ようやっと……ようやっとお泊り会に入ることが出来る……!
お泊り会が本編に出てきてから此処まで長かった……本当に長かった……!
今日から皆が俺の家に泊まりに来る。
第一陣の、織斑、箒、簪、本音、ラウラ、シャルロット、虚さんの七人。
四日後にセシリア、鈴、楯無さんの第二陣。
これなら夏祭りに間に合う。
という事で朝の十時に学園側にあるモノレール駅に集合する事になっている。
皆には数日分の着替えに他に必要な物を各自で持って来てくれと言ってある。
理由としては電車で一時間以上かかる場所に俺の家があるからだ。
そんな中で重い荷物を持って、など嫌すぎるに決まっている。
服は俺の家で洗濯できるからその辺りの心配は大丈夫。
まぁ、俺なんて荷物は財布とスマホに充電器ぐらいな物だ。
財布の中に保険証やらなんやらは全部入っている。
という訳で朝飯を食った後に集合してモノレールに乗る。
そして駅に向かい電車に乗る。
「いやー!輝義の家楽しみだな!!」
そう言って織斑はテンションアゲアゲ。
お前、さっきからそれしか言ってねぇだろ。そんなに楽しみなのか。
でもさ喜んでくれるのはいいんだけどさ……
電車の中ではしゃぐのは辞めようよ……
まぁいいんだよ?いいんだけどさ、まだ都心部からあまり離れていないから他のお客さんがかなりいるわけで、そんなはしゃいでいる織斑とその周りに居る俺達に視線が注がれる。
「一夏、もう少し静かに座ってられないのか?」
「おりむーは、小学生なのかなー?」
「えー……分かったよ。静かにしてる」
箒に窘められ、普段は小学生が如き本音にそう言われて静かになる織斑。
しかしもう本当に楽しみでしょうがないのか身体中から待ちきれないという雰囲気が溢れている。
まぁ、まだ先は長いって程でもないけど時間はあるからもう少し落ち着いて欲しい。
とは思ったものの、箒達も結構楽しみにしているのか会話が弾んでいる。
俺の家は田舎って程でも無いとは思う。
小、中学校に高校もあるしスーパーマーケットもあるし。イ〇ンとかは無いけど。
農家が多いからかどうかは知らんが俺の家もそれなりに広いはず。
「おぉ……なんか景色が変わって来たぜ!」
織斑がそう声を上げると箒達が窓の外を見る。
そうなのだ。この辺りは結構田んぼが多く、今の時期は青い稲穂が揺れている。
秋になれば黄金に輝く一面の稲穂が見れるだろう。
「……秋になればもっと凄い光景が見られるぞ」
「そうなのか?」
「……あぁ」
「それは見てみたいものだな」
そんな会話をしていると、段々と降りる駅が近付いてくる。
「……そろそろ降りる準備をしてくれ」
「分かった。ほら、本音起きて」
そう言って簪が眠ってしまった本音を揺すって起こす。
「んー……?」
「んー、じゃなくて起きてってば」
「本音、起きなさい」
「起きました!」
簪が起こそうとしても起きなかったのに虚さんが声を掛けただけで直ぐに飛び起きた。
「よろしい」
そう虚さんが言うと三人は荷物を持って降りる準備をする。
数分すると駅が見えてきた。
「……ここで降りるぞ」
電車が駅に止まると皆で降りる。
改札を出るとそこにいたのは二台の車の前で待っている親父と母さんだった。
「暫くぶりだね。そちらのお嬢さんと織斑君がお客さんかな?」
親父がそう言ってニコニコと笑っている。
「ほら、取り敢えず車に乗っちゃいな。家まで行くよ」
相変わらずの母さん。
言われた通りに分かれて車に乗る。
しかし俺はサイズ的に乗れない訳で。
「……俺は走って家まで向かえと」
「何時もの事だろ。お前が乗れる様な車なんて持ってるわけないんだから。それに四、五キロなんだからいいだろ」
「……まぁいいけどさ。その距離だったら七分か八分あれば着くし」
そう言うと母さんは、
「あんたまた足速くなったの?」
「……あぁ」
「本当に、うちの息子は何を目指してんだろうね?」
そう言って車に乗って行くが嬉しそうな顔をしているのを見てしまった。
これで下手な事を言うとどやされるからなんも言わないけど。
そしてそれを見ていた親父が、
「あんなんだけど母さん、輝義が帰って来るのすっごい楽しみにしていたからね。多分照れ隠しだと思うよ?」
「……そんな事は分かってるさ」
「それもそうか」
そう笑いながら車に乗って走って行く。
さて、俺も行きますかね。
それから俺は走って家まで帰った。
信号とか前の車が遅かったとかで俺の方が家に着くのが早かったです。
「……ただいま」
そう言いながら玄関を開ける。
その声に反応して出てきたのは爺ちゃんだった。
「輝義、良く帰って来たな」
「……ただいま。爺ちゃん」
「おう。正義達はどうした?」
「……車。でも信号に引っかかって俺の方が早かった」
「そうか。で?何人ぐらい来るんだ?」
「……今日の七人とその後に三人。合計で十人」
何人来るのかと聞かれたから答えた。
すると驚いた顔で、
「随分と多いじゃねぇか。なんかあったのか?」
「……いや、何も無いよ」
「まぁいいけどよ。なんで分かれて来るんだ?一緒に来ちまえばいいだろうに」
そう言いたくなるのは分かる。でも向こうにも都合ってもんがありましてですね。
「……三人とも国に帰っているんだ。二人が代表候補性で一人は国家代表だし」
「ほーん……ならしょうがねぇな」
そう言うが、この顔は絶対に分かってないな。
「……ばあちゃんは?」
「台所に居るぞ。飯を作ってる」
「……そっか」
そう言うと俺は台所に向かう。
ばあちゃんは何を作っているんだろうか?
「……ばあちゃん。ただいま」
「あら、お帰り。他の皆はどうしたの?」
「……まだ来てないよ。車が信号に引っかかってて」
「あら、そうなの?」
「……あぁ」
「今、お昼を作ってるからもう少し待っててね」
「……昼飯はなんなの?」
「素麵よ」
昼飯は素麵か。
暑いから丁度いいな。
そんなことを考えていると皆を乗せた車が帰って来る。
玄関に向かい、開けると織斑たちが車から降りている所だった。
「……遅かったじゃないか」
「いやいや。輝義が早すぎるんだってば」
軽く冗談を言うとシャルロットが笑いながら返してくる。
「……まぁいい。荷物を寄こせ。部屋に運んでおいてやる」
「いや、自分で持っていくから大丈夫だよ」
「……気にするな。お前達は客人だからな」
「そう?ならお願いしていいかな?」
「……任せろ」
そう言って皆の荷物を纏めて担ぎ上げる。
皆が泊まる部屋に荷物を持って行って置く。
大きな座敷に泊まってもらう事になっているため、女性陣は皆一緒に寝てもらう。
織斑は俺と同じ部屋だ。
下に降りていくと母さんとばあちゃんが飯を運んでいた。
「……手伝うよ」
「いいから座ってな」
断られてしまった。
言われた通りに皆が座っている所に向かうと親父と爺ちゃんが皆と話していた。
「……何話してたの?」
「ん?お前が向こうでどんな感じなのか聞いてたんだよ」
「……そうなの?」
「ついでに小さい頃のお前がどんな感じだったのかとか教えてた」
「……余計な事言わないでよね?」
「それはどうか分からんな」
なんか恥ずかしい事をバラされるのだけは勘弁してほしいものだ……
それから皆で素麵を啜った。
その日は特に何も無かった。とはいかなかった。
母さんが俺の小さい頃の写真を引っ張り出して来たのだ。
それを皆で囲んで見ている。
「輝義はお腹の中に居る時から大きくてね。出産の時は本当に大変だったよ」
「そうなんですか?」
「体重を測ったら六千グラムもあったからね」
「嫁は赤ん坊に時から大きかったのか」
とか、
「輝義、幼稚園の時から他の子よりも大きいんだな」
「ほんとだ。てるてるおっきいね」
「……背の順で一番後ろ以外になったことが無い」
「すげぇな」
とかそんな感じだった。
と言うか普通に恥ずかしかったです。
感想、評価等くださいな。