ISヒロインズとオリ主のお話   作:ジャーマンポテトin納豆

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引き続き日常回。


71話目

 

 

 

束さんが今日、俺の腕をくっつけに来る。

織斑先生も同席している。

 

「てるくん!来たよ!」

 

「……おはようございます」

 

「うん!おはよう!」

 

「輝義様、おはようございます」

 

「……おはよう」

 

そう言って束さんとクロエと挨拶を交わす。

 

「それじゃ早速始めよっか」

 

「束、私はどうすればいい?」

 

「ちーちゃんは外で待ってて。助手にはくーちゃんが居るからね!」

 

「そうか……」

 

「そんな不安そうな顔しなくても大丈夫だよ。なんたってこの束さんだよ?心配する要素がどこにあるっていうのさ!」

 

織斑先生は不安そうな顔をするがそれを束さんは大丈夫だと言って安心させる。

そう言われて織斑先生は、ふっと笑いながら言った。

 

「そうだな。だがお前がやるとなるとそれはそれで心配だな。魔改造するなよ?」

 

「あれぇ!?私は慰めてあげたのにお返しがこれ!?束さんってばもしかして全然信用されてないの!?」

 

「はっ。何を今更。今までの自分の所業を顧みたらどうだ?少しは考え直すだろう」

 

「朝からちーちゃんは辛辣だなぁ!束さん泣いちゃうよ!」

 

そう言って冗談を言い合っている。

なんだかんだでこの二人は仲が良い。

 

「……束さん」

 

「何かな?」

 

「……魔改造、しないで下さいね?」

 

「てるくんまで!?」

 

「はっはっはっはっは!!」

 

少し意地悪だっただろうか。

まぁでもこれぐらいが丁度いいんだろう。

束さんも緊張してたみたいだし。

 

「それじゃ始めるよ。全身麻酔掛けちゃうから寝てる間に終わってるよ」

 

「……はい。お願いします」

 

「うん!」

 

「束様、こちらの準備は出来ましたよ」

 

「ありがとくーちゃん!じゃぁ始めるよ」

 

そう言って麻酔が聞いてきたのか段々と瞼が落ちてきた。

 

 

 

 

 

目を覚ますとベッドの上だった。

なんで此処にいるんだっけ……?

 

あぁ……そうだ……束さんに腕をくっ付けて貰ったんだっけ……

腕を見ると無くなる前の腕がくっついている。

 

思い出して周りを見ると束さんと織斑先生がベッドの横に椅子を置いて座っていた。

 

声を出そうとしてもまだ麻酔が残っているのか声が出せない。

 

「ん?おぉ、気が付いたか」

 

「おはよーてるくん。気分はどう?って声を出せないか。ちょっと待ってて。もう少ししたら声を出せるようになるはずだから」

 

そう言って頭を撫でられる。

隣では織斑先生が微笑んでいる。

んー……なんかすっごく気持ちいい……

 

「ふふ……もう少し寝てても大丈夫だよ?」

 

その言葉を聞いてまた寝てしまった。

 

 

 

 

ふわふわしててなんかここちいい。

あったかくていいにおいがする。

 

 

 

目を開けるとまだ束さんと織斑先生がそこにいた。

そして束さんは俺の手を握りながら枕にしていた。

織斑先生は頭を撫でながら普段は見ることのできない穏やかな顔をしていた。

ちょっと恥ずかしいけど、まぁこれぐらいならいいか。

 

「……おはようございます」

 

「ん?あぁ、目が覚めたのか。もう二時過ぎだがな。それで調子はどうだ?」

 

「……声も出せますし問題はありません」

 

「そうか。なら良かった。それなら食事も摂れるだろうから食事をしながら腕の説明を束から聞こう。ほら、束起きろ」

 

そう言って束さんを揺する。

 

「んぅ……?……あ、てるくんおはよう……」

 

まだ眠いのか元気が無い。

可愛い……

 

「はぁ……まぁいい。食堂から何か食べる物を貰ってこよう。何がいい?」

 

「……何かガッツリ行ける物をお願いします」

 

「分かった。少し待っていろ」

 

そう言って出ていく。

 

「……束さん、起きてください」

 

あれ?返事が無い。

可笑しいな……さっきは少し起きてたよな?

そう思い顔を覗くと寝てしまっていた。

 

しっかしこの人、ホントに綺麗な顔してんな。

近くで見ると更にそう思う。

でもそろそろ起きてもらわないと。

 

「……束さん、起きてください」

 

ダメだ……揺すっても起きない。

……これならいけるかな?

 

「……束さん、早く起きないと織斑先生に〆られますよ」

 

そう言うとサッと起きた。

この人本能レベルで織斑先生の事が怖いのか……?

 

「……おはようございます」

 

「うん、おはよう……あれ?ちーちゃんは?」

 

きょろきょろと周りを見て織斑先生が居ないことに気が付く。

 

「……何か食べる物を持って来てくれるそうです」

 

「あーそっか。てるくんまだお昼食べてないんだもんね」

 

「……はい」

 

「それじゃ戻って来るまでお話ししようよ」

 

「……いいですよ」

 

そして織斑先生が戻って来るまで話をした。

 

 

 

「待たせたな。親子丼だ」

 

おぉ……!!

オヤコドン!!

しかもちゃんと特特特特盛りになってる!!

 

「食堂のスタッフにお前の名前を出したらこの量で出てきたぞ?普段からどれだけ食べているんだ?」

 

織斑先生はそう言ってくる。

まぁ覚えられてても仕方ないよね。

だってこの量を食べるのなんて俺しかいないだろうし。

 

「……いつもならプラスで何品か他にも頼みます」

 

「はぁ?胃袋どれだけでかいんだ?まぁ今日は術後だからそれで我慢しろ。それでも多いんだがな」

 

「……はい。ありがとうございます」

 

「ん。そしたら束、説明を始めてくれ。大河は食いながらでいいぞ」

 

「……はい」

 

「りょーかーい。さてと、それじゃ説明するね」

 

「……お願いします」

 

「てるくんの腕だけど、特に問題はないよ。まぁちょっと動かしずらいかもしれないけどほっといても段々無くなってくると思うから大丈夫だよ。早く治したいんだったらリハビリすればいいから。でもやりすぎは良くないよ。一日三十分までならいくらでもやっていいから、それ以上はやっちゃダメ。いい?」

 

「……はい」

 

「それに特に心配するようなことは無いかな。

もしかしたらくっつけた腕を免疫細胞が攻撃しちゃうかもだけど、てるくん自身の細胞から培養したから可能性は低いしこれもあまり心配しなくて大丈夫だよ。それぐらいかな?どちらにしろ私がモニタリングしてるから何かあったら直ぐに駆けつけるから大丈夫だよ」

 

そう言われて安心する。

まぁ束さんにやってもらったから失敗したり何か問題が起こるような事は無いだろうし。

その辺は心配してない。

 

「これで説明は終わりかな。何か質問はある?」

 

質問……

何もないかな。

 

「……特に無いです」

 

「それじゃ終わりだね。てるくんご飯食べるのに集中していいよ」

 

「……はい、ありがとうございます」

 

そう言われては仕方が無い。

オヤコドンよ、今俺が食らいつくしてやろう!!

 

 

まぁ腹が減ってたわけで十分もすればオヤコドンは胃の中に全て消えていった。

 

「てるくんよく食べるね……私だったらもう吐いちゃってるよ……」

 

「お前一度束に胃袋を見てもらえ。ブラックホールでも入っているんじゃないのか?」

 

いつも通りなんだけどなぁ……

なのにこの言われ様……

 

 

「あぁ、束」

 

「ん?どうしたのちーちゃん?」

 

「大河はいつから授業に出ていいんだ?」

 

「明日からもう出ていいよ。今日は麻酔掛けたり手術したりしたから休まないと。本当は明日も休んでほしいんだけどてるくんなら大丈夫そうだし」

 

「そうか。分かった。聞いたな?明日から授業に参加しろ?」

 

「……はい」

 

「遅刻したらただじゃ置かないからな?」

 

「……はい。大丈夫です」

 

「ん。なら私はこれから仕事に戻るとしよう。山田先生に任せっぱなしだからな」

 

わざわざ此処にいてくれたのか。

優しいね。普段からこうだともっと人気出ると思うんだけど。

 

「ではな。しっかりと休めよ」

 

「……はい」

 

そう言って織斑先生は行ってしまった。

此処に残っているのは俺と束さんのみ。

 

「……束さん」

 

「どうしたの?」

 

「……本当にありがとうございました」

 

頭を下げる。

この人にはどれだけ感謝してもしきれない、返しきれない恩が出来た。

 

「……急にどうしたの?」

 

束さんは驚きながらも答えてくれる。

 

「……俺の腕を治してくれて、元に戻してくれて、ありがとうございました。正直、もう二度と左腕を見ることは無いだろうって考えたこともあって……だから、ありがとうございました」

 

失った腕を元に戻す。

言葉では簡単に言えるかもしれないが、実際にやるとなればそれはとても難しいなんてレベルの話じゃないのだ。

義手ならば、と言う人もいるかもしれないが、本当の腕に比べたら使いやすさは天と地ほどの差になるだろう。

 

だから、俺は頭を下げる。

今の俺に出来ることなんてこれぐらいしかないから。

 

「てるくん、頭を上げて?」

 

そう言われるが上げられる訳が無い。

下げたままでいると、頭を掴まれ無理矢理上げさせられた。

 

「いい?これは私が好きでやったことなの。だからお礼なんて要らないんだよ?」

 

「……でも、それじゃ気が済みません。何か自分に出来ることはありませんか?」

 

こんな大恩を受けておいてはいそうですか、とは出来ない。

出来るわけがない。

 

「むー……そうだね……なら暫く考えさせて?今すぐになんて無理だし」

 

それなら……

 

「……分かりました。何か思いついたら言ってください。自分のできる範囲なら何でもします」

 

「うん!でもその前に寝た方がいいよ?」

 

なんで?飯食う前まで俺寝てたんだけど?

 

「……何でですか?」

 

「てるくん、体力消耗してるはずだよ?」

 

そんな自覚は無いのだが……

 

「……そうなんですか?」

 

「うん。自分じゃ分かってなくてもなんだよ。だからベッドで横になった方がいいよ?」

 

そう言うのならば仕方ない。

寝るとしよう。

 

「……ならお言葉に甘えて」

 

「うん。お休みてるくん」

 

「……おやすみなさい」

 

そう言ってベッドに潜り込んだのだ。

束さんの言う通り、消耗していたのか直ぐに寝てしまった。

 

 

 

 

ーーーー side 束 ----

 

 

 

手術が終わって今、てるくんが目の前で寝ている。

本当に寝ているときは穏やかな顔してるなぁ。

 

まだ麻酔が効いてるからお昼ごろになれば目が覚めるはず。

 

 

 

と、思ったんだけど起きた。でもまだ麻酔が効いててすっごい眠そうだから寝かせた。

どうしよ……てるくん見てたら私も眠くなってきちゃった……

 

それに気が付いたのかちーちゃんが、

 

「眠いなら今のうちに寝ておけ。大河が目を覚ましたら説明をしてもらわなければならないからな」

 

「うーん……それじゃ寝るよ。結構限界だし」

 

「適当に起こしてやるからそれまで寝ていろ」

 

「うん……じゃお休み……」

 

そう言っててるくんのベッドに頭を預けて寝た。

 

 

 

 

暫くして、てるくんに起こされて周りを見るとちーちゃんが居ない。

どうやらてるくんのお昼を取りに行ったらしい。

 

 

それから腕の説明をして、てるくんがご飯を食べてるのを見てたらちーちゃんがお仕事に戻っちゃった。

 

その時、てるくんが頭を下げてきた。

驚いたよもう……

 

理由を聞いたら腕を元に戻してくれてありがとうって。

別にいいのにって言ったら、それじゃ気が済まないから何かできることは無いかって聞いてくる。

 

って言ってもなぁ……

何もないし……

 

考えておくからまた今度って言ったら納得してくれた。

 

てるくん、結構頑固だったりするのかな?

 

その後はまだ手術したばかりだから寝てもらった。

その時、いい事を思い付いちゃった。

 

今なら一緒のベッドで一緒に寝れる。

そう思ったらもう止まらない。

てるくんの隣に潜り込んで横になる。

 

んふふ……てるくんの隣で一緒に寝てるよ~……

てるくんの匂いがする……

 

そしたらまた眠くなっちゃった。

……このまま寝ちゃおう。先に起きれば大丈夫だし。

 

 

そうして目を閉じた。

 

 

 

ーーーー side out ----

 

 






次回、ちーちゃんと皆の視点をやります。



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