ISヒロインズとオリ主のお話   作:ジャーマンポテトin納豆

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79話目

 

 

 

あの後、織斑が帰って来たのは一時頃。

何をしていたのか聞いてみると、はぐらかされてしまった。

まぁ昼飯で出てきた炒飯が美味かったからいいや。

 

それで三人で再びトランプをしていると六時になってしまった。

因みにトランプは俺の全敗で終わった。なぜ勝てないのだ……

表情が分かりやすい?そうですか……

 

 

「……そろそろ俺は帰るとする」

 

「お、もうこんな時間か」

 

「なんだ、もっと居ても構わんのだぞ?」

 

「……反省文は嫌ですから」

 

「それもそうだな。なら駅まで送って行ってやるとしよう」

 

千冬さんが態々送って行ってくれるらしい。

 

「……駅までは十分か十五分で着きますから大丈夫ですよ」

 

「何、それぐらいいいだろう。ほら、荷物を纏めて行くぞ」

 

「なら俺は晩飯の準備でもするかな(いい傾向じゃないか。その調子でドンドンアピールしていくんだ千冬姉!)」

 

断り切れず、二人で駅まで行くことになってしまった。

しかも何故か織斑は付いてこないという。

まぁいっか。

飯は大事だし。

 

そういう事で俺は今現在織斑先生と並んで駅に向かっている。

 

「……態々送っていただいてありがとうございます」

 

「気にしなくていいさ。それに、この輝義と歩いている時間も楽しいものだからな」

 

そう言われてしまうと何も言えなくなる。

しかしそうすると帰りはどうなんだろうか?

 

「……ですが帰りは居ませんよ?」

 

「ん?帰りはいいんだ」

 

帰りはいいのか。

でも何がいいんだろうか?

よく分からないが本人がいいのならいいか。

 

「夏休み中はどうするつもりだ?」

 

「……実家に帰ります」

 

「やはり帰省するのか」

 

「……はい。それに皆を家に誘ってますから」

 

「そうなのか。まぁそういう事を出来るのは学生の内だけだ。大いに楽しめ」

 

「……はい」

 

「……千冬さんは夏休みをどう過ごすんですか?」

 

「多分仕事が八割休みが二割、と言った所だろうな」

 

凄い忙しいじゃん。

俺らは呑気に夏休みで大人は仕事か。

 

「……何でです?」

 

「二学期に修学旅行と文化祭、それに体育祭もあるだろう。それの準備やらなんやらがあってな」

 

「……ご苦労様です」

 

物凄い行事の数。

 

「それに、もしかしたらなんだがな?」

 

「……なんです?」

 

「キャノンボールファスト、聞いたことはあるか?」

 

何だっけ……

どっかで聞いた事があるような無いような……

 

「その顔じゃ知らなさそうだな。キャノンボールファストは毎年行われるISレースだ。例年通りだと学園の一番大きいアリーナで行われるんだがな……」

 

「……それがどうかしたのですか?」

 

「各国が揃いも揃って男性操縦者の二人を参加させるようにとぬかし始めていてな。しかも国家代表部門に混ぜてだ」

 

まじですか。

俺達ってばものすんごい人気者ですね。

 

「本来なら学園の生徒のみで行う訓練機部門と専用機部門に分かれてやるんだが、この状況じゃ多分専用機部門と国家代表部門の両方に出ることになる」

 

「……なんでそんなに俺達を出したがるんですか?」

 

「織斑は恐らく男性操縦者のデータ集めとして、輝義はデータ集めと第四世代機のイージスの情報収集だろうな。それ以外には考えられん」

 

「……やっぱりですか」

 

何となく予想していた事とは言え、面倒事には変わりない。

それに欧州の女権団に亡国機業もそれに合わせて何らかの形でアクションを起こすだろうし。

 

「それにドイツとフランスの動きも気になる。流石にあれだけの事をしておいて招く訳にはいかないからな。今回、と言うか今後はIS学園の行事にドイツとフランスは一切の干渉が出来ないことになっている」

 

そうなのか……知らなかったぜ。

でもそうすると絶対に何かしらのアクションを起こすよなぁ。

スコールさん達に聞いておくかな……

それに、千冬さんにも会わせておいた方がいい気がする。

そうすれば対策とか取りやすいだろうし。

 

「……それだと何か起こしそうじゃないですか?」

 

「絶対に何か起きるだろうな。はぁ……」

 

大きなため息をつく。

流石に学園だけでは対処が難しいのだろう。

こうなったらスコールさんと会ってもらうか。

絶対にヤベー雰囲気になりそうだけど。

 

「……千冬さん、少しいいですか?」

 

「どうした?」

 

「……後日、時間のある日を教えて貰えませんか?」

 

「なんだ急に」

 

「……会ってもらいたい人が居るんです」

 

「誰だそれは?」

 

「……今はまだ教えることは出来ません。ですが協力者であることは間違いないです」

 

「………………分かった。そっちの都合に合わせる」

 

「……ありがとうございます」

 

「ほら、駅が見えてきたぞ」

 

本当だ。

もう駅が見えてきてしまったか。

なんかとても名残惜しい気がするけどまた今度話そう。

 

「……此処まで送っていただきありがとうございます」

 

「気にするな。私が送りたかっただけだからな。それに……」

 

「……それに?」

 

それに何だろうか?

 

「それに輝義と二人だけで話しながら歩けたからな」

 

そう言って、ふわりと笑った。

さっき織斑の家で二人で話していた時に浮かべた笑みとは別の物だった。

 

「……それでもですよ」

 

「それなら礼を受け取ろう」

 

「……千冬さん、普段からそうやって笑っていればもっと素敵だと思います。それにファンも増えるだろうし」

 

思った事を口にしたら嬉しそうに、同時に顔を赤くしながら、

 

「なんだ急に……でも、そう言うのなら努力してみよう。でもファンはこれ以上要らないさ。別でもっと自分のものにしたいものがあるからな」

 

「……それは?」

 

「ふふ、秘密だ」

 

教えてくれなかった。

 

「ほら、もうすぐ出発してしまうぞ?」

 

そう言われて時間を見るとギリギリだった。

慌てて駅のホームに駆けようとすると、手を掴まれた。

その掴んでいた手は千冬さんの手で、世界最強と言われてはいるが、それでも女性らしい柔らかくて、少しひんやりとしてはいるが十分に温かい手だ。

思わずドキッとしてしまったのはしょうがない。

 

「また、今度二人で遊びに行こう」

 

「……俺なんかでよければいくらでも」

 

「輝義じゃなければだめなんだ。いいか?」

 

そう言われ、恥ずかしくなって、

 

「……はい」

 

これしか言えなかった。

俺ってば情けない……

 

しかし千冬さんはそうでもないらしく、

 

「ん。そら、間に合わなくなるぞ?」

 

少しだけ悪戯な、意地悪な笑みを浮かべて手を離してモノレールを指差す。

 

「……それでは」

 

「あぁ」

 

そう言って千冬さんと別れる。

何とかモノレールには乗れた。

しかしその車内には俺しかいなく、織斑たちと、握られた手が寂しかった。

 

窓の外を見てみると千冬さんが小さく手を振っていた。

周りには誰も居ないどころか完全に貸し切り状態だ。

これなら思いっきり手を振っても問題はないだろう。

 

そう思って大きく手を振った。

 

 

少し恥ずかしそうにしていたのは気のせいだろうか。

 

 

 

 

 

ーーーー side 千冬 ----

 

 

一夏が買い物に行っているという事で、計らずとも二人きりになってしまった。

 

どうしよう……昨日の今日でアピールなんてできるはずがない!

 

緊張してしまった。

だがそれを悟られないようにいつも通りを装って会話をする。

 

変じゃなかっただろうか……

 

そして遅めの昼食を摂り、三人でトランプをした。

弾は午後から部活があるとかで朝食を食べた後にすぐ帰って行った。

 

それにしても輝義はトランプが驚くほど弱い。

顔にすぐに出るし、相手を騙すのも下手。

戦闘中のこいつは何処に行ってしまったのかと思うほどだった。

 

それから、輝義が帰る時間になった。

送って行こうとすると断られたが押し切った。

一夏は気を利かせてか夕食の準備をすると言って家に残った。

 

 

駅までの道を二人で並んで歩く。

 

この時間は何物にも代え難い大切なものだと思う。

すぐ隣に好きな人が居てそして会話を楽しみながら並んで歩く。

これほどまでに幸せな時間は無い。

 

 

駅に着くまでの間の会話の中で会って欲しい人が居ると言われたが誰だろうか。

輝義の事だから変な奴ではないと思うが。

 

 

 

駅に着く。

とても名残惜しいがここで一旦別れなければ。

 

その時に輝義に普段から笑えばもっといいと言われた。

好きな人からそう言われてはやってみたくなるのは仕方が無いだろう。

 

ファンも増えると言われたがそれよりも遥かに輝義の事が欲しくてたまらない。

何時も何処でも傍にいてほしい。

 

でも輝義はちゃんと言葉にしなければ気が付かないだろうな。

 

別に今はそれでもいい。

必ずこの想いを伝えてやるんだから。

 

それを言うと何なのかを聞いてくるが教えてやらない。

今はその時じゃないと思うから。

 

そして別れようとした時にどうしても名残惜しくて手を摑まえてしまった。

 

咄嗟に握ったはいいがどうしよう!?

 

取り敢えず二人で遊びに行こうと言うと、

 

「……俺なんかでよければいくらでも」

 

む……

輝義でなければだめなんだ。

 

そう言うと恥ずかしそうに返事をした。

……なんだろうこの優越感。

 

 

そして輝義はモノレールに乗って行ってしまう。

モノレールの窓から輝義が見える。小さく手を振ると、車内だというのに大きく手を振って返してくれた。

 

嬉しいが少し、なんか恥ずかしかった。

 

 

 

 

 

家に帰ると一夏が、

 

「デートはどうだった?」

 

と茶化すような顔で聞いてくる。

 

思わす尻に蹴りを入れてしまった。

 

「いってぇ!?」

 

茶化すこいつが悪い。

 

「茶化すんじゃない」

 

「でも本当にどうだったんだよ?」

 

何だろう。物凄く恥ずかしくなって来たな……

 

「……教えない」

 

「えぇー……いいじゃんか」

 

「恥ずかしいんだ。勘弁しろ、全く……」

 

そう言うと一夏はニヤニヤしながら、私を見る。

 

「なんだその顔は」

 

「別に?」

 

そう言ってはぐらかされてしまった。

 

 

 

とてもいい時間だったな……また機会が無い物だろうか?

 

 

そう考えながら夕食を待った。

 

 

 

ーーーー side out ----

 

 

 






ネットワークの謎の切断により書いたものが消えるというハプニングがありましたが何とかなった。

早くイチャラブちゅっちゅな感じのを書きてぇ……




感想、評価等くださいな。

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