ISヒロインズとオリ主のお話   作:ジャーマンポテトin納豆

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俺は主人公宅でのお泊り会まで何話やる気なんだろう……?
時間掛かりすぎなのは分かってはいるんです。でも今の内に書いとかないと暫く書けなくなるし、ここは我慢してくだしあ。


82話目

 

ーーーー side 箒 ----

 

 

 

今日は輝義が家に来て私の神楽舞を見てくれる。

そう考えるだけで顔がにやけるのが止まらない。

 

夕方、電話が架かって来る。

誰かと思ったら輝義だった。

 

神社に着いたから何処に行けばいいのか教えてくれと。

何処にいるのかを聞いたら鳥居の下にいるそう。

それにしても着くのが約束した時間よりも早いな。

 

鳥居の下なら口で案内するより迎えに行った方が早いな……

 

そう思って迎えに行くからそこで待っててもらう事に。

 

 

鳥居に近づくと同時に輝義も見えて来る。

遠くからでも良く見えるその身長と体格を久しぶりに見て思わず顔の表情が緩む。

 

声を掛けながら駆け寄るとこちらに顔を向ける。

早く着いた理由を聞くと、被服部の人達に浴衣を作ってもらったからその着付けをしてもらいたくて早めに来たのだと言う。

 

輝義の浴衣……いいな……

 

そうすると私の準備もあるし早いがもう着付けてしまおう。

 

そして輝義の手を掴んで母屋の方に向かう。

部屋に案内して早速始める。

 

浴衣は紺色で輝義によく似合っていた。

浴衣のサイズはゆったりとまではいかないが余裕のある感じで作られている。

まぁそれを差し引いても十分に大きいのだが。

 

 

終わってから見てみるととても似合っていた。

なんだろう、こう、包容力を感じるのは気のせいだろうか?

 

 

 

 

それから私は自分の準備に取り掛かる。

身体を清めたりしてから衣装を着始める。

すると母さんが、

 

「箒?少し聞いてもいいかしら?」

 

「どうしたんです?」

 

「あの男の子の事が好きなのかしら?」

 

「な!?なななな!?」

 

い、いきなり何を!?

と言うか何時バレた!?

この事を知っているのはセシリア達だけのはず……

 

「あら、その慌て方は当たりかしら?」

 

これはもう正直に白状してしまおう……

あの姉さんですら勝てない相手なのだから。

 

「そうです……うぅ、なんでこんな事に……と言うかなんで分かったんですか?」

 

「だってあの子の事を話している時の顔が完全に恋する乙女なんだもの。あれで気が付くなと言う方が無理ね」

 

なんだかどんどん恥ずかしくなってきた……

親にこんな事を言われるのが此処まで恥ずかしいのか……

ん?そうすると父さんも……!?

 

「まさか……父さんも、とは言いませんよね……?」

 

「あら、一番最初に気が付いたのはあの人よ?」

 

「うわあああああぁぁぁぁぁぁ………………」

 

「あらあら」

 

うぅ……恥ずかしい……

どうしてこうなったのだ……

 

「今日此処に誘ったのも自分の晴れ姿を見てもらう為でしょ?」

 

「そうです……」

 

「だから姉さんも箒が神楽舞の練習に物凄い気合が入っているって言ってたのね」

 

叔母さんまで!?

私って顔に出やすいのだろうか?

 

「あ、そうそう」

 

「まだ何か……?」

 

「今、お父さんが輝義君の所に話を聞きに行っているわよ」

 

「何故止めなかったんですか!?」

 

「いいじゃない。お父さんも娘の事が心配なのよ」

 

「それでもです!一言ぐらい言ってくれればよかったのに……!と言うか何を聞きに行ったんですか?」

 

何を聞きに行ったのだ?

 

「箒の学園での事とかかしら?」

 

「なんでそこは曖昧なんですか……」

 

本当に何を聞きに行ったんだ父さんは……

道場を開いて師範でもあるが普段の生活は結構ふわふわしている所があったりする。

何を聞きに行ったのか心配だ……

 

「まぁでも本当に箒の事を心配しているのは確かよ。束には電話を架けられずに向こうから架けて来るのを待つことしか出来ないし、どんな状況なのかを詳しく知る事すら出来ない。あの子は他人と接するのが苦手なんてレベルのものじゃないから。しかも全世界で指名手配されている。これで何も思わない訳が無いでしょ?そんな時に箒に久しぶりに会えたんだもの。表には出していないけれど内心は嬉しくて嬉しくてしょうがないはずよ?多分心の中で踊り狂っているんじゃないかしら?」

 

「そうなんですか……」

 

「だから久しぶりに会った娘がどんな学園生活を送っているのか、その娘が好きになった相手がどんな人なのか見て、聞きたくなったのよ。変な男じゃないかとかね」

 

「輝義はそんな女を騙したりするような男じゃありませんよ。それどころか誰かの為に命を懸けてまで戦える男ですから」

 

「それでも裏の顔があったりするかもしれないでしょ?まぁでもそこまで言うのならそうなのかもね。それにあの動画も見たし。あ、そう言えば私まだ輝義君に挨拶していないわ。どうしましょう?」

 

「それなら迎えに行く時にでもすればいいんじゃないですか?」

 

「そうね。しっかり挨拶しなきゃ。なんたって将来のお婿さん候補だものね?」

 

「へ!?な、何を言っているんですか!?」

 

「あらー、そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃない。うふふ」

 

絶対に分かってやっているな、これは……

 

 

 

それから母さんに根掘り葉掘り聞かれながら準備を終えた。

 

 

 

 

 

衣装を着終わって母さんが輝義を呼びに行った。

 

輝義はこの姿の私を見てどう思うだろうか……?

褒めてくれるだろうか?

 

そして部屋に入ってきた輝義は、私を見て小さく声を上げてから黙ってしまった。

 

思わず何か言ってくれと言ってしまった。

すると輝義は私の名前を呼んだ後に、何時もは何かを言う前に少し時間があるのにこの時はその間も無しに、

 

「物凄く綺麗だぞ」

 

「ふぇ!?」

 

驚きすぎて変な声が出てしまった。

でも物凄き綺麗って言ってくれた……ふふ……

多分顔は真っ赤になっているんだろうな。

とても熱く感じるし。

 

声を掛けられて驚いてしまった。

褒められるのは恥ずかしいけどそれ以上に嬉しい。

 

そう言うと輝義は何を思ったのか写真を撮っていいかと聞いてきた。

流石に写真は恥ずかしい……

 

残念そうな顔で聞いてくるものだからOKしてしまった。

ま、まぁ一枚か二枚って制限つけたからそこまで撮られないはず……

 

 

撮られたのは私だけを撮った物と二人で撮った物。

誰にも見せないように釘を刺した。

 

……後で送って貰おう。

 

 

 

その後は一番いい席で見たいからと言って席の方に行ってしまった。

その時に私の緊張を見抜いた輝義に励まされた。

 

私はその励ましで何でも出来る様な気がした。

 

ただその後に私を見に来たと言われてまた顔を赤くしてしまった。

 

輝義が去った後、ニヤニヤが止まらない。

だって嬉しくてしょうがないんだ。

母さんには、

 

「そのニヤけ顔じゃ変に思われちゃうわよ?」

 

と言われその一言で顔が引き締まった。

 

 

 

 

アナウンスが流れ私は舞台の上に上がる。

想像よりも観客の数が多くてびっくりしたが此処まで来てはもう後はやるだけだ。

一礼する。

その中に輝義が居た。簡単に見つける事が出来た。

 

 

和楽器の演奏が始まる。

それに合わせて舞を始める。

 

 

 

 

 

舞が終わり、舞台から降りる。

その後に大きな歓声が響いてきた。

 

やった……やり切ったんだ……

 

「箒、とても良かったわ。これからの神楽舞はお願いね」

 

母さんも父さんも褒めてくれた。

これも嬉しいのだがやはり輝義に褒めてもらいたい。

 

どうだろうか……褒めてくれるだろうか……

 

そして輝義は私の所にかなり急いで走ってきた。

何かあったのか?

 

「箒!!」

 

「輝義?どうしたんだそんなに急いで」

 

そう聞くと答えは私を抱き上げながら帰って来た。

 

「凄かったぞ!!物凄い感動した!!」

 

褒めてくれた!

とても嬉しい。嬉しいのだが……

 

「わぁぁぁぁ!!??分かったから!分かったから一回降ろしてくれ!!」

 

恥ずかしい!!

流石にこれは普通に恥ずかしい!!

 

輝義は周りが見えていないのか母さんと父さんの事を忘れている。

二人はニヤニヤしながら何かを言って部屋から出て行ってしまった。

 

うぅ……絶対にさっきより顔が赤くなってる……

 

「………………すまない」

 

輝義も恥ずかしいのか長い間の後に謝って来た。

別に責めているわけではないから謝る必要はないんだが……

 

「あぁ、いや、別に責めている訳じゃないんだ。褒められたのは嬉しいし、舞を見て喜んでくれた事も嬉しい。ただいきなり抱き上げるのはよしてくれ……」

 

「……すまない」

 

一応注意しておく。

 

「全く……それじゃ着替えるから少し外で待っていてくれないか?」

 

「……分かった」

 

そう言って部屋から一度出てもらう。

 

ふぅ……あれだけ喜んでくれたのなら嬉しい限りだな……

 

そう思いながら、輝義と祭りを周る準備をした。

と言っても風呂に入って浴衣に着替えるぐらいなのだが。

 

それでも汗を結構かいたし臭いと思われたくないから念入りに身体を洗う。

そして浴衣を着る。白地に朝顔の模様があしらわれている浴衣。

母さんが昔に来ていた物を貰ったのだ。

 

準備が出来て部屋から出る。

廊下には輝義が座って空を眺めていた。

私に気が付いたのか声を掛けてきた。

 

早く輝義と祭りを周りたいと言うと少し顔を赤くして一言、そうかと言って黙ってしまった。

 

並んで歩いていると名前を呼ばれた。

振り向くと輝義が、

 

「……浴衣、とても似合っているぞ」

 

いきなり言われたから少し呆けてしまったが、

嬉しくて笑みが零れる。

 

「ありがとう」

 

だからこう一言返した。

 

 

急に輝義が立ち止まったので調子でも悪いのか聞いてみると、

 

「……いや、違うんだ」

 

ならどうしたというのだろうか?

 

「……箒が綺麗で見惚れていた」

 

「っ!……またそういう事を言う……うぅ、褒められるのは嬉しいが直接過ぎて恥ずかしくなるではないか……」

 

なんでこうもホイホイこちらが恥ずかしくなるような事を言ってくるんだ。

恥ずかしくて顔は真っ赤になっている。

ついでに嬉しくて頬がだらしない事になっているだろう。

顔を覆ってしまった私は悪くない。

 

その恥ずかしさを誤魔化す為に輝義の手を掴んで屋台を周った。

 

 

 

射的もやったし、金魚すくいもやった。

意外なのは射的で一発も当たらなかった事だろうか。

普段の訓練ではガンガン当てまくっているのになんでだろうか?

 

輝義は食べ物系の屋台を片っ端から買い漁っていたから制覇はしていないだろうがかなりの量を食べていた。

しかもかき氷をかなりの量を食べていたが大丈夫だろうか?

 

 

しかしその心配は的中。

トイレに行きたいと言い始めたのだ。

こうしてみると何故だか小さい子供の様に思えて来る。

行ってこいと言うとすぐに戻ると言って走って行ってしまった。

 

一人で待っていると、こういう時には必ずと言っていいほどいる、所謂ナンパという輩が声を掛けてきた。

 

人数は三人か。こいつらは暇なのではないのだろうか?

こんなことをしている暇があるんだったら他の事をした方が有意義だろうに。

それに筋肉をアピールしているのかどうか分らんがやたらと腕を出している奴もいるし。

それぐらいの筋肉で満足しているんだったら大間違いだな。

輝義の方が遥かに凄いし、一夏の方が筋肉は付いている。どうせいざと言う時に役に立たないだろうし。

 

そんなことを考えながら無視を決め込んでいるが、それでもしつこく声を掛けて来る。

あからさまに嫌な顔をしているのにそれでも誘ってくるのか。

いい度胸をしているじゃないか。

まぁここで騒ぎを起こすと輝義と花火を見られなくなるから無視をするが。

 

 

 

そこに、やっと輝義が帰って来た。

男共は声を掛けられて振り向いただけで悲鳴を上げながらビビる。

 

この程度で怯えるなど情けないな……

 

そう思いながら輝義とのやり取りを見ていると、

 

「……俺の連れに何か用でしょうか?」

 

そう言っただけで何処かに行ってしまった。

 

そして輝義は私の事を心配しながら声を掛ける。

 

大丈夫だと言いながらも、少し意地悪をしてやろうと思って軽く咎めると、言い返してくるかと思ったが素直に謝って来た。

 

まぁ怒っているわけではないし、祭りだからトイレが混んでいたのだろう。

 

輝義は何と無しに腕時計を見ると、もう十分程で花火が始まると言って来た。

輝義と祭りを周るのが楽しくて時間の事などすっかり忘れていた……!

 

輝義の手を掴んで走り出す。

多分まだ間に合うはずだ!

 

 

少し走ると開けた場所に出る。ここはこのあたり一帯を見渡せる場所。

神社よりも高い所にあるから花火が良く見える。

 

ちゃんと準備もしてきている。

此処は誰にも知られていないから座れるようなものはない。

だから小さめのレジャーシートを持って来てある。

 

小さいのには理由がある。

持ち運びが楽と言うのもあるが、こうすれば輝義の膝の上に座れるのではないか、という打算もあった。

この前本音が輝義の膝の上はとても心地いいと言っていたから座りたくなったとかではない。

 

私が座れなくなることを心配した輝義は聞いてくるがそこは大丈夫だ。

 

輝義を座らせる。輝義は胡坐で座ると、丁度座るにはいい感じのスペースが出来る。

私はそこに座る。

何故そこに座るのかと聞いてくるが、こうでもしないと二人で座れないだろう。と言うのは建前で私がそこに座りたいからと言うのが本音。まぁ絶対に言えないが。

 

輝義は立って見ればいいと言うがそんなのダメに決まっている。

私が誘って来て貰ったのだから。

 

しかし渋る顔。

ここは本音の件を出してみるか。

 

「本音は良くて私はだめなのか?」

 

そう言うと、慌てた表情で誰が見ても分かるぐらいの焦り方をし始めた。

そして観念したのか好きにしろと言って来た。

 

ふふ…………私の勝ちだな。

 

悪いとは思うがそれでもこの座り心地は手放せない。

しかし、そうなると更に色々とやってもらいたくなるわけで。

軽くでいいから後ろから抱きしめてほしいと言うと、固まった。

 

あ、あれ?やはりだめか……

 

そう聞いてみると葛藤して、許してくれた。

後ろから回される腕は太く逞しい。

 

「ふふ……なんかいいなこういうの……」

 

嬉しくて、そう漏らしてしまった。

こういう何もなくても楽しくて幸せなのが一番だと私は思う。

 

少し位置を調整するために動くと輝義が少しびくりとした。

何かあったのだろうか?

でも直ぐに何時もの顔に戻ったから気のせいか。

 

そろそろ始まる。

 

空を見ると、花火が打ち上がり始めた。

大きさも形も色も違う花火が次々と上がり始める。

 

 

輝義は花火に夢中で目をキラキラさせている。

何時もは大人びていて、初対面だと近寄りがたいのにこうして偶にこんなに無邪気な顔をする。それを今自分は独り占めしている。

それがどうしても嬉しくてしょうがない。

 

もっと近くにいたい。傍にずっといたい。

 

そう思うと輝義にもたれかかっていた。

 

 

 

 

最後の一発が消え消えて花火が終わった。

どこか寂しく感じる。

 

「……凄かったな」

 

輝義はそう言う。

ここは昼間に来てもいい景色が見られる。

 

輝義は帰ろうと言うが、私はまだもう少しだけこのままでいたかった。

だから少し我儘を言ってこのままでもうしばらく居させてもらう事に。

 

下から見上げる輝義は大きき感じる。

ふと思ったが私は重くないのだろうか?

ここ最近また胸が大きくなった。これ以上大きくなられても困るんだが……

結構な頻度で下着を買い替えなければならないし……

 

重くないのか聞いてみると、

 

「……重くも無いし迷惑でも無い。好きなだけそこに座っていてくれて構わない」

 

そう言った。

 

「そ、そうか……なら私が満足するまで頼んでもいいか?」

 

そう聞くと、

 

「……どんとこい」

 

何とも頼もしい一言が帰って来た。

 

それから私の気が済むまで二人で話していた。

 

 

 

ーーーー side out ----

 

 

 




箒ちゃんは常識人に対しては態度は優しいですがそれ以外の非常識な輩には一切容赦が無くなります。

あぁ……箒ちゃんみたいな子にあやされたい……



感想、評価等くださいな。

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