちゃけマジでここ何処なの?

まぁ、過ごしやすいっちゃ過ごしやすいんだけども。

皆が待ってるから早く帰らなければ。

 

「此処は私のコアの中のなんて言えばいいんでしょう?私が作り出した心の中の世界と言えばいいのでしょうか?意識だけをこちらに連れてきました」

 

ISのコアって凄いね。

もう凄すぎて訳分かんないや。

 

それから色々話した。

何というか普通のお姉さんって感じにしか思えなかった。

感情豊かだし。

因みに笑った顔はめっちゃ美人でした。

逆に誰の仕業かを教えたらお顔が怖かったです。

 

「あら、もう時間の様ですね。そろそろ現実に戻らなければいけないようです」

 

そうなの?

ならしょうがないか。

皆も待っている事だし。

 

「……そうですか。では、また会いましょう」

 

「はい。では、また」

 

その言葉を交わして、再び俺の視界は暗転した。

 

気が付くと、元居た場所に意識は戻っている。

福音の姿は無く、代わりに俺の右手の中にはコアと思われるものがあった。

 

ちゃんとナターシャさんだっけ?の所に連れて行きます。

 

その思いが届いたのかは分からないが少し震えた。

 

そこに通信が入る。

 

「大河!応答しろ!」

 

これは織斑先生の声ですね。

 

「……はい」

 

「おぉ!!無事だったか!?急に動かなくなって心配したんだぞ!?」

 

「……すいません」

 

「まぁいい。それよりも!腕は!?」

 

やっぱりバレてるか……

多分、束さんあたりがどうにかして映像だけでも見れるようにしたんじゃないか?

 

「……今のところは出血も無いですし大丈夫かと」

 

「大丈夫な訳あるか!!腕が無くなっているんだぞ!?」

 

あ、これはガチ怒モードですね。

帰ったらお説教のフルコースかな……?

 

「ちーちゃん!心配なのは分かるけど取り敢えず帰って来てもらおうよ!そうしないと治療も何もできないってば!」

 

後ろから束さんの声がする。

あれ?そういえば皆避難したんじゃなかったっけ?

まぁ、今はそれよりも帰ることが重要だ。

 

「む……そうだな。大河、自力で帰ってこられるか?」

 

そう聞かれて機体の状態を見る。

うん、スラスターは無事だし、飛行に問題は無いかな?

これなら行けるだろ。

 

「……大丈夫だと思います」

 

「そうか。なら旅館まで帰ってこい。すまんがオルコット達も避難させてしまってな。迎えに行く事が出来ないんだ」

 

そんなことなら心配は要らない。

今は痛みも無いし、無事に帰れる。

 

「……大丈夫です」

 

「そうか……安全に帰って来い」

 

「……はい」

 

帰るまでが遠足ってよく言うもんね。

そうして旅館に向けて進路を取った。

 

 

あ……忘れてたけど今俺、腕ないんだった。

箒達に見られたら……怒られるよな……

はぁ……帰ったらしこたま怒られるんだろうなぁ……

 

 

 

 

 

スラスターも全部が無事という訳ではなかったので帰るのにたっぷりと一時間掛かってしまった。思ったよりも離れる事が出来ていたんだな。

 

「てるくーーん!!おーーーーい!!!」

 

海岸で束さんがぴょんぴょん飛び跳ねながら俺の名前を呼ぶ。

……ついでに言っとくとハイパーセンサーでバッチリ動きに合わせてばるんばるんしてる大きなものがしっかりとらえてある。

……録画出来たらよかったのに。

 

その隣で織斑先生が腕を組んで待っている。

流石にこの時ばかりは何時ものしかめっ面ではなく少し微笑んでいる。

その顔が赤く泣きはらしたようになっているのは見なかった事にしておこう。

 

砂浜に足を付ける。

そして報告をする。

 

「……大河輝義、只今戻りました」

 

「うむ。よくやったな」

 

報告して織斑先生が少し泣きそうになりながら頷いているのを見ていると、横から再び束さんの声が。

 

「てるくーーーん!!!」

 

「うおわっ!?」

 

そして振り向きざまに抱き着かれた。

あばばばばばばば!?

とてつもなく柔らかいものがががががが!!!???

 

「すっごい心配したんだよ!?」

 

そう言うと、だんだんと目尻に涙を溢れさせて遂には泣き出してしまった。

 

「ひぅ……ぐすっ……うぅぅぅ……」

 

それを見た織斑先生も泣き出してしまった。

泣きながら、

 

「ぐすっ……ひっく……学園に帰るぞ……」

 

取り敢えず、二人を抱き上げる。

 

「お、おい!?私は……!?」

 

「ちーちゃん、今ぐらいは素直になりなよ」

 

そう束さんに言われて織斑先生は、

 

「うっ……その、車まで頼めるか……?」

 

「……お安い御用です」

 

そう言って織斑先生に案内されながら車まで歩き出す。

今は右腕しかないから片方に二人って感じだけど他の人より俺の腕がでかくて太くて長くて良かった。

今はそのことに感謝しよう。

 

 

 

「……着きましたよ」

 

「その、ありがとう……」

 

そう言って織斑先生は降りていくがその時に名残惜しそうな顔をしていた。

……また今度やってあげよう。

 

「……束さん、着いたので降りてください」

 

「いやっ!!私を心配させたんだからこれぐらいいいでしょ?ついでに左腕の状況も見るから」

 

いや、見るからって……

 

「……ダメかな?」

 

そんな目で見ないで下さい……

断れないでしょう……

しかも絶対分かってやってる……

 

「……いいですよ」

 

「ほんと!?ありがとー!!」

 

抱き着かないで!?

むにょんむにょん形を変えてとんでもないことになってるから!!

どこがとは言わないけど!!

 

「ほら、早く乗れ」

 

あれ?織斑先生止めないの?

 

「……止めてくださいよ」

 

「ふん。心配させたんだ。それぐらいで済むならお釣りがくるだろう。何だったらご褒美でもあるじゃないか」

 

拗ねないで下さいよ……

俺にどうしろと?

 

 

 

 

帰りの車の中で

 

 

「うーん……ビームで断面が焼けてるから出血が無いのは救いかな。焼けてなかったら今頃は出血多量で死んでたね」

 

そう言いながら俺の左腕を見る束さん。

今は治療をしてくれている。

 

「どうだ?直りそうか?」

 

運転しながら織斑先生が聞く。

 

「これぐらいなら再生させられるよ。と言ってもてるくんから血液とかを貰ってそれを使って培養してくっつけた方が早いからそっちでやるけどね」

 

やっぱ束さんすげー。

そう思ったのが顔に出ていたのか、

 

「なんてって束さんだからね!これぐらい何てことは無いのだ!!」

 

うん。凄いからあの、どいてくれませんかね?

ナチュラルに俺の胡坐の上に座っている束さん。

もうお尻がむにょむにょして精神衛生上大変宜しくない訳で……

 

それを言うと泣きそうになりながら訴えて来るから拒否が出来ない。

ある意味で福音との戦いよりも辛い……!

 

 

唐突に思い出したように織斑先生が言った。

 

「大河、帰ったら覚悟しておけよ」

 

お説教ですね分かります。

 

「あぁ、心配するな。私は怒らん。ただ、私以外が黙っていないだろうな?」

 

終わった……

セシリア達に楯無さんと虚さんも加わる訳でしょ……?

 

これは二、三日説教が続くかな……

 

 

因みに帰っている道中、束さんは終始俺に引っ付いてた。

そしてそれを見た織斑先生が不機嫌になるという……

だから俺にどうしろと?

 

 

 

 

そして帰った後、予想は見事的中。

しっかりがっつり怒られました。

ただ、怒られる前に皆から、

 

「ありがとう」

 

って言われたことが予想外だった。

 

そしてもう一つ予想外だったのが、

俺の左腕を見て皆さんが大激怒したこと。

まぁ、よく考えたらそうなるなと一人納得。

 

その時の皆ときたら、無くなってる左腕を見て、

顔が青くなるわ赤くなるわで簪とセシリア、虚さんは耐えられなくて失神してしまい、シャルロット、ラウラ、鈴、織斑、楯無さんには烈火の如くブチぎれられた。

 

ちょうぜつこわかったです。

 

 

ただ箒は何もできなかった事を悔やんで怒られはしなかったけど物凄い落ち込んで泣いて謝ってきた。それを慰めるのが大変だった。

結果的に、箒を鍛えるという事になった。

 

 

 

 




これにて福音戦終了です。
次は福音戦の後日譚でも書こうかなと思っております。

しっかし、いつもより物凄く長くなってしまった……
ま、いっか。


追記

次話でちーちゃん視点の話も書きます。
そこんところよろしくお願いします( ̄^ ̄)ゞ


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