やっぱりランクインは夢だった……
それとお気に入りがいつの間にか千六百件を超えている……
ありがとうございます。
昨日、セシリア達と合流した。
その後が大変だった。俺と箒はセシリアと楯無さんを筆頭に、箒の実家の神社に行った事を聞かれた。
セシリアと楯無さんなんかは、
「確かに私達は代表候補生ですしその立場に相応の責務がありますわ。ですが私達が仕事をしている時に箒さんは輝義さんとイチャイチャしているのはズルいですわ!!」
「輝義君?一人だけとデートするのは贔屓で良くないんじゃないかなーってお姉さんは思います。だから皆と平等にデートするべきだと思うの!」
二人共本音が駄々洩れですよ……
まぁいいけどさ……
「ちなみにだけど織斑先生も含まれているわよ」
マジカヨ。
「輝義?なんで皆に言ってしまったんだ……?」
「……つい口を滑らせてしまった」
と箒にも尋問される俺だった。
今日はまぁ特に何かがあるわけでもなく、やはり女性陣は昔話に花を咲かせていた。俺と織斑は爺ちゃんと一緒に畑仕事をしていた。
俺はトラックの荷台に荷物と一緒に乗り込んで畑に向かう。
街から結構離れている所に爺ちゃんの畑はあった。
見た時は俺と織斑二人で普通に驚いた。だってめっちゃ広いんだもん。
これを今まで一人で世話していたって事か?爺ちゃんすげぇ。
暑い。とにかく暑い。
今は十時頃なのに既に三十五度を超えている。
「あちぃな……」
「……言うな。余計に暑く感じる」
「わりぃ……」
俺と織斑はこの炎天下の中、肥料等の色々な物を運んでいる。
と言うか爺ちゃんどんだけでかい畑を買ったんだ?
普通に趣味じゃ終わらないようなレベルの広さだぞ……
しかも本人は滅茶苦茶元気だし。
「輝義の爺ちゃん元気すぎじゃね……?」
「……俺もそれは思った」
「ほら二人共もっとしっかり動け!そこにある肥料を二袋持って来い!!」
話していると爺ちゃんから呼び出しがかかった。
人使い荒すぎじゃありません?
「……織斑は休んでろ。その状態じゃ辛いだろう」
「悪い……」
「……日陰に入ってろ。水分も摂れよ」
「あぁ……」
織斑はダウンか。
まぁ俺みたいに体力があるわけでもないからな。しょうがない。
「……ほら。二袋持って来たぞ」
「おう。そこに置いとけ。一夏君はどうした?」
と言うかいつの間に名前呼び。
俺はそのコミュ力が羨ましいぜ。
「……体力の限界」
「なんだ情けない。熱中症とかは?」
「……それは大丈夫だと思うよ。日陰で寝てる」
「そうか。なら持って来た肥料をこっから向こうまで二袋分蒔いてくれ」
「……了解」
そう言って俺は肥料を蒔き始める。
しかし本当に広すぎじゃね?なんでこんなに広い土地を全部畑にしたんだ。
と言うかこの短期間でよくこれだけの畑を作れたもんだな……
「……こんなに広い畑どうやって耕したんだ?」
「ん?機械を使ってな」
「……一人で?」
「あぁ。結構簡単だったぞ」
いや簡単だったぞ。じゃねぇよ。
この広さを一人で?やっぱ我が家のおじい様は人じゃなかったのね。
まぁ言われた通りにえっさほいさと肥料をバラ蒔く。
山も近いし野生動物とか沢山居そう。
イノシシ、シカ……美味そうだな……
「……蒔き終わった」
「おう。なら少しばかり休憩にするか」
「……分かった」
そう言って二人でトラックに向かって歩く。
トラックには織斑がドアを開けたまま中で寝ていた。幸いと言うか風が吹いていてトラックの中は風通しがいい。
思いの外涼しいようだ。
「……織斑。生きているか?」
「んぉ……?あぁ、悪い寝ちまった……」
「気持ちよくって寝ちまったか。気にしなくていいぞ」
「……体力は回復したか?」
「おう。ん”ん”-”ー”……それにしても本当に気持ちよかったぜ」
そう言って織斑は背伸びをしながら言う。
「二十分ぐらい休憩したら残りの畑もやっちまおう」
「……ん」
「分かりました」
「それにしても今日は楽でいい。何時もなら何日か掛けてやるんだがな」
そんな仕事を俺らにやらせたのか。
まぁいいか。なんだかんだで織斑も楽しそうだし。
「……野生動物とかってどうしてるの?」
「地元の猟友会が定期的に猟をしてくれている。他の農家さんも結構イノシシ、シカの被害が大きいらしくてな」
「……そうなのか」
「おう。免許を持って入るんだが自分で山に登って猟を、となると流石にきつくてな」
やっぱり年なんだろうな。
農作業は結構ホイホイやっているけど山登りはきつくなって来たのか。
「だから低い所での猟はやるんだが、俺一人だと手に負えなくてな」
「ほえー。輝義の爺ちゃんやっぱすげぇな」
織斑はすげぇすげぇと頷いている。
まぁ確かに凄いんだけども。
それから一時頃まで作業をやって家に帰った。
トラックの荷台って風を感じられるし意外と気持ちいいもんだね。
……やっぱり車内がいいけどさ……
俺、車買う時はめっちゃデカいのにしよう……
と言うか俺が乗れる車なんてあんのかな……?
そして家で飯を食った後に皆に集まってもらった。
明日、夏祭りがある。その時に以前作って貰った浴衣を渡してしまおうという訳だ。
「……わざわざ集まって貰ってもらった。申し訳ないな」
「別に構わないぞ。それで嫁は何の用があるのだ?」
「……渡したいものがあってな」
「渡したいもの?」
皆はやはり不思議そうに首を傾げる。
ふっふっふっふっふ…………見て驚け!聞いて驚け!
まぁこの場には無いんだけども。
「……少し待っていてくれ」
そう言って自分の部屋に浴衣を取りに行く。
と言うかよく織斑は気が付かなかったな。押し入れの中に入れておいた。
宅配で届けてもらうように頼んでおいたからバレずに持ち込めたのだ。
俺ってばやっぱり天才なのかもしれないな。
浴衣を持って皆の所に戻る。
「輝義?それ何?」
「……見れば分かる」
そう言って丁度シャルロットの浴衣が一番上にあったので渡す。
「輝義……これって……?」
「……浴衣だ。明日夏祭りがある事を言っただろう?その時に着て行ってくれ」
シャルロットは浴衣を広げる。
色は水色を更に薄くしたような色。
そこに朝顔があしらってある。
「わぁ……!凄いね!輝義有難う!」
「……ん。皆の分もあるぞ」
「「「「「「「「「「おぉー!!」」」」」」」」」」
嬉しい反応をしてくれるではないか。
そして皆に渡していく。
セシリアには瑠璃紺色の生地に菖蒲、だったか?その模様がある。
こう、ブルー・ティアーズに乗っているときのセシリアが頭に出てきたからこの色に。
箒には赤色の浴衣。そこに赤色の模様がある。
箒は落ち着いているときもあるんだがここ最近顔を赤くすることが多くて……
鈴には菜の花色の浴衣に、雲?みたいなのが書いてある。
鈴は元気一杯って感じがするからこの色に。
ラウラには紫色の浴衣。帯にフリルがあしらわれている。
黙っていればミステリアスな風貌だからこの色に。黙っていれば、だが。
簪は薄桜色に花の模様の浴衣。
こう、幸薄美人って感じがするんだよな。だからこの色に。言ったら怒られそうだから言わないけど。
本音は若草色。ちゃんと少しダボダボに作って貰ってます。
こう、ひらひらしている草みたいな感じだから。
楯無さんは天色の浴衣。
自由奔放だから。本人はそうじゃないとか言っているけど仕事をしないでフラフラしているからな。
虚さんは灰色に近い緑色。
知的な色って検索したらこの色が出てきた。
「……織斑」
「え!?俺の分もあんのか!?」
「……ちゃんと用意してある」
「まじかよ!めっちゃ嬉しいぜ!」
織斑のは濃いめの灰色。
なんていうか白式の色がそんな感じだったから引っ張られてしまった。
皆喜んでくれているようで何より。
「「「「「「「「「「ありがとう。輝義(嫁)(輝義君)(てるてる)(輝義さん)」」」」」」」」」」
皆からお礼を言われた。
「……普段から世話になりっぱなしだからな。恩返しとはいかないがせめてもの気持ちだ」
「それでもお礼は受け取っておくべきですわ」
「……あぁ」
「うむ。それに私達の方が嫁に世話になっているからな」
「……そんな事は無いと思うが」
「嫁がそう思っていなくても私達はそう思っているんだ。そういう事にしておけ」
「……分かった」
最後はラウラに丸め込まれたような気もしなくはないがまぁいいか。
明日は夏祭り。
皆で行くのが楽しみだ。
一夏くんは別に体力が無い訳ではありません。
普通の人からしたら多い方です。輝義と爺ちゃんの体力が人外過ぎるだけなんです。
浴衣の色ですが作者が何となく色の表を見ながら、「あ、この色似合いそう」とか思ったものです。
似合ってないとか、ダサいとか言わないで。
作者のセンスが壊滅しているのは自分でよーーーーく分かっていますから。
これ以上心を圧し折りに来ないで……
感想、評価等くださいな。